2015年06月09日
タガタリススムの、的、な。再演@高円寺・座
高円寺・座にて『タガタリススムの、的、な。』。
主演の原嶋元久さん人気か、お目当ての俳優さんのフォームが公開される前に売り止めになってしまう!という事態もありましたが、どうにか劇場分のチケットをゲットでき、初日に観劇してきました。もう終わったのでがっつりストーリーネタバレ。
公式のあらすじは、舞台芸術集団 地下空港のウェブサイトより次のようになります。
さて、では私の個人的な感激記。
掘りごたつがけっこう深い。。ケータイや財布なんか落としてしまったら私の腕では届かないくらい深い…。
呟いていた内容はちゃんと聞き取れなかったのですが、年号とかだった気がする。
ストーリーとしては、とある大企業クルイド社の食堂で死体が見つかり、犯人の容疑をかけられたマコト(原嶋さん)とその彼女である外国人出稼ぎ労働者の少女トーリャ(エマさん)が逃亡するところからスタート。
疑われた理由は、マコトのSNSアカウントから犯行声明が発され、日本中に拡散されたから。しかも食堂に死体が遺棄されているタイミングでマスコミ取材が入り、マスコミがあたかもマコトが犯人であるかのような報道を行った。
真犯人を捕まえるため、マコトとトーリャは、次の犯行予告の地、クマソ・システム社の独立自治区へ向かう。
ちょうどその日はクマソ自治区の独立数周年パーティが開かれており、殺害予告の対象者はクマソ兄弟。
とはいえSNSアカウント乗っ取り&決めつけ報道により全国的に犯行容疑も顔も割れているため、公共交通機関は使えない。しかたなくIKEAに向かっていた新婚ヒトカド夫婦の車に押し入り強盗ヒッチハイク。脅してクマソ自治区に向かわせる。
ここでヒトカド夫がクルイド株主だったことが判明。社食堂での死体遺棄事件によりクルイド株は急落していたが、ライバル社であるクマソで殺人事件が起きれば、クマソ株が急落、相対的にクルイド株が持ち直すのではないかとクマソ兄弟殺人事件の実現を期待するヒトカド夫。
ヒトカド妻フサエはそんな夫の人間性を疑うようになる。マコト&トーリャも殺人を望んでいるわけではなく、真犯人を待ち伏せて捕まえるのが目的なため、ヒトカド夫の人間性を疑う。
クマソ自治区到着。ヒトカド夫の隠れた趣味「女装」によりなんとかパーティに侵入成功。ヒトカド夫の人間性がさらに怪しくなってくる。
パーティで、招待客のフリをしてマコトがクマソ弟に近づいたところで、クマソ弟が何者かに殺される。死に際にクマソ弟がマコトの肩に謎の注射を打つ。
第2の殺人嫌疑までかけられ、当然逃げ出すマコト&トーリャ&ヒトカド夫妻。マコト、トーリャの名前を思い出せない。自分の過去も思い出せない。ヒトカド夫妻はなんだかさらに様子がおかしい。
おそらくその注射に何か秘密がありそう。ここで過去回想シーン。トーリャはマコトの義理の妹(兄嫁の妹)として、仲良く育った仲だった。そしてマコトはクルイド社長の次男。日本ではLC(リキッドコンピュータ)という技術が一般的となり、予防接種のごとく全国民の体内に打たれている近未来。
システム大手クルイドはそのLCを改ざんして国民の記憶をある時期でストップさせることで、自社の売り上げを伸ばしていた。父(クルイド社長)は長男(マコトの兄)に新型LC投与実験を行い、それが失敗し兄は死亡。食堂に放置されていた死体は兄だった。つまり食堂死体遺棄の犯人は父だった!
