新規記事の投稿を行うことで、非表示にすることが可能です。
2014年02月06日
伝統医学
伝統医学(でんとういがく)は、現代の医学が発達する以前から存在する世界各地の文化圏伝統の医学体系の総称。一般的には三大伝統医学とそこから派生した各地の独自の医学を指す。
三大伝統医学[編集]
ユナニ医学(ギリシア医学、イスラム医学)
アーユルヴェーダ(伝統インド医学)
中国医学(中医学など)
その他[編集]
チベット医学:アーユルヴェーダから派生。ギリシャ医学と中国医学からも多くの理論・技術を取り込んでいる。
モンゴル医学:薬物療法の理論は主にチベット医学によるが、その他に独自の食餌療法や外科的治療を行う。
漢方医学:中国医学から多くの理論・技術を取り込んでいるため、混同されやすい。中国伝統医学が日本で独自に発展したもの。
呪術医:主に少数民族などを中心としたシャーマニズム社会に於いて、医療を担当する役職の者を呪術医と呼ぶが、彼等の使用する薬草などに対し、民俗学・文化人類学に加え、薬物学上からも関心が寄せられている。
シッダ医学:インド、アーユルヴェーダの起源とも言われる医学であり、南インドタミル地方に特化した医学。ハーブだけでなく水銀をはじめ金属、鉱物を薬物として利用する。
サンゴマス(en:sangomas)アフリカ大陸南部で広く信じられている呪術でミューティ(en:muti)と呼ばれる薬を使う。人間を薬の材料に使うことが問題になっている。
その他の伝統医学は:Category:伝統医学を参照のこと。
三大伝統医学[編集]
ユナニ医学(ギリシア医学、イスラム医学)
アーユルヴェーダ(伝統インド医学)
中国医学(中医学など)
その他[編集]
チベット医学:アーユルヴェーダから派生。ギリシャ医学と中国医学からも多くの理論・技術を取り込んでいる。
モンゴル医学:薬物療法の理論は主にチベット医学によるが、その他に独自の食餌療法や外科的治療を行う。
漢方医学:中国医学から多くの理論・技術を取り込んでいるため、混同されやすい。中国伝統医学が日本で独自に発展したもの。
呪術医:主に少数民族などを中心としたシャーマニズム社会に於いて、医療を担当する役職の者を呪術医と呼ぶが、彼等の使用する薬草などに対し、民俗学・文化人類学に加え、薬物学上からも関心が寄せられている。
シッダ医学:インド、アーユルヴェーダの起源とも言われる医学であり、南インドタミル地方に特化した医学。ハーブだけでなく水銀をはじめ金属、鉱物を薬物として利用する。
サンゴマス(en:sangomas)アフリカ大陸南部で広く信じられている呪術でミューティ(en:muti)と呼ばれる薬を使う。人間を薬の材料に使うことが問題になっている。
その他の伝統医学は:Category:伝統医学を参照のこと。
伝統中国医学
伝統中国医学(でんとうちゅうごくいがく)とは、中国において、主に漢民族によって発展させられ、朝鮮半島や日本にも伝わってそれぞれ独自の発達を遂げた伝統医学の総称。日本においては、東洋医学(とうよういがく)と呼称される。中華人民共和国から見て東洋医学という用語は日本の伝統医学を指すことがあるが、国際東洋医学会という国際学会があるように、日本・韓国・台湾では一般的な用語として用いられている。
特徴[編集]
全身を見て治療を行う。伝統中国医学は、(西洋医学とは異なり)複数ある症状をもって「証」という概念で治療方針を決める。[注 1][注 2][注 3]
人間の心身が持っている自然治癒力を高めることで治癒に導くことを特徴としている。そのために生薬などを用いる。[注 4][注 5][注 6]
診断も、四診によって行う。(西洋医学のように機械や採血を用いたりしない。)よって、体を侵襲することがなく、害が少ないとされる。[注 7]
中国医学系統の伝統的医学[編集]
生薬(薬用植物など)を用いる。図は甘草。
経絡図の一例
五行による相互作用の分析図
中医学[編集]
詳細は「中医学」を参照
中国においては、戦後、国民党政府の伝統医学廃止運動に反発する形で、共産党政権による伝統的医学復興が国策として行なわれ、現在、西洋医学を行なう通常の医師と、伝統学を行なう「中医師」の二つの医師資格が併設されている。 中華人民共和国成立に伴い、中国共産党は、大陸各地に点在していた伝統医療の担い手を「老中医」と呼んで召集し、伝統医学の教育に充てた。ただし、清末以来戦乱に明けた大陸では、体系立った伝統医学などは残っておらず、老中医にしても、ほとんどが家伝の生薬方なり鍼灸方なりを、各個伝えているだけであった。このため、これら個々の伝統技術を統合する理論体系が必要とされ、毛沢東の強い意向を受けて、「中医学」理論が急遽設えられた。つまり、現在の中医学は、中国において統一教科書教育が必要になった1959年を皮切りとし、文化大革命の時期を中心として展開された新しい理論である。
1958年の南京中医学院が編纂した教科書『中医学概論』では、五臓六腑ごとに病証が展開されており、病証も『千金方』の五臓病証に類似している。この教科書では「肝虚寒証」のように現在の中医学では用いられない病証が含まれる。また『千金方』には「腎実熱」などまで含まれる。
鍼灸を例にすれば、現在の中医理論は経絡治療と似ていて五臓の母子関係や相剋関係を中心に理論構築を展開する。およそ1960年代より、雑病の一つだった「肝気郁逆」(「肝気鬱滯」)が肝の基本病証の一つとなった。また、「肝鬱気滞」が肝実証である、という認識は中国ではあるけれども、日本での認識は乏しく、「肝実証」という発想は、脈診を中心として診断をおこなう経絡治療家にも理解しやすいものである[1] [2][3][4][5] 。
漢方医学[編集]
詳細は「漢方医学」を参照
漢方医学(和漢方・和方):日本で発達した中国医学系の伝統医学の呼称である。中国を起源とする伝統医学は、奈良朝以来断続的に日本に伝来して来たが、日本では文物(古文献)の保存とともに技術体系の保存も高いレベルで維持されて来たため、大陸では使用されなくなり深化を止めた系統の技術も、発展維持されてきた経緯があり、現在では鍼灸・生薬ともに、中国原産のものとは趣を異にする物に発達している。
例えば、「証」決定のための「腹診」という腹壁筋緊張を類型分類する診察技法がある。これは古代中国で原型が形成され主たる古典にも記されているが、大陸において儒教的な社会が高度に成立した宋代以降は、中国人は他人に腹部を露出するのを好まなくなったこともあり、腹診は用いられなくなった。実際には鍼灸における配穴(ツボを選ぶこと)においても、生薬の匙加減を決定する上でも腹診は非常に有用である為、この技術は日本で保存され、江戸期には按摩の技術とも関連を持ち、独自の診察技術へと発展した。
また、「六部定位診」と呼ばれる橈骨動脈の拍動の様子を分類し、病態把握を行なう技法がある。これは「難経」と呼ばれる3世紀以後に成立した古典が源流の技術であるが、非常に繊細な脈状分類を標榜したものであったため、大陸では廃れてほとんど用いられては来なかった。しかし上記腹診同様、日本においてはこの技法が精錬され、幕末から戦前にかけて台頭した皇漢医学の潮流の中で、「経絡治療」として大成された。
これらの例は、伝来した技法を独自に深化発展させる、日本の伝統的な文化受容の形態が、医学領域においても発揮されたものと言える。
このように発展してきた日本の伝統医療は、明治時代以降導入したヨーロッパ医学と区別する必要性から、皇方・皇漢方・和方・和漢方・東洋医学などと多くの呼び名が試行されたが、江戸時代に蘭方に対して用いられた漢方という名が、幕末よりほぼ一貫して一般的であると言える。漢方には前述のように本来鍼灸も含むが、現在漢方薬による治療のみをさすことが多い。日本においては鍼灸は医師・鍼灸師がおこない、漢方薬は医師・薬剤師がおこなう分業になっている事もその一因と考えられる。
東医学・韓医学・高麗医学[編集]
東医学:朝鮮半島で発達した中国医学系伝統医学の呼称(北朝鮮では1992年までこのように称していた)。
高麗医学:北朝鮮での呼称。1993年に東医学から改称した。
韓医学:東医学と同じものの韓国における呼称。韓方医学とも呼ぶ。
特徴[編集]
全身を見て治療を行う。伝統中国医学は、(西洋医学とは異なり)複数ある症状をもって「証」という概念で治療方針を決める。[注 1][注 2][注 3]
人間の心身が持っている自然治癒力を高めることで治癒に導くことを特徴としている。そのために生薬などを用いる。[注 4][注 5][注 6]
診断も、四診によって行う。(西洋医学のように機械や採血を用いたりしない。)よって、体を侵襲することがなく、害が少ないとされる。[注 7]
中国医学系統の伝統的医学[編集]
生薬(薬用植物など)を用いる。図は甘草。
経絡図の一例
五行による相互作用の分析図
中医学[編集]
