2018年02月08日
「ヤマト運輸」VS「佐川急便」 中身が違う!?
ヤマト運輸の値上げは記憶に新しいところかと思いますが、ヤマトに限らず、宅配業界では拡大する需要に人員が追いつかないという状況が続いています。宅配大手となるヤマト運輸と佐川急便は似たような状況にあると思われがちですが、実はそうではないんです。
白黒はっきりさせなさい!と言われれば、人件費増加に苦しむヤマトに対して、佐川の業績は堅調そのものなところで「佐川の勝ち」と現時点は言えるのかもしれません。一見同じように見えて、中身の違いがここにきて「佐川の価値」として表だってきているようにも感じます。
この差は、会社の成り立ちと基本的な収益構造の違いなんですが、「似て非なる存在」である部分を書いてみます。
ヤマト運輸を傘下に持つヤマトホールディングスの2017年4〜9月期の決算は128億円の赤字となっています。中小企業なら吹き飛んでしまいそうな赤字です。
通期では黒字を確保する見通しとなっていますが、10%の営業減益となる可能性が高いとの事。ヤマトは「アマゾン」をはじめとするネット通販事業者からの委託を積極的に引き受けることで取扱数量を伸ばしてきたわけですが、急激な荷物の増加に対し、現場がついていけずに業務が回らなくなるという事態が発生しました。
その為、取引相手各社に値上げの通告とともに、取扱数量の削減に取り組み出しました。ぶっちゃけ目論見通りにはなっていないと言える状況。
一方の、佐川急便を傘下に持つSGホールディングスの2017年4〜9月期決算は、営業利益が前年同期比23.7%増の289億円と順調に業績を拡大しています。さらに10〜12月期決算も約2割の増益でした。記憶に新しいところで佐川は昨年12月、東証1部に上場を果たしました。
初値は1900円と公開価格を17%も上回っており、株価はその後も上昇を続けています。佐川の撤退した「アマゾンの配送」に対し、ヤマトが最大のビジネスチャンスと捉えて、アマゾンの業務を取りに行ったわけですが、ヤマトが苦しい状況にあるのは、何を隠そうビジネスチャンスと捉えた、通販向け業務の見込み違いが直接的な原因と言えるでしょう。
これは、アマゾンの要求が高くどこがやっても儲からないという話ではなく、本来であれば、取扱量の増加に合わせて人員を拡充すべきヤマトの対応が遅れた事により、現場では長時間残業が頻発していました。結果的には多額のコストをかけて人員を増加したり、外注を増やす必要に迫られ、今回の減益につながっているとみます。
とりあえずヤマトは値上げを実施したので、これ以上の業績悪化は回避できると思いますが、ヤマトが抱えている本質的な問題は解決された訳ではないのです。
新規で大口の顧客を取り入れる際に、ヤマトの経営陣もアマゾンによる取扱量増加による現場の混乱は予測できていたはずなのに、人員の拡大にすぐに踏み切れなかったのは、ヤマト運輸の「高コスト体質」が影響していたのだと思います。象徴的なのがDM便と言えるでしょう。端的にいえば、ヤマトは自社便での集荷が多く、配送についてはクロネコメイトと呼ばれる個人事業主が行う事が主です。これが取り扱う荷物数や人件費の増加、業務の複雑化につながっている可能性が高いのです。
同じく佐川もメール便を取り扱っていますが、単価の安い荷物は、日本郵政に外注しているので自社の配送網への負担は少ないのです。
会社の成り立ちという点からも、同じような業務を行っているようでも中身の違いを生み出していて、「今までが通用しない」現代において差を生みだしているのだと思います。
白黒はっきりさせなさい!と言われれば、人件費増加に苦しむヤマトに対して、佐川の業績は堅調そのものなところで「佐川の勝ち」と現時点は言えるのかもしれません。一見同じように見えて、中身の違いがここにきて「佐川の価値」として表だってきているようにも感じます。
この差は、会社の成り立ちと基本的な収益構造の違いなんですが、「似て非なる存在」である部分を書いてみます。
ヤマト運輸を傘下に持つヤマトホールディングスの2017年4〜9月期の決算は128億円の赤字となっています。中小企業なら吹き飛んでしまいそうな赤字です。
通期では黒字を確保する見通しとなっていますが、10%の営業減益となる可能性が高いとの事。ヤマトは「アマゾン」をはじめとするネット通販事業者からの委託を積極的に引き受けることで取扱数量を伸ばしてきたわけですが、急激な荷物の増加に対し、現場がついていけずに業務が回らなくなるという事態が発生しました。
その為、取引相手各社に値上げの通告とともに、取扱数量の削減に取り組み出しました。ぶっちゃけ目論見通りにはなっていないと言える状況。
一方の、佐川急便を傘下に持つSGホールディングスの2017年4〜9月期決算は、営業利益が前年同期比23.7%増の289億円と順調に業績を拡大しています。さらに10〜12月期決算も約2割の増益でした。記憶に新しいところで佐川は昨年12月、東証1部に上場を果たしました。
初値は1900円と公開価格を17%も上回っており、株価はその後も上昇を続けています。佐川の撤退した「アマゾンの配送」に対し、ヤマトが最大のビジネスチャンスと捉えて、アマゾンの業務を取りに行ったわけですが、ヤマトが苦しい状況にあるのは、何を隠そうビジネスチャンスと捉えた、通販向け業務の見込み違いが直接的な原因と言えるでしょう。
これは、アマゾンの要求が高くどこがやっても儲からないという話ではなく、本来であれば、取扱量の増加に合わせて人員を拡充すべきヤマトの対応が遅れた事により、現場では長時間残業が頻発していました。結果的には多額のコストをかけて人員を増加したり、外注を増やす必要に迫られ、今回の減益につながっているとみます。
とりあえずヤマトは値上げを実施したので、これ以上の業績悪化は回避できると思いますが、ヤマトが抱えている本質的な問題は解決された訳ではないのです。
新規で大口の顧客を取り入れる際に、ヤマトの経営陣もアマゾンによる取扱量増加による現場の混乱は予測できていたはずなのに、人員の拡大にすぐに踏み切れなかったのは、ヤマト運輸の「高コスト体質」が影響していたのだと思います。象徴的なのがDM便と言えるでしょう。端的にいえば、ヤマトは自社便での集荷が多く、配送についてはクロネコメイトと呼ばれる個人事業主が行う事が主です。これが取り扱う荷物数や人件費の増加、業務の複雑化につながっている可能性が高いのです。
同じく佐川もメール便を取り扱っていますが、単価の安い荷物は、日本郵政に外注しているので自社の配送網への負担は少ないのです。
会社の成り立ちという点からも、同じような業務を行っているようでも中身の違いを生み出していて、「今までが通用しない」現代において差を生みだしているのだと思います。
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