2018年09月12日
人魚姫 / 憤狼のクラッシャー
小さな村は狼に怯えていた。毎日のように家畜は喰い殺され、
時には小さな子供までも犠牲になってしまう。
しかし、ある日を境に狼達の襲撃はピタリとやんだ。
不思議に思った村人達は、小雪のちらつく中、恐る恐る
狼の住処である森へと足を踏み入れた。そこには血まみれの
羊と狼の死骸が、数え切れないほど転がっていた。
村への襲撃が止んだのは狼が全滅したからだと知ると、村人達は抱き合って喜んだ。彼らは暮らしの足しにする為に、狼達の死骸から毛皮を剥ぎ、羊達を解体して肉を得た。
何も知らず、知ろうともせず、喜び勇んで狼と羊の死骸を漁る人間達。心が引き裂かれるような決意で招いた終わりが人の手で汚されていく様を、精霊となった狼はじっと見つめていた。
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