詳細は「中医学」を参照
中国においては、戦後、国民党政府の伝統医学廃止運動に反発する形で、共産党政権による伝統的医学復興が国策として行なわれ、現在、西洋医学を行なう通常の医師と、伝統学を行なう「中医師」の二つの医師資格が併設されている。 中華人民共和国成立に伴い、中国共産党は、大陸各地に点在していた伝統医療の担い手を「老中医」と呼んで召集し、伝統医学の教育に充てた。ただし、清末以来戦乱に明けた大陸では、体系立った伝統医学などは残っておらず、老中医にしても、ほとんどが家伝の生薬方なり鍼灸方なりを、各個伝えているだけであった。このため、これら個々の伝統技術を統合する理論体系が必要とされ、毛沢東の強い意向を受けて、「中医学」理論が急遽設えられた。つまり、現在の中医学は、中国において統一教科書教育が必要になった1959年を皮切りとし、文化大革命の時期を中心として展開された新しい理論である。
1958年の南京中医学院が編纂した教科書『中医学概論』では、五臓六腑ごとに病証が展開されており、病証も『千金方』の五臓病証に類似している。この教科書では「肝虚寒証」のように現在の中医学では用いられない病証が含まれる。また『千金方』には「腎実熱」などまで含まれる。
鍼灸を例にすれば、現在の中医理論は経絡治療と似ていて五臓の母子関係や相剋関係を中心に理論構築を展開する。およそ1960年代より、雑病の一つだった「肝気郁逆」(「肝気鬱滯」)が肝の基本病証の一つとなった。また、「肝鬱気滞」が肝実証である、という認識は中国ではあるけれども、日本での認識は乏しく、「肝実証」という発想は、脈診を中心として診断をおこなう経絡治療家にも理解しやすいものである[1] [2][3][4][5] 。
漢方医学[編集]
詳細は「漢方医学」を参照
漢方医学(和漢方・和方):日本で発達した中国医学系の伝統医学の呼称である。中国を起源とする伝統医学は、奈良朝以来断続的に日本に伝来して来たが、日本では文物(古文献)の保存とともに技術体系の保存も高いレベルで維持されて来たため、大陸では使用されなくなり深化を止めた系統の技術も、発展維持されてきた経緯があり、現在では鍼灸・生薬ともに、中国原産のものとは趣を異にする物に発達している。
例えば、「証」決定のための「腹診」という腹壁筋緊張を類型分類する診察技法がある。これは古代中国で原型が形成され主たる古典にも記されているが、大陸において儒教的な社会が高度に成立した宋代以降は、中国人は他人に腹部を露出するのを好まなくなったこともあり、腹診は用いられなくなった。実際には鍼灸における配穴(ツボを選ぶこと)においても、生薬の匙加減を決定する上でも腹診は非常に有用である為、この技術は日本で保存され、江戸期には按摩の技術とも関連を持ち、独自の診察技術へと発展した。
また、「六部定位診」と呼ばれる橈骨動脈の拍動の様子を分類し、病態把握を行なう技法がある。これは「難経」と呼ばれる3世紀以後に成立した古典が源流の技術であるが、非常に繊細な脈状分類を標榜したものであったため、大陸では廃れてほとんど用いられては来なかった。しかし上記腹診同様、日本においてはこの技法が精錬され、幕末から戦前にかけて台頭した皇漢医学の潮流の中で、「経絡治療」として大成された。
これらの例は、伝来した技法を独自に深化発展させる、日本の伝統的な文化受容の形態が、医学領域においても発揮されたものと言える。
このように発展してきた日本の伝統医療は、明治時代以降導入したヨーロッパ医学と区別する必要性から、皇方・皇漢方・和方・和漢方・東洋医学などと多くの呼び名が試行されたが、江戸時代に蘭方に対して用いられた漢方という名が、幕末よりほぼ一貫して一般的であると言える。漢方には前述のように本来鍼灸も含むが、現在漢方薬による治療のみをさすことが多い。日本においては鍼灸は医師・鍼灸師がおこない、漢方薬は医師・薬剤師がおこなう分業になっている事もその一因と考えられる。
東医学・韓医学・高麗医学[編集]
東医学:朝鮮半島で発達した中国医学系伝統医学の呼称(北朝鮮では1992年までこのように称していた)。
高麗医学:北朝鮮での呼称。1993年に東医学から改称した。
韓医学:東医学と同じものの韓国における呼称。韓方医学とも呼ぶ。
アンドルー・ワイル
アンドルー・ワイル(英: Andrew Weil、1942年6月8日 - )はアメリカ合衆国の健康医学研究者、医学博士。伝統中国医学など代替医療の伝統も取り入れ、人間に本来備わっている自然治癒力を引き出すヘルスケア・システムである統合医療を提唱している人物である。
経歴[編集]
ペンシルベニア州・フィラデルフィア生まれ。ハーバード大学で植物学の学位を取得した後、ハーバード大学医学校を卒業した。国立精神衛生研究所やハーバード大学植物博物館の研究員などを務め、15年にわたって世界各地で伝統医学や薬用植物の利用の現地調査(フィールドワーク)に従事した。薬用植物の世界的権威とされる。
現在、アリゾナ州ツーソンにあるアリゾナ大学医学校の診療教授、同校の「統合医学プログラム」の理事を務める傍ら、ワイル・ライフスタイル研究所を設立・運営している。統合医学基金創設者、専門誌『インテグレイティブ・メディスン』編集長でもある。
著書『癒す心、治る力』[1]と『アンドルー・ワイル博士の医食同源』[2]は米国でベストセラーとなった。
経歴[編集]
ペンシルベニア州・フィラデルフィア生まれ。ハーバード大学で植物学の学位を取得した後、ハーバード大学医学校を卒業した。国立精神衛生研究所やハーバード大学植物博物館の研究員などを務め、15年にわたって世界各地で伝統医学や薬用植物の利用の現地調査(フィールドワーク)に従事した。薬用植物の世界的権威とされる。
現在、アリゾナ州ツーソンにあるアリゾナ大学医学校の診療教授、同校の「統合医学プログラム」の理事を務める傍ら、ワイル・ライフスタイル研究所を設立・運営している。統合医学基金創設者、専門誌『インテグレイティブ・メディスン』編集長でもある。
著書『癒す心、治る力』[1]と『アンドルー・ワイル博士の医食同源』[2]は米国でベストセラーとなった。
アンドルー・ワイル
アンドルー・ワイル(英: Andrew Weil、1942年6月8日 - )はアメリカ合衆国の健康医学研究者、医学博士。伝統中国医学など代替医療の伝統も取り入れ、人間に本来備わっている自然治癒力を引き出すヘルスケア・システムである統合医療を提唱している人物である。
経歴[編集]
ペンシルベニア州・フィラデルフィア生まれ。ハーバード大学で植物学の学位を取得した後、ハーバード大学医学校を卒業した。国立精神衛生研究所やハーバード大学植物博物館の研究員などを務め、15年にわたって世界各地で伝統医学や薬用植物の利用の現地調査(フィールドワーク)に従事した。薬用植物の世界的権威とされる。
現在、アリゾナ州ツーソンにあるアリゾナ大学医学校の診療教授、同校の「統合医学プログラム」の理事を務める傍ら、ワイル・ライフスタイル研究所を設立・運営している。統合医学基金創設者、専門誌『インテグレイティブ・メディスン』編集長でもある。
著書『癒す心、治る力』[1]と『アンドルー・ワイル博士の医食同源』[2]は米国でベストセラーとなった。
経歴[編集]
ペンシルベニア州・フィラデルフィア生まれ。ハーバード大学で植物学の学位を取得した後、ハーバード大学医学校を卒業した。国立精神衛生研究所やハーバード大学植物博物館の研究員などを務め、15年にわたって世界各地で伝統医学や薬用植物の利用の現地調査(フィールドワーク)に従事した。薬用植物の世界的権威とされる。
現在、アリゾナ州ツーソンにあるアリゾナ大学医学校の診療教授、同校の「統合医学プログラム」の理事を務める傍ら、ワイル・ライフスタイル研究所を設立・運営している。統合医学基金創設者、専門誌『インテグレイティブ・メディスン』編集長でもある。
著書『癒す心、治る力』[1]と『アンドルー・ワイル博士の医食同源』[2]は米国でベストセラーとなった。
ハーブティ
ハーブティ (英: Herbal tea) はハーブを乾燥させ、煮だして飲用としたもの。
各種のハーブティ缶やティーバッグが市販されているが、自家栽培のハーブを乾燥させて自分で作ることもできる。近年、健康食品として注目されている。広義に解釈すれば、チャノキもハーブの一種であるのでハーブティのなかに緑茶なども含まれるといっていいであろう。
種類と効用[編集]
ハーブは様々な効用を持つとされ、ハーブティはその効果を簡単に享受できる一手段として用いられる。と、同時に、良い香りや綺麗な色を楽しむために飲む人も多い。この節では、代表的なハーブティに用いられるハーブの効用を述べる。
ローズヒップは、ビタミンCを大量に補給できるとされ、ビタミンCを大量に消耗するスモーカーや美容によいとされる。
