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2018年05月28日

メロドラマ『輝きの季節』

課題「メロドラマ」









『輝きの季節』








              
   登場人物

青山ハルカ(19)短大生

斉藤タクヤ(19)大学生・ハルカの彼氏

風間リョウ(19)大学生・ハルカの幼馴染

その他















○表参道(夕)

   イルミネーションが煌めく歩道。

   クリスマスソングが流れる。

   大勢の人々が行き交う。

   斉藤タクヤ(19)が前を歩き、青山ハルカ(19)が後ろを歩く。

○同・公園(夕)

   カップルがベンチに座ってイチャツイテいる。

   タクヤがブランコに座っている。

   ハルカがブランコをこいでいる。

タクヤ「俺たち、友達に戻れないかな」

   ハルカはブランコを止め、じっとタクヤを見る。

ハルカ「なんで?」

タクヤ「恋愛って時間の無駄じゃね?俺は、マスコミに就職したいから、

 テレビ局でバイトやる。ハルカに会う時間がなくなっちゃったんだよね」

   ハルカ、唇が震える。

ハルカ「わたしだって、やりたいことくらいあるよ、でも、タクヤにも会いたい!友達なんてやだ!」

   タクヤはブランコから立ち上がって、

タクヤ「重いんだ。別に結婚するわけじゃないし、付き合っててもしょうがないじゃん」

   ハルカは苦しそうな表情。

ハルカ「一緒に成長しようぜって……」

   ハルカ泣き出す。

   タクヤ、一瞬ハルカに近づくが、踵を返す。

タクヤ「一生会えなくなるわけじゃねえし。もっといい男いるだろ」

   タクヤ、立ち去る。

   ハルカ、泣き続ける。

   カップルは楽しそうに笑っている。




kandagawa.jpeg


○土手の並木道

   桜が満開である。

   ハルカが自転車をこいでいる。

   後ろから風間リョウ(19)が自転車で追いついて、

リョウ「よう、ハルカ!アンタ就活してないんだって?どうすんの?」

ハルカ「大学に編入する」

リョウ「へんにゅう?」

ハルカ「そう」

リョウ「何勉強すんの?」

ハルカ「マスコミ」

リョウ「へー。がんばって!受かるといいね」

ハルカ「あんがと」

   桜の花吹雪の中、二人の自転車が通る。

○神社(夜)

   祭囃子が鳴り響く。

   お祭りの屋台がたくさん並ぶ。

○同・金魚釣りの屋台(夜)

   金魚釣りに夢中のこどもたちとおやじ。

   ハルカが立って見ている。

   ハルカの手にはうちわ。

おやじ「あ、プロのねえちゃん!今年もきたか!」

   ハルカ、作り笑顔をする。

○ハルカの回想

   浴衣姿のハルカが、金魚を釣りまくっている。

   小さい桶に金魚がいっぱい。

   となりでタクヤが楽しそうに見ている。

○同・金魚釣りの屋台(夜)

   ハルカ、ボーっとして、涙が頬を伝う。

   ハルカ、後ろを向いて駆け出す。

   おやじがそれを見て、

おやじ「あれ、やらないのー?」

   おやじ残念そう。

○同・道(夜)

   雨が降ってくる。

   濡れながら歩くハルカ。

○病院(夜)

○同・病室(夜)

   タクヤがベッドに寝ている。

   タクヤの頭には毛がない。

   ベッドの横に金魚鉢。

   金魚鉢の中に赤と黒の金魚がいる。

   金魚をじっとみるタクヤ。

   窓の外はどしゃぶり。

○神社(夜)

   神社の境内で雨宿りするハルカ。

   ハルカ、ケータイを出し「タクヤ」の番号を表示。

   ケータイをじっと見るハルカ。

   と、ケータイが振動する。

   慌てて電話に出るハルカ。

ハルカ「もしもし!……なーんだ、リョウか。

 なに?……え?うそ!」

   ハルカの手からうちわが落ちる。

○病院(夜)

   廊下でハルカとリョウが話している。

リョウ「たいしたことなくてほんとよかった」

ハルカ「食中毒って……。夏にカキなんか食べるから」

   ハルカふくれる。

   リョウは笑って、

リョウ「おばさんらしいね。じゃ、先帰るわ」

ハルカ「ありがと!迷惑かけちゃってごめんね」

   ハルカ、おがむ。

   リョウは手を振る。

   と、タクヤが通りかかる。

   ハルカ、タクヤ見つめ合う。

   ハルカ、タクヤのもとに走る。

ハルカ「どうして?」

   ハルカ、じっとタクヤを見る。

   タクヤはニットの帽子をとって、

タクヤ「スキンヘッド、にあう?」

ハルカ「……」

   ハルカ、こぶしを握って、

ハルカ「なんで言ってくれなかったの?」

   タクヤ、ハルカの髪に触れる。

タクヤ「髪、のびたね」

   リョウがタクヤに近づいて、タクヤの手を振り払う。

リョウ「ハルカに触るな!」

ハルカ「やめて!」

リョウ「お前のせいで、どれだけハルカが傷ついたと思ってんだ?」

  リョウがタクヤの胸倉をつかむ。

   タクヤ、リョウにらみあう。

ハルカ「やめてってば!」

   ハルカ、リョウの手をふりほどく。

タクヤ「また会えてうれしかった」

   タクヤが去ろうとする。

リョウ「ハルカ、行こう」

ハルカ「待って!いかないで!もう一人にしないで」

   立ち止まるタクヤ。

○同・病室

   窓の外、紅葉した樹木。

   タクヤ、ベッドに寝ている。

   タクヤ、以前よりやつれている。

   ハルカ、横に座っている。

タクヤ「明日の試験、がんばれよ」

ハルカ「タクヤがいない大学なんて行っても意味ない」

タクヤ「ばか!俺は休学してるだけだ、必ず復学する。だからお前は合格してうちの大学こい」

ハルカ「ぜったいだよ」

タクヤ「お前こそぜったい受かれよ」

   ハルカ、うなずく。

ハルカ「大好きだよ」

   ハルカ、赤面してもじもじする。

   爆笑するタクヤ。

タクヤ「おっもしれーなー、あいかわらず」

ハルカ「ばか!」

   タクヤがハルカを抱き寄せる。

ハルカ「ずっといっしょにいたい」

   タクヤ、ハルカにキス。

   赤い金魚がはねる。

タクヤ「病気がうつるぞ」

ハルカ「いいもん」

タクヤ「ガンがうつるわけねーだろ、ばーか」

   タクヤはハルカを抱きしめる。




hanapink8.jpeg



○大学・全景

○同・掲示板・前

   合格発表を見に来た学生たち。

   ハルカ、掲示板を見て笑顔になる。

○病院の病室

   タクヤのベッドの周りに医者と看護師。

   苦しそうな表情のタクヤ。

○大学・中庭

   ハルカ、ケータイを取り出す。

   メールを作成するハルカ。

   『サクラサク、一緒に成長しようぜ』

   送信して微笑むハルカ。

○病院・病室

   意識がないタクヤ。

   タクヤのベッドの近くに医療器械が運ばれてくる。あわただしく動く医師たち。

   金魚鉢の黒い金魚が死んで浮いている。

○大学・中庭

   ハルカがスキップをする。雪が降ってくる。両手を挙げて雪を受け止めるハルカ。




※この物語はフィクションです。






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