映画とテレビ視聴感想

原題：剣・花・煙雨江南／TO KILL WITH INTRIGUE　制作：1977年



ジャッキー・チェン映画を時系列に観るその１０


前作「ファイナル・ドラゴン」に続く古龍脚本作品。ジミー・ウォングが参加
できなかったため、ジャッキーが主役に返り咲いた作品。



ストーリー

総督の息子シャオリン（ジャッキー・チェン）は、かつて父親が壊滅させた盗
賊蜜蜂党の残党が再結成をして悪事を働いているのを知った。近日にも恨みを
晴らしに総督府を襲撃してくることを察知したシャオレイは自分の子供を身籠
っているチェンチェンを理由を言わずに愛想尽かしして屋敷から追い出した。

その夜、蜜蜂党の襲撃が行われ両親は殺された。一人生き残ったシャオレイは
蜜蜂党の党首である女（シーフォン）を殺すチャンスを得るが、女から総督が
蜜蜂党を壊滅させた際に５歳だった自分の頬を切り裂いたと傷跡を見せて非難
されたため殺せずに逆に気絶させられてしまう。

気が付いたシャオレイはチェンチェンが頼るであろう親友のシー・カンの家を
訪れたが、二人はどこかへ旅立った後だった。シャオレイはチェン・チェンを
探して放浪する。道の道々で現れては彼を助けてくれる女党首ディン・ツァン
ヤンの真意は何か。





ジミー・ウォングに続き、武侠映画の有名女優シー・フンとの共演が実
現。コメディ色が全く無い作品で、ジャッキー演じるシャオリンはほと
んど笑顔を見せません。

シー・フォン演じる蜜蜂党の党首ディン・ツァンヤンは究極のツンデレ
で、親の敵であるシャオリンの両親を殺した後、自分を殺すチャンスが
あったのに殺さなかった彼に恋してしまいます。彼が危機に陥ると駆け
つけたり、チェンチェンを取り返そうと敵のところへ行こうとする彼の
修行の手助けをします。


心変わりして自分のもとに残って欲しいという想いと、強くなって彼の
願い（チェンチェンの奪回）を叶えて欲しいとの複雑な思いを込めて残
酷な罰のある稽古を行います。負ける度に熱い石炭を食べさせたり熱い
こてで顔を焼いたり毒（これは偽りだったが）を飲ませたりとかなりハ
ードです。

今回のジャッキーはある程度の強さを持っていますが、登場人物の中で
は強い方ではありません。敵の中堅クラス相手に重傷を負ったり、ツァ
ンヤンとの特訓でも最後まで勝つことが出来ませんでした。毒と偽った
ツァンヤンの血が入った酒（一族の秘伝で体を強くする効果がある）と
武芸の秘伝書（この秘伝書で特訓するシーンはありません。）で敵に相
対することとなりました。しかし最終的には敵を倒せたのは、敵の腰帯
を奪っての絞殺でした。

日本版タイトルの「成龍拳」はストーリーの中には出てきません。吹き
替えで強引に秘伝書のことを成龍拳の秘伝書と言っているだけです。ジ
ャッキーの旧作が発掘されて次々と日本上映されていた中で、つぎはぎ
映画の「醒拳」を除くと1984年公開のこの作品が最後の発掘作品となり
ました。日本公開当時のチラシによるとジャッキー最期の本格クンフー
と書かれており、拳シリーズの最後を飾るために中国語の芸名の「成龍」
を冠した「成龍拳」というタイトルをつけたのでしょう。

恋人のチェン・チェンを演じるユー・リンロンは前作のファイナル・ド
ラゴンでジミー・ウォング演じる主役の恋人で実は黒幕の一人という役
を演じていましたが、今回は塞ぎ込んで泣いてばかりいる役だっったの
で大女優シー・フォンの陰に隠れてしまった感じでした。上記のチラシ
にはジャッキーの実際の恋人の噂もあると書かれていました。

ディアゴスティーニ版DVDで観ましたが、日本語吹き替え版はＴＶ放映時
のものが使われており、放送時カットされた部分は原語で字幕が出ます。
主題歌は日本の劇場公開用に制作された主題歌が歌入りとBGMで使用さ
れているのでリアルタイムで見ていた人は曲がかかると燃えると思います。
残念ながら日本の劇場公開時の、主題歌が流れるOPは収録されていません。

「成龍拳」と「蛇鶴八拳」、「カンニングモンキー天中拳」は経費節約
のため、韓国へ合同ロケが行われています。屋外のシーンでは俳優の息
が白いことが多く、厳寒期の撮影だったと思われます。

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