ペパーミントは清涼感があり、アレルギー症状、二日酔いや船酔いを和らげる。
タイムは殺菌力を有しており、インフルエンザ予防や炎症等に効果があるとされる。
カモミール、ラベンダーは鎮静作用を有しており、精神を安定させたり不眠症などの神経症に効用がある。
セント・ジョーンズ・ワートは軽から中程度のうつ病に効果があるとされる説がある。
これ以外にもレモングラス、シナモン、ローズマリーなど各種のハーブティが市販されており、数種類のハーブをブレンドしたものもある。
安全性[編集]
食品=安全という考えで過大な期待をして利用することには注意が必要。 摂取すると人体に有害な成分をもつ場合、医薬品と同時に摂取すると副作用を生じる場合、成分による食物アレルギーを発症する場合もあるので、持病や体調不良などで医師にかかっている場合には飲用を申し出た方がよい。また、妊娠及び授乳中の摂取にも慎重さが求められる。[1]
医薬品との同時摂取により薬の効力を弱めたり強めたりする相互作用、副作用、過剰摂取による注意喚起がされている主なハーブ類。[1]
セント・ジョーンズ・ワート、エゾウコギ、シナモン重篤なアレルギー症状が出るおそれのある物。
イチョウ - ギンコール酸を多く含み、生の葉を自分で乾燥させた場合危険性が高い。コンフリー - 日本名ではヒレハリソウ。長寿のハーブとして大ブームになったが、エチミジンを多く含み、肝機能障害を引き起こす恐れがあるため、2004年以降日本では販売禁止。
中国的ハーブティ[編集]
中国語では草本茶あるいは花草茶といい、古来から薬用として飲用されている。大韓民国で盛んな人参茶なども含む。
各種のハーブティ缶やティーバッグが市販されているが、自家栽培のハーブを乾燥させて自分で作ることもできる。近年、健康食品として注目されている。広義に解釈すれば、チャノキもハーブの一種であるのでハーブティのなかに緑茶なども含まれるといっていいであろう。
種類と効用[編集]
ハーブは様々な効用を持つとされ、ハーブティはその効果を簡単に享受できる一手段として用いられる。と、同時に、良い香りや綺麗な色を楽しむために飲む人も多い。この節では、代表的なハーブティに用いられるハーブの効用を述べる。
ローズヒップは、ビタミンCを大量に補給できるとされ、ビタミンCを大量に消耗するスモーカーや美容によいとされる。
ペパーミントは清涼感があり、アレルギー症状、二日酔いや船酔いを和らげる。
タイムは殺菌力を有しており、インフルエンザ予防や炎症等に効果があるとされる。
カモミール、ラベンダーは鎮静作用を有しており、精神を安定させたり不眠症などの神経症に効用がある。
セント・ジョーンズ・ワートは軽から中程度のうつ病に効果があるとされる説がある。
これ以外にもレモングラス、シナモン、ローズマリーなど各種のハーブティが市販されており、数種類のハーブをブレンドしたものもある。
安全性[編集]
食品=安全という考えで過大な期待をして利用することには注意が必要。 摂取すると人体に有害な成分をもつ場合、医薬品と同時に摂取すると副作用を生じる場合、成分による食物アレルギーを発症する場合もあるので、持病や体調不良などで医師にかかっている場合には飲用を申し出た方がよい。また、妊娠及び授乳中の摂取にも慎重さが求められる。[1]
医薬品との同時摂取により薬の効力を弱めたり強めたりする相互作用、副作用、過剰摂取による注意喚起がされている主なハーブ類。[1]
セント・ジョーンズ・ワート、エゾウコギ、シナモン重篤なアレルギー症状が出るおそれのある物。
イチョウ - ギンコール酸を多く含み、生の葉を自分で乾燥させた場合危険性が高い。コンフリー - 日本名ではヒレハリソウ。長寿のハーブとして大ブームになったが、エチミジンを多く含み、肝機能障害を引き起こす恐れがあるため、2004年以降日本では販売禁止。
中国的ハーブティ[編集]
中国語では草本茶あるいは花草茶といい、古来から薬用として飲用されている。大韓民国で盛んな人参茶なども含む。
精油
精油(せいゆ)、エッセンシャルオイル(英語 essential oil)は、植物に含まれ、揮発性の芳香物質を含む有機化合物である。「オイル/油」という字が付くが、油脂とは全く別の物質からできている。可溶化リポイドで、水に溶けにくく、アルコール・油脂などに溶ける性質(親油性・脂溶性)を持つ。現在、約250〜300種類の精油が存在する。
「精油」は100%天然物質であり、人工的に合成した物質を一切含まず、アルコール希釈などをしていない完全成分のものだけを指す。狭義では更に水蒸気蒸留法により抽出された精油に限定される。一般的にはハーブ葉の質量に対し0.01%〜0.2%程度しか含有せず、かつ、全量抽出するには6回から10回程度繰り返し同じ葉を蒸留しなければ得られない大変に貴重なものである(1.0kg=1000gの葉に対し1.0g=1.0cc=1.0ml程度の精油全量に対し、1回蒸留で0.1ml)。よって大量生産は考えにくく、安価なものにはできにくい。アロマオイルやポプリオイルなどと混同されることもままあるが、混ぜ物を含み大量生産されるそれらとは全く別物である。
植物における精油とその働き[編集]
一般に精油は植物の特殊な分泌腺で合成され、その近くの油細胞に蓄えられている。精油は植物にとって様々な有用な作用を及ぼす。香りの誘因効果により鳥や昆虫に受粉や種子の運搬を託す。また精油の苦みなどの忌避効果によって害虫やカビ(真菌)などの有害な菌から植物を守ることもある。他の植物の発芽や成長を抑える働きのある精油もある。また精油が汗のように蒸散することにより自らを冷却し太陽熱からその植物を守ることもある。
細菌やウイルス、虫などに対する作用[編集]
殺菌作用:バクテリアなどの細菌を殺す作用
抗菌作用:細菌の増殖を抑える作用
抗真菌作用:真菌(カビ)の増殖を抑える作用
抗ウイルス作用:ウイルスの増殖を抑える作用
殺虫・虫除け作用:虫を殺したり、除けたりする作用
ただし、薬事法の許可認可を受けていない精油を上記の効能を謳い販売・譲渡する行為は薬事法に違反する。
成分[編集]
植物に含まれる揮発性の有機化合物を精油(エッセンシャル・オイル、essential oil)という。一般的な植物油脂は不揮発性でグリセリンの脂肪酸エステルを主成分としているのに対し、精油はテルペンや芳香族化合物など(アルコール・アルデヒド・シトラール・ケトン、エステル、フェノール、炭化水素)を主成分としている。低沸点の香気成分を豊富に含むことが多い。人体にとっては植物ホルモンを含む強い生理活性作用物質である。
用途[編集]
特有の芳香を持つものが多く香料として使用される。また、香料としての働きも含めアロマテラピーにも使用される。精油の人体に及ぼす影響・効果・作用・毒性・利用法についてはアロマテラピーの項目を参照のこと。
香りの分類[編集]
植物の種類や抽出部位により次の7種類に分けられる。
1.ハーブ系 (ハーブの花や葉から抽出) クラリセージ、月桃、バジル、ペパーミント、マジョラムなど
2.柑橘系( 柑橘系の果物や、それに似た香りのハーブから抽出) オレンジ・スイート、グレープフルーツ、ベルガモット、レモン、レモングラス、レモンバーベナなど
3.フローラル系 (主に花から抽出) ジャスミン、ゼラニウム、ネロリ、ラベンダー、ローズオットーなど
4.オリエンタル系 (異国情緒が漂うエキゾチックな香り) イランイラン、サンダルウッド、パチュリ、ベチバーなど
5.樹脂系(天然樹脂系) (香木の樹脂から抽出) エレミ、フランキンセンス、ベンゾイン、ミルラなど
6.スパイス系 (料理のスパイスとして使われる香辛料から抽出) カルダモン、クローブ、シナモンリーフ、ジンジャー、ブラックペッパーなど
7.樹木系 (樹木の樹皮や枝、葉などから抽出) サイプレス、シダーウッド、ジュニパーベリー、ティートリー、パイン、プチグレイン、ユーカリなど
精油を採る植物[編集]
採る植物は多岐にわたる。オレンジのように花、葉、果実から異なる精油が得られるような植物もある。以下に主な採油植物とその部位を示す。
花・蕾: ローズ、ジャスミン、ネロリ(ビターオレンジの花)、カモミール、イランイラン
葉: ゼラニウム(ニオイテンジクアオイ)、ユーカリ、ティートリー
枝と葉: プチグレイン(ビターオレンジの枝と葉)
果皮: スィートオレンジ、ビターオレンジ、レモン、ライム、ベルガモットなどの柑橘類
果実・種子: コショウなど多くのスパイス類、ジュニパーベリー、バニラ
樹木・樹皮: ビャクダン(白檀、サンダルウッド)、マツ、ヒノキ、シナモン
樹脂: フランキンセンス(乳香、オリバナム)、ミルラ(没薬(もつやく))
根・根茎: ベチバー、スパイクナード、オリスルート
全草: ラベンダー、レモングラス、バジル、ローズマリー、ミントなどハーブ全般
精油を採る方法[編集]
