2014年04月10日
舞台『イケナイコトカイ?』
下北沢は本多劇場にて舞台『イケナイコトカイ?』観劇です。
鈴木おさむさんといえば、森三中のどなたかの旦那さん、それくらいしか事前情報のないまなみたお芝居。
岡村靖幸の同名作品もタイトルを少し知っている程度・・・。
出演者のロバートの秋山さんも「芸人さん」だし、松岡充さんのおもしろおかしいおしゃべりはSOPHIAで十分味わってるし…と笑いの絶えないお芝居を期待して観劇し、絶望的に暗い気分で帰宅したのは私だけではないでしょう。
正直、鈴木おさむという人がこんな暗くて辛い作品をつくる人だとは思っていませんでした。反省します。すみません。
お話のキーワードを羅列してみましょう。
精神疾患、殺人事件、婦女暴行、幼児性愛、死刑、幻覚、人格障害…と、日常よく目にする単語でもこうして並べてみると救いがありません。
そして、ここ20年くらいの間に日本で起こった数々の事件が頭に浮かぶと思います。
それらの事件のなかでも、犯人の精神鑑定を理由に、遅々として判決や刑の執行が進まないものには憤りに近い気持ちを感じ、「警察は無能」とか「犯人は死刑を免れるために精神疾患を演じている」とか、「でっちあげられた冤罪」などの意見がメディアを飛び交っている現状があります。
一体だれがそういった「ストーリー」をつくり出すのでしょうか。この作品のなかで出る答えは、被害者、遺族、警察、そして私たち傍観者が、それぞれ自分に都合のよい、「落としどころ」を見つけて納得したいから、というものでした。
世間を騒がせる残酷な犯罪にかぎらず、どんなささいな出来事も人によって見え方が違うし、納得できなければ、目に見えないところを勝手に補って、都合のよいストーリーに書き変えてしまったりします。
私もこの作品をみた直後、勤務先でちょっとやらかし、始末書を書くはめになったのですが、事実でないことや真意不明のことも、上司が納得するよう適当につじつま合わせましたし、その結果、自分の中でもそういう認識で片付いてしまいましたから。
つじつま合わせは人類に必須のスキルなのかもしれません。
さて、パンフレットを観てみると、鈴木おさむさん的には「この作品の根底にあるのは愛」なのだそうです。
男女間の愛はたしかに描かれていますが、私はまだあの二人の愛を理解できるほど人間が成熟していないので、人間の価値観や世界観がぶち壊される場面の連続に心をやられてばかりでした。
粉々に打ち砕かれたガレキのなかから、ホワっとひとつまみでも「愛」とやらを感じられるように、なりたいです。
最後に、もし「幼児性愛趣味でロリコンビデオ収集癖のある殺人犯」が、松岡さんや平田さんのような「イケメン」だったら(秋山さん、すみません)、ここまで暗い話になったでしょうか?
『ライチ★光クラブ』や『DEATH NOTE』みたいに、ちょっと耽美なホラーミステリーにドキドキしたんじゃないかな。
「※ただしイケメンにかぎる」ではありませんが、容姿だってつじつま合わせ要素になるということを痛感。
観劇後、脳は熱いのに冷や汗をかき、ニヤニヤしながら井の頭線のホームに向かいました。
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