2020年12月06日
三浦綾子の「道ありき」でうつ病を考える−病跡学へのアプローチ5
5 まとめ
「道ありき」の執筆脳を「虚無とうつ」にした。作家の執筆脳は、問題解決の場面で作家が思考を繰り返すため、これまで問題解決の場面だけを扱ってきた。一方、病跡学へ寄せる場合は、未解決の場面も考察対象に含めることにし、今回は作者がうつの症状の中で推論を続ける様子を考察した。購読脳の「虚無と愛情」と執筆脳の「虚無とうつ」には一応相互作用があるため、シナジーのメタファーとして「三浦綾子と虚無」が成立する。
病跡学の研究は、滑り出したところである。目的、効果、目標、メリットを見ていくと、他系列とのクロスした実績を作る際、人文と医学の組み合わせが最も遠い。遠いところで調節ができれば、調整力がついてきた証拠になる。また、もし研究実績を作り、メインの専門の実績と絡むようになれば(私の場合、計算文学や比較文学)、自分の研究が正しいという証拠になると期待できる。
さらに、研究対象の作家の数を増やして東西南北に持っていければ、文系のみの比較とは異なる共生に到達できる。例えば、三浦綾子の「道ありき」の他に井上靖の「わが母の記」、魯迅の「狂人日記」、そしてペーター・ハントケの「幸せではないが、もういい」でデータベースを作成し、同じように執筆脳を考える。研究をマクロに調節できる証として人文、社会、理工、医学の系列がブラックボックスからグレーになり、地球規模とフォーマットのシフトからなる実績ができれば、文理共生による評価も次第に上がってくる。
今回のシナジーのメタファーは、狭義の意味で考察されている。一方、ミクロ、メゾ、クラウド、マクロからなる広義のシナジーのメタファーがある。ミクロでは機械翻訳や特許翻訳の実績が土台となり、メゾにはボトムアップで購読脳と執筆脳からなる3Dの箱が溜まる。クラウドからトップダウンで仮説や推定によりメゾのデータを束ねる指令が出て、マクロの結論が導かれる。
参考文献
日本成人病予防協会監修 健康管理士一般指導員受験対策講座3 ヘルスケア出版 2014
高橋正雄 うつ病者としてのマックス・ウェーバー 日本病跡学雑誌59(2000)22-31
花村嘉英 計算文学入門−Thomas Mannのイロニーはファジィ推論といえるのか?新風舎 2005
花村嘉英 从认知语言学的角度浅析鲁迅作品−魯迅をシナジーで読む 華東理工大学出版社 2015
花村嘉英 日语教育计划书−面向中国人的日语教学法与森鸥外小说的数据库应用日本語教育のためのプログラム−中国語話者向けの教授法から森鴎外のデータベースまで 南京東南大学出版社 2017
花村嘉英 从认知语言学的角度浅析纳丁・戈迪默−ナディン・ゴーディマと意欲 華東理工大学出版社 2018
花村嘉英 シナジーのメタファーの作り方−トーマス・マン、魯迅、森鴎外、ナディン・ゴーディマ、井上靖 中国日語教学研究会上海分会論文集 2018
花村嘉英 川端康成の「雪国」に見る執筆脳について−「無と創造」から「目的達成型の認知発達」へ 中国日語教学研究会上海分会論文集 2019
牧野雅彦 マックス・ウェーバー入門 平凡社 2006
三浦綾子 道ありき(青春編2004、結婚編2003、信仰入門編2011)新潮文庫
「道ありき」の執筆脳を「虚無とうつ」にした。作家の執筆脳は、問題解決の場面で作家が思考を繰り返すため、これまで問題解決の場面だけを扱ってきた。一方、病跡学へ寄せる場合は、未解決の場面も考察対象に含めることにし、今回は作者がうつの症状の中で推論を続ける様子を考察した。購読脳の「虚無と愛情」と執筆脳の「虚無とうつ」には一応相互作用があるため、シナジーのメタファーとして「三浦綾子と虚無」が成立する。
病跡学の研究は、滑り出したところである。目的、効果、目標、メリットを見ていくと、他系列とのクロスした実績を作る際、人文と医学の組み合わせが最も遠い。遠いところで調節ができれば、調整力がついてきた証拠になる。また、もし研究実績を作り、メインの専門の実績と絡むようになれば(私の場合、計算文学や比較文学)、自分の研究が正しいという証拠になると期待できる。
さらに、研究対象の作家の数を増やして東西南北に持っていければ、文系のみの比較とは異なる共生に到達できる。例えば、三浦綾子の「道ありき」の他に井上靖の「わが母の記」、魯迅の「狂人日記」、そしてペーター・ハントケの「幸せではないが、もういい」でデータベースを作成し、同じように執筆脳を考える。研究をマクロに調節できる証として人文、社会、理工、医学の系列がブラックボックスからグレーになり、地球規模とフォーマットのシフトからなる実績ができれば、文理共生による評価も次第に上がってくる。
今回のシナジーのメタファーは、狭義の意味で考察されている。一方、ミクロ、メゾ、クラウド、マクロからなる広義のシナジーのメタファーがある。ミクロでは機械翻訳や特許翻訳の実績が土台となり、メゾにはボトムアップで購読脳と執筆脳からなる3Dの箱が溜まる。クラウドからトップダウンで仮説や推定によりメゾのデータを束ねる指令が出て、マクロの結論が導かれる。
参考文献
日本成人病予防協会監修 健康管理士一般指導員受験対策講座3 ヘルスケア出版 2014
高橋正雄 うつ病者としてのマックス・ウェーバー 日本病跡学雑誌59(2000)22-31
花村嘉英 計算文学入門−Thomas Mannのイロニーはファジィ推論といえるのか?新風舎 2005
花村嘉英 从认知语言学的角度浅析鲁迅作品−魯迅をシナジーで読む 華東理工大学出版社 2015
花村嘉英 日语教育计划书−面向中国人的日语教学法与森鸥外小说的数据库应用日本語教育のためのプログラム−中国語話者向けの教授法から森鴎外のデータベースまで 南京東南大学出版社 2017
花村嘉英 从认知语言学的角度浅析纳丁・戈迪默−ナディン・ゴーディマと意欲 華東理工大学出版社 2018
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花村嘉英 川端康成の「雪国」に見る執筆脳について−「無と創造」から「目的達成型の認知発達」へ 中国日語教学研究会上海分会論文集 2019
牧野雅彦 マックス・ウェーバー入門 平凡社 2006
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