水蒸気蒸留法(水蒸気で蒸して芳香成分を得る)広範な沸点分布を持つ精油成分を一度に留出させるには、水蒸気蒸留が適している。原理については水蒸気蒸留を参照。狭義の精油としては水蒸気蒸留で得られたもののみを指す(他の方法利用のものは「精油」と呼ばないという意)。100℃以上の熱がかかるので、熱による変質が起こる精油の採油方法としては適切でない。水蒸気の冷却後に得られる、精油とは分離された水の中には水溶性の芳香物質が微量に含まれていて「芳香蒸留水/ハイドロゾル」と言われる。これは一般的にフローラルウォーターなどと呼ばれる。油脂吸着法(油脂に芳香成分を吸わせる)脱臭した動物油脂などに植物を添加して精油を吸着させたのち、エタノールで精油のみを油脂から抽出する古典的な方法。古代エジプトの時代から行われていた熱を加える温浸法(マセラシオン)と、ルネサンス期に開発された室温で行う冷浸法(アンフルラージュ)がある。精油を吸着した油脂はポマードといい、そこからエタノールで抽出された精油はエキストラクト(エキス)、さらにそこからエタノールを蒸発させて除去したものはアブソリュート(Abs.)と呼ばれる。冷浸法では熱による変質の無い非常に高品質な精油が得られるが、時間と手間が掛かりすぎるため現在ではほとんど行われていない。 冷浸法(アンフルラージュ)ジャスミンやバラなど、主に花から精油を抽出する場合に使われる方法。動物性脂肪や植物油を塗ったトレーに花びらを並べて載せ、花びらに含まれる精油をトレーのオイルに吸収させる。その後、トレーに塗った動物性脂肪・植物油から精油を分離し純化させる。アブソリュート(Abs.) 油脂吸着法、揮発性有機溶剤抽出法、超臨界流体抽出法などで段階的な過程を経て最終的に得られた精油をアブソリュート(Abs.)と呼ぶ。狭義には揮発性有機溶剤抽出法で得られた精油を指す。有機溶剤抽出法(芳香成分を有機溶剤に溶かしだして得る)手間暇のかかる油脂吸着法にとって代わった方法。植物を有機溶剤(溶媒:石油エーテル、ヘキサン、ベンゼンなど)に浸し芳香物質を溶かし出した後、有機溶剤を気化させると芳香物質を含む半固形状の物質(ワックス。コンクリート)が残る。これをエチルアルコールに溶かし、−20℃〜−30℃で冷却すると芳香成分とワックス成分が分離する。その後アルコールを除去して精油を得る。水蒸気蒸留法と比べてたくさんの精油を抽出することができるという利点がある。また、水蒸気蒸留法のような熱の影響を受けないため、ローズやジャスミンなどの微妙な花の香りを得るには良い方法である。この方法で取りだした精油もアブソリュート(Abs.)と呼ばれる。しかし人体に有害である有機溶剤が少し残る場合もあり、この方法で取りだした「アブソリュート(Abs.)」を「精油」を区別する考え方もある。※油脂吸着法と有機溶剤抽出法で得られる(狭義の)エキストラクト、アブソリュート、コンクリート、オレオレジン、レジノイド、ティンクチャーは(広義の)エキストラクト(エキス)と総称される。 ティンクチャー(チンキ)植物(バニラやローズなど)を単にエタノールやウオッカなどに浸し芳香物質を溶かし出した後、そのままアルコール成分を除去しないものもあり、これはティンクチャー(チンキ)と呼ばれる。精油成分が溶けている液体である。食品用途のもの(薄めてハーブティーとして飲んだりする)はオレオレジン、化粧品用途のもの(化粧水やシャンプーなどに混ぜたりする)はレジノイドと呼ばれる。この方法で取り出した精油は油脂吸着法同様アブソリュート(Abs.)と呼ばれる。超臨界流体抽出法(液化ガスなどを超臨界状態にして芳香成分を溶かし出して得る)1970年後期に開発された方法。まず主に二酸化炭素などに高い圧力をかけ超臨界状態(超臨界流体)にする。この中に植物を入れておき芳香成分をその中に拡散・浸透させる。その後圧力を抜き流体を気化させると芳香成分だけ残る。この方法で取りだした精油もアブソリュート(Abs.)と呼ばれる。熱による成分の変質が無く、また有機溶剤抽出法のように有機溶剤が残るおそれが無いことから安全性が高い精油が得られるというメリットがある。しかし装置が高価なためあまり一般的でない。二酸化炭素を使いこの方法で抽出した精油を特にCO2エキストラクトまたはCO2と呼ぶことがある。圧搾法(物理的に圧力を加えて絞り出す)柑橘類は果皮の表面にある油胞に精油を含有しているので、果皮に圧力を加えて油胞を潰すことで精油を得ることができる。果皮を絞るスクイーズ法と果皮をおろしがねのようなもので擦るエキュエル法がある。現在では機械化されている。果汁と一緒に絞り精油を分離する方法もある。L-リモネンなどのテルペン類は熱による香調の劣化が激しいので、圧力をかけるときに発生するわずかな熱から香気成分を守るために、その際に冷却しながら圧搾処理することがある。冷却圧搾で得られた精油は特にコールド・プレスと呼ばれる。熱による変質を受けにくいので自然のままの香気を保てる一方、他の精油製造法に比べて不純物が混ざる可能性が高く、精油の品質の劣化が早いことが欠点である。
賞香期限[編集]
製品化された精油は、開封後約1年が目安となるものが多い。柑橘系(ベルガモット・レモンなど)は約半年とされる。香木系(サンダルウッドやパチュリーなど)のように歳を経るごとに質が良くなるものもある。しかし、期限内であっても濁ってきたり香りが変わってきたりしたら使用しないほうがよい。
主な精油[編集]
五十音順 (項目末尾のカッコ内は 科/抽出部位/その精油の一般的な抽出方法)
アニスシード(セリ科/種子/水蒸気蒸留法)
アンジェリカルート(セリ科/根/水蒸気蒸留法)
イニュラ(キク科/全草/水蒸気蒸留法)
イモーテル(キク科/花/水蒸気蒸留法)
イランイラン(バンレイシ科/花/水蒸気蒸留法)
エレミ(カンラン科/樹脂/水蒸気蒸留法)
オリスルート(ドイツアヤメ、イリス・パリダ)(アヤメ科/根/水蒸気蒸留法)
オールスパイス(フトモモ科/葉/水蒸気蒸留法)
カヌカ(フトモモ科/葉・茎/水蒸気蒸留法)
カボス(ミカン科/果皮/圧搾法)※変質しやすいために開封後の保存は要冷蔵である。
カモミール(ジャーマン・カモミール)(キク科/花/水蒸気蒸留法)
ローマン・カモミール(キク科/花/水蒸気蒸留法)
カユプテ(フトモモ科/葉・枝/水蒸気蒸留法)
カルダモン(ショウガ科/種子/水蒸気蒸留法)
ガルバナム(セリ科/樹脂/水蒸気蒸留法)
キャロットシード(セリ科/種子/水蒸気蒸留法)
キンモクセイ(モクセイ科/花/溶剤抽出法[ヘキサン])
クミン(セリ科/種子/水蒸気蒸留法)
クラリセージ(シソ科/全草/水蒸気蒸留法)
グレープフルーツ(ミカン科/果皮/圧搾法)
クローブ(フトモモ科/つぼみ/水蒸気蒸留法)
クロモジ(クスノキ科/葉・枝/水蒸気蒸留法)
ゲットウ(ショウガ科/葉/水蒸気蒸留法)
コパイバ(マメ科/樹脂/水蒸気蒸留法)
コリアンダー(セリ科/種子/水蒸気蒸留法)
サイプレス(ヒノキ科/葉・枝/水蒸気蒸留法)
サンダルウッド(ビャクダン科/木部/水蒸気蒸留法)
シストローズ(ハンニチバナ科/葉・枝/水蒸気蒸留法)
シソ(シソ科/葉/水蒸気蒸留法)
シダーウッド(マツ科/木部/水蒸気蒸留法)
シトロネラ(イネ科/全草/水蒸気蒸留法)
シナモンリーフ(クスノキ科/葉/水蒸気蒸留法)
ジャスミン(モクセイ科/花/溶剤抽出法[ヘキサン]または[アルコール])
ジュニパーベリー(ヒノキ科/果実/水蒸気蒸留法)
ジンジャー(ショウガ科/根/水蒸気蒸留法)
スイート・オレンジ(ミカン科/果皮/圧搾法)
スギ(スギ科/葉または木部/水蒸気蒸留法)
スターアニス(八角)(モクレン科/果実/水蒸気蒸留法)
スペアミント(シソ科/全草/水蒸気蒸留法)
セージ(シソ科/全草/水蒸気蒸留法)
ゼラニウム(ニオイテンジクアオイ)(フウロウソウ科/全草/水蒸気蒸留法)
セロリシード(セリ科/種子/水蒸気蒸留法)
セントジョーンズワート(オトギリソウ科/花/水蒸気蒸留法)
タイム(シソ科/全草/水蒸気蒸留法)
タジェット(キク科/花/水蒸気蒸留法)
タラゴン(キク科/全草/水蒸気蒸留法)
タンジェリン(ミカン科/果皮/圧搾法)
チューベローズ(リュウゼツラン科/花/溶剤抽出法[アルコール])
ティートリー(フトモモ科/葉/水蒸気蒸留法)
トンカビーンズ(マメ科/果実/溶剤抽出法[アルコール])
ディルシード(セリ科/種子/水蒸気蒸留法)
ナツメグ(ニクヅク科/実/水蒸気蒸留法)
ナルド(スパイクナード)(オミナエシ科/根/水蒸気蒸留法)
ニアウリ(フトモモ科/葉・枝/水蒸気蒸留法)
ニホンハッカ(シソ科/全草/水蒸気蒸留法)
ネロリ(ミカン科/ビターオレンジの花/水蒸気蒸留法、溶剤抽出法)
バイオレット・リーフ(スミレ科/葉/溶剤抽出法[アルコール])
