ST-XS2
スマホで音楽や動画を手軽に楽しむために完全ワイヤレスイヤホンを買ってみたいけど、初めての1台にどれを選べばいいかわからない――。そんな完全ワイヤレスイヤホン初心者に注目してほしいのが、今回紹介するSOULの「ST-XS2」だ。2017年10月に発売され大ヒットを記録した同社初の完全ワイヤレスイヤホン「ST-XS」の後継モデルで、1万円でお釣りがくるというコストパフォーマンスの高さはそのままに、バッテリー性能や防水性能、装着感などをさらにパワーアップ。完全ワイヤレスイヤホンデビューにもってこいな1台に仕上がっている。その実力を徹底レビューしていこう。
ST-XS2
イヤホン単体のバッテリー持ちが2倍の5時間に向上。ケースのデザイン性や携帯性もアップ!
世界中でイヤホン・ヘッドホンを展開しているSOUL。特にここ1〜2年は左右のイヤホンの間をつなぐケーブルがない完全ワイヤレスイヤホンの展開に積極的で、2019年1月に米国・ラスベガスで行われた世界最大級の家電見本市「CES 2019」でも、開発中のものも含めてさまざまなタイプの完全ワイヤレスイヤホンを披露している。
そんな同社が完全ワイヤレスイヤホン第1弾製品として2017年に投入した「ST-XS」は、完全ワイヤレスイヤホンの入門機として開発されたモデルだ。音質や接続性、装着感や見た目のデザインといった完全ワイヤレスイヤホンに求められる部分はしっかりと担保しつつ、それ以外の余計な部分を極力排除することで、圧倒的なコストパフォーマンスを実現。そのコストパフォーマンスの高さから、日本を含め、世界的に大ヒットを記録した。
そんな大ヒットモデル「ST-XS」の後継モデルとして2019年2月下旬に発売されたのが、今回紹介する「ST-XS2」だ。「ST-XS」と同じ税別8,980円という価格を維持したまま、さまざまな点をブラッシュアップし、さらに使いやすいモデルへと進化を遂げている。
進化点はいくつかあるが、なかでも注目したいのがバッテリー性能だ。完全ワイヤレスイヤホンはバッテリー駆動時間が短いと言われているが、先代「ST-XS」も、約2.5時間の連続再生に対応。通勤・通学などのちょっとした時間に音楽を楽しむのには十分なバッテリー性能は担保されていたわけだが、今回登場した「ST-XS2」では搭載チップの見直しやバッテリーの大容量化によってバッテリー性能をさらに強化。イヤホン単体のバッテリー駆動時間を、先代「ST-XS」の2倍となる5時間まで飛躍的に向上させているのだ。
先代「ST-XS」譲りのコンパクトなイヤホン本体は、バッテリー駆動時間が5時間に倍増。バッテリー残量を気にせず、長時間じっくりと音楽を楽しめるようになった
また、「ST-XS2」はイヤホン本体のバッテリー性能だけでなく、充電ケースのバッテリー性能も強化されている。充電ケースは「ST-XS」からひと回りほどコンパクトになっているが、充電ケースの内蔵バッテリーからの充電回数は「ST-XS」の4回から5回に増加。充電ケースを合わせたトータル再生時間も、従来の12.5時間を大きく上回る25時間へと大幅に延びている。1万円を切る価格帯の製品で、これだけのバッテリー性能を備えた完全ワイヤレスイヤホンはなかなかない。通勤・通学などのちょっとした時間の移動などはもちろん、長時間の移動がともなう出張や小旅行にも便利に使えそうだ。
充電ケースのバッテリー性能も強化。充電回数は5回に増え、充電ケースを合わせたトータル再生時間は25時間まで延びている
充電ケースは「ST-XS2」のためだけにデザインを新規に起こすなどかなりこだわったようで、厚みもそれほどなく、手のひらに収まるほどのコンパクトなサイズ感に仕上がっている。樹脂製ということもあり、重さも54gとかなり軽量だが、シルバーのプレートをワンポイントにあしらったことで、いかにもエントリーモデルといったチープ感はまったくない。持ち運びに便利カラビナも新たに付属し、携帯性にもしっかりと配慮されている。
充電ケースはかなりコンパクトな仕上がり。ベルトなどに引っかけて持ち運ぶのに便利なカラビナも標準で付属し、携帯性もばっちりだ