次男として父と戦う決意をしたマコトは、とある特別なLCを自分に打つことで、自らの記憶を改ざんし、トーリャがあるパスワードを言えば記憶改ざんが解除されるようにする。
父を倒し、ヒトカド夫妻はいろいろあったが仲直し、人道的な社会が戻ったかと思いきや、トーリャ姉は見抜いていた。実はクルイド社の売上を維持するためにLCで人々を支配していたのはマコトであり、兄も父もそのための役者に過ぎなかった。
自分が放った炎の広がる先をよく見ろ!と厳しいトーリャ。土下座するマコト。謝罪のために手を取り合って開放された劇場出入り口から出ていくふたり。
(了)
あくまで自分のためのメモなので、見逃している部分、勘違いしている部分も山盛りかと思います。ご容赦ください。
最初に書いたとおり掘りごたつ食堂劇場なので、お芝居全体を俯瞰するのは不可能なんです…。しかも話の時系列がグルグルなもんだから、記憶力&理解力&知識勝負です。勝てる人はいなかろうけど。
せめてもう一度、二度見られればもっと深く理解できたのではないかと悔やまれますが、チケット激戦、DVDにもならずではもうお手上げかも。
地下空港の演目はダキニ城の虜に続いて2作目でしたが、社会派SF+イケメンを組み合わせることで俳優沼の小娘を教育しにかかっているような印象が強いです。
むしろこんなん初見で理解できる人がいたらびっくりするし、社会問題にも神話にも素養深き人しか観ちゃいけないようなら先に言ってほしい、勉強するから(笑)
そんな感じの久々に脳みそフル回転な舞台でした。
(首もフル回転だったので痛い)
個人的には、最後、日本をクルイドとクマソに二分させてしまったマコトが外国人の少女に手を引かれて謝りに行くというのが、情けな…と思いました。一体、それぞれ何を象徴しているのでしょう。
ダキニ城の虜と共通する点としては、やはり法人が国家として領域&領民を伴った独立自治を果たしていること。
それは一見、合理的なように見えるけど、実は国民の価値を利益で図る体制だし、資本主義の行き着く果てのように見えて、それってよく考えたら社会主義やないか、という矛盾。
(矛盾というか、境界線があいまいになる感じというか…)
体制が個人を支配することが大きなテーマなんだと思います。そしてそんな真実に気づいてしまった子は不幸である。。
ヒトカド夫妻なんて無邪気で可愛かったもん。
もっと言えば私たちは確実に、「気づいてないほう」の人間であり、気づかぬうちに体制に支配されてるよ、という示唆。そこまで言うと逆にありきたりで説教臭くなるか・・。
説教臭さを薄めるのが絶妙なコメディ要素とイケメン俳優の面目躍如@パートなんだろうなと思います。
あと、長々とあえて触れなかったけど、古事記、ヤマトタケル神話、読んでません…。
ちゃんと読みます。次も地下空港観たいから。。
主演の原嶋元久さん人気か、お目当ての俳優さんのフォームが公開される前に売り止めになってしまう!という事態もありましたが、どうにか劇場分のチケットをゲットでき、初日に観劇してきました。もう終わったのでがっつりストーリーネタバレ。
公式のあらすじは、舞台芸術集団 地下空港のウェブサイトより次のようになります。
あらすじ
世界的な企業・クルイドダイナミクス株式会社の精密工場にて起こる謎の殺人事件。
そこに巻き込まれる一人の日雇い派遣労働者の青年。
不運にも殺人の疑いをかけられた青年は、
テレビ記者、被害者遺族に追われながら、
外国人出稼ぎ労働者の少女を連れて逃走を始めるのであるが……。
作品解説・みどころ
高円寺に劇場が出来る!と聞いたのは何年も前。
すぐさま自転車で建設予定地に駆けつけ、
未だ見ぬ建物の姿を想像しながら敷地をウロウロした。
高円寺在住(最寄り駅)の演劇人である私にとって、
座・高円寺は存在自体が祝福なのである。
そんな夢の劇場にて、私の団体・地下空港が
提携公演をさせて頂けることになった。
演目は『タガタリススムの、的、な。』という、
ヤマトタケル神話を基にしたクライムサスペンス逃走劇。
主演はミュージカル「テニスの王子様」出身の人気俳優・原嶋元久くんをお迎えする。
大好きな街・高円寺にて、
華々しく真摯に、この時代に向け鐘を鳴らそうと思う。
どうぞ皆様、ご期待下さい。
―舞台芸術集団 地下空港 主宰・伊藤靖朗(座・高円寺13号より)
さて、では私の個人的な感激記。
入場してまず異様なこと@
まず、舞台セットが異様。ハリーポッターの映画を見たことがある方は、食堂大広間のシーンを思い出してみてください。あんな感じで、客席と舞台が一体化しています。本当に食堂のよう。ちなみに足元は椅子ではなく掘りごたつっぽくなっています。通路もテーブル(=舞台)も役者が立ち回るため、荷物は足元に置くよう指示されます。掘りごたつがけっこう深い。。ケータイや財布なんか落としてしまったら私の腕では届かないくらい深い…。
入場してまず異様なことA
テーブル舞台の上に役者さんが横たわり、何やらブツブツ呟いていらっしゃる。しかも私の場合、大好きな俳優さんが目の前にいらしたので、開演まで凝視していました。呟いていた内容はちゃんと聞き取れなかったのですが、年号とかだった気がする。
ストーリーとしては、とある大企業クルイド社の食堂で死体が見つかり、犯人の容疑をかけられたマコト(原嶋さん)とその彼女である外国人出稼ぎ労働者の少女トーリャ(エマさん)が逃亡するところからスタート。
