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2020年02月17日

感染者を巡るウエステルダム号とダイヤモンド・プリンセス号の違い

15日、マレーシア保健省はカンボジアに寄港したクルーズ船、ウエステルダム号から下船した、83歳の米国人女性が新型コロナウイルスに感染していたと明らかにしました。
女性を含む同号乗客145人は下船後の14日に空路でマレーシアに移動しており、同号乗客から感染者が確認されたのは初めてです。

保健省によると、クアラルンプール国際空港に到着した際の女性の症状をきっかけにウイルス感染が確認され、夫も検査を受けたが陰性でした。
ウエステルダム号は新型コロナウイルスの感染者が乗船している疑いがあるとして、日本など複数の国が寄港を拒否し、日本人5人を含む乗客乗員2257人を乗せたまま2週間近く海上をさまよい、13日にカンボジア南部シアヌークビルに入港しました。
寄港後に一部の人に実施された検査では感染者が確認されませんでしたが、現在、ウエステルダムを下船したほかの人の中にも感染者がいるのではないかとの懸念が浮上しています。

カンボジア政府はマレーシアに検査結果の再検討を要請していますが、マレーシア当局は16日、診断結果は正確なものだと改めて主張しています。
下船者をマレーシアへ移動させるため航空機4機がチャーターされていましたが、143人を乗せた第一便から感染者が見つかったことを受け、ほかの便はキャンセルされました。
ウエステルダムには現在も乗客200人以上、さらに乗員747人が残っていますが、ある乗客は「陽性と判明した人がいたと分かり、乗客らは船の上で非常に不安な気持ちになっている」と語っています。

横浜港に停泊し、国内外から注目を浴びているクルーズ船、ダイヤモンド・プリンセス号。
新型コロナウイルスへの集団感染が確認され、15日の時点で乗客355名に陽性が認められています。
日本政府による隔離政策の元、乗客たちは約2週間ほど、船内の客室に閉じ込められたわけですが、この隔離政策への批判が相次いでいます。
米CNNテレビ等はダイヤモンド・プリンセス号を「海洋上の監獄」と揶揄し、人権侵害を訴えています。

確かに2週間もの間、閉鎖空間に閉じ込められるのは精神的にも肉体的にも厳しいと思われ、人権侵害に該当すると思います。
ですが、日本政府による隔離政策は公衆衛生のセオリーに適ったものです。
閉鎖空間に閉じ込められた乗客の方々は、本当に気の毒だと思いますが、日本国内にウイルスが拡散されるのを防ぐためにはやむを得ません。
同じ境遇にあるウエステルダム号の乗客を、カンボジアのフンセン首相は気前よく下船させましたが、案の定、マレーシアに影響が出たわけです。
これはつまり、カンボジア国内は勿論、東南アジアを含め、世界中にウイルスが拡散する要因となり得るのです。

それにしても、ダイヤモンド・プリンセス号の面倒を見ている日本が非難の対象になるのは、承服しかねるところです。
乗客に日本人が比較的多いとはいえ、ダイヤモンド・プリンセス号はアメリカの会社が保有・運営するイギリス船籍であり、日本は寄港地の一つに過ぎません。
海外メディアが日本政府の対応に不満があるのなら、アメリカやイギリスに働きかけて、そちらで対処させるように仕向けるべきなのです。
乗客の方々はお気の毒ですが、日本政府の隔離政策はセオリー通りです。
そしてカンボジア政府の下した下船の判断は、将来どういう結果をもたらすのでしょうか。

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