映画とテレビ視聴感想

原題：蛇形刀手／SNAKE IN THE EAGLE'S SHADOW　制作：1978年


ジャッキー・チェン映画を時系列に観るその１４




ジャッキーがついにブレイクしたコメディ・カンフー作品。


ストーリー

鷹爪拳と蛇形拳の長年にわたる抗争で蛇形拳の生き残りは三人だけとなってしまった。
鷹爪拳のショングンは最後の三人を一人ずつ追いつめて殺していった。最後の一人と
なったバク・チョンティン（ユエン・シャオティン）は、偶然出会ったいじめられっ
子の青年ガンフー（ジャッキー・チェン）に、抗争に巻き込まれて危険な目に合わな
いように「人前で見せないこと」、「自分が誰かと戦っていても助けないこと」等約
束させて蛇形拳を教えるのであった。修行の末めきめきと強くなったガンフーは自分
が世話になっている道場に道場破りに来て弟子を奪っていった別の道場との抗争で、
蛇形拳を使って戦うことになってしまった。その姿を偶然通りかかったリーに見られ
てしまう。バク・チョンティンと同門と偽るショングンに騙されたガンフーは、バク・
チョンティンとショングンを引き合わせようとしてしまう。


　


身軽な老人の師匠の教えでみるみる弟子が強くなる。ジャッキーのコミカルカンフー
アクションが開眼しました。これまでのジャッキー映画の興業成績が振るわず、また
コメディとして作らせた「カンニングモンキー天中拳」がお蔵入りとなり、ロー・ウ
エイが、もうしばらく顔も見たくないとばかりにジャッキーのレンタルを申し込んで
きたプロダクションに貸し出されて制作された映画でした。監督のユエン・ウーピン
はジャッキーにどのような映画を作りたいか意見を求め、ジャッキーもロー・ウエイ
の演出に不満を持っていた鬱憤を一気に吐き出すようにやりたいことを監督に伝えた
のでしょう。


カンフー道場の師匠に拾われて小間使いとして育ってきたガンフーは師範代や生徒の
カンフーの練習台として傷の絶えない日常を送っていますが、コメディタッチのため
そんなに悲惨さは感じません。ディーン・セキ演じる師範代の滑り止め用？の粉でそ
こら中に足跡を付けられて雑巾で拭かされるいじめも、蛇形拳習得後のジャッキーの
反撃は笑えるしスカッとします。足形をたどっていく修行や茶碗取りの鬼ごっこなど
子供が真似したくなるシーンがこの映画にはたくさんあります。

ユエン・シャオティンがジャッキーを背後で操り人形のように動かすシーンは子供心
にやってみたかったです。（やりませんでしたが。）

ショングン役ウォン・チェンリ−との最後の死闘はハードで、撮影中のアクシデント
ウォンの蹴りがまともにジャッキーの顔に入り、歯が吹っ飛んだそうです。ジャッキ
ーの歯が無くなっているのが分かるカットもあります。


同時上映は松田優作主演の「処刑遊戯」でした。特別鑑賞券のコピーは「マグナム＆
酔八拳−これが男のダンディズム」とあります。酔八拳は酔拳じゃねーか！なんかい
い加減です。

セリフのある登場人物に女性がいません。モブシーンのエキストラにはいたかもしれ
ませんが。蛇拳は漢（おとこ）の映画だったのか。

当時のジャッキー映画には珍しく日本公開版用の主題歌が作られていません。フランス
のミュージシャンの曲を無断使用している「Magic Fly」や「Oxygene Pt2」をそのまま
使っています。

ディアゴスティーニ版のＤＶＤで観ましたが、これには日本語吹き替え版が収録されて
いません。長年吹き替え版は発売されていなかったようですが、近年やっと発売された
ようです。

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