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2024年09月27日

576.Ashen

Ashen-2024_07_03-01-45-06.png

 おはようございます。あるへです。
 本日はこちら「アシェン」のレビューです。

 アシェンとは本作における創造神のような巨大な鳥で、序盤の展開は光源のない闇の世界に今まさにアシェンが誕生し、世界に光が行きわたった瞬間を表しています。で、誕生したばかりのアシェンの雛を守るため、リスナー(聞き耳族)と呼ばれる巨人と人間が、エルダー・ダーク(闇の長老)と呼ばれるもっともっと古い闇の眷属を退治する旅のお話です。
 なんでこんなことを話しているかというと、そりゃ翻訳がとてつもなくひっでぇからですね!

 てにをはがぶっとんでいて意味が逆転していたり、表記の揺らぎ(ウットコだったりウッコートだったり、リスナーだったり聞き耳族だったり、ジョケルだったりヨーケルだったり等等々など……)が非常に多く混乱させ、何年前の翻訳ツールだよレベルで機械翻訳なうえ、表示された文章をmく視でコp胃ペしたかのごtく←はいこんな感じです、外国の神話のような壮大で抽象的な世界観なのもあって理解しづらかったです。

 ゲームの遊び方はそのままダクソと思って間違いないです。ただ、本作はソウルを溜めて使用できるコンテンツが限られていて、ステータスの力ではなくアクションの腕で戦わざるを得ないシーンが非常に多いです。総じてアクション寄りのゲームバランスとなっており、特に高難易度モードのシスナの子供たちはえらい苦労しました。

 武器や防具の種類が少なく、尖った戦い方が出来ないのは賛否ありそうでも、本作の意図したことだと思うのでその点に関しては不満はありませんが、とにかくアクションバランスのキワを攻めているような印象で、何をするにも尖った部分が見えないのが残念でした。
 たとえば割とたくさんあるように見える近接武器も、ステータス的には基礎攻撃力とクリティカルとスタン値の組み合わせを変えただけのものばっかりで、この武器は強い、弱い、このモーションは優秀といった優劣が無いです。
 あるいは、護符でプレイヤーに個性的な特徴を付与するシステムがあるのですが、この付与具合も5%や10%といった物足りない数値で、この特性をメインにビルドするといった概念がありません。
 とはいえこの5%や10%が重要になってくるバランスなので、かなりシビアです。

 ノーマルモードにおいてはアクションの比重はそれほどでもなく、探索をメインにのんびり楽しむことが出来ました。Yボタンで簡単にジャンプやよじ登りが出来る上、地形がいい塩梅にアバウトで、割と行けそうなところ行けそうな高さにはだいたい行けちゃううえ、そんなところにアイテムが隠してあったりするので、思った以上に探索は濃密かつ複雑でした。
 ゲームの容量が7GBしかないわりに(こないだ遊んだコードヴェインは32GB!)、十分に広くて壮大な建造物を探索し、案外動作も軽いのは、ローポリならではの表現力だと思います。
 逆に、そのアイテム自体の価値は大したものではないので手に入れる喜びは薄かったです。
 そしてその探索を楽しませる要素として許せないのが、倉庫のリミットです。
 なんと、世界を旅して手に入る一点物のアイテムたちを全ては保管できません!
 もう一つスタッシュが欲しいと切に願いましたが、増えることはありませんでしたね。せめてDLCで追加してくれたらよかったのに。

 さて逆に、ヘルスやスタミナまでもが半減した状態で最初からなシスナの子供たちモードは、ぶっちゃけえぐい難易度でした。
 最初に言った通り、レベルを上げて物理で殴るような、ステータスを利用してのごり押しがまったく利かないので、本当に苦労しました。
 本作ボスの数は少ないのですが、探索パートでも十分嫌らしく、本気で殺しに来てるので、どんなに注意していても一瞬のスキを突かれて即死というのは頻発しました。体力だけならまだしも、攻撃にも防御にも使うスタミナすら半減しているので、満足に走れないし、満足に殴れないし、満足に盾受けも出来ません。
 それだけに難所を越えた時の達成感はすさまじいものがあるんですけどね。

