2018年09月13日
人魚姫 / 嫉蛇のガンナー
少女は田舎の貧しい家庭に生まれた。幼い内に街に出て、工廠での仕事を得た。煤と油にまみれながら、小さな体で屈強な男たちと同じだけの仕事をこなし、給金は全て家族に送った。
化粧も覚えぬ彼女に、声をかける男はいなかった。しかしある日、とある裕福な青年が、懸命に働く彼女を見て恋に落ちた。少女も瞬く間に青年に惹かれていった。初恋だった。
しかし数か月後、青年は別の女と結婚した。白磁のような美しい肌を持つ女だった。少女は自分の煤に汚れた顔が、急に惨めに思えてきた。自分の醜さと、愚かさに怒りが沸き上がった。
少女は生まれ変わった。化粧を覚え、立ち振る舞いを覚え、教養をつけ、気づけば社交界一の美女とまで称えられるほどに成長した。しかし彼女は、後に稀代の悪女と呼ばれる事になる。
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