2018年10月11日
『羽化のとき』 第二話 30歳のヴァージン
「羽化のとき」 第二話
登場人物
安田花(30) 脚本家
神谷勲(27) 監督
天見成実(50) 占い師
黒沢明雄(45) プロデューサー
医師(40)
盲目の少年(16)
美容師
店員A
店員B
エステティシャン
ウェイター
若い夫婦
フランス人のカップル
○美容院・外観
○同・中
花が入ってくる。
受付に美容師がいる。
美容師「いらっしゃいませ」
花「このお店で一番上手な人、お願いします」
○デパート・全景
○同・化粧品売り場
店員Aが鏡を拭いている。
花がきて、
花「お手入れ、お願いします」
店員A「か、かしこまりました」
○同・洋服売り場
花がショーウインドーに飾られている服を見ている。
店員Bが近づいてくる。
花「この服ください」
○墓地・全景
○同・安田家の墓・前
花がお墓の前で祈っている。
白い蝶が飛んでいる。
花が蝶に気付く。
蝶がもう一匹飛んでくる。
戯れる蝶二匹。
蝶たちを見ている花。
蝶たちはいってしまう。
立ち尽くす花。
○「水島ビル」・101号室・中
成実と花が水晶玉を挟んで話している。
成実「ちょっと感じ変わりましたね」
花「そうですか?」
花は髪を少し触る。
成実「最近、男性と知り合いませんでしたか?」
花「一応、知り合いましたけど、仕事でですよ」
成実「年上ですか?年下ですか?」
花「両方です」
成実「ほう。では、どちらが可能性が高いかみてみましょう」
花は固唾を飲んで水晶玉を見守る。
成実「年上ですね」
花「え?」
成実「年上の男性と上手くいくと出ています」
花「既婚者かもしれません」
成実「アタックしてみてください」
花「でも」
成実はタロットカードを扱っている。
カードを並べて、
成実「この人を逃すと、あと5年は現れませんよ」
花「5年も?35歳になっちゃう!」
成実「お付き合いするべきです」
花「向こうがどう思っているかわからないし」
成実「結婚、したいのですよね?」
花「はい」
成実「だったらもっと積極的にアピールしないと。あなたが変わらないと、どんな男性と出会っても無駄です」
花は腕時計を触っている。
○花の部屋(夜)
花がパソコンに向かって調べている。
画面は乳がんに関するサイト。
花は浮かない顔で見ている。
右手で左胸を触っている。
○喫茶店「オリジナル」・中
花、神谷、黒沢が打ち合わせしている。
花は前よりお洒落になっている。
花「主人公のキャラクターをスーパーネガティブからスーパーポジティブに変化させます。
困り顔の守ってあげたい女子という一面と友人から恋人を奪う強か女子という二面性を持たせます。
カセとしては、主人公は、乳がんということにして、余命半年とします」
黒沢「なんで乳がんなの?」
花「東京では20人に一人が乳がんらしくて、
私の周りでも結構いるんですよね。身近で怖い病気ということで」
黒沢「主人公死んじゃうの?」
花「いいえ、死にません。乳がんを克服します」
黒沢「もしかして、安田さんのことだったりして」
花「それはないです」
黒沢「監督、どう?」
神谷「前よりいいと思うけど、アイデアが足りない気がする」
黒沢「そうだよ、俺もそう思ってた」
花「アイデア」
神谷「彼氏もがんてことにするとか。二人は病院で出会うんだ。テーマは死と愛」
花「重いですね」
黒沢「そうだよ、重いよ」
神谷「なのにラブコメ」
花「えー、ハードル高い!」
神谷「がんばれ」
神谷はクリームソーダを飲み干す。
黒沢「じゃ、そゆことで」
花「努力してみます」
花はノートに書き込む。
黒沢「そだ、花ちゃん、ものすごくパスタのうまい店見つけたんだけど、いかない?」
花「パスタ?」
神谷は鼻で笑っている。
黒沢「おごるからさ」
花「はあ」
花、神谷をにらむ。
つづく
※この物語はフィクションです。
齋藤なつ
タグ:シナリオ コンクール用
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