本日はこちら「ドラゴンクエスト11:過ぎ去りし時を求めて S」のレビューです。
誰がなんと言おうと神ゲー。
今回のドラクエはなんといってもストーリーが肝で、張り巡らされた伏線からのどんでん返しのみならず、それぞれのエピソードもかなり心を打つ珠玉の名エピソード揃いなので、今回のレビューは抽象的でふわっとしてると思いますがご容赦を。
本作のオリジナルは数年前に既にPS4で発売されているので、さして新しいタイトルでもないのですが、このXboxで、ドラクエが遊べる日が来ようとは夢にも思っておらず、その衝撃はすさまじかったです(自分の中で)。モンハンといい、キンハーだったり龍が如くだったり、冷静に考えればタイトルは別でも会社自体はXbox界でも常連の会社なので不思議ではないんですが、PS2時代以前の記憶が強くて、(あくまで自分の中では)これらのタイトルは絶対にXboxでは遊べないだろうと思っていたタイトルでした。
まさか、まさかね、そのうちXboxでマリオが遊べる日が……なんて、さすがにそれは夢の見すぎですかね……。
現実がこのザマなら、せめてゲームだけは、国境や言語、会社の垣根を越えて一つになってほしいものです。
とまあ身のないは話はこれくらいにして、本作は往年のドラクエファンにこそ深く、ふかーく刺さる会心の一撃のような作品でした。
無論、ドラクエを全く知らない人でも非常にユーザーフレンドリーな(むしろフレンドリー過ぎる)遊び心地のお陰でなんの不安もなく没頭することはできます。もう百点満点です。これぞJ-RPGという意地とプライドを見た気がしますね。Xboxに数多あるJ-RPGオマージュ作品が霞んで見えました。
それに加えて、今までのドラクエを知っている人、その中には正式なナンバリングタイトル以外にも様々な外伝(たとえば4コマだとか、ダイの大冒険だとか)を知っていれば知っているだけ、当時の記憶を蘇らせてくれる。それがまた味となって本作の魅力を引き立ててくれるような夢心地な時間でした。なんだかんだでPS4版発売時にも情報には特に触れなかったので、実は仲間になるキャラの名前さえ知りませんでした。今回はその知らない状態を楽しもうと思って攻略情報にも触れずに遊びました(称号とか気になってちょーっと攻略サイトのトップ画面開いただけで激しく後悔したほど)。
サブタイトルの過ぎ去りし時を求めて、というのはゲーム本編の中でもきちんと役割を果たすのですが、これが意味を持ってくるのは結構先のことになるので、それまではかなりプレイヤー自身の記憶を呼び覚ますという意味での別の側面を持った意味合いの方がしばらく強く表れていました。
もうね、神ゲー過ぎて逆に不安になっちゃうんですよね。
これだけ感動させてもらって、果たして次回作は大丈夫なのか。次回作が無事発売されたとしても、絶対に11と比べられることになるのは目に見えていて、果たしてそれはドラクエの正式な後作としてプレイヤーに受け入れられるのか。なんかもう本当に、ゲームの隅々まで「乾坤一擲」の気迫を見て取れるんですよね。けんこんいってき、は簡単に言えば背水の陣みたいな感じで、後のことは考えずにこれがマジで最後の一発、みたいな感じでこいつに全てを掛ける、みたいな意味です。
ドラクエも長いですからね。主要なスタッフはみんなそろそろ良いお歳なんじゃないかとか、だからこそもう先のことは考えずに往年のドラクエファンに対して最大限のサービスを考えたんじゃないかとか、だとするともしかして次は12じゃなくて、新生ドラクエになってしまうんじゃないかとか。
だってさ、ホント曖昧で申し訳ないけど、本作に出てくる数々のエピソードや設定、さらにはゲームシステムなどは、従来のナンバリングタイトルをオマージュしたり想起させたりする要素がすごく多いんですよ。それは、それを知っている私たちにとっては大正解なんですが、逆に考えると、これだけオマージュが多いと、はて、では11ならではオリジナルってどこにあるんだろう、と考えてしまうんですよね。
正式なナンバリングタイトルでありながら、どこかお祭りゲーみたいな雰囲気を感じてしまって、ここでいったん区切りみたいな、そんな空気を感じてしまったんですね。
はぁ、楽しかった。マジでありがとう。11を作ってくれて。そして、それをXboxで遊べるようにしてくれて。本当に楽しかった。
ていうか泣いた。勇者に圧し掛かる重圧が半端ないよね。明るい世界だからそうは見えないかもしれないけど、FF15のノクティスなみに勇者には光とともに影も付いて回る。それがもう見てられないくらい辛くて、いったい何度胸を熱くし、目頭も熱くなったことか。この辺はやっぱり3Dならではの、そしてSになってボイスが付いたからこその没入感がすごかったです。全然違和感ない。