 この高難易度モードでのポイントは焦らず落ち着いて、ステータスを伸ばせるサブクエストはきっちり回ること。ネットを徘徊して情報を集めるとともに、やっぱり何度も死んで学ぶこと。そして、Easy KillとかSpeedrunなどネットに転がるスーパープレイでは当然軽視されている、自作ポーションの「ドウェル」が超有効だということ。これのお陰でようやく活路を見出せました。とにかくラスボスが異次元で、こいつの攻略のためだけに丸一日潰されました。

 なにが辛いかって、ボス前のチェックポイントに辿り着くまでがまず辛い。道中にはワンパンしてくる怪力雑魚や、どうあがいても奇襲を受けるしかない場所がぼんがぼんがあって、そういった場所では可能な限り槍を使って一匹ずつ釣りだしたり、神槍クラッキングスピアで切り抜けていきたいところです。
 が、この槍、消耗品で、しかも作るのに結構な金額がかかるんですよね。当然、槍を使いまくってやっとこ抜けたところで死のうもんなら、槍はないし、ソウルも取り戻せないしで、そこからまたちまちまソウルを稼ぐのが本当にメンタルにきます。ごりごり稼げるような場所がないのも辛いです。個人的に最高効率だと思われる「アラグ・リアグ(DLC。ここに辿り着くのも相当きついw)」の石碑から逆走して雑魚三匹を倒して石碑に戻るのでも、一往復2500です。クラッキングスピアたった9本作るのにもろもろ込みで11000かかります。

 で、ボスもまた辛い。幸い、これらのボスには抜け道があったりなかったりするので勉強して腕を磨きましょう。出来ることが非常に少ない最序盤のボスと、全てのプレイヤースキルを要求する本編ラスボスが非常に大きな鬼門になります。マジでラスボスだけもさっさりダクソ世界でエルデンリング。

 とまぁ初見攻略は楽しみ半分、プレイの大部分を支える探索部分に不満が募り飽きが半分といったところでしたが、高難易度モードで禿げ上がるアクションを要求され、無事クリアの暁には得も言われぬ達成感を実感できました。
 喉元過ぎればいいゲームでしたね。
 個人的にダクソの良い点は地形という環境も考慮に入れて設計されている点で、本作でも閉所や高所を戦術的に利用できる(または敵に利用される)のは良いと思いました。典型的な戦闘寄りのダクソオマージュ作品はたいてい戦闘エリアは広めにとられてかつ平坦で、ここでガチバトルしろってメッセージを感じますからね。
 逆に本作もまた戦闘にフォーカスしたダクソオマージュとしては、非常に原始的な戦闘しかできないという点があります。たとえば目くらまし爆弾を投げて敵がパニックのうちに駆け抜けるとか、毒を使うとか、あと信じられないことにパリィや致命の一撃など搦手がほぼありません。ガチるか駆け抜けるか、ハイリスクな槍を投げるかしかありません。その中では「闇の小道」というシステムは、面白かったですね。オリジナリティは感じました。敵をロックオンするかしないかで回避をステップとローリングで使い分けることができ、ローリングの無敵時間が非常に長いので使い分けの意味があるのも面白かったですね。

 そうそう、注意点。
 本作はなんときちんとコンプしたうえで総実績1137と半端な数字になります。気にする人は注意なんだけど、私は逆に10年ぶりくらいにキリのいい数字に揃いました(笑) きもちィィィ!
タグ:XBox One Ashen

2024年09月20日

575.アルファディア ネオ

アルファディア ネオ-2024_06_29-17-53-28.png

 おはようございます。あるへです。
 本日はこちら「Alphadia Neo」のレビューです。

 本作は新生アルファディアと呼ぶにふさわしい出来でした。なんてったってシナリオ担当が佐川ちゃんですからね、そら変わるでしょ(笑)
 世界観はエナジやエナジ生命体など、今までのアルファディアシリーズのものを踏襲しつつもまったく別の世界でのお話です。
 今までの作風が世界観を重視して外堀から埋めていったものだとすると、今作は逆。本当に人によってシナリオの味が全然違うのですが、やっぱり佐川ちゃんは一皮剥けましたよね。本作では別の人も一人関わっているようですが、何につけても一枚上手な気がします。ファンですよ、ええもう。