パイン(マツ科/球果/水蒸気蒸留法)
バジル(シソ科/葉・花/水蒸気蒸留法)
パチュリー(シソ科/葉/水蒸気蒸留法)
バニラ(ラン科/果実/溶剤抽出法[アルコール])
パルマローザ(イネ科/葉/水蒸気蒸留法)
バレリアン(オミナエシ科/根/水蒸気蒸留法)
ヒソップ(シソ科/全草/水蒸気蒸留法)
ビター・オレンジ(ミカン科/果皮/圧搾法)
ヒノキ(ヒノキ科/木部/水蒸気蒸留法)
ヒバ(ヒノキ科/木部/水蒸気蒸留法)
フェンネル(セリ科/種子/水蒸気蒸留法)
プチグレイン(ミカン科/ビターオレンジの葉・枝/水蒸気蒸留法)
ブラックペパー(コショウ科/果実/水蒸気蒸留法)
フランジュパニ(プルメリア)(キョウチクトウ科/花/溶剤抽出法[アルコール])
フランキンセンス(フランクインセンス、乳香)(カンラン科/樹脂/水蒸気蒸留法)
ブルーサイプレス(ヒノキ科/木部/水蒸気蒸留法)※精油としては珍しい青色をした見た目にも美しい精油
ベイ(クスノキ科/葉/水蒸気蒸留法)
ベチバー(イネ科/根/水蒸気蒸留法)
ペパーミント(シソ科/全草/水蒸気蒸留法)
ベルガモット(ミカン科/果皮/圧搾法)
ベンゾイン(安息香)(エゴノキ科/樹脂/溶剤抽出法[アルコール])
マートル(フトモモ科/葉/水蒸気蒸留法)
マジョラム(シソ科/全草/水蒸気蒸留法)
マヌカ(フトモモ科/葉/水蒸気蒸留法)
マンダリン(ミカン科/果皮/圧搾法)
ミモザ(マメ科/花/溶剤抽出法[アルコール])
ミルラ(没薬)(カンラン科/樹脂/水蒸気蒸留法)
メリッサ(シソ科/花・葉/水蒸気蒸留法)
モミ(マツ科/葉・枝/水蒸気蒸留法)
ブルーヤロウ(キク科/花/水蒸気蒸留法)
ユズ(ミカン科/果皮/水蒸気蒸留法または圧搾法)※水蒸気蒸留法の方が一般的に柔らかく優しい香りと感じられる。変質しやすいため開封後の保存は要冷蔵である。
ユーカリ(フトモモ科/葉・枝/水蒸気蒸留法)
ライム(ミカン科/果皮/圧搾法または水蒸気蒸留法)
ラバンディン(シソ科/花・葉/水蒸気蒸留法)
ラベンサラ(クスノキ科/葉/水蒸気蒸留法)
ラベンダー(シソ科/花・葉/水蒸気蒸留法、溶剤抽出法)
リツェア・クベバ(クスノキ科/果実/水蒸気蒸留法)
リンデン(シナノキ科//)
レモン(ミカン科/果皮/圧搾法)
レモングラス(イネ科/全草/水蒸気蒸留法)
レモンバーベナ(クマツヅラ科/葉/水蒸気蒸留法)
レモンバーム(メリッサ)(シソ科/葉/水蒸気蒸留法)
レモンマートル(フトモモ科/葉・枝/水蒸気蒸留法)
アルバローズ(白バラ)(バラ科/花/水蒸気蒸留法)
ダマスクローズ(バラ科/花/水蒸気蒸留法、溶剤抽出法)
ローズウッド(クスノキ科/木部/水蒸気蒸留法)
ローズマリー(シソ科/花・葉/水蒸気蒸留法)
ロータス(スイレン科/花/溶剤抽出法[アルコール])
ロベージ(セリ科/根/水蒸気蒸留法)
ローレル(月桂樹)(クスノキ科/葉・枝/水蒸気蒸留法)
国産の精油柚子、檜、杉、ヒバ、月桃、紫蘇、カボス、薄荷、日向夏、へべす、清見、橙などの他に国産ラベンダーの精油もある。ケモタイプ/ct.学名は同じでも収穫年や産地・栽培方法などの生育環境などの違いにより成分の構成比率が著しく異なり、香りや作用に大きな差が生じる精油がある。これらを「ケモタイプ(科学種)/ct. 」として別の精油として扱う。タイム、カユプテ、ティートリー、ローズマリーなどにケモタイプが確認されている。
「精油」は100%天然物質であり、人工的に合成した物質を一切含まず、アルコール希釈などをしていない完全成分のものだけを指す。狭義では更に水蒸気蒸留法により抽出された精油に限定される。一般的にはハーブ葉の質量に対し0.01%〜0.2%程度しか含有せず、かつ、全量抽出するには6回から10回程度繰り返し同じ葉を蒸留しなければ得られない大変に貴重なものである(1.0kg=1000gの葉に対し1.0g=1.0cc=1.0ml程度の精油全量に対し、1回蒸留で0.1ml)。よって大量生産は考えにくく、安価なものにはできにくい。アロマオイルやポプリオイルなどと混同されることもままあるが、混ぜ物を含み大量生産されるそれらとは全く別物である。
植物における精油とその働き[編集]
一般に精油は植物の特殊な分泌腺で合成され、その近くの油細胞に蓄えられている。精油は植物にとって様々な有用な作用を及ぼす。香りの誘因効果により鳥や昆虫に受粉や種子の運搬を託す。また精油の苦みなどの忌避効果によって害虫やカビ(真菌)などの有害な菌から植物を守ることもある。他の植物の発芽や成長を抑える働きのある精油もある。また精油が汗のように蒸散することにより自らを冷却し太陽熱からその植物を守ることもある。
細菌やウイルス、虫などに対する作用[編集]
殺菌作用:バクテリアなどの細菌を殺す作用
抗菌作用:細菌の増殖を抑える作用
抗真菌作用:真菌(カビ)の増殖を抑える作用
抗ウイルス作用:ウイルスの増殖を抑える作用
殺虫・虫除け作用:虫を殺したり、除けたりする作用
ただし、薬事法の許可認可を受けていない精油を上記の効能を謳い販売・譲渡する行為は薬事法に違反する。
成分[編集]
植物に含まれる揮発性の有機化合物を精油(エッセンシャル・オイル、essential oil)という。一般的な植物油脂は不揮発性でグリセリンの脂肪酸エステルを主成分としているのに対し、精油はテルペンや芳香族化合物など(アルコール・アルデヒド・シトラール・ケトン、エステル、フェノール、炭化水素)を主成分としている。低沸点の香気成分を豊富に含むことが多い。人体にとっては植物ホルモンを含む強い生理活性作用物質である。
用途[編集]
特有の芳香を持つものが多く香料として使用される。また、香料としての働きも含めアロマテラピーにも使用される。精油の人体に及ぼす影響・効果・作用・毒性・利用法についてはアロマテラピーの項目を参照のこと。
香りの分類[編集]
植物の種類や抽出部位により次の7種類に分けられる。
1.ハーブ系 (ハーブの花や葉から抽出) クラリセージ、月桃、バジル、ペパーミント、マジョラムなど
2.柑橘系( 柑橘系の果物や、それに似た香りのハーブから抽出) オレンジ・スイート、グレープフルーツ、ベルガモット、レモン、レモングラス、レモンバーベナなど
3.フローラル系 (主に花から抽出) ジャスミン、ゼラニウム、ネロリ、ラベンダー、ローズオットーなど
4.オリエンタル系 (異国情緒が漂うエキゾチックな香り) イランイラン、サンダルウッド、パチュリ、ベチバーなど
5.樹脂系(天然樹脂系) (香木の樹脂から抽出) エレミ、フランキンセンス、ベンゾイン、ミルラなど
6.スパイス系 (料理のスパイスとして使われる香辛料から抽出) カルダモン、クローブ、シナモンリーフ、ジンジャー、ブラックペッパーなど
7.樹木系 (樹木の樹皮や枝、葉などから抽出) サイプレス、シダーウッド、ジュニパーベリー、ティートリー、パイン、プチグレイン、ユーカリなど
精油を採る植物[編集]
採る植物は多岐にわたる。オレンジのように花、葉、果実から異なる精油が得られるような植物もある。以下に主な採油植物とその部位を示す。
花・蕾: ローズ、ジャスミン、ネロリ(ビターオレンジの花)、カモミール、イランイラン
葉: ゼラニウム(ニオイテンジクアオイ)、ユーカリ、ティートリー
枝と葉: プチグレイン(ビターオレンジの枝と葉)
果皮: スィートオレンジ、ビターオレンジ、レモン、ライム、ベルガモットなどの柑橘類
果実・種子: コショウなど多くのスパイス類、ジュニパーベリー、バニラ
樹木・樹皮: ビャクダン(白檀、サンダルウッド)、マツ、ヒノキ、シナモン
樹脂: フランキンセンス(乳香、オリバナム)、ミルラ(没薬(もつやく))
根・根茎: ベチバー、スパイクナード、オリスルート
全草: ラベンダー、レモングラス、バジル、ローズマリー、ミントなどハーブ全般
精油を採る方法[編集]
