2019年03月17日
日本は「一帯一路」に本当に協力するのか? 〜中国に騙されるな〜
東京福祉大学国際交流センター長、筑波大学名誉教授、理学博士
遠藤 誉教授が警告しています。
中国の真の狙いを見抜き、日本は、嵌められてはいけない。
世界に対するアピールであろう。
日本が協力するから、欧州も安心して参加してください。という
メッセージであろう。
世界はこれに騙されてはいけない。
日本政府がどう言おうと、世界は、そうは見ていない。
そうである以上、日本は、中国との付き合い方に距離を
空けなければならない。
全人代の後、習近平は、欧州を歴訪する。
日本の協力を引き合いに出して、欧州各国を説得するはずだ。
欧州は、これに騙されてはいけないのだ。
日本政府は、早急に手を打たなければ、取り返しがつかないことになる。
ここまではっきりしている以上、日本は世界に表明するべきである。
「一帯一路の協力はしない」と。
甘利さん、世耕さん、のんびりしていてはいけませんよ。
うかうかしていると、中国に足元をすくわれます。
日本よ、中国に騙されるな!
BY いいとこどり
遠藤 誉教授が警告しています。
全人代「日本の一帯一路協力」で欧州への5G 効果も狙う
2019年3月11日(月)13時15分 NEWS WEEK日本版より
(中略)
以下のような中国の目論みが読み取れる。
1.一帯一路における中国の野心に関して、2017年辺りからヨーロッパ諸国が不信感を持ち始めたので、日本を誘い込み、ヨーロッパ諸国が離れていくのを喰い止めようとした。
高利子と借金漬けによる債務の罠などが問題になっており、おまけに中国はシーレーンの要衝となる沿線国の港を半植民地化して軍事拠点化しようとしていることが見えてきたため、ヨーロッパ諸国は「一帯一路」構想と距離を置き始めた。そこで中国はアジア開発銀行などを通して信用を得ている日本を一帯一路に誘い込み、「あの日本が入ったのなら大丈夫だろう」と、ヨーロッパ諸国を踏み止まらせようと目論んだ。
2.中国はこれまで、一帯一路やそれと対を成すAIIB(アジアインフラ投資銀行)を先進諸国にも呼びかけるに当たって、まずイギリスに照準を当て、イギリスに参加を表明させた。これに関しては、2015年3月2日付けのコラム<ウィリアム王子訪中――中国の思惑は?>や同年10月19日付のコラム<習近平主席訪英の思惑 ― 「一帯一路」の終点>などで何度も書いてきた。中国の戦略は見事に当たり、フランスやドイツなど、主要なヨーロッパ諸国が雪崩を打ったように「一帯一路」やAIIBへの参加や協力を表明したため、今では123ヵ国と29の国際組織と171の協力文書に署名するに至っている(データは3月6日の発展改革委員会による発表)。
中国の真の狙いを見抜き、日本は、嵌められてはいけない。
6日に開催された記者会見では、寧副主任は日本が中国と「一帯一路」に協力し連携していることを明確な断定形で表明している。
(中略)
寧副主任は、「一帯一路」に関して「中国は日本とも、タイ国で合作を始めている」と既存形で説明を行なったと明記してある。
世界に対するアピールであろう。
日本が協力するから、欧州も安心して参加してください。という
メッセージであろう。
世界はこれに騙されてはいけない。
日本政府は中国との第三国における経済協力について「一帯一路」とは関係ないと主張し続けてきたが、中国での位置づけは全く異なるし、世界も「一帯一路」の一環だとしか見ていない。
日本政府がどう言おうと、世界は、そうは見ていない。
そうである以上、日本は、中国との付き合い方に距離を
空けなければならない。
ーーーーー日本が果たした役割
つまり、日本は「一帯一路」において、ヨーロッパ諸国が中国から離れていかないようにする役割を果たしたことになる。
そのお蔭で中国は「一帯一路」に協力し続けるか否か逡巡しているヨーロッパ諸国を中国側に引き戻し、5GにおいてもHuaweiシステムを使用するよう働き掛けていくことが容易になったわけだ。
全人代の後、習近平は、欧州を歴訪する。
日本の協力を引き合いに出して、欧州各国を説得するはずだ。
欧州は、これに騙されてはいけないのだ。
日本政府は、早急に手を打たなければ、取り返しがつかないことになる。
3.ところで次世代移動通信システム5Gに関して、今年2月22日付のコラム<Huaweiめぐり英中接近か――背後には華人富豪・李嘉誠>で、Huaweiの5Gシステム規格をイギリスが採用する可能性が大きくなったことを書いた。
そこで中国は、「一帯一路」やAIIBでの当初の成功例を5Gに関しても適用していこうという戦略に出た。たしかに李嘉誠という華人の大富豪がHuawei(特にその創始者である任正非氏)を個人的に応援したという背景があるが、中国はこれをも最大限に活用して、先ずはイギリスを引き込み、あわよくばヨーロッパを切り崩したいと考えている。
4.3月8日のCCTVは、5Gに関して「ヨーロッパこそが主戦場です。ヨーロッパがどちらに傾くかによって、次世代移動通信システムの趨勢が決まっていくのです」と解説したのである。
ここまではっきりしている以上、日本は世界に表明するべきである。
「一帯一路の協力はしない」と。
3月5日夜の日テレBS「深層ニュース」では、この「一帯一路」に日本がどう対処していくかに関しても甘利元経済再生担当大臣と議論することとなり、甘利氏は「日本が"一帯一路"構想に協力する場合は、中国の思惑を打ち消すような条件を課すので、懸念には及ばない」と仰ったが、既にその「懸念」は、現実のものとして具現化している。世耕経済産業大臣など安倍政権は「中国との第三国における経済協力は、基本的に一帯一路とは関係ない」という弁明をしているが、中国も世界もそうは見ていないのである。
甘利さん、世耕さん、のんびりしていてはいけませんよ。
うかうかしていると、中国に足元をすくわれます。
中国の強かな戦略を甘く見てはならない。
習近平国家主席は全人代閉幕後に、イタリアやフランスを歴訪することになっているが、「一帯一路」に関して話し合うと同時に、5Gに関しても説得するものと思われる。
中国は「一帯一路」沿線国の内の発展途上国に代わって人工衛星を打ち上げ宇宙からそれらの国々を実効支配しようとしている
だから中国はなお一層、何としてもヨーロッパ諸国が一帯一路から離反していくことを防ぎたかったのだということを、今般改めて思い知らされた。そこに「5G」覇権への策略が隠されていたのだ。
それこそが、日本を「一帯一路」へ誘い込む真の狙いだったのかもしれない。
中国のその策略にまんまと嵌った日本の罪は、なおさら重い。
今からでも、引き返すべきだ。
(途中一部省略しています)
[執筆者]遠藤 誉
1941年中国生まれ。中国革命戦を経験し1953年に日本帰国。東京福祉大学国際交流センター長、筑波大学名誉教授、理学博士。中国社会科学院社会学研究所客員研究員・教授などを歴任。著書に『「中国製造2025」の衝撃 習近平はいま何を目論んでいるのか』(2018年12月22日出版)、『習近平vs.トランプ 世界を制するのは誰か』、『毛沢東 日本軍と共謀した男』、『卡子(チャーズ) 中国建国の残火』(中英文版も)、『チャイナ・セブン <紅い皇帝>習近平』、『ネット大国中国 言論をめぐる攻防』、『チャイナ・ジャッジ 毛沢東になれなかった男』、『中国動漫新人類 日本のアニメと漫画が中国を動かす』など多数。
日本よ、中国に騙されるな!
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