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2017年06月16日

前川前事務次官が目指す先

松野博一文部科学相は15日の記者会見で、安倍晋三首相の友人が理事長を務める学校法人「加計学園」の獣医学部新設をめぐる「総理のご意向」などと記された文書の存否に関する再調査結果を発表しました。
民進党が入手して調査を求めるなどした19の文書のうち、少なくとも14の文書については、同じ内容か酷似する文書が確認されました。
文部科学省はこれらの文書について先月の時点で「存在は確認できなかった」と発表していました。松野文科相は「前回確認できなかった文書の存在が明らかになったことは大変申し訳なく、真摯(しんし)に受け止めている」と述べ、陳謝しました。

文書の存在を確認した文部科学省の再調査を受け、戦略特区を所管する山本幸三地方創生担当相は16日、閣議後の記者会見で「総理のご意向」などと発言した職員はおらず、それを裏付ける文書も発見されなかったとの内閣府の調査結果を発表、両者の言い分に食い違いが生じています。

一方、萩生田光一官房副長官が獣医学部新設の条件を修正するよう指示したことをうかがわせる内容のメールを内閣府職員が文科省側に送ったことは認めつつ、指示は萩生田氏でなく、山本担当相だったとし、職員が「事実関係を確認しないまま発信してしまった」と説明しました。
文科省の再調査とのずれについては、内閣府職員が他省庁との議論で、規制改革全般について「スピード感を持って実現すべきだ」との安倍晋三首相の発言に言及していたとし、文科省の文書は「作成者の受け止め」「内閣府職員が時として使用する強い口調が反映された」などとしました。

文部科学省の再調査結果を受け、文書の存在を主張していた前事務次官の前川喜平氏は15日、代理人弁護士を通じ「文書が確認されたのは当然」とするコメントを出しました。
国家戦略特区を活用した獣医学部新設について、「責任を文科省に押しつけるなど言語道断」と内閣府を断罪し、「事業者を初めから加計学園と決めていたのではないか」「『1校に限り』とされたことをどう説明するのか」など6項目を挙げ、内閣府に説明を求めています。

文部科学省前事務次官の前川喜平氏からは、その極めて冷静な表情の奥に沸き立つ、凄まじい怨念のようなものが感じられます。
怨念の対象はもちろん内閣府です。
前川氏は文部科学省の頂点に登り詰めながら、天下り問題で世間の批判に晒され、責任を負わされ辞職しました。
文部科学行政を司るべき省が、内閣府に主導権を握られ、事務方のトップとして、はらわたが煮えくり返る思いがあったのでしょう。それに天下り問題が追い打ちとなり、不本意な形で省を追われました。
今回の一連の流れは前川氏が絵を描いたとも言われています。
今回の文書をリークした張本人と疑う声も少なくありません。

今後は内閣府の再調査が実施されることになると思われますが、加計学園問題の本質は、安倍首相がその権限を悪用し、特別な口利きをしたか否か、この一点に尽きます。
加計学園は小泉内閣の頃より、獣医学部新設の申請を続けており、今になって急遽、安倍首相が口利きをする必要性がありません。
このタイミングで口利きに走るのは、むしろ不自然です。
なので今回確認された文書に、どれほどの事件性があるのか、甚だ疑問に感じられます。
それでもしばらく、この問題は鎮静化しないようです。
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