水蒸気蒸留法(水蒸気で蒸して芳香成分を得る)広範な沸点分布を持つ精油成分を一度に留出させるには、水蒸気蒸留が適している。原理については水蒸気蒸留を参照。狭義の精油としては水蒸気蒸留で得られたもののみを指す(他の方法利用のものは「精油」と呼ばないという意)。100℃以上の熱がかかるので、熱による変質が起こる精油の採油方法としては適切でない。水蒸気の冷却後に得られる、精油とは分離された水の中には水溶性の芳香物質が微量に含まれていて「芳香蒸留水/ハイドロゾル」と言われる。これは一般的にフローラルウォーターなどと呼ばれる。油脂吸着法(油脂に芳香成分を吸わせる)脱臭した動物油脂などに植物を添加して精油を吸着させたのち、エタノールで精油のみを油脂から抽出する古典的な方法。古代エジプトの時代から行われていた熱を加える温浸法(マセラシオン)と、ルネサンス期に開発された室温で行う冷浸法(アンフルラージュ)がある。精油を吸着した油脂はポマードといい、そこからエタノールで抽出された精油はエキストラクト(エキス)、さらにそこからエタノールを蒸発させて除去したものはアブソリュート(Abs.)と呼ばれる。冷浸法では熱による変質の無い非常に高品質な精油が得られるが、時間と手間が掛かりすぎるため現在ではほとんど行われていない。 冷浸法(アンフルラージュ)ジャスミンやバラなど、主に花から精油を抽出する場合に使われる方法。動物性脂肪や植物油を塗ったトレーに花びらを並べて載せ、花びらに含まれる精油をトレーのオイルに吸収させる。その後、トレーに塗った動物性脂肪・植物油から精油を分離し純化させる。アブソリュート(Abs.) 油脂吸着法、揮発性有機溶剤抽出法、超臨界流体抽出法などで段階的な過程を経て最終的に得られた精油をアブソリュート(Abs.)と呼ぶ。狭義には揮発性有機溶剤抽出法で得られた精油を指す。有機溶剤抽出法(芳香成分を有機溶剤に溶かしだして得る)手間暇のかかる油脂吸着法にとって代わった方法。植物を有機溶剤(溶媒:石油エーテル、ヘキサン、ベンゼンなど)に浸し芳香物質を溶かし出した後、有機溶剤を気化させると芳香物質を含む半固形状の物質(ワックス。コンクリート)が残る。これをエチルアルコールに溶かし、−20℃〜−30℃で冷却すると芳香成分とワックス成分が分離する。その後アルコールを除去して精油を得る。水蒸気蒸留法と比べてたくさんの精油を抽出することができるという利点がある。また、水蒸気蒸留法のような熱の影響を受けないため、ローズやジャスミンなどの微妙な花の香りを得るには良い方法である。この方法で取りだした精油もアブソリュート(Abs.)と呼ばれる。しかし人体に有害である有機溶剤が少し残る場合もあり、この方法で取りだした「アブソリュート(Abs.)」を「精油」を区別する考え方もある。※油脂吸着法と有機溶剤抽出法で得られる(狭義の)エキストラクト、アブソリュート、コンクリート、オレオレジン、レジノイド、ティンクチャーは(広義の)エキストラクト(エキス)と総称される。 ティンクチャー(チンキ)植物(バニラやローズなど)を単にエタノールやウオッカなどに浸し芳香物質を溶かし出した後、そのままアルコール成分を除去しないものもあり、これはティンクチャー(チンキ)と呼ばれる。精油成分が溶けている液体である。食品用途のもの(薄めてハーブティーとして飲んだりする)はオレオレジン、化粧品用途のもの(化粧水やシャンプーなどに混ぜたりする)はレジノイドと呼ばれる。この方法で取り出した精油は油脂吸着法同様アブソリュート(Abs.)と呼ばれる。超臨界流体抽出法(液化ガスなどを超臨界状態にして芳香成分を溶かし出して得る)1970年後期に開発された方法。まず主に二酸化炭素などに高い圧力をかけ超臨界状態(超臨界流体)にする。この中に植物を入れておき芳香成分をその中に拡散・浸透させる。その後圧力を抜き流体を気化させると芳香成分だけ残る。この方法で取りだした精油もアブソリュート(Abs.)と呼ばれる。熱による成分の変質が無く、また有機溶剤抽出法のように有機溶剤が残るおそれが無いことから安全性が高い精油が得られるというメリットがある。しかし装置が高価なためあまり一般的でない。二酸化炭素を使いこの方法で抽出した精油を特にCO2エキストラクトまたはCO2と呼ぶことがある。圧搾法(物理的に圧力を加えて絞り出す)柑橘類は果皮の表面にある油胞に精油を含有しているので、果皮に圧力を加えて油胞を潰すことで精油を得ることができる。果皮を絞るスクイーズ法と果皮をおろしがねのようなもので擦るエキュエル法がある。現在では機械化されている。果汁と一緒に絞り精油を分離する方法もある。L-リモネンなどのテルペン類は熱による香調の劣化が激しいので、圧力をかけるときに発生するわずかな熱から香気成分を守るために、その際に冷却しながら圧搾処理することがある。冷却圧搾で得られた精油は特にコールド・プレスと呼ばれる。熱による変質を受けにくいので自然のままの香気を保てる一方、他の精油製造法に比べて不純物が混ざる可能性が高く、精油の品質の劣化が早いことが欠点である。
賞香期限[編集]
製品化された精油は、開封後約1年が目安となるものが多い。柑橘系(ベルガモット・レモンなど)は約半年とされる。香木系(サンダルウッドやパチュリーなど)のように歳を経るごとに質が良くなるものもある。しかし、期限内であっても濁ってきたり香りが変わってきたりしたら使用しないほうがよい。
主な精油[編集]
五十音順 (項目末尾のカッコ内は 科/抽出部位/その精油の一般的な抽出方法)
アニスシード(セリ科/種子/水蒸気蒸留法)
アンジェリカルート(セリ科/根/水蒸気蒸留法)
イニュラ(キク科/全草/水蒸気蒸留法)
イモーテル(キク科/花/水蒸気蒸留法)
イランイラン(バンレイシ科/花/水蒸気蒸留法)
エレミ(カンラン科/樹脂/水蒸気蒸留法)
オリスルート(ドイツアヤメ、イリス・パリダ)(アヤメ科/根/水蒸気蒸留法)
オールスパイス(フトモモ科/葉/水蒸気蒸留法)
カヌカ(フトモモ科/葉・茎/水蒸気蒸留法)
カボス(ミカン科/果皮/圧搾法)※変質しやすいために開封後の保存は要冷蔵である。
カモミール(ジャーマン・カモミール)(キク科/花/水蒸気蒸留法)
ローマン・カモミール(キク科/花/水蒸気蒸留法)
カユプテ(フトモモ科/葉・枝/水蒸気蒸留法)
カルダモン(ショウガ科/種子/水蒸気蒸留法)
ガルバナム(セリ科/樹脂/水蒸気蒸留法)
キャロットシード(セリ科/種子/水蒸気蒸留法)
キンモクセイ(モクセイ科/花/溶剤抽出法[ヘキサン])
クミン(セリ科/種子/水蒸気蒸留法)
クラリセージ(シソ科/全草/水蒸気蒸留法)
グレープフルーツ(ミカン科/果皮/圧搾法)
クローブ(フトモモ科/つぼみ/水蒸気蒸留法)
クロモジ(クスノキ科/葉・枝/水蒸気蒸留法)
ゲットウ(ショウガ科/葉/水蒸気蒸留法)
コパイバ(マメ科/樹脂/水蒸気蒸留法)
コリアンダー(セリ科/種子/水蒸気蒸留法)
サイプレス(ヒノキ科/葉・枝/水蒸気蒸留法)
サンダルウッド(ビャクダン科/木部/水蒸気蒸留法)
シストローズ(ハンニチバナ科/葉・枝/水蒸気蒸留法)
シソ(シソ科/葉/水蒸気蒸留法)
シダーウッド(マツ科/木部/水蒸気蒸留法)
シトロネラ(イネ科/全草/水蒸気蒸留法)
シナモンリーフ(クスノキ科/葉/水蒸気蒸留法)
ジャスミン(モクセイ科/花/溶剤抽出法[ヘキサン]または[アルコール])
ジュニパーベリー(ヒノキ科/果実/水蒸気蒸留法)
ジンジャー(ショウガ科/根/水蒸気蒸留法)
スイート・オレンジ(ミカン科/果皮/圧搾法)
スギ(スギ科/葉または木部/水蒸気蒸留法)
スターアニス(八角)(モクレン科/果実/水蒸気蒸留法)
スペアミント(シソ科/全草/水蒸気蒸留法)
セージ(シソ科/全草/水蒸気蒸留法)
ゼラニウム(ニオイテンジクアオイ)(フウロウソウ科/全草/水蒸気蒸留法)
セロリシード(セリ科/種子/水蒸気蒸留法)
セントジョーンズワート(オトギリソウ科/花/水蒸気蒸留法)
タイム(シソ科/全草/水蒸気蒸留法)
タジェット(キク科/花/水蒸気蒸留法)
タラゴン(キク科/全草/水蒸気蒸留法)
タンジェリン(ミカン科/果皮/圧搾法)
チューベローズ(リュウゼツラン科/花/溶剤抽出法[アルコール])
ティートリー(フトモモ科/葉/水蒸気蒸留法)
トンカビーンズ(マメ科/果実/溶剤抽出法[アルコール])
ディルシード(セリ科/種子/水蒸気蒸留法)
ナツメグ(ニクヅク科/実/水蒸気蒸留法)
ナルド(スパイクナード)(オミナエシ科/根/水蒸気蒸留法)
ニアウリ(フトモモ科/葉・枝/水蒸気蒸留法)
ニホンハッカ(シソ科/全草/水蒸気蒸留法)
ネロリ(ミカン科/ビターオレンジの花/水蒸気蒸留法、溶剤抽出法)
バイオレット・リーフ(スミレ科/葉/溶剤抽出法[アルコール])
パイン(マツ科/球果/水蒸気蒸留法)
バジル(シソ科/葉・花/水蒸気蒸留法)
パチュリー(シソ科/葉/水蒸気蒸留法)
バニラ(ラン科/果実/溶剤抽出法[アルコール])
パルマローザ(イネ科/葉/水蒸気蒸留法)
バレリアン(オミナエシ科/根/水蒸気蒸留法)
ヒソップ(シソ科/全草/水蒸気蒸留法)
ビター・オレンジ(ミカン科/果皮/圧搾法)
ヒノキ(ヒノキ科/木部/水蒸気蒸留法)
ヒバ(ヒノキ科/木部/水蒸気蒸留法)
フェンネル(セリ科/種子/水蒸気蒸留法)
プチグレイン(ミカン科/ビターオレンジの葉・枝/水蒸気蒸留法)
ブラックペパー(コショウ科/果実/水蒸気蒸留法)
フランジュパニ(プルメリア)(キョウチクトウ科/花/溶剤抽出法[アルコール])
フランキンセンス(フランクインセンス、乳香)(カンラン科/樹脂/水蒸気蒸留法)
ブルーサイプレス(ヒノキ科/木部/水蒸気蒸留法)※精油としては珍しい青色をした見た目にも美しい精油
