サイクル&フィットネス

「夏休みのロングツーリング」

梅雨が明けました。
いきなり暑くなっています。

子供たちも夏休みに入っていて、思えば夏が楽しかったのは
子供の頃だけだったかも知れません。
夏休みというものを待ちわびていた時代でした。

よく話していたのは何日もかけてのサイクリングした。
今考えて見れば、我々が子供だった頃は今と違って道路
事情も整備されていませんでしたから、数日をかけてのロング
サイクリングとなるとかなりハードになっていたと思います。

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今と違ってスポーツサイクルといってもカーボンのように超が
つくようなかるい素材もなかったですから、一日で移動できる距離
も知れていたと思います。
それでも夏が近付くにつれて当時の仲間たちと計画だけで
終わっていますが頻繁に話しては盛り上がっていましたね。

子供の頃はあれもしたい、これもやろうばかりで期待ではち切れ
そうでした。
一分一秒もじっととどまっていたくなかった頃です。

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その頃の想いがとても使ったんだと思います。
今でも夏が来れば幽霊のようにそのときの想い出が鮮やかに蘇って
きます。
想い出の中に「セミ」の想い出があって、昔は今と違って
街路樹も整備されておらずとても大きな木が多かった。
蝉を捕まえにいっても手の届くところにいませんでした。
うるさい鳴き声が聞こえだけに悔しい思いをしていました。

八月に入るとお盆があって、いつもの仲間は田舎へ帰省してしまい
遊ぶ相手がいませんでした。
テレビも高校野球とプロ野球の中継で見たいものがつぶれてしまい
苦痛で仕方ない時期でもありました。
この時、たまたま自分と同じような帰省することのない同級生と
あって、普段はまったく遊ばないメンバー三人でセミとりをすることに
なりました。

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一日走り回っても捕まえられなかったのですが、帰ってくると
玄関脇の壁に蝉が貼り付いて鳴いているのを見つけたのです。
先頭にいたのは自分なのですが持っていた捕虫網で捕まえようと
したら、その動きに反応して自分のほうへ向かって飛んできました。

顔のすぐ側をかすめるように飛んできたのですが、後ろにいた奴も
捕虫網を持っていて捕まえとしたのですがそれも間一髪でかわして
その後ろにう一人いて、そいつは網を持っていなかったので、かぶって
いた帽子で捕まえようとしてくれました。
三人ともぎりぎりの至近距離でかわされて逃げられてしまい、そのとき
の悔しさといったずっと引き摺っていたくらいです。

それから幾十年もしてからある夏に、蝉の大量発生があって川沿いの
街路樹にもびっしりととまっていました。
思わず指で捕まえたのですが、子供の頃はあれほど必死になっても
捕まえられなかったのに、それがわずか10分もしないうちに七匹も捕まえ
ることができました。

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うれしいと言うよりも複雑な想いで、簡単につかまるなと蝉に言って
やりたくなりましたね。
そして何よりも、蝉を使えたのになにも楽しくなかったことです。
昔の残念な想いはずっとあるというのに、子供の頃のように無邪気に
楽しめないという不思議な喪失感をおぼえました。

そんな中で、ただ一つだけ、ロードバイクで走っているときだけは
昔と変わらず楽しんでいます。
どこかへ行くとか何かをするでもないのにただ単純に突っ走ることが
楽しいという純粋に楽しめるスポーツです。
ですからやめられないのだと思います。

「吉田拓郎」さんの曲に「夏休み」という歌があるのですが、この曲を
聴くと今でも胸を締め付けられるようなせつない想いがこみ上げて
きます。
歌詞と同じで、いまだに夏になると果たせなかった夏休みの約束に
想いをはせているのかも知れません。

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