2020年07月31日
台湾の李登輝元総統が死去
30日、李登輝元総統が台北市内の病院で死去しました。享年97歳。
入院先の台北栄民総医院が発表しました。
李氏は今年2月に自宅で牛乳を誤嚥し、肺浸潤が見られるなどで入院を続けていましたが、ここ数日は容体の悪化が伝えられ、蔡英文総統が29日、急きょ頼清徳副総統、蘇貞昌行政院長と共に見舞いに病院を訪問していました。
1923年、日本統治下の台湾で生まれ、太平洋戦争中に台北高等学校を卒業し、京都帝国大学農学部に進学するも、学徒出陣で旧日本陸軍に入隊し、日本で終戦を迎えました。
戦後は台湾に戻り、後に2度にわたり米国に留学、1968年に米コーネル大学で農学博士号を取得後、農業問題の専門家として当時の国民党政権に重用され、行政院政務委員や台北市長、台湾省政府主席、副総統などを歴任しました。
副総統を務めていた1988年、蒋経国総統の死去により台湾出身者として初めて総統に就任、憲法改正で実現させた史上初の総統直接選挙で当選して続投を決め、2000年に退任するまで12年にわたり総統を務めました。
台湾の民主化に大きく貢献し、米ニューズウィーク誌から「ミスター・デモクラシー」と称されました。
総統退任後は独立志向を鮮明にし、「台湾ファースト」を掲げる政党・台湾団結連盟の精神的指導者と仰がれ、近年は国家アイデンティティーの確立や市民社会の強化などを柱とした「第2次民主改革」の必要性を訴えてきました。
大の親日家としても知られ、総統を退いてからは日本を計9回訪れており、2018年6月の沖縄訪問が最後になりました。
米国のポンペオ国務長官は30日、李登輝氏を追悼する声明を発表し、「数十年間の権威主義に終止符を打つ手助けをし、経済的繁栄や開放、法の支配による新たな時代の先駆けとなった」と評価し、民主化を進めた功績をたたえました。
「我々は台湾との絆を強化し続けることで、李氏のレガシーに敬意を表していく」とも指摘し、台湾との関係を今後も重視していく姿勢を示しました。
一方、中国は国務院台湾事務弁公室の朱鳳蓮報道官は声明で、李登輝氏の死去を受け「台湾独立は破滅への道だ。国家統一、民族復興という歴史の大勢はいかなる人物も勢力も阻めない」とする談話を出し、李氏が「台湾独立」を志向したと非難し、台湾側を強くけん制しました。
米中の関係が悪化する中にあって、李登輝氏の死去は象徴的な出来事です。
李登輝氏の最大の功績は、台湾に自由と民主主義を根付かせたことですが、その自由と民主主義を巡り、世界が新冷戦の構図を呈しているのですから。
中国政府が押し付けた国家安全維持法により、自由と民主主義が風前の灯火となっている香港では、一国二制度を信じる者はいないでしょう。
香港を制圧した中国政府の、次の狙いが台湾なのは間違いありません。
油断すれば台湾の自由と民主主義も、危ういものとなり得るのです。
日本の安倍晋三首相は31日、李登輝氏について「常に日本に特別な思いで接してこられた方でもあり、台湾に自由、民主主義、人権、そして普遍的な価値を、同時に日台関係の礎を築かれた方として、多くの日本国民は格別の親しみを持っている。心からご冥福をお祈りする」と語りました。
自由と民主主義を守るために、日本は台湾と共に歩まねばならないのです。
入院先の台北栄民総医院が発表しました。
李氏は今年2月に自宅で牛乳を誤嚥し、肺浸潤が見られるなどで入院を続けていましたが、ここ数日は容体の悪化が伝えられ、蔡英文総統が29日、急きょ頼清徳副総統、蘇貞昌行政院長と共に見舞いに病院を訪問していました。
1923年、日本統治下の台湾で生まれ、太平洋戦争中に台北高等学校を卒業し、京都帝国大学農学部に進学するも、学徒出陣で旧日本陸軍に入隊し、日本で終戦を迎えました。
戦後は台湾に戻り、後に2度にわたり米国に留学、1968年に米コーネル大学で農学博士号を取得後、農業問題の専門家として当時の国民党政権に重用され、行政院政務委員や台北市長、台湾省政府主席、副総統などを歴任しました。
副総統を務めていた1988年、蒋経国総統の死去により台湾出身者として初めて総統に就任、憲法改正で実現させた史上初の総統直接選挙で当選して続投を決め、2000年に退任するまで12年にわたり総統を務めました。
台湾の民主化に大きく貢献し、米ニューズウィーク誌から「ミスター・デモクラシー」と称されました。
総統退任後は独立志向を鮮明にし、「台湾ファースト」を掲げる政党・台湾団結連盟の精神的指導者と仰がれ、近年は国家アイデンティティーの確立や市民社会の強化などを柱とした「第2次民主改革」の必要性を訴えてきました。
大の親日家としても知られ、総統を退いてからは日本を計9回訪れており、2018年6月の沖縄訪問が最後になりました。
米国のポンペオ国務長官は30日、李登輝氏を追悼する声明を発表し、「数十年間の権威主義に終止符を打つ手助けをし、経済的繁栄や開放、法の支配による新たな時代の先駆けとなった」と評価し、民主化を進めた功績をたたえました。
「我々は台湾との絆を強化し続けることで、李氏のレガシーに敬意を表していく」とも指摘し、台湾との関係を今後も重視していく姿勢を示しました。
一方、中国は国務院台湾事務弁公室の朱鳳蓮報道官は声明で、李登輝氏の死去を受け「台湾独立は破滅への道だ。国家統一、民族復興という歴史の大勢はいかなる人物も勢力も阻めない」とする談話を出し、李氏が「台湾独立」を志向したと非難し、台湾側を強くけん制しました。
米中の関係が悪化する中にあって、李登輝氏の死去は象徴的な出来事です。
李登輝氏の最大の功績は、台湾に自由と民主主義を根付かせたことですが、その自由と民主主義を巡り、世界が新冷戦の構図を呈しているのですから。
中国政府が押し付けた国家安全維持法により、自由と民主主義が風前の灯火となっている香港では、一国二制度を信じる者はいないでしょう。
香港を制圧した中国政府の、次の狙いが台湾なのは間違いありません。
油断すれば台湾の自由と民主主義も、危ういものとなり得るのです。
日本の安倍晋三首相は31日、李登輝氏について「常に日本に特別な思いで接してこられた方でもあり、台湾に自由、民主主義、人権、そして普遍的な価値を、同時に日台関係の礎を築かれた方として、多くの日本国民は格別の親しみを持っている。心からご冥福をお祈りする」と語りました。
自由と民主主義を守るために、日本は台湾と共に歩まねばならないのです。
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