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2018年06月05日

パソコン事業をシャープに譲渡、東芝に見る日本企業の斜陽は経営陣と労組が根

シャープは5日、東芝のパソコン事業を買収することで合意したと発表しました。
買収額は約40億円で、東芝のパソコン関連製品と同社のディスプレーやセンサーなどを融合することで、人工知能(AI)やすべてのモノがインターネットにつながるIoT(インターネット・オブ・シングス)事業を強化するとしています。

パソコン事業を手掛ける東芝クライアントソリューション株式の80%を取得し、子会社化します。
取得予定日は10月1日で、「ダイナブック」ブランドや人材、販売チャネルなどはそのまま引き継ぐとしています。
シャープは経営不振のため、2010年にパソコン事業から撤退していましたが、台湾の鴻海(ホンハイ)精密工業傘下で経営再建が進んだことから、パソコン事業に再参入します。

東芝は経営再建に向け、不採算事業の売却を進めており、パソコン事業の売却もその一環で、同事業の2018年3月期の売上高は前年比13%減の1673億円、営業損益は96億円の赤字(前年は5億円の赤字)でした。
東芝はパソコン事業の売却で約17億円の損失等を計上する見込みで、5月15日に公表した業績予想には織り込んでいないが、業績への影響は軽微としています。

東芝のパソコン事業は、かつて世界シェア1位であり、絶対的な地位にありました。
時代の流れとは残酷なものです。
スマートフォンの台頭により、パソコン事業の収益性が年々悪化し、今では赤字を垂れ流す存在でした。

これは東芝に限らず、かつて世界を席巻した富士通、NECも中国メーカーへ事業を売却、そして今回のシャープは実質、台湾のメーカーです。
鴻海精密工業は中国本土との結び付けが強く、中国メーカーといってもいいくらいです。
ここまで力の差を見せつけられるのは、日本人として悲しいものがあります。

不振にあえぐ東芝は、売却できる事業はほぼ売り尽くし、残るのは原子力事業くらいでしょうか。
今さら国の政策が原子力発電に傾くとも思えませんが、経営陣は何を考えているのでしょうか。
東芝は勿論、富士通もNECも、経営陣の責任が重大なのは間違いありません。

ただ、過去を振り返ると、度を過ぎた円高を是正しておけば、この様な事態を防ぐことができたようにも思います。
1ドルが80円台だった頃、東芝や富士通、NECの労働組合は、民主党政権を支持・応援していました。
盲目的に、無為無策の政権を支援し、自分たちの首を締めていたように思います。
一方、変動相場制とは言い難い中国企業は、為替レートの恩恵を受け、飛躍的に海外シェアを伸ばしていきました。

為替政策の重要性を理解している政権でなければ、日本企業は海外で太刀打ちできないのです。
アベノミクスによる円安誘導を、当時の労働組合がどう思うのか、感想を聞いてみたいところです。
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