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2018年10月10日

『羽化のとき』 第一話 30歳のヴァージン












『羽化のとき』 第一話


















登場人物

安田花(30) 脚本家

神谷勲(27)  監督

天見成実(50) 占い師

黒沢明雄(45) プロデューサー

医師(40)

盲目の少年(16)

美容師

店員A

店員B

エステティシャン

ウェイター

若い夫婦

フランス人のカップル












○イメージ

   蝶のさなぎ。

○マンション「ローズバッド」・全景(夜)

○同・花の部屋・浴室(夜)

   ユニットバスの鏡の前。

   安田花(30)が右手で左の胸を触っている。

   水滴が落ちる音。

○「水島ビル」・全景

○同・101号室・中

   昼間なのに薄暗い室内。

   お香が焚かれている。

   天見成実(50)と花がテーブルを挟んで座っている。

   成実は太った体に黒い衣装を纏っている。胸元にアゲハ蝶のタトゥー。

成実「あなたのお悩みは何ですか?」

花「30までに結婚したかったんですけど、

相手が現れませんでした。私には男運がな

いんでしょうか?私はいつ結婚できるんで

すか?」

   成実はメモ帳にペンで書きながら、

成実「安田花さん。ご職業は?」

花「脚本家です」

成実「ほう。脚本家というと、出会う男性と

いえば業界のプロデューサーや監督などで

すね?」

   花は横を向いて、

花「仕事と恋愛は別です」

成実「今までにお付き合いされた方は?」

花「これといっていません」

成実「好きになった人は?」

花「高校生の時と、脚本家の人です」

成実「男性と深い関係になったことは?」

花「酔っぱらってキスされたことはあります

けど、それ以上は」

花は腕時計を触っている。

  成実はタロットカードを扱い始める。

成実「わかりました。あなたの未来を占ってみましょう」

  成実はカードを7枚並べる。

成実「好きなカードを一枚選んでください」

   花は7枚のカードをジロジロ見ている。

成実「さぁ、選んでください」

   花はカードを見ている。

   花は腕時計を触っている。

花「選べません」

成実「なぜですか?」

花「結婚できないってカードが出るかもしれないから」

成実「あなたのような方は初めてです」

   成実は溜息をつく。

   花も溜息をつく。



bara2.jpeg




○タイトル『羽化のとき』


   蝶のさなぎ。背中が少し割れる。

○喫茶店「オリジナル」・外観

○同・中

   喫煙席である。

   黒沢明雄(45)、神谷勲(27)、花が打ち合わせをしている。

   黒沢はスーツ。

   神谷は帽子にTシャツにジーパン。

黒沢「いやー、安田さんの本すごくよかったっす」

花「ありがとうございます」

黒沢「こんな素晴らしい本かかれるの、どん

な方かなって思ったんすけど、けっこう綺麗な方でびっくりしました」

花「けっこう?」

黒沢「いやいや。それでね、安田さん。すごくいいんだけど、なんかぬるいんすよねぇ」  

花「ぬるい、といいますと?」
 
神谷「なんかこう、対立とか葛藤が足りない

ってゆーか、カセが効いてないっつーか」

花「はぁ」

黒沢「主人公のキャラが薄い」

   花はメモを取っている。

黒沢「オチもなー。なーんかもうちょっとドンデンみたいな!」

   花は手を止めて、

花「つまり書き直しってことですね?」

黒沢「つまりそゆこと」

   神谷は黙ってクリームソーダを飲んでいる。

花「では、どのように変更しましょうか?」

黒沢「それを考えるのが君の仕事でしょ?後は監督と相談して」

   花は神谷を見る。

   神谷は煙草に火をつける。

黒沢「じゃあ、私は会議があるので失礼します。あとはよろしく!」

  黒沢は伝票を持って立ち去る。

   花はコーヒーを飲む。

花「監督っておいくつなんですか?すごいですよね、お若いのに成功されてて」

   神谷は黙って煙草を吸っている。

花「なにか、問題でも?」

神谷「問題だね」

花「え?どこですか?具体的に教えてください」

  神谷は煙草を持った手で、指を指しながら、

神谷「髪型、化粧、服装」

   花は、髪、顔、服を触る。

花「それって、脚本と関係あります?」

神谷「あんたみたいなオバサンが一番嫌いなんだよ」

   花、絶句。

神谷「昔の脚本家はブスが条件だった。でも

今は違う。脚本には人間が出る。美しい人の脚本は美しい。俺は美しい脚本しか撮らない」

花「私に降りろってことですか?」

神谷「変わってほしい」

花「わかりました」

   花は立ち上がろうとする。

神谷「変えるのは、あなた自身だよ」

   花は動きを止める。

花「?」

神谷「変わりたいんでしょ?」

花「!」

神谷「あなたは、自分しか愛せない人。自意識過剰で理想ばっかり高くて現実が見えてない。

自分から何かすることはなく、何か選ぶこともできず、悪いことがあればみんな他人のせい。

自分に原因があるとは思わない。違いますか?」

   花は肩が震える。

花「あなたみたいになんのコンプレックスもない人にはわからないでしょうね。

ううん、わかってほしくない。私が変わりたい?なんで初対面のあなたにそんなこと言われなきゃいけないの?」

  花は腕時計を触る。

花「ああ、今日は人生で最悪の日だわ。コンクールで大賞獲った脚本にダメ出しされて、女としてもダメ出しされて。

くやしい」

神谷「その悔しさを脚本にぶつけてみなよ」

花「えらそうなんだよ!」

神谷「俺、監督だもん」

花「今に見てろよ」

   神谷は店員に呼びかける。

神谷「すいませーん、ビールくださーい」

花「あたしも!」

   花、右手をあげる。






つづく

※この物語はフィクションです。


コピーライトマーク齋藤なつ








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