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2017年06月15日

イエレン議長の出口戦略

米連邦準備制度理事会(FRB)は14日、連邦公開市場委員会(FOMC)において主要政策金利を0・25ポイント引き上げることを決めました。
政策金利の誘導目標は1〜1・25%となり、8年半ぶりに1%を超えることとなります。
経済の堅調な拡大を受け、段階的な金融緩和の縮小に迫られていることや、米国債など、リーマン・ショック後に拡大したFRBの保有資産の縮小を年内に始める計画も決め、金融政策の正常化に向けた道筋を示しました。

FRBのイエレン議長は、FOMC後の記者会見で、利上げについて「経済のこれまでの進展や、雇用最大化と物価の安定に向かうという見通しを反映したものだ」と説明し、「今後数年間はゆるやかな経済成長が続く」との見方を示しました。

FRBはリーマン・ショック後、国債などを大量に購入して市場に資金を供給する量的緩和政策を実施し、その結果、保有資産の規模が約4兆5000億ドルまで拡大していた。
資産規模縮小は、非常時の金融政策を正常に戻す意味合いがあります。
今回の利上げ決定にはFOMCで投票権を持つ9人の参加者のうち、8人が賛成に回りました。

イエレン議長は従来から、金融緩和の「出口」戦略についてコメントし、利上げの必要性を訴え続けているので、今回の決定は順当なものと言えます。
一方、ノーベル経済学賞受賞者のポール・クルーグマン氏など、政策金利の水準を維持するべきと主張する意見も少なくありません。

そして何より、アメリカのドナルド・トランプ大統領は、大統領選挙戦の最中から、イエレン議長を徹底的に非難していました。
有権者への単なるリップサービスだったのかもしれませんが、大統領就任以来、何らFRBに関与していないトランプ大統領の存在は、実に不気味なものがあります。

経済状態が良ければFRBへの批判を避けられますが、国際情勢はいつ、何が起きても不思議ではありません。
イスラム国に代表される過激派のテロや、アフリカでは未だに沈静化していないエボラウイルスの脅威など、懸念材料はいくらでもあるのです。
その時、イエレン議長がどのような戦略を練るのか、興味深いものがあります。
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