イヤホン収納部は、先代「ST-XS」で好評だったイヤホンを近付けるとぴたっと吸い付くマグネット式収納を引き続き搭載。充電端子も完全ワイヤレスイヤホンの多くで採用されているmicro USBではなく、最新のUSB Type-Cとなり、より高速に充電できるようになったのも地味にうれしいポイントだ。
ちなみに、「ST-XS」で好評だった豊富なカラーバリエーションは「ST-XS2」でも健在で、ブラック、ホワイト、ネイビー、ピンクの全4色をラインアップする。なかでもピンクは2019年春夏トレンドのペールトーンを取り入れた桜の花びらのような淡く明るい印象が特徴的で、4色のカラバリの中でも特に女性から人気を集めそうだ。
カラーバリエーションはブラック、ホワイト、ネイビー、ピンクの全4色。なお、ブラック以外のカラーは3月以降順次発売予定だ
このほか、バッテリー性能強化にともなう搭載チップの変更により、Bluetoothの標準コーデックのSBCに加え、高音質コーデックのAACが新たにサポートされた点も見逃せない。iPhoneとの組み合わせにおいて、音楽や動画などのサウンドをより低遅延・高音質で楽しめるようになっている。
防水性能もIPX7に強化! 外音取り込み機能と外れにくいイヤーフィンでよりアクティブに使える
ここまでバッテリー性能や充電ケースなど、「ST-XS2」の進化点をいくつか紹介してきたが、イヤホン本体もかなり見どころが多い。
丸みを帯びた形状やコンパクトなサイズ感こそ「ST-XS」とほぼ同じだが、フェイスプレートに用意されたボタンをラバー素材で覆うなど、同社のスポーツ向け完全ワイヤレスイヤホン「X-SHOCK」に近いデザインに刷新されている。
防水性能については、汗や水しぶきといった生活防水レベルのIPX4に対応した「ST-XS」から、水深1mの水中に30分間沈めても大丈夫なIPX7へと大幅に強化。イヤホンをつけたままシャワーを浴びても大丈夫な防水性能となったことで、したたるような汗をかく激しいスポーツシーンはもちろん、スポーツの後のシャワータイムまでしっかりとカバーできるようになっている。
装着感については、イヤーフィンを新たに装備したのがポイントだ。先代の「ST-XS」は、数ある完全ワイヤレスイヤホンのなかでも特にコンパクトに設計されていたため、耳穴の小さな女性でも装着しやすいというメリットがあったいっぽう、イヤホンがコンパクトなゆえに、激しい動きをした際に人によっては耳からポロっとこぼれてしまうという課題もあった。その点「ST-XS2」では、耳に直接触れるイヤホン内側までカバーするシリコン製のイヤーフィンを新たに採用し、耳介と外耳道の2点でしっかりと支えてやることで、この課題に対処したというわけだ。
イヤーフィンは、耳介に入るフィン部分だけでなく、イヤホンのノズル部分先端からイヤホン内側をカバーするような一体設計になっている
実際に「ST-XS2」を装着して頭を左右に思いっきり激しく動かしてみたが、ノズルの先端近くまでシリコンでカバーされているイヤーフィンのおかげか、滑り止めのように耳にすき間なくピタっと吸い付いてくれて、イヤホンそのものが耳からズレ落ちるということはまったくなかった。ただし、イヤーピースがやや浅い作りのためか、サイズが合っていないものを選ぶと、イヤホンはずれ落ちないのに耳穴の中でノズル部だけが微妙にずれるということがあった。「ST-XS2」に限った話ではないが、イヤーピースのサイズは事前にしっかりと確認しておいたほうがいいだろう。
イヤーフィンのおかげで、激しく頭を動かしてもイヤホンはまったくズレず、フィット感はかなり良好だ
イヤーフィンのおかげで、激しく頭を動かしてもイヤホンはまったくズレず、フィット感はかなり良好だ
イヤーフィンとイヤーチップはそれぞれ3サイズずつ付属。イヤーフィンが苦手な人向けに、フィンのないタイプも用意されている
ちなみに、イヤーフィンの装着によって本体に厚みが出るのを避けるため、イヤホン本体はあらかじめイヤーフィンの厚み分だけ削り込んだような作りになっている。厚みを抑えた分、耳からのイヤホン本体の飛び出しも最低限に収まっており、装着時の主張が控えめなのは好印象だ。豊富なカラバリ展開もそうだが、こういった見た目に関する部分について真剣に考えて作り込んでくるのはさすがSOULだ。
