2019年11月12日
レム / クラッシャー
窓一つない暗い部屋に数人の少女が放置されている。その表情はみな虚ろだが、それも仕方ない。彼女達は奴隷として売られる運命なのだから。その中に一人、青い髪の少女がいた。
――奴隷でもいいけど。私に生きる価値なんてあるのかな。
少女は小さな手で、無意識に額を触りながら考える。
そこにあった大切な『何か』を確かめるように。
――気付いた時には誰もいなかった。いつの間にか怖いおじさん達に連れていかれて。家族がいた気もするけど、それも判らない。大事だと思った人もいた……気がするだけ。でも。
『ここは自分がいるべき場所ではない』という思いだけが少女の中に残っていた。その思いに押されるように、少女は警備の隙を見つけて走り出す。かすかな光が彼女を導いていった。
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