2020年04月23日
ひも子のこの記事注目 号外
米、中小支援の融資枠1.9倍に 週内に追加策成立へ
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トランプ米政権と連邦議会は、4840億ドル(約52兆円)の追加の新型コロナウイルス対策を23日にも成立させる。柱は中小企業向けの従業員の賃金を補填する融資制度の拡充だ。融資枠を1.9倍の6600億ドルに大幅増額する。利用殺到で資金が枯渇したため、零細企業にも資金が着実に行き届くよう対応を急ぐ。同制度が狙うのが6月末までの雇用維持だ。経済活動の再開が遅れれば、賃金補填の追加を迫られて財政がさらに悪化する懸念もある。景気も政策も短期決戦となる。
今回拡充した融資制度は従業員500人以下の企業が対象で、6月末まで従業員の雇用を維持すれば、運転資金の8週間分は返済が不要になる。米ゴールドマン・サックスの試算では、対象企業の8週間分の資金需要は7500億ドル。増枠で中小企業の目先の資金不安を和らげる代わりに雇用を守ってもらう狙いだ。
中小企業の5割は手元の運転資金が15日分以下しかないとされる。経済再開が先延ばしになると、6月以降も給与肩代わりの追加を迫られる公算が大きい。米財政赤字は空前の年3兆ドルに膨らんでおり、短期決戦を狙った巨額財政支出は、壮大な賭けでもある。
今のところ金融市場の先行き不透明感から安全資産とされる米国債にはマネーが集まり、米長期金利は低水準で安定しているが、米財政リスクへの懸念が高まれば資金が流出に転じて金利が急上昇するリスクもある。
同融資は3月27日に成立した2.2兆ドルの経済対策で3500億ドルの資金枠を用意して創設。利用者の殺到で、4月3日の受け付け開始からわずか2週間で資金が枯渇した。166万社が受給したが対象企業は全米で500万社とされる。資金枠を3100億ドル積み増して支援を再開する。
トランプ大統領は21日の記者会見で「新対策で中小企業に巨額の資金を供給する」と説明した。上院は同日、関連法案を可決。下院通過を経て23日成立する見通しだ。
融資枠拡大の背景には、資金がまだ行き届いていない零細企業などから不満の声が広がっていることもある。「融資を受けられなかった経営者は周りに多い」。カリフォルニア州で音響関連事業を営むサシャ・ハリス=クロニン氏は打ち明ける。同氏は承認を得られたが、入金があったのは17日。米中小企業局が3500億ドルの融資枠上限到達を発表した翌日で、間一髪で間に合った。
さらに世論の反発を招いたのが、外食やホテルチェーンを手掛ける上場企業が同融資で資金を受領していたことだ。ホテル業のロビー活動によって政府は1事業所あたりの従業員が500人以下であれば、申し込みできるようにした。
ハンバーガーチェーンのシェイクシャックは米国で8千人規模の雇用を抱える。ただ1店舗あたりの人員は45人程度という理由で支援対象に含まれた。「大企業の優遇だ」との批判を招き、同社は返金を表明した。
現場の混乱を招きつつも、米政権と議会が矢継ぎ早に経済対策を積み増すのは、急激な雇用悪化に強い危機感があるからだ。雇用の重要な受け皿である一方で資金力が弱い中小企業の資金繰りを早急に支えなければ、失業がいっそう深刻になり、景気停滞が長期化するとの危機感が強い。
非常事態を宣言した3月半ばからの4週間で、失業保険申請数は2200万件に達した。米労働人口は1億6300万人で、8人に1人が職を離れたことになる。米連邦準備理事会(FRB)のイエレン前議長は21日、3月時点で4%台だった失業率が「すでに15%前後に達している」と警鐘を鳴らした。
今回の中小支援は、従業員を再雇用しても給与を補填する。ムニューシン米財務長官は「この施策で従業員を職場に戻してほしい」と訴える。試行錯誤を続けながらも迅速さを最優先する柔軟対応が現在のような危機時には求められている。
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