 またBGMや今回もキレッキレのアイテムフレーバーなど、最近評判の良かったと思われる要素がふんだんに盛り込まれており、ゲームの雰囲気はエルピシアの魔剣少女を非常に連想させます。

 ゆえに文句なく面白かったのですが、さらにここにもう一味追加されたのが驚きでした。

 本作には、ほぼ皆勤賞だった闘技場システムがないんですよね。ただ、そこで得られるギルドコインに代わるものはちゃんとあって、それが釣りシステムです。
 別に奥が深くもなんともないミニゲームですが、なんか妙に楽しい(笑) RPGと釣りって相性良いのかね。釣りポイント見つけると無駄に時間食ってしまいます。

 個人的に、最近のKemcoゲーは、操作の滑らかさやグラフィックの粗のなさ、移動のストレスフリー感、さらにはオート任せに出来る難易度調整(もちろん私は常に最高難易度で遊んでます)に至るまで、何から何まで高速かつシームレスが爆発していて、非常に遊びやすいんですが、滑らか過ぎて灰汁(あく)がないというか、ちょっと物足りない時があるんですよね。贅沢な悩みではあるんですが、どのような形でもいいので一瞬立ち止まる瞬間があってもいいかなと感じます。
 その瞬間というのは、忙しい現代人に合わせたスマホベースのゲームという点ではマイナス点になるのかもしれませんが、ゲームを印象付け、遊んだ人の記憶に刻むというゲーム体験の面では必要な瞬間だと思うのです。

 読身という特殊技を使える仲間がいて、ボスなど強敵が相手だと、敵の次の行動を読むことができ、それに備えることが可能になったり、その準備をしやすくするためにスタイルチェンジなどのシステムが搭載されていたりとやはり今作にもチャレンジ精神はよく出ていて、疑似課金システムを使わずに、より戦略的に攻略して行けそうな気もするんですが、なにぶん序盤から手に入る通常攻撃推しの装備やアクセサリーなども強力で、ついついオートで全体通常攻撃ワンパンで済ませちゃうんですよね。
 そうか、私のプレイスタイルがよくないのか……。

 ワールドマップのBGMって懐かしのアスデバBGMのアレンジですよね?
 鎧の数え方が「領」というのはこのゲームで知りました(笑)

2024年09月13日

574.白銀ノルニール

白銀ノルニール-2024_06_28-15-55-21.png

 おはようございます。あるへです。
 本日はこちら「Silver Nornir」のレビューです。

 いやー……。一個前の記事、大手ゲーム企業が自社ブランドを活用し、職人気質を見せた大作をプレイした直後でしたからね、こいつを起動するのが怖かったです。ストアのスクショ見てもわかるくらい、こいつwindows98か?ってくらい古いじゃないですか。
 さて、半年以上(記事書いてる現在は6月末)も続けてきたKemco修行も本格的に嫌気が差してきた今日この頃です。

 …

 ……

 ………。

 (`・ω・´)よし!

 本作はWorld Wide Softwareという会社が開発しており、販売がKemcoとなります。WWSというと、Xboxではイクストナ戦記に続く二本目の作品となります。
 今回はSRPGではなく、(たぶんもっと古い時期に制作された)本格的なJRPGです。ゲームエクスペリエンスがいつものKemcoゲーと非常に似ていたので、さくさく快適に遊ぶことが出来ました。

 というかサクサクすぎ。

 サクサクを通り越してストーリーは怒涛の展開でした。
 オープニングからかっ飛ばしてきて、世界観やキャラの関係性もよくわからないまま、さて物語が始まるぞと思いきや主人公そっちのけで仲間キャラのみでパーティーを組み冒険が始まります。その経緯もすっ飛ばし過ぎてなかなか飲み込みづらい。
 短いマップを抜ければ腰を落ち着ける暇もなくあれよあれよとキャラが増えていき、がんがん視点が変わっていきました。
 30分もしないうちに仲間がわらわらと集まってきて冒険することになりました。
 とんでもない怒涛のプロローグだったな、ようやくじっくり冒険できるのかと思いきや、いっさい後ろを振り返ることなく(サブクエ等なくメインシナリオを追うのみ。一度使ったダンジョンには二度と戻らない)プロローグだからこそだと思っていた速度であらゆる展開が進み続け、朝が来る頃には実績コンプしてましたとさ。

