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2017年09月24日

『話す』 日本語の会話や作文からやさしい翻訳へ10

2.2 作文から小論文へ

 小論文とは、ある事柄に対して自分で判断をし、その判断がなぜ正しいのかについて根拠を挙げて述べる文章である。参考資料からの引用を踏まえて、間接的で客観的に自分で考えたことを書いていく。一方、作文は、自分の経験をもとに、感じたことや考えたことを主観的に書く文章である。わかりやすく、筋の通った説得力のある論文を書くには、構造をきちんと構築しなければならない。小論文の基本構造は、序論、本論、結論である。
 序論とは、論文全体の紹介である。この論文が何を意図していて、どういう過程を経て結論に至るのかを説明する。ここを読めば、筆者が何を考え、何を主張しているのかがわかるようにする。私の結論はこれである、こうした方法論を用いて、こうした結論に至った、と序論に結論を書くのもよい。読み手は、結論を念頭に置いて、書き手の議論を追いながら検証していく。この小論では、自分の主張に沿って次から次へと証拠を上げながら、自分の議論を進めていく。論文の主張に沿って議論を進め、極力余分な情報は入れないようにする。余計な情報を入れなければ入れないほど、引き締まった論文になる。結論は、裁判でいう判決部分である。この小論で証拠を挙げながら述べた事の良し悪しを「〜であるからこう考えます」のように導き出す。
 注意事項としては、次のようなことを考慮すればよい。自分の意見と確認できる情報(参考資料、WEBサイトも含む)は、区別すること。確認できる情報には、引用符をつけることも大事である。感想は、書かないほうがよい。また、「これ」や「それ」といった指示代名詞が何を指すのかがはっきりとわかるように書くこと。できるだけ指示代名詞を使わないようにする。読み手がわからなければ、書き手の意図は伝わらない。

花村嘉英著(2017)「日本語教育のためのプログラム−中国語話者向けの教授法から森鴎外のデータベースまで」より
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花村嘉英
花村嘉英(はなむら よしひさ) 1961年生まれ、立教大学大学院文学研究科博士後期課程(ドイツ語学専攻)在学中に渡独。 1989年からドイツ・チュービンゲン大学に留学し、同大大学院新文献学部博士課程でドイツ語学・言語学(意味論)を専攻。帰国後、技術文(ドイツ語、英語)の機械翻訳に従事する。 2009年より中国の大学で日本語を教える傍ら、比較言語学(ドイツ語、英語、中国語、日本語)、文体論、シナジー論、翻訳学の研究を進める。テーマは、データベースを作成するテキスト共生に基づいたマクロの文学分析である。 著書に「計算文学入門−Thomas Mannのイロニーはファジィ推論といえるのか?」(新風舎:出版証明書付)、「从认知语言学的角度浅析鲁迅作品−魯迅をシナジーで読む」(華東理工大学出版社)、「日本語教育のためのプログラム−中国語話者向けの教授法から森鴎外のデータベースまで(日语教育计划书−面向中国人的日语教学法与森鸥外小说的数据库应用)」南京東南大学出版社、「从认知语言学的角度浅析纳丁・戈迪默-ナディン・ゴーディマと意欲」華東理工大学出版社、「計算文学入門(改訂版)−シナジーのメタファーの原点を探る」(V2ソリューション)、「小説をシナジーで読む 魯迅から莫言へーシナジーのメタファーのために」(V2ソリューション)がある。 論文には「論理文法の基礎−主要部駆動句構造文法のドイツ語への適用」、「人文科学から見た技術文の翻訳技法」、「サピアの『言語』と魯迅の『阿Q正伝』−魯迅とカオス」などがある。 学術関連表彰 栄誉証書 文献学 南京農業大学(2017年)、大連外国語大学(2017年)
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