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2018年05月12日

アクションドラマ『ジジイとボイン』

課題「アクションドラマ」









『ジジイとボイン』







   登場人物

荒木猛(70)グラビアカメラマン

鷺沼彩(30)保険金詐欺師

おばさん(50)

温泉宿の主人(60)















○ファミリーレストラン(夜)

   荒木猛(70)とおばさん(50)が向かい合って座っている。

   荒木はサングラス。おばさんはホステス風。

   隣の席に、鷺沼彩(30)が座っている。

荒木「群馬の山奥に、いい温泉があるんだって。どう、一緒にいかない?」

おばさん「ダメよ〜」

荒木「ねー、いこうよー」

おばさん「ダメよ〜」

   荒木は、ズズズと音を立ててコーヒーをすする。

   おばさんは腕時計を見て、

おばさん「あらやだ、もうこんな時間。帰らなくちゃ。またね、荒木ちゃん」

荒木「えー、もう帰っちゃうのー?もうちょっといてよー」

おばさん「ダメよ〜」

   おばさん、手を振り、歩き出す。

荒木「ちえっ」

   荒木、ホウレンソウのソテーをむしゃむしゃ食べる。

   それをじっと見ている彩。

   彩はグレーのスーツを着ている。

   彩の手元には生命保険の申込書。

   彩が立ち上がり、荒木の席に近づく。

彩「あの、失礼ですが、カメラマンの荒木さん、ですよね?」

  荒木は手を止め、彩を見る。  

  荒木はサングラスをずらし、彩の胸を見る。胸の谷間が少し見えている。

   荒木はニヤリとし、

荒木「そうだけど、なに?」

彩「サインください!」

荒木「サイン?いいよ。どこに?」

彩「実は、私、保険の営業をしてまして……」

   荒木は顔の前で手をふり、

荒木「そういうことならダメダメ、他をあたってくんな」

   荒木は再びホウレンソウを食べ始める。

   彩が荒木の向いの席に座る。

彩「ここだけの話。荒木さんだけにご紹介できる商品があるんです」

   荒木は無視してホウレンソウを食べている。

彩「なんて、無理ですよね。ごめんなさい」

   荒木はペーパーで口を拭きながら、

荒木「温泉いってくれるなら、入ってもいいよ」

彩「ほんとですかー?」

荒木「わかってるよね、俺の仕事。アンタ撮るよ」

彩「光栄です!」

   荒木が右手を差し出す。

   彩がちょっとためらってから、握手をする。

○荒木家・外観(夜)

   豪邸である。

○同・玄関・中(夜)

   彩は靴を履いたまま座っている。

   荒木が保険の申込書にハンコを押す。

   「受取人」の欄に鷺沼彩の名前。

荒木「なんかこれ、へんじゃない?金の受取人がアンタになってるけど?」

彩「大丈夫です。間違いありません」

荒木「そうお?」

   荒木はサングラスをずらし、彩を見る。

   胸の谷間が見えている。

彩「今日はこれで失礼します。では、後日、温泉で」

   彩はニヤリとする。

荒木「あれっ、かえっちゃうの?あがってってよー」

   彩は笑顔でドアを開けて出ていく。

   荒木は禿げ頭をかいている。





0507image6.jpeg




○温泉宿(夜)

   山奥の古い温泉宿である。

○客室(夜)

   荒木と彩がちゃぶ台を挟んで座っている。

荒木「混浴だから一緒に入れるね」

彩「先に入っててください。後から行きます」

荒木「そう?絶対きてよ、待ってるから」

彩「必ず行きます」

   荒木はタオルを持って、部屋を出ていく。

   彩は、全身黒い服、黒いマスクをつける。手には金属バットを持っている。

○浴場(夜)