ベイ(クスノキ科/葉/水蒸気蒸留法)
ベチバー(イネ科/根/水蒸気蒸留法)
ペパーミント(シソ科/全草/水蒸気蒸留法)
ベルガモット(ミカン科/果皮/圧搾法)
ベンゾイン(安息香)(エゴノキ科/樹脂/溶剤抽出法[アルコール])
マートル(フトモモ科/葉/水蒸気蒸留法)
マジョラム(シソ科/全草/水蒸気蒸留法)
マヌカ(フトモモ科/葉/水蒸気蒸留法)
マンダリン(ミカン科/果皮/圧搾法)
ミモザ(マメ科/花/溶剤抽出法[アルコール])
ミルラ(没薬)(カンラン科/樹脂/水蒸気蒸留法)
メリッサ(シソ科/花・葉/水蒸気蒸留法)
モミ(マツ科/葉・枝/水蒸気蒸留法)
ブルーヤロウ(キク科/花/水蒸気蒸留法)
ユズ(ミカン科/果皮/水蒸気蒸留法または圧搾法)※水蒸気蒸留法の方が一般的に柔らかく優しい香りと感じられる。変質しやすいため開封後の保存は要冷蔵である。
ユーカリ(フトモモ科/葉・枝/水蒸気蒸留法)
ライム(ミカン科/果皮/圧搾法または水蒸気蒸留法)
ラバンディン(シソ科/花・葉/水蒸気蒸留法)
ラベンサラ(クスノキ科/葉/水蒸気蒸留法)
ラベンダー(シソ科/花・葉/水蒸気蒸留法、溶剤抽出法)
リツェア・クベバ(クスノキ科/果実/水蒸気蒸留法)
リンデン(シナノキ科//)
レモン(ミカン科/果皮/圧搾法)
レモングラス(イネ科/全草/水蒸気蒸留法)
レモンバーベナ(クマツヅラ科/葉/水蒸気蒸留法)
レモンバーム(メリッサ)(シソ科/葉/水蒸気蒸留法)
レモンマートル(フトモモ科/葉・枝/水蒸気蒸留法)
アルバローズ(白バラ)(バラ科/花/水蒸気蒸留法)
ダマスクローズ(バラ科/花/水蒸気蒸留法、溶剤抽出法)
ローズウッド(クスノキ科/木部/水蒸気蒸留法)
ローズマリー(シソ科/花・葉/水蒸気蒸留法)
ロータス(スイレン科/花/溶剤抽出法[アルコール])
ロベージ(セリ科/根/水蒸気蒸留法)
ローレル(月桂樹)(クスノキ科/葉・枝/水蒸気蒸留法)
国産の精油柚子、檜、杉、ヒバ、月桃、紫蘇、カボス、薄荷、日向夏、へべす、清見、橙などの他に国産ラベンダーの精油もある。ケモタイプ/ct.学名は同じでも収穫年や産地・栽培方法などの生育環境などの違いにより成分の構成比率が著しく異なり、香りや作用に大きな差が生じる精油がある。これらを「ケモタイプ(科学種)/ct. 」として別の精油として扱う。タイム、カユプテ、ティートリー、ローズマリーなどにケモタイプが確認されている。
ミント
ミント (Mint) はシソ科ハッカ属(ミント属、メンタ属)の総称。ほとんどは多年草だが、一年草の種も少しある。
ミントおよび学名・メンタはギリシャ神話に登場するニンフのメンテーに由来する。和名はハッカ(薄荷)だが、この名はミントの1種ニホンハッカを意味することもある。
産地[編集]
ユーラシア大陸原産。
特徴[編集]
繁殖力が旺盛であり、零れ種と地下茎により繁殖する。畑地などに地植えすると駆除が容易ではなくなり、しばしば雑草扱いされるほどである。
利用[編集]
カクテルのモヒート
ハーブとして料理、カクテルや菓子、薬用酒などの材料となるほか、精油(エッセンシャルオイル)は香料として食品や歯磨き粉に添加されたり、アロマテラピーに用いられる。また、成分として含まれるメントールを抽出する。メントールはミントの爽快味、冷涼感の主体となる成分である。モロッコでは緑茶と生のミントを混ぜたお茶を飲む。
漢方薬(生薬名:薄荷葉(はっかよう))としても清涼、解熱、発汗、健胃などの目的で用いられる。
ミントから精油を取るには、ミントの全草を蒸気釜に隙間無く充填し、釜内に高圧水蒸気を吹き込む。排出される蒸気を冷却した後、水と分離した上澄みのオイル部分を採取する(水蒸気蒸留)。
種類[編集]
変種が出来やすく600種を超えると言われるほど多種多様な種がある。
ペパーミント系とスペアミント系[編集]
主に
ペパーミント系
スペアミント系
などに分けられる。
ペパーミント系は香りが強く、メントールの含有量も多い。東アジア原産のニホンハッカ(和種薄荷(わしゅはっか))もここに含まれる。チューインガムやキャンディに多く用いられる。
スペアミント系の香りは比較的弱く、甘い香りがある。チューインガム、歯磨き粉などに用いられる。スペアミントの香りの主体はl-カルボンである。
主な種[編集]
Mentha aquatica - ウォーターミント、ミズハッカ (Water Mint, Marsh Mint)
Mentha arvensis - コーンミント、ヨウシュハッカ (Corn Mint, Wild Mint, Field Mint)
Mentha asiatica - アジアンミント (Asian Mint)
Mentha australis - オーストラリアンミント (Australian Mint)
Mentha canadensis - ニホンハッカ (Japanese Peppermint)
Mentha cervina - ハーツペニーロイヤルミント (Hart's Pennyroyal)
Mentha citrata - ベルガモットミント、ベルガモットハッカ (Bergamot Mint)
Mentha crispata - Wrinkled-leaf Mint
Mentha cunninghamia
Mentha dahurica - Dahurian Thyme
Mentha diemenica - Slender Mint
Mentha gattefossei
Mentha gentilis
Mentha grandiflora
Mentha haplocalyx - タイワンハッカ
Mentha japonica - ヒメハッカ
Mentha kopetdaghensis
Mentha laxiflora - フォレストミント (Forest Mint)
Mentha longifolia - ホースミント (Horse Mint)
Mentha nemorosa - Large Apple Mint, Foxtail Mint, Hairy Mint, Cuban Mint
Mentha pulegium - ペニーロイヤルミント、メグサハッカ (Pennyroyal)
Mentha requienii - コルシカミント (Corsican Mint)
Mentha royleani
Mentha sachalinensis
Mentha satureioides - Native Pennyroyal
Mentha spicata - スペアミント、ミドリハッカ (Spearmint, Curly Mint)
Mentha suaveolens - アップルミント、マルバハッカ(M. × rotundifoliaもマルバハッカという)(Apple Mint, Pineapple Mint)
Mentha vagans - Gray Mint
主な雑種[編集]
Mentha × gracilis - ジンジャーミント (Ginger Mint)
Mentha × piperita - ペパーミント、セイヨウハッカ (Peppermint)
Mentha × rotundifolia (M. longifolia × M. suaveolens) - マルバハッカ(M. suaveolensもマルバハッカという)(False Apple-mint)
Mentha × smithiana (M. aquatica × M. arvensis × M. spicata) - Red Raripila Mint
Mentha × villosa (M. spicata × M. suaveolens; syn. M. cordifolia) - ケンタッキーカーネルミント、ボールズミント
Mentha × villosonervata (M. longifolia × M. spicata) - Sharp-toothed Mint
ミントおよび学名・メンタはギリシャ神話に登場するニンフのメンテーに由来する。和名はハッカ(薄荷)だが、この名はミントの1種ニホンハッカを意味することもある。
産地[編集]
ユーラシア大陸原産。
特徴[編集]
繁殖力が旺盛であり、零れ種と地下茎により繁殖する。畑地などに地植えすると駆除が容易ではなくなり、しばしば雑草扱いされるほどである。
利用[編集]
カクテルのモヒート
ハーブとして料理、カクテルや菓子、薬用酒などの材料となるほか、精油(エッセンシャルオイル)は香料として食品や歯磨き粉に添加されたり、アロマテラピーに用いられる。また、成分として含まれるメントールを抽出する。メントールはミントの爽快味、冷涼感の主体となる成分である。モロッコでは緑茶と生のミントを混ぜたお茶を飲む。