 ちょっと盛ったけどさ。
 実績は全てストーリー実績で、ひとつ更新されるたびに一つポコンされます。実績コンプしたのがゲーム内時間で7時間ほどでした。その後もエンドコンテンツを攻略し、ちゃんと遊びきったと思ったのが8時間半くらいです。
 いままでKemcoゲー遊んできてボリュームというか攻略時間早くね?と思ったゲームはいくつかありましたが、たいていは二日に分けてプレイしてたりして、一晩でコンプしてしまったのは初めてかもしれない。
 プレイ後数時間ほどで「これもしかして今晩中にいけるんじゃ?」という予感が走り、そしてその通り完走できてしまったのはなんか逆に気持ち良かったです。
 本作のストア情報を見て純粋に面白そうと思って購入した奇特な人に対してはとんでもないボリュームの薄さに同情を禁じえませんが、私にとってはご褒美ですわ。

 攻略が早くなる理由はいくつかあって、まずはそのストーリー速度。なんといったら良いのか、特に何かあるわけではないのですが、それなりのお話をそれなりの伏線を交えてそれなりの深みで進行しているにも関わらず、妙に早い。無駄がない、と言えるのかな。
 別に面白くなかったわけではなかったですよ。イラストの絵柄やゲームのドットの感じを見ても、非常に昭和から平成初期のような時代を感じさせる作風で、狙って作ったというよりはやっぱりこういう空気感の中で作られたのかなって印象。
 異常に早い歩き速度でかつマス目の関係なのか妙に"すべる"んですよね。スティックをちょんちょんと優しく触ってやってもなかなか宝箱の隣に立てないの(笑)
 古臭いキャラ付け、セリフ回し、ストーリー、手垢が付きすぎて今どき誰も触らないようなこんなゲームの雰囲気が、ゲームの見た目や、カクツキやキャラ移動のもたつきなんかと相まって程よくレトロ感を感じられ、むしろ懐かしいとまで思えてしまったので、全然悪くなかったですね。もちろん人には勧めませんけど。

 ゲーム内課金ポイントが非常に稼ぎやすいので、便利アイテムやドーピングアイテムがあっという間に揃ってしまうのも理由の一つ。
 戦闘評価でもらえるポイント量が変わり、毎戦闘ほぼ得られる上、アイテムの価格も非常に安いのであっという間にチートキャラが出来上がります。
 ただ、いつものKemcoゲーのように一度パーティーが固まったら以降固定というわけにはいかず、最後まで操作キャラや戦闘参加キャラが入れ替わり立ち代わりになるのは注意です。今作は仲間キャラが多いので必要な措置だと思うし、だったとしてもやっぱり便利アイテムの力ですぐに準備できるので特に問題はありませんでした。
 総じてクソゲーには違いないんですけど、戦闘中仲間キャラが全員ボイス付きで喋ったり(掛け声的な)、ストーリーも展開が早すぎてプレイヤー置いてけぼりとは言いつつも、伏線も世界観もしっかりしているので、もう少し内容を煮詰め、時間をかけて演出できていたならば、ちゃんと良いものになっていたんじゃないかと思わせる力があり、なかなか惜しい作品だったんですよね。

 下から上に流れてくテロップだって早すぎておじさん読みきれないよ(汗)

2024年09月06日

573.Code Vein

CODE VEIN-2024_06_08-04-21-52.png

 おはようございます。あるへです。
 本日はこちら「コードヴェイン」のレビューです。

 単なるパクリソウルと侮るなかれ、バンナムの意地とプライドを掛けた超大作ゲームでした。もちろん昨今のソウル人気にあやかって作られたソウルオマージュの作品で、作中の演出にも思い出深いシーンをオマージュしたと思われる演出が随所に見られるのですが、そこにバンナムの看板作品と、バンナムらしい拘りがきちんと独自性を持って練り込まれていたので、非常に楽しい体験でした。

