（新）ルパン三世　第６３話感想　「罠には罠を！」: 映画とテレビ視聴感想

2017年05月30日

（新）ルパン三世　第６３話感想　「罠には罠を！」

初回放映：1978年12月18日

日本テレビ系

（ストーリー：ネタバレ）
ホワイトハウスに到着する大統領。それを見ながらルパンが不二子に今回呼び出された理由を聞いて
いる。不二子が欲しいものはホワイトハウスの中では無く、そこから歩いて行ける距離にあるドン・
ケッチが建てさせたホワイトハウスそっくりのブラックハウスだった。

レストランで食事をしながら不二子はドン・ケッチが自分の資産全額を社会福祉のために寄付すると
いうお金（日本円で約２０兆円）が欲しいとルパンにねだる。善人からは盗まないという信条のルパ
ンは不二子の頼みより信条を優先するとしたため、不二子は怒ってレストランから出ていってしまう。
不二子を追いかけるルパンは路上で不二子が突然霧に包まれ空中に浮かんだ後、消えてしまうのを目
撃した。

ルパン達のアジトに不二子を包んだものと同じ霧が吹きこまれ、そこに不気味な顔が現れた。不二子
を助けたければドン・ケッチの財産を二日以内に盗み出せとその顔は告げ、消えた。

ルパンからの予告状に銭形警部がブラックハウスを訪れた。善人から金を盗もうとするルパンに幻滅
する銭形。夜、予告通りにルパン一味が登場、銭形が駆けつけると金庫を爆破して金をホースで吸い
上げるルパン、次元、五右ェ門がいた。金は外で待機しているヘリコプター内に吸い上げられ、ヘリ
コプターは不二子が操縦していた。金を積み終わると、不二子は三人を置いて飛び上がる。裏切られ
たルパンは不二子の挑発に発砲。弾は不二子に命中した。倒れた不二子を乗せたままヘリコプターは
上昇していく。放心するルパン。それを見ていた銭形は、善人の金を盗み、仲間を撃ち殺したルパン
に憤慨する。放心のまま立ち去ろうとする三人に銭形は発砲するが、三人は止まらずに歩き続ける。
近くにはそれを驚いて木陰から見ていた本物のルパン達がいた。

本物のルパン達の目の前まで来ると三人は消えてしまった。銭形は本物のルパン達を見つけると銃撃
してきた。怒っている今の銭形に話は通じないと逃げるルパン達。

翌日、アジトでは新聞で事件の記事を見たルパンが怒っていた。事件を解決するために、資産を手に
入れて一番得をする人間を探そうということになった。

埠頭では、不二子が船にドン・ケッチを迎え入れていた。不二子はドン・ケッチの妻になることで、
ドン・ケッチの財産を相続することになったが、既に資産の寄付を発表した後だったので、ホログラフ
ィを使ってルパン狂言強盗を行ったのだ。しかし、実は不二子もドン・ケッチに騙されていた。不治の
病と診断されたため寄付をする気になっていたドン・ケッチだが、それが誤診だったことがわかり金が
惜しくなったのだ。ルパンに奪われたはずの財産はまだ金庫に保管されていた。

証拠隠滅のためドン・ケッチはホログラフィ装置に不二子を縛り付け、時限爆弾を作動させて自分と部
下は船を下り、操縦者のいないまま船を出港させた。沖の島を横切った後、船は爆発した。しかし、不
二子はその島にいたルパンに助けられていた。不二子から事情を聴いたルパンは罠には罠で仕返ししよ
うと決意する。

船から引き揚げたホログラフィ装置を使って、ドン・ケッチの金庫室と財産のセットを再現。財宝を盗
むルパン達のシーンを撮影した。そして不二子の運転する車でルパンは銭形に、次元、五右ェ門は警官
に化けて乗り込んだ。

思惑通りドン・ケッチを驚かせ、駆けつけようとする部下を気絶させ、警官隊として突入したまではよか
ったが、ホログラフィ装置が故障して映像がストップしてしまった。何とかごまかすことに成功した銭形
（ルパン）は、ドン・ケッチの金庫を確認。ルパンに盗まれたせいで、金庫が空になっていることにとり
あえず安心していたドン・ケッチだったが、金庫一杯に財産が残っていることに驚く。銭形（ルパン）は
これはルパンが返しに来たのかもしれない。また盗まれる前に全額寄付してしまいましょうと薦めた。そ
こでやっとホログラフィ装置が作動し、止まったままのルパンは屋外に去って行った。

安心したルパンは後で部下に金を取りに来させるとドン・ケッチに伝え去ろうとするが、そこにやってきた
本物の銭形と鉢合わせしてしまった。そこにまた故障したホログラフィ装置が逆回転し、ルパンが屋敷に侵
入、金をホースから吐き出していった。その後またルパンは退散し、それを二人の銭形が追う。ルパンは本
物の銭形を振り切り、警官に化けた次元と五右ェ門はドン・ケッチの財産を寄付のためと受け取りに来た。

銭形と警官二名が財産を輸送車に積み終わるころ、不二子がやってきた。最後にホログラフィ装置が爆発し
てボロボロになった不二子は自分が頑張ったことをアピールし分け前をせびるが、銭形と警官は本物だった。
次元と五右ェ門は引き取った財産を盗まずそのまま本物の警官に引き渡したのだった。

自分たちを騙した不二子にも仕返しが出来てわらうルパン、次元、五右衛門。悔しがる不二子。

ホログラフィ装置の故障のおかげで、金を返しているかたちになったシーンを銭形が目撃し、最後に不二
子が生きていることを自分の目で確認した銭形は偶然ルパンへの誤解を解いた形になりました。

冒頭のアメリカ大統領の顔を見て、ジミー・カーターを思い出しました。調べてみると、やはり放送当時
はカーター大統領の任期中でした。覚えているもんだなとびっくりしました。

「殺しと善人の金には絶対手を付けない」とルパン本人が自分の信条を語っていましたが、前シリーズでは
ルパンは一流の殺し屋でもあるという五右ェ門の師匠の言がありました。歳月がルパンの信条を変えてしま
ったんでしょうか。また、銭形の「ルパンは人を殺さない」というのも今作からの設定となったようです。
今回は銭形に銃口を向けたルパンに対しての言葉だったので、これも善人は殺さない。悪人は別という解釈
なのでしょうか。子供も観るファミリー向けアニメとして柔らかくなっていくルパンに最初のシリーズのハ
ードボイルド路線のルパンが好きだった自分は、当時は子供心に残念さを感じたのを覚えています。

ルパンがドン・ケッチの財産を盗んだという新聞記事で、ＷＡＮＴＥＤと書かれているイラストが表示
されたとき、ピンクレディーのヒット曲「ＷＡＮＴＥＤ」がワンフレーズだけ流れました。

ＦＢＩが今回の事件でルパン達を指名手配したということでしたが、全世界で泥棒家業を続けてきたルパン達
に今更感がありました。