疑われた理由は、マコトのSNSアカウントから犯行声明が発され、日本中に拡散されたから。しかも食堂に死体が遺棄されているタイミングでマスコミ取材が入り、マスコミがあたかもマコトが犯人であるかのような報道を行った。
真犯人を捕まえるため、マコトとトーリャは、次の犯行予告の地、クマソ・システム社の独立自治区へ向かう。
ちょうどその日はクマソ自治区の独立数周年パーティが開かれており、殺害予告の対象者はクマソ兄弟。
とはいえSNSアカウント乗っ取り&決めつけ報道により全国的に犯行容疑も顔も割れているため、公共交通機関は使えない。しかたなくIKEAに向かっていた新婚ヒトカド夫婦の車に押し入り強盗ヒッチハイク。脅してクマソ自治区に向かわせる。
ここでヒトカド夫がクルイド株主だったことが判明。社食堂での死体遺棄事件によりクルイド株は急落していたが、ライバル社であるクマソで殺人事件が起きれば、クマソ株が急落、相対的にクルイド株が持ち直すのではないかとクマソ兄弟殺人事件の実現を期待するヒトカド夫。
ヒトカド妻フサエはそんな夫の人間性を疑うようになる。マコト&トーリャも殺人を望んでいるわけではなく、真犯人を待ち伏せて捕まえるのが目的なため、ヒトカド夫の人間性を疑う。
クマソ自治区到着。ヒトカド夫の隠れた趣味「女装」によりなんとかパーティに侵入成功。ヒトカド夫の人間性がさらに怪しくなってくる。
パーティで、招待客のフリをしてマコトがクマソ弟に近づいたところで、クマソ弟が何者かに殺される。死に際にクマソ弟がマコトの肩に謎の注射を打つ。
第2の殺人嫌疑までかけられ、当然逃げ出すマコト&トーリャ&ヒトカド夫妻。マコト、トーリャの名前を思い出せない。自分の過去も思い出せない。ヒトカド夫妻はなんだかさらに様子がおかしい。
おそらくその注射に何か秘密がありそう。ここで過去回想シーン。トーリャはマコトの義理の妹(兄嫁の妹)として、仲良く育った仲だった。そしてマコトはクルイド社長の次男。日本ではLC(リキッドコンピュータ)という技術が一般的となり、予防接種のごとく全国民の体内に打たれている近未来。
システム大手クルイドはそのLCを改ざんして国民の記憶をある時期でストップさせることで、自社の売り上げを伸ばしていた。父(クルイド社長)は長男(マコトの兄)に新型LC投与実験を行い、それが失敗し兄は死亡。食堂に放置されていた死体は兄だった。つまり食堂死体遺棄の犯人は父だった!
次男として父と戦う決意をしたマコトは、とある特別なLCを自分に打つことで、自らの記憶を改ざんし、トーリャがあるパスワードを言えば記憶改ざんが解除されるようにする。
父を倒し、ヒトカド夫妻はいろいろあったが仲直し、人道的な社会が戻ったかと思いきや、トーリャ姉は見抜いていた。実はクルイド社の売上を維持するためにLCで人々を支配していたのはマコトであり、兄も父もそのための役者に過ぎなかった。
自分が放った炎の広がる先をよく見ろ!と厳しいトーリャ。土下座するマコト。謝罪のために手を取り合って開放された劇場出入り口から出ていくふたり。
(了)
あくまで自分のためのメモなので、見逃している部分、勘違いしている部分も山盛りかと思います。ご容赦ください。
最初に書いたとおり掘りごたつ食堂劇場なので、お芝居全体を俯瞰するのは不可能なんです…。しかも話の時系列がグルグルなもんだから、記憶力&理解力&知識勝負です。勝てる人はいなかろうけど。
せめてもう一度、二度見られればもっと深く理解できたのではないかと悔やまれますが、チケット激戦、DVDにもならずではもうお手上げかも。
地下空港の演目はダキニ城の虜に続いて2作目でしたが、社会派SF+イケメンを組み合わせることで俳優沼の小娘を教育しにかかっているような印象が強いです。
むしろこんなん初見で理解できる人がいたらびっくりするし、社会問題にも神話にも素養深き人しか観ちゃいけないようなら先に言ってほしい、勉強するから(笑)
そんな感じの久々に脳みそフル回転な舞台でした。
(首もフル回転だったので痛い)
個人的には、最後、日本をクルイドとクマソに二分させてしまったマコトが外国人の少女に手を引かれて謝りに行くというのが、情けな…と思いました。一体、それぞれ何を象徴しているのでしょう。
ダキニ城の虜と共通する点としては、やはり法人が国家として領域&領民を伴った独立自治を果たしていること。
それは一見、合理的なように見えるけど、実は国民の価値を利益で図る体制だし、資本主義の行き着く果てのように見えて、それってよく考えたら社会主義やないか、という矛盾。
(矛盾というか、境界線があいまいになる感じというか…)
体制が個人を支配することが大きなテーマなんだと思います。そしてそんな真実に気づいてしまった子は不幸である。。
ヒトカド夫妻なんて無邪気で可愛かったもん。
もっと言えば私たちは確実に、「気づいてないほう」の人間であり、気づかぬうちに体制に支配されてるよ、という示唆。そこまで言うと逆にありきたりで説教臭くなるか・・。
説教臭さを薄めるのが絶妙なコメディ要素とイケメン俳優の面目躍如@パートなんだろうなと思います。
あと、長々とあえて触れなかったけど、古事記、ヤマトタケル神話、読んでません…。
ちゃんと読みます。次も地下空港観たいから。。
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