 私の中で、キャラゲーばっかり出してるバンナムはそれほど注目している会社ではないんですが、たまに手を出してみると、ある意味フロムばりに偏執狂的な拘りに舌を巻くことが度々ありますね。記憶を探ってみると「ソードアートオンライン:フェイタルバレット」が思い出されるのですが、あの作品も世界観やその作り込みはスカスカなクセにキャラクターだけはやたらと作り込まれていて、涎を垂らしたものです(笑)
 そう、本作もまた、まるでアニメから飛び出してきたかのような可憐で格好いいキャラクターたちが隅から隅までとんでもない精緻さで作り込まれてるんですよね。さらに大人向けな世界観を反映してか、その、なんであんなにたわわで、しかも頭おかしいレベルで破廉恥な恰好してんすか。

 まぁ……、その、私も漢なので、言いたいことは山ほどあるんですが、ここはぐっとこらえて一言。

 崇高。

 いかに美麗なグラフィックであろうと、右も左もゴリラしかいない今のゲーム事情において、本作はまさに極楽。アニメ調なのがまたいいですね。ちゃんとカメラモードを使うんですよ? で、このカメラで拠点の窓を抜けて外から拠点を眺めると、本来プレイヤーから見えない部分は異界が広がってます。……この拘りの熱の差よ(汗)

 さて、話を戻してゲームとしての評価にいくと、本作は自分の中にある先入観を崩すことが出来るかどうかで印象が変わるゲームです。
 確かに本作は「ドラマチック探索アクションRPG」ということで、ダークソウルを大いに意識したゲームです。しかし、プレイヤーの意識がいつまでたっても「これはソウルライク」という先入観から抜け出せないでいると、本作の様々な独自仕様が「コレジャナイ」に代わって足を引っ張り、いつまで経っても楽しめない結果になるのです。

 非常に厨二的な世界観やハイペースすぎるアクション、なんだやっぱりただの日本産パンツゲーかと、なってしまうんですね。
 別に間違っちゃいないんですが(汗)

 バンナムの看板タイトルといえば、やはり往年の伝説的なゲームをパクった上で独自性をねじ込んだ「ゴッドイーター」というハンティングアクションがあります。私もPSP時代に1を予約して買って、世界観は気に入ったものの、あまりのハイスピードアクションさと、そのせいで非常に軽いヒットストップが肌に合わず投げ出してしまった記憶があるのですが、実は本作のアクションの根っこはここにあるんですよね。

 本作はゴッドイーターのプレイ感でソウルライクな世界を楽しめる、いわば「GOD EATER: Code Vein」なんですよ。
 もちろん、本作を遊んでいればそこには気づけるはずですが、ソウルとGE、どちらがベースなのか、どう捉えるかによってプレイヤーの中の意識から、ゲームのテンポ感から何から何まで変わってくるので、個人的には重要な点だと思っています。

 ですが、ここからがスタート地点です。
 まず本作はゴッドイーターの特徴にもある通り、比較的ハイペースなアクションの応酬がウリです。敵が武器を振り上げるのを見てから反応してたのでは到底間に合いません。同時に、こちらの後隙もモンハンやソウルに比べれば非常に小さいです。
 それゆえ、敵の攻撃はわからん殺し、昇竜見てから小足要求されるしこっちはブンブン振り回せるし、やってられるかってんでごり押してスキルブッパゲーになりがちなんですよね。
 敵の攻撃の予兆は、武器をどう構えるかではなく、もっと前から始まっています。まずそこに気付けるかが一つ。

 もう一つの関門は、ステータスの見方と理解です。
 本作の腕力や器用さといったステータスは、なんと数字ではなくランクなんですよね。腕力100はちょっと弱くて、250あると強いとかそうではなくて、腕力C、腕力A+といった表記で表されます。また、防御力の数字は絶対値による差ではなく、割合表示なんです。斬撃防御力50は、敵の攻撃力800あるのにこっち防御50かよクソヨエーじゃん、じゃなくて、あらゆる斬撃属性を50%カット、という意味なのです。
 他にも説明されていない様々な独自解釈ステータスがあるので、ソウル系ゲームでなんとなく把握はできるけど、ちゃんと理解しきれていない部分が、割と攻略で足を引っ張ってくるんですね。

