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2020年12月06日

三浦綾子の「道ありき」でうつ病を考える−病跡学へのアプローチ4

4 データベースからの分析

 データベースの作成方法について説明する。エクセルのデータについては、列の前半(文法1から意味5)が構文や意味の解析データ、後半(医学情報から人工知能)が理系に寄せる生成のデータである。データベースの数字は、登場人物を動かしながら考えていく。

【データベースのカラム】

文法1助詞、文法2態、文法3時制、相、文法4様相、意味1喜怒哀楽 、意味2五感、 意味3思考の流れ、意味4振舞い、医学情報 三浦綾子との接点、情報の認知1 感覚情報の捉え方、情報の認知2 記憶と学習、情報の認知3 計画、問題解決、推論、疾病脳と健常脳  

【連想分析1 受容と共生のイメージ合わせ】

分析例

・入院して四カ月経過。微熱が続きカリエスの症状が出ている場面。
・この論文では、「道ありき」の執筆脳を「虚無とうつ」と考えているため、購読脳でも意味3の思考の流れ、虚無のありなしに注目する。
・意味1 1喜2怒3哀4楽、意味2 1視覚2聴覚3味覚4嗅覚5触覚、意味3 1虚無あり2なし、意味4振舞い 1直示2隠喩
・疾病脳(虚無でうつ)1ある2なし、健常脳(うつから回復)1ある2なし

テキスト共生の公式

・ステップ1 意味1、2、3、4を合わせて、解析の組「虚無と愛情」を作る。
・ステップ2 うつ病の精神症状から「虚無とうつ」という組を作り、解析の組と合わせる。

【連想分析2 虚無とうつの認知プロセス】

・情報の認知1→情報の認知2→情報の認知3

 三浦綾子は、この場面で医者との問診で外部から情報を取り込み、カリエスの症状を疑っている。医者の診断に反する見解のため問題未解決→推論となる。そのため、「虚無とうつ」という推論が続いている。

花村嘉英(2020)「三浦綾子の『道ありき』でうつ病を考える−病跡学へのアプローチ」より

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花村嘉英
花村嘉英(はなむら よしひさ) 1961年生まれ、立教大学大学院文学研究科博士後期課程(ドイツ語学専攻)在学中に渡独。 1989年からドイツ・チュービンゲン大学に留学し、同大大学院新文献学部博士課程でドイツ語学・言語学(意味論)を専攻。帰国後、技術文(ドイツ語、英語)の機械翻訳に従事する。 2009年より中国の大学で日本語を教える傍ら、比較言語学(ドイツ語、英語、中国語、日本語)、文体論、シナジー論、翻訳学の研究を進める。テーマは、データベースを作成するテキスト共生に基づいたマクロの文学分析である。 著書に「計算文学入門−Thomas Mannのイロニーはファジィ推論といえるのか?」(新風舎:出版証明書付)、「从认知语言学的角度浅析鲁迅作品−魯迅をシナジーで読む」(華東理工大学出版社)、「日本語教育のためのプログラム−中国語話者向けの教授法から森鴎外のデータベースまで(日语教育计划书−面向中国人的日语教学法与森鸥外小说的数据库应用)」南京東南大学出版社、「从认知语言学的角度浅析纳丁・戈迪默-ナディン・ゴーディマと意欲」華東理工大学出版社、「計算文学入門(改訂版)−シナジーのメタファーの原点を探る」(V2ソリューション)、「小説をシナジーで読む 魯迅から莫言へーシナジーのメタファーのために」(V2ソリューション)がある。 論文には「論理文法の基礎−主要部駆動句構造文法のドイツ語への適用」、「人文科学から見た技術文の翻訳技法」、「サピアの『言語』と魯迅の『阿Q正伝』−魯迅とカオス」などがある。 学術関連表彰 栄誉証書 文献学 南京農業大学(2017年)、大連外国語大学(2017年)
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