2024年09月14日
『読む・書く』 中国人の学生に日本語の読み書きを教授する4
2.2 課題作文
日本語の文章の構成は、序論、本論、結論よる三段式か起承転結からなる四段式である。どちらの構成であれ、2回に1回のペースで演習課題を出して学生に作文を書かせ、こちらで添削指導をする。演習課題は、月並みな日本についてとか諺や格言、説明文や感想文などである。作文の評価項目は、@当用漢字、A文法、Bてにをは、C適正表現そしてD独創性(ユニークさ)としている。
[評価項目]
A当用漢字 簡体字, 平仮名残り, 誤字
B文法 語順, 活用形, 句読点
Cてにをは 助詞の使い方
D適正表現 日本語らしい表現
E独創性 ユニークなストーリー
添削をしていて気づいたことは、クラスの中でフィードバックするように心掛けている。例えば、中国人の学生は、中国語の簡体字を使用することがある。また、中国語には活用形がないために、送り仮名を間違えたり平仮名表記が残っているケースもある。しかし、闇雲に平仮名表記を漢字に直してほしいというだけでは指導が足りないと思う。つまり、当用漢字は必ず漢字表記にして、非当用漢字は漢字でも平仮名でもよいとする。例えば、日本語では「醤油」と書いても「しょう油」と書いてもよい。中国人は、とかく漢字を使用する傾向にある。
また、作文の中で句読点の読点を付けすぎる傾向にある。一般的に読んでわかるのであれば、特に読点をつける必要はない。新聞などは比較的読み流していく文章ゆえに、音読の切れ目切れ目で読点を付けている。この点はあまり真似しないほうがよい。
「てにをは」については言うまでもなく、膠着語を持たない中国語が母国語であるために、助詞の使い方は難しいようだ。月並みであるが、たくさんやさしい日本語の文章を読むことがトレーニングになると思う。
適正表現とは、物の作り方を説明する文章の場合、例えば、自分の得意料理を説明するのであれば、美味しそうに書くことをいっている。不味そうに書けばそのように読まれてしまう。この点を工夫することが作文の上達に繋がっていく。また、構文上の日本語らしさもある。繰り返すが、日本語が語順の自由な言葉であることを認識しながら文章を書くとよい。
独創性は、格言や諺を演習課題にすると、知っている中国の故事を使用して面白いユニークな作文を書いてくれる。課題作文から学生の思いがわかるように演習課題を設定するのも、セミナー担当者の調整力の見せどころになる。なお、添削指導の中でこうした点を説明しながら、日本語の一文は句読点を含めて40文字前後と定義している。一読でわかるためである。
こうした単純な課題作文だけでなく、部分的にデータをまとめるトレーニングも実践的なものといえる。例えば、序論だけが見えていてこの小論と結論は自分で書く練習とか、起承転結の起承が決まっていてストーリーはそのままで転結の部分だけをまとめるといった練習も実践の作業につながる。こうした演習課題を繰り返しているうちに、要約の仕方も身に付いてくる。要約が上手くなると、文章の処理が格段と速くなる。当然のことながら、読書の量も増えていき、知識がたまると共にアレンジも上手くなっていく。
花村嘉英著(2017)「日本語教育のためのプログラム−中国語話者向けの教授法から森鴎外のデータベースまで」より
日本語の文章の構成は、序論、本論、結論よる三段式か起承転結からなる四段式である。どちらの構成であれ、2回に1回のペースで演習課題を出して学生に作文を書かせ、こちらで添削指導をする。演習課題は、月並みな日本についてとか諺や格言、説明文や感想文などである。作文の評価項目は、@当用漢字、A文法、Bてにをは、C適正表現そしてD独創性(ユニークさ)としている。
[評価項目]
A当用漢字 簡体字, 平仮名残り, 誤字
B文法 語順, 活用形, 句読点
Cてにをは 助詞の使い方
D適正表現 日本語らしい表現
E独創性 ユニークなストーリー
添削をしていて気づいたことは、クラスの中でフィードバックするように心掛けている。例えば、中国人の学生は、中国語の簡体字を使用することがある。また、中国語には活用形がないために、送り仮名を間違えたり平仮名表記が残っているケースもある。しかし、闇雲に平仮名表記を漢字に直してほしいというだけでは指導が足りないと思う。つまり、当用漢字は必ず漢字表記にして、非当用漢字は漢字でも平仮名でもよいとする。例えば、日本語では「醤油」と書いても「しょう油」と書いてもよい。中国人は、とかく漢字を使用する傾向にある。
また、作文の中で句読点の読点を付けすぎる傾向にある。一般的に読んでわかるのであれば、特に読点をつける必要はない。新聞などは比較的読み流していく文章ゆえに、音読の切れ目切れ目で読点を付けている。この点はあまり真似しないほうがよい。
「てにをは」については言うまでもなく、膠着語を持たない中国語が母国語であるために、助詞の使い方は難しいようだ。月並みであるが、たくさんやさしい日本語の文章を読むことがトレーニングになると思う。
適正表現とは、物の作り方を説明する文章の場合、例えば、自分の得意料理を説明するのであれば、美味しそうに書くことをいっている。不味そうに書けばそのように読まれてしまう。この点を工夫することが作文の上達に繋がっていく。また、構文上の日本語らしさもある。繰り返すが、日本語が語順の自由な言葉であることを認識しながら文章を書くとよい。
独創性は、格言や諺を演習課題にすると、知っている中国の故事を使用して面白いユニークな作文を書いてくれる。課題作文から学生の思いがわかるように演習課題を設定するのも、セミナー担当者の調整力の見せどころになる。なお、添削指導の中でこうした点を説明しながら、日本語の一文は句読点を含めて40文字前後と定義している。一読でわかるためである。
こうした単純な課題作文だけでなく、部分的にデータをまとめるトレーニングも実践的なものといえる。例えば、序論だけが見えていてこの小論と結論は自分で書く練習とか、起承転結の起承が決まっていてストーリーはそのままで転結の部分だけをまとめるといった練習も実践の作業につながる。こうした演習課題を繰り返しているうちに、要約の仕方も身に付いてくる。要約が上手くなると、文章の処理が格段と速くなる。当然のことながら、読書の量も増えていき、知識がたまると共にアレンジも上手くなっていく。
花村嘉英著(2017)「日本語教育のためのプログラム−中国語話者向けの教授法から森鴎外のデータベースまで」より
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