 そうした理由から本作は決して遊びやすいゲームではないのですが、意識を変え、意味を知ることで世界は想像以上に広がり、攻略の糸口は確実に見えてきます。
 そこに至るまでの悶々としたストレスは、前述のエロスで解消しましょう(笑) 確実に、もう一回頑張ってみるかと思えるくらい素晴らしいです。
 目の保養以外にもコーラスや歌をふんだんに用いたオーケストラは、非常に心を熱く、また悲しいシーンの時はより一層悲壮さが増し、素晴らしいの一言に尽きます。タイトル画面のオーケストラは、変調というのか、リズムを変えながら疾走するかのような力強い演奏で、まさに本作らしさを表現していると言っても過言ではなく、お気に入りの一曲です。ボタンを押してプロフィール選択タブを出しておくとオープニングアニメに切り替わることなくフルで聴けるので是非。

 さて、本作はそんなソウルレプリカと思わせておいて様々な点において独自性と会社のプライドを見せつけてくれるゲームですが、やはり不満だった点もあるにはあります。

 まずは探索部分。よく出来ているとは思いますが、必然的なマップというよりは、あえて迷わせるためのマップになっているのがちょっとげんなりしましたね。本作にはマップ機能があって、チェックポイントを開くことで少しずつマップ中の地形がわかるようになっていきます。また、自分の歩いた軌跡が点線で示されていて、自分がどこから来たかがわかるだけでなく、点線の太さでいつごろ歩いたのかさえ分かるくらい、非常に優秀な機能を備えています。
 マップの地形がまったくわからない初期段階では、この長く残る軌跡を疑似マップに見立てて探索していくほどです。
 そしてこの神機能を真っ向から否定するかのように、二次元マップの弱点をついて多層構造で三次元的に迷宮を作るこの、あえて迷わせてやると言わんばかりの意地の悪さが鼻につきました。

 自我を失い本能のみで血を求めるケダモノという設定にしては、絶対に視認できないカメラの死角に潜んで奇襲するとか、死体オブジェクトに混ざって寝たふりしてる奴とか、プレイヤー見ると声を上げて仲間を起こして連携取ってくるとか、こすい奴がいますよね。
 その存在そのものは否定しませんが、どこのステージにもこんな奴がいて、多すぎます。

 探索中、基本的には仲間NPCが一人ついて、常に自キャラのフォローをしてくれます。ほとんど無口な主人公に代わり、たとえばアイテムを拾うと「良いものだったか?」とか、遠くに敵が見えると「警戒しろよ」とか、死んでヤドリギに戻されると、先に起きていたNPCが声をかけてくれたり、死んだその場所に戻って次はちゃんと倒せたりすると、そのことについても一言もらえます。
 一度バグでNPCが一切喋らなくなったことがあったんですけど、この一言コメントを言うか言わないかは、孤独な探索の印象がかなり大きく変わりました。たとえ汎用セリフであろうと、言ってくれるのは嬉しいものです。
 が、欲を言えばもう少しレパートリー、特にキャラ固有、そして地域固有のエピソードが欲しかったですね。誰を連れてどこへ行こうとも、基本的に決まったフラグに対する決まった反応しかないのは若干寂しかったです。
 このキャラを連れてここを通過したからこそ、ここでしか聞けない「一言」ではなく「エピソード」が欲しかったんです。
 皆多かれ少なかれ記憶を失っているという設定だったにせよ、記憶の消失によって個性を失うほどの影響は考慮されていないみたいなので、手癖とかそのキャラならではの考え方、捉え方とか、エピソードを魅せる余白は十分に残っていると思うのですが。
 イベントや特定のフラグ消化ではなく、探索しているまさにその中で、彼らのふとした一面を見てみたいと思ったものです。

 不満の二つ目は拠点。
 終始思ったのは、静かすぎるという点です。
 拠点には同行してくれる仲間たちを始め、店や他エリアへの案内役などそれなりの人数が一堂に会しています。拠点に帰る度彼らは皆思い思いの場所に居たり、くつろいでいたり、あるいは誰かと会話してる風な位置関係にいることもあるのですが、誰一人として、こちらが話しかけるまで一言も発しません。
 これがすごく寂しいなと。
 歩き回ったり、何か作業してたり、主人公そっちのけでNPC同士で会話(欲を言えばボイス付きで)していたりして欲しいと切に思いました。
 シーンとして切り取れば賑やかそうな絵面にはなるけど、実際は決まった位置でポーズを取っているだけで、シーンとしてました。もったいない。

 これら二つに共通しているのは、やっぱり仲間たちのことをもっと知りたい、そしてそれは世界観の深堀りへと繋がっていくということですね。
 私は本作に没入していたことになります。だからこそもっと彼らのことを知りたいと思ったのです。
 探索というのは、何もマップを隅々まで歩いてアイテムをかき集める行為のことだけを指すものではないですよね?

