この記事では「ゲーム作りの四本柱」について説明します。なお、これは私あるへが勝手に作った言葉です。
まず、お話を作る際に大事な三つの要素というものがあります。
「キャラクター」「世界観」「ストーリー」
のことです。
キャラクターが立って(魅力的に映る、感情移入ができる、キャラクターの存在意義がある)いないと、「なんだこのキャラは」「いらない」とか、最悪「世界観ぶち壊し!」「お前のせいでストーリー台無しだ!」となってしまいます。
世界観がきちんと作者の中で創られ、作中に印象的に表現されていないと、「そこに行った感じがしない」「別にこのストーリーにスチームパンクはいらなくね? 中世ファンタジーでいいじゃん」とか、「え? これ雪山山荘密室殺人だったの? てっきりハワイ食べ歩き旅行記だと思ってた」となってしまいます(最後のはちょっと苦しかったですね)
ストーリーは皆さんのよく知るところ。起承転結ですとか、伏線ですとかのことですね。
この三つの要素がそれぞれにきちんと密接に絡まりあってこそ、いい物語というのは生まれるんです。
「風の谷のナウシカ」知ってますか? 今適当に思いついたんですが、ご自分の好きな作品に置き換えて考えてみてください。
キャラクターは立っていますよね? ナウシカは可愛いし、ユパ様は格好いいし、オームはインパクト大です。それだけじゃありません、風の谷のナウシカに登場する主要なキャラクター達はその誰もが欠けてもストーリーは成り立たないと思いませんか? そして腐海に覆われた瀕死の大地に住む人間たちというのは、まさに彼らのようなキャラクターでなければならないと思いませんか?
世界観とは、なにも舞台となる土地のことだけではありません。そこに繁栄する社会、息づく文化、儀式、作法、食べ物、着る物、言葉に至るまで全てが世界観を形成しています。たった一つの部屋の中だけで完結するコメディだからといって軽視してはいけません。その部屋の中にある物も含め、雰囲気や空気までもが世界観を形成しています。
腐海とはなんでしょうか。腐海が出来た理由、腐海がもたらす影響は、オームの怒りの行進や巨神兵などのキャラクターを伴い、横暴な人間達に復讐するという形でストーリーと密接に絡んでいます。
ストーリーはごく簡単にまとめますと、ナウシカだけが持つ博愛の心が、怒った蟲たちの怒りを鎮め、村の危機を救います。虫笛を使ってオームを導くということはナウシカにしか出来ませんし、ナウシカの行動心理などがきちんと作中で描かれているからこそ、キャラが立ち、そのお話に感動できるのです。
そしてオームは、腐海というこの作品ならではの世界観があるからこそ存在できるのです。
さて、これから申し上げる「ゲーム作りの四本柱」とは、今申し上げた三つの要素に、ゲームならではのキーワード、ユニークなシステム「フィーチャー(feature=特徴)」を加え、四つの要素が絶妙に交じり合う状態のことを言います。
ざっくばらんに言ってみると、「そのゲームのフィーチャーはゲームの世界に溶け込んでいるか」ということです。
いくつか例を考えてみました。
知る人ぞ知るFINAL FANTASY X (FF10)には、フィーチャーとして「スフィア」があげられると思います。キャラクター自身がスフィアそのものに関係することはないのですが、スフィアはゲーム世界の文化の基盤となっていますし、実際キャラクター達はそのスフィアを操作するシーンもたくさんあります。セーブポイントもスフィアですし、キャラクターの成長もスフィア盤を通して行いますよね。ストーリーにおいても、過去、ブラスカ一行がどのように旅を続けたのかは、スフィアを通して語られます。
このゲームはテーマが一貫しており、プレイしていて非常に感情移入のしやすい作りになっています。もちろん、あるフレーズをメインテーマとして、作中のほとんどのBGMに統一性を持たせているのも仕掛けの一つです。
他には、そうですね。「.hack//」というゲームをご存知ですか? これも私の大大大大好きなゲームの一つです。
このゲームでは「データドレイン」、それを引き起こす「腕輪」というものがフィーチャーになっていて、キャラクター(腕輪所持者である主人公カイト)にも、世界観(データドレインはネット世界のデータを改ざんする)にも、ストーリー(腕輪を巡る攻防)にも、もちろんゲームプレイ(ボス級の敵はデータドレインでないととどめが刺せない)にも丁寧に組み込まれています。だから面白いんです。
だから面白いんです、なんて力説してしまいましたが、ゲームの面白さの要素なんてたくさんあります。.hack//シリーズを知っていて、あの独特な歌やBGM、CC2やLieNを知らない人はいないでしょう。
ゲーム作りの四本柱はあくまで評価する時の視点の一つに過ぎず、より深くゲームを分析するためのツールの一つとお考えください。
現に、この四本柱を満たしていないようにみえるゲームでも、面白いものはたくさんあります。
ゲーム作りの四本柱を通してゲームを見てみると、「ゲーム」というより、「芸術」「ゲーム作品」としての見方が強くなるんだと私は思っています。