機能面では、新たに搭載された「オーディオトランスパレンシー機能」に注目したい。イヤホン右側のボタンを1秒長押しするだけで、イヤホンの内蔵マイクを使って周囲の音を取り込んでくれるというもので、もう一度1秒間長押しして機能オフにするまではずっと周りの音を取り込んでくれる。
同様の機能を搭載している完全ワイヤレスイヤホンはほかにもあるが、「ST-XS2」が特にすぐれているのがその精度の高さだ。マイクを通した音でも前後左右で発生する音の距離感がつかめるくらい周りの音を正確に拾ってくれる。人の発する声の成分が多い中高域を中心に取り込んでいるようで、まるで集音器をつけているかのよう。音楽再生時は再生ボリュームを自動的に一段下げてくれるのだが、取り込んだ周囲の音とのミックスもかなり自然で、音楽を聴きながらも外の音もしっかりと聴くことができる。遅延もほとんどなく、音楽再生時のボリュームをある程度抑えれば人との会話も問題なく可能だ。実用性はかなり高いので、屋外への外出時はぜひ積極的に活用したい。
イヤホンをした状態でも周囲の音を確認できる「オーディオトランスパレンシー機能」。音楽を再生していなくても使えるので、屋外ではぜひ積極的に活用したい機能だ
「オーディオトランスパレンシー機能」以外の機能では、先代の「ST-XS」にも搭載されていた「オートペアリング機能」が地味に便利だ。ケースからイヤホンを取り出すだけでペアリングモードが自動で立ち上がるほか、ペアリングモード開始時は音声ガイダンスでアナウンスも流してくれる。BluetoothペアリングはBluetoothイヤホンの導入でもっともつまずきやすい部分だが、「ST-XS2」なら完全ワイヤレスイヤホンが初めてというビギナーでも安心して使えそうだ。
重低音の効いたパワフルでノリのよいサウンド
最後に、「ST-XS2」の実際のサウンドレビューをお届けしよう。「ST-XS2」からAACコーデックをサポートしたということもあり、今回はiPhoneと組み合わせ、CD音源や音楽ストリーミングサービスの音源を中心にサウンドをチェックしてみた。
「ST-XS2」を試聴
SOULのイヤホン・ヘッドホンといえば、量感たっぷりの低音を重視したサウンドが大きな特徴となっており、先代の「ST-XS」もコンパクトなイヤホンからは想像できないパワフルな重低音サウンドに仕上がっていた。
今回取り上げた「ST-XS2」も、基本的にはこの流れを汲むサウンドチューニングなのだが、「ST-XS」に比べると低域がタイトになり、音のダイレクト感が強くなった感じだ。低域が引き締まったことで、声の輪郭もよりはっきりと感じられるようになった。力強いドラム、リズミカルなベース、明瞭なボーカルは聴いていて気持ちいい。全体的にパワフルでノリのよいサウンドにまとめられており、特にロック、ポップスなどをメインに聴く人は、魅力的なサウンドに感じてもらえるはずだ。
なお、「オーディオトランスパレンシー機能」をオンにしたときは低域が一段抑えられ、全体的にノリのよさより聴きやすさ重視のサウンドに変わる。BGM的な使い方がメインであれば、こちらも大いにアリだろう。
まとめ
先代の「ST-XS」は、完全ワイヤレスイヤホンとしてのバッテリー性能や装着感、音質といった部分をしっかりと確保しつつ、税別8,980円という1万円でお釣りがくるというコストパフォーマンスの高さから、完全ワイヤレスイヤホンの入門機として大ヒットを記録したわけだが、その後継モデルとして登場した「ST-XS2」も、価格据え置きのまま、バッテリー性能や防水性能、装着感などが大きくパワーアップ。イヤホン単体で5時間/ケース含めて25時間も使えるバッテリー性能や、IPX7の防水性能など、入門機らしからぬハイスペックを備え、使用環境を選ばないオールラウンドタイプとして、ますます使いやすいモデルに仕上がっていた。
完全ワイヤレスイヤホン市場もさらに拡大し、1万円以下で買えるモデルも増えてきているが、基本性能の高さを考えると、本製品の満足度はかなり高い。この春に登場する完全ワイヤレスイヤホンの中でも大本命になりそうな本モデルの実力を、ぜひ多くの人に体感してもらいたい。
【このカテゴリーの最新記事】
-
no image
-
no image
-
no image
-
no image
-
no image