 最後の不満はDLCについてです。
 新たなマップ、新たな強敵、そして新たなブラッドコードといえば聞こえは良いですけど……。
 本作のDLCは計三つ配信されていますが、その一つ一つは本編にもあった小規模なインスタンスダンジョン「深層」に毛が生えたものです。雑魚敵は既存のもので、とんでもなく強いボスが一体追加されます。
 そしてそのボスをどれだけ華麗に倒せるか、何度も何度もこすって楽しんでね、という内容が三回続きます。
 ボスは作り込んであるし、NPCの別衣装などお楽しみもあるっちゃあるけど、とにかくDLCを楽しむためには追加されたたった一体のボスと飽きるほど戦い続けなくてはならないので、あまり納得感はなかったですね。

 最後に。
 実は本作もまた過疎化が極まった辺獄で、生身の人間と接する機会はまずありません。
 がしかし、私は幸運にも一人の海外プレイヤーと出会い、ストーリー中盤からラスボス撃破まで一週間ほど一緒に遊ぶことができました。
 私はほぼ常にゲスト側だったのでラグが酷いなんてものじゃないのは当たり前で、ワープ移動したり、マップの外に落ちたり、虚空から敵の攻撃が飛んでくるなんて日常茶飯事でしたが、それでも! それでも本当に楽しかったとだけは記述しておきます。
 共闘できる、ってのはそれだけで良いものです。つよーいボス相手に連敗して、ああしたらどうだこうしたらどうだ、こっちの装備を使ってみないかと、英語のメッセージでやり取りするのは何物にも代え難い珠玉の体験でした。

 と、いうわけで一つの実績、この共闘プレイでボスを倒したときに手に入るアイテム「敬愛の印」400個(!?)集めは苦行もいいとこですが、一応、現実的な範囲だとは思いました。私の場合も、その海外のプレイヤーは実績に理解のあるプレイヤーでもなかったので、たまに深層に誘ったりして印集めを狙ったりはしましたが、それでもせいぜい20枚ほど。
 残りは一人で試練の塔を回しました。
 この試練の塔は正直エグイです。本作のパラメータは意図的に上限があるので、上げれば伸びる、伸びれば楽になる、ってのはせいぜいが一周目の話です。(敵を強化しての)二周目以降、そしてこの試練の塔やDLCボスは伸びきったステータスを利用して、あるいはカスタマイズして、スキルベース(プレイヤースキル)のゲームへと変貌していきます。
 このゲームの仕様、敵の動き、自分のアクション、そして錬血の性能をどれだけ把握しているかが重要になってくるんですね。
 なのでエグイです。そう簡単にはクリアできません。
 でも頑張ってクリアすると、たとえば試練の塔3を最後までクリアすると、道中で確率で2〜4枚ほど、ラストで確定で8枚もらえるので、一周およそ10枚前後。
 スキルベースとは言い換えれば慣れれば安定するようにはなるので、意外と現実的な作業時間で集めきることが出来ましたってハナシ。

 個人的にはやっぱり元祖ダークソウルシリーズやモンハンのように、「もっさり」アクションにもちゃんと意味があって、敵の動きを見ながら自分の後隙を計算し、状況をちゃんと確認しながら次なる一手を組み立てていく、そんな「考える余裕」が欲しいとは思いました。予兆を見てどう回避すべきか、脊髄で反応するのは年を取るほど辛くなります。
 また、探索部分についても迷わせるためのマップ、ストーリーのためのステージ設計というメタがやや強く出ており、用が済んでもまた訪れてみたい世界とはなかなか言えないです。
 ただし、再三言うようにこの制作会社だからこそなしえた100点満点の要素というのもしっかり備わっており、非常に尖ったゲームだったな、ご馳走様でしたっていう感想です。

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