嫌われる勇気の続編である本書は一冊目が、
理論の解説に多くを費やしているのに対し、
実践面についてより具体的に説明をしている。
私たちの幸せは他者貢献によってもたらされるとあるが、
他者貢献とはつまり相手が自分のことを信じる前に、
自分から相手を信じること、
二人の間に生ずる私たちの愛を築き上げていくこと、
その二人がやがて少人数のグループに、近隣社会に、国家に、全世界に展開していくというものである。
現代の社会の多くが抱えているその問題の原因を考え、追求することではなく、
まず自分自身が行動し信頼関係を構築しなさいということである。
自分自身を愛するように隣り人を愛しなさいという聖書の御言葉を引用し、
これらの実践をするためにまず自分を愛しなさい、
ありのままの自分をそのまま受容しなさいと説く。
最も基本的なものは結婚生活である。
結婚とは運命の出会いではなく、
相手が誰でなければいけないということではなく、
決意によるものだとする。
つまり私達二人が幸せになりたいという選択を未来永劫を行い続けることである。
同様に隣り人とも、近隣の社会の人々とも、
決意し信頼し合うことができる。
このようにして私の運命は、
わたしが自分の意志で切り開くことができる。
恐ろしいほどリアリティを持った、
現実的にこのことを通してでなければ幸せになれないと確信させる哲学である。
博士と青年の対話で綴られるこれらの物語の中で、
青年はまるで反抗期の子供のように食ってかかる文面が全編にわたって続く。そこまで言われても、なお博士は青年を親しい友人と呼び続けるのだ。
相手の敵意ある態度は相手の問題であると言う徹底した課題の分離を行い、
その一方で博士自身は相手を信頼し続けるという態度を貫く。
普通なら怒鳴り散らして喧嘩別れしても仕方がないと私自身思うのだが、
偶然にも数回過去にこのような博士の態度を私自身が取れたことがある。
そして心から平安と納得のいく解決が図られた経験をした。
つまり日常生活の困難な人間関係を解決するには、このような課題の分離と、
欠けの多い自分自身のありのままの自己受容の上での他者貢献を果たしていくと言うことしか解決の道がないと実感するのである。
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