漢方薬(生薬名:薄荷葉(はっかよう))としても清涼、解熱、発汗、健胃などの目的で用いられる。
ミントから精油を取るには、ミントの全草を蒸気釜に隙間無く充填し、釜内に高圧水蒸気を吹き込む。排出される蒸気を冷却した後、水と分離した上澄みのオイル部分を採取する(水蒸気蒸留)。
種類[編集]
変種が出来やすく600種を超えると言われるほど多種多様な種がある。
ペパーミント系とスペアミント系[編集]
主に
ペパーミント系
スペアミント系
などに分けられる。
ペパーミント系は香りが強く、メントールの含有量も多い。東アジア原産のニホンハッカ(和種薄荷(わしゅはっか))もここに含まれる。チューインガムやキャンディに多く用いられる。
スペアミント系の香りは比較的弱く、甘い香りがある。チューインガム、歯磨き粉などに用いられる。スペアミントの香りの主体はl-カルボンである。
主な種[編集]
Mentha aquatica - ウォーターミント、ミズハッカ (Water Mint, Marsh Mint)
Mentha arvensis - コーンミント、ヨウシュハッカ (Corn Mint, Wild Mint, Field Mint)
Mentha asiatica - アジアンミント (Asian Mint)
Mentha australis - オーストラリアンミント (Australian Mint)
Mentha canadensis - ニホンハッカ (Japanese Peppermint)
Mentha cervina - ハーツペニーロイヤルミント (Hart's Pennyroyal)
Mentha citrata - ベルガモットミント、ベルガモットハッカ (Bergamot Mint)
Mentha crispata - Wrinkled-leaf Mint
Mentha cunninghamia
Mentha dahurica - Dahurian Thyme
Mentha diemenica - Slender Mint
Mentha gattefossei
Mentha gentilis
Mentha grandiflora
Mentha haplocalyx - タイワンハッカ
Mentha japonica - ヒメハッカ
Mentha kopetdaghensis
Mentha laxiflora - フォレストミント (Forest Mint)
Mentha longifolia - ホースミント (Horse Mint)
Mentha nemorosa - Large Apple Mint, Foxtail Mint, Hairy Mint, Cuban Mint
Mentha pulegium - ペニーロイヤルミント、メグサハッカ (Pennyroyal)
Mentha requienii - コルシカミント (Corsican Mint)
Mentha royleani
Mentha sachalinensis
Mentha satureioides - Native Pennyroyal
Mentha spicata - スペアミント、ミドリハッカ (Spearmint, Curly Mint)
Mentha suaveolens - アップルミント、マルバハッカ(M. × rotundifoliaもマルバハッカという)(Apple Mint, Pineapple Mint)
Mentha vagans - Gray Mint
主な雑種[編集]
Mentha × gracilis - ジンジャーミント (Ginger Mint)
Mentha × piperita - ペパーミント、セイヨウハッカ (Peppermint)
Mentha × rotundifolia (M. longifolia × M. suaveolens) - マルバハッカ(M. suaveolensもマルバハッカという)(False Apple-mint)
Mentha × smithiana (M. aquatica × M. arvensis × M. spicata) - Red Raripila Mint
Mentha × villosa (M. spicata × M. suaveolens; syn. M. cordifolia) - ケンタッキーカーネルミント、ボールズミント
Mentha × villosonervata (M. longifolia × M. spicata) - Sharp-toothed Mint
香辛料
香辛料(こうしんりょう - Spices)とは調味料の一種で、植物から採取され、調理の際に香りや辛味、色をだすものの総称である。食事をおいしくしたり、食欲を増進させたりする。香料として食品に添加されるものも多数ある。
概説[編集]
展示され売られるスパイス(エジプトにて)
料理に香辛料を加えることにより、味に変化が生まれ、おいしく感じさせたり食欲を増進させる効果がある。独特の臭みを持つ食材に対しては、臭み消しとして利用される。ひき肉に対するナツメグや、魚に対するショウガなどがその典型的な例である。臭みが感じられなくなるおかげで、素材の旨味が引き立つ。
また香辛料は、匂いの強い食品や保存による腐敗臭を抑える効果がある。このため、胡椒などは大航海時代の保存食に必要な素材として珍重され、同時に輸入や生産地の確保が航海の主要な目的の一つとなった。香辛料は一般に防腐、殺菌作用が強いと信じている人は多いが、必ずしもそのような効果を持つとは言えない。
ほとんどの香辛料は、植物の実や種子や球根そのものや、それらを乾燥させたもの、乾燥の後に細かくしたり粉にしたものである。たいてい少量で強い効果を持つので、家庭用には10cm程度の大きさの小ビンに入れられて売られていることが多い。
香辛料の味や効能を特徴づける成分には、テルペン類、フェニルプロパノイド、アルカロイドなどがある。多様なアルカロイドのうちには生物活性が強いものが多く、毒物になっているものもある。
英語ではspiceといい、日本でも香辛料を「スパイス」と呼ぶことが多い。香辛料が料理の味に特徴を加えることから転じて、物事にちょっとした特徴を加えて目立つようにしたり気の利いたものにすることを、「スパイスを利かせる」と表現することがある。
香辛料と歴史[編集]
インドにおいては紀元前3000年頃からすでに黒胡椒やクローブ等の多くの香辛料が使われていた。 ヨーロッパの人々の多くは、古くから肉や魚を多く食べていたが、内陸まで食材を運んだり冬期に備えたりするために肉や魚を長期保存する必要があった。クローブや胡椒などには高い防腐作用があると考えられたため、食材の保存には欠かせないものとなった(実際には胡椒の防腐作用は小さい)。また、腐敗を防止する効能により、その香りが病魔を退治すると信じられており、香として焚いて用いる用途も多かった。さらに、水がそれほど豊富でない地域では、体の洗浄不足と肉食が相まって体臭が問題になり、このことが香辛料の強い香りを求める要因にもなった。
クローブ、ナツメグなど一部の香辛料はインドネシアのモルッカ諸島でのみ産出した。また胡椒はインド東海岸やスマトラ島で多く生産された。このため、これらの地域と交易を行なって香辛料を手に入れることが、国を保つために大事なこととなった。すなわち、香辛料がヨーロッパの人々を世界進出に駆り立てた。造船技術や天文学などの科学技術の発達によって長期の航海が可能となった時、大航海時代の幕が開けた。ヨーロッパ人は大挙して新大陸やアジアに進出し、植民や、現地住民に対して略奪、虐殺、強制を伴ったキリスト教への改宗を実行していった。
古代ローマ時代には東洋の香辛料がインド経由でヨーロッパに輸出されている。中世にはムスリム商人がインド洋における香辛料貿易を独占し、ヨーロッパではヴェネツィア共和国がエジプトのマムルーク朝やオスマン帝国からの輸入を独占した。ポルトガルはヴェネツィアの香辛料貿易独占を打破するために喜望峰経由のインド航路を発見し、貿易を独占しようとした。(ポルトガル海上帝国参照。)
このように、当初は東側に向けて香辛料を求める進出が続いたが、貿易の主導権の争いは熾烈なものとなっていったため、一部の人たちは西側にも目を向けるようになった。クリストファー・コロンブスもその一人で、1492年にスペインから西に出帆した。結局のところ、彼は香辛料の主産地であるインドやインドネシアには到達できなかったが、アメリカ大陸に到達し、その存在をヨーロッパ人に知らしめた。彼の目的地がインドであったことは、当初アメリカ大陸をインドと勘違いし、そこに住む先住民を「インディオ」と呼んだことに色濃く残っている。この呼称は現在に至るまで残っている。
17世紀に入ると、オランダがアジアに進出してポルトガルと争い、モルッカ諸島やスマトラ島を直接支配