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2018年03月07日

スルガ銀行が牽引したかぼちゃの馬車

「我々には資金がありません」
およそ800棟もの女性専用シェアハウス「かぼちゃの馬車」を販売し、急成長していたスマートデイズは、1月17日、オーナー向け説明会を開催し、菅沢聡社長が冒頭で声を振り絞りました。

昨年10月に金融機関から、新しいオーナーへの売買を制限するという申し出があり、それまで月15件程度だった販売件数が10月はゼロ件となり、12月は3,4件の融資しか実行されなかったため資金繰りが悪化し、賃料の支払いが困難になったようです。
菅沢社長は入居率が30%程度で推移していたことを説明し、「金融機関に対してはオーナーの方で個別にリスケ交渉と金利交渉をしてほしい」と説明しました。

スマートデイズは2012年より、女性専用シェアハウス「かぼちゃの馬車」を販売し、1棟1億円以上という高額物件を、30年に渡る超長期の家賃保証(サブリース)を歌い、これを武器に不動産業界で頭角を現してきました。
頭金ゼロのフルローンで8%前後の高利回り、さらに家賃保証とくれば、投資家が飛びつくのは当然のことです。

ところが、実際の入居率は40%台で、客付けより新たな物件建設を優先し、投資家からの建設資金をオーナーへの支払いに回す、自転車操業状態だったようです。
スマートデイズは入居者向け職業紹介等の、家賃外収入をアピールしていたことで、ビジネスモデルを複雑化し、外部から分かり難くしていました。

しかし何より、このビジネスモデルの最大のポイントは、融資です。
ローン付けができなければ、不動産販売はまず成立しません。
そしてこの不動産ローンのほとんどが、スルガ銀行の融資でした。
つまり、スルガ銀行の融資前提で、投資商品が設計されていたのです。

スルガ銀行の融資審査は機能していなかったのでしょうか。
スマートデイズの販売代理店で、給与証明書やネットバンキングの残高証明書を、業者を使って偽造し、融資審査にかかる書面の偽装があったようですが、やはり、スルガ銀行の営業方針がポイントです。
不動産融資を使う条件として、スルガ銀行の定期預金を組むことや、フリーローンの設定が求められたようです。

スルガ銀行が書類の偽造をどこまで把握していたかは不明ですが、定期預金やフリーローンをまとめて組んでくれる、スマートデイズのオーナー様は、超優良顧客であったと言えるでしょう。
利潤追求をする上で、審査を緩めるのは自然な流れだったと思われます。
つまり、スルガ銀行にとってかぼちゃの馬車は、金のなる木だったのです。

スルガ銀行は昨年の役員交代で、審査の厳格化が進んだようです。
債務者との個別交渉に応じていくようですが、今後も融資審査の是非が問われるのは間違いありません。
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