中盤から終盤にかけてのとある大きなイベントや決断は、たぶんプレイヤーそれぞれにより思うところがあるかもしれません。私もなかなか受け入れられなかったのです。でも、別の解釈の仕方もあると思うので、きっと納得は出来るはず。意味わからん(笑)
強いて言うならば、私はゲームのほとんどを3Dモードで遊び、2Dモードにせざるを得ないヨッチ村のくだりを2Dモードで遊んだのですが、この2Dモードの操作感はドラクエ4や5辺りのファミコン感、スーファミでも黎明感が強く、快適性については今一つな感じがしました。そりゃね、6や7などの2Dでの敵キャラのアニメーションとか入れると作業量が尋常ではなくなりますからね、仕方ないことなのですが、遊びやすさに関しては3Dモードに軍配が上がり、2Dならではの何かというのは懐古以外に長所が見出せませんでした。
といった感じで、一日千秋の思いで数カ月間待ち続け、ようやく12月頭に発売された本作、年が明けるまであとちょっとというところでコンプした一ヵ月間。子供の頃に戻ったかのような、それでいて最新のゲームを遊んでいるわくわく感、夢心地のような年の瀬で2020年を締めくくりました。
そして2021年、令和三年。あけましておめでとう。今年も豊作になりますように。我々自身も健康で、健康な気持ちで、純粋にゲームを楽しめますように。今年もよろしくおねがいします。
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じゃなくて、まあそんなわけだから、これをきっかけにちょっとネタバレを含んだ感想を少し語ろうかと。
いいね? ここから先はネタバレだぞ。
ストーリーの先を知らないのに見ちゃったらわりとショック受ける内容だよ、たぶん。
つーことで、ちょっとだけ語ります。
この記事で曖昧に記した挙句さっぱり意味がわからなくなった部分、
”中盤から終盤にかけてのとある大きなイベントや決断は、たぶんプレイヤーそれぞれにより思うところがあるかもしれません。私もなかなか受け入れられなかったのです。でも、別の解釈の仕方もあると思うので、きっと納得は出来るはず。”
のくだりです。
本作では、やっとの思いで魔王をぶっ倒したと思ったら、勇者の本来の使命である邪神を倒すために、過去へと遡るんですよね。
これがね、個人的に違和感があるというか、納得できなかったんです。
初めて命の大樹の元へたどり着いたとき、突然魔王が出てきて、ボッコボコに負けるじゃないですか。そして仲間たちは散り散りになって、世界は崩壊して、大切な仲間の一人が命を落としちゃうじゃないですか。
でもって、各キャラのエピソードが始まって、また仲間を集めなおして、壊れてしまった世界をその足で歩いて、辛い現実を受け入れて……。
そうやっていくつもの悲劇を目の当たりにして、その度に自分自身も何度も目頭を熱くして、そしてかけがえのない大切な何かを育んで、そしてその果てにやっと魔王を倒すわけじゃないですか!
そりゃこんな展開、なくて済むならそれが一番だけど、起こってしまったことはもう元には戻せない。だから一歩一歩、辛い現実を受け入れて歩いてきたわけです。
そこへきて、ねぇ。
過去のあの瞬間に戻って、やり直そうって……。
さすがにそれは虫が良くない?
辛くて悲しいけど、あの記憶が勇者と、仲間たちと、そしてプレイヤーを強くし、ここまで連れてきたんだよ? なかったことにはしたくないよ。
そういう気持ちがずっとわだかまっていたのです。
そらね、魔王を倒してさらに邪神をも倒す半二週目みたいなその後のルートも、がっつり作り込んでありますから、めちゃくちゃ楽しかったですよ。
それに、私はこう思うことでその疑念を払拭しました。
これこそが勇者の力。救える世界が一つだけだと、いったい誰が決めた!?
そう、今作の勇者は自分が元居た世界のみならず、パラレルワールドの危機さえ救ってしまうのだ、と。
だからね、ドラクエ11の世界というのは、実は二つあるんです。一度は魔王に負け、壊れてしまっても、その逆境をはねのけ、雪辱を果たした、色あせた世界にほんのりと幸せの灯る世界。
そしてもう一つは、邪神を倒し、全てが丸く収まり、後に神話として語られる源流の世界。
なんてね。今までのことを無かったことにするために過ぎ去りし時を求めるんじゃなくて、こっちの世界救ったったから、もう一つ救ったろうっていう欲張りな展開なんですよ、これは(笑)
別の解釈の仕方がある、というのはこういうことが言いたかったわけです。スッキリした〜。