2023年01月22日
海が見える家 (小学館文庫) Kindle版はらだみずき (著)
父親と信頼関係を持てなかった息子が、社会に出て就職をし、1ヶ月で会社を辞め、時を同じくして父親が他界してしまう。父の遺した海の見える家で遺品整理をしていくうちに、父の人間としての様々な側面を見させられ、その思いを新たにしていく。
息子はかつて父親に「あなたのような人生を送りたくない」と言った。父はその言葉を聞いて息子に怒りをぶつけるのではなく、むしろ自分の心に再度人生の目的を問うて、新しい人生を送るために会社を中途退職し、館山の港町に移り住んだ。父の死後そのことを知った息子は、今度は自分が自分の人生を幸せに生きることを決意するのである。
主人公の情けなさ、貧しさ、力のなさはかつての自分と同じなのだと本を読み進める中で何度も頷いてしまった。舞台設定も千葉南房総地区で親近感を覚えたが、この登場人物のキャラも感情移入するには十分効果的な設定だった。私は小説で感動したことは今まであまりなかったのだが、この本はこれまでの中で一番気に入ったものの一つとなった。小学館の小説は今まで見向きもしなかったのだが、これからは真剣に読み込んでみようと思う。
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