   荒木が一人で温泉に浸かっている。

荒木「おそいなあ」

   荒木、洗い場で桶にお湯をためる。

   と、彩がそっと入ってくる。

   彩が荒木の頭めがけて金属バットをふる。

   荒木が桶で頭にお湯をかける。

   桶がパカーンと割れる。

荒木「ん?」

   荒木が振り返ると、彩がバットを持って立っている。

荒木「だれだ?」

   荒木は、金属バットを掴む。

   二人、もみあいになり、荒木がバットを奪う。

   彩がシャンプーのボトルを投げる。

   荒木がバットで打ち返す。

   彩がボディーソープのボトルを投げる。

   荒木がバットで打ち返す。

   彩が後ろを向いて逃げようとする。

荒木「まてい!」

   荒木が彩のマスクを取る。彩の顔と髪の毛が現れる。

荒木「ねえちゃん!なんで?」

   彩が振り返り、荒木の股間をキックする。

   荒木、間一髪、桶で股間をかくす。

   彩が荒木の首をしめる。

   荒木、みるみる顔が赤くなっていく。

   と、荒木が彩の胸を両手で鷲掴みする。

彩「キャー」

   彩が荒木の首から手を離す。

   荒木、彩をつきとばす。

   彩はドブンと温泉に頭から突っ込む。

   荒木、ゼエゼエとイキが荒い。

   彩が荒木の足を掴んで温泉に引きづりこむ。

荒木「わー」

   荒木、ドブンと温泉に滑り込む。

   温泉の中でもみあう二人。

荒木「なんで、なんで殺そうと?」

彩「死んでもらわないと困る」

荒木「俺なんか殺してもなんの得にもならないよ」

彩「うるさい!死ね!」

   荒木が温泉から飛び出し、金属バットを手にする。

   荒木、彩の顔の前で金属バットを振り下ろし、彩を羽交い絞めにする。

彩「くそ!」

荒木「ははあ、詐欺か?」

   彩、黙って息をはずませている。

   荒木、爆笑する。

荒木「保険金ならおりないよ」

   彩がえっという顔をする。

彩「うそ?」

荒木「オレは持病があるの。保険には入れないのね。最初からわかってたよ。くくく。

ねえちゃんに騙されてるのもうすうすわかってたし」

   彩が荒木の腕にかみつく。

荒木「いででで」

彩「だましたのね!」

荒木「どっちが?」

   と、宿の主人(60)がかけつけて、

主人「なんか騒がしいけど、大丈夫ですか?」

   荒木は彩を沈めて、彩は顔だけ出す。

荒木「だいじょうぶ、だいじょうぶ。ちょっとはしゃぎすぎてもうた。うしゃしゃ。いい年してからにー」

   主人は、荒木と彩の顔を交互に見て、

主人「うらやましいですな〜」

   主人はニヤニヤして、

主人「では、ごゆっくり〜」

   主人、戻っていく。

   彩はしくしく泣き出す。

荒木「なんだ、泣くくらいなら最初から詐欺なんかすんなよ〜」

彩「くやしい」

荒木「ジジイをなめるな」

彩「死ね!」

荒木「頼まれんでも、じき死ぬで」

彩「え?」

荒木「言っただろ。がん。末期の」

彩「……」

荒木「死ぬ前に、若い女ともう一回やりたかったなあ……」

彩「いいよ」

荒木「あ?」

彩「やってやってもいいよ」

荒木「ほんとにい?」

彩「うそ」

   彩が金属バットを振りかざす。

   荒木が温泉に潜る。

   彩が温泉に向かってバットを振り下ろす。バチャバチャと水の音。

   彩がハアハアと肩で息をしている。

   シーンとなる。

   彩の後ろから荒木がザバーと出てきて彩の胸を鷲掴み。

   彩はバットを空振り。

   荒木が彩の服をビリビリと破る。

   彩の豊かな胸があらわになる。

荒木「おおおー画になるなー」

   彩は両手でパッと胸を隠す。

彩「やられた……」

   荒木、カメラで彩のヌードを撮影。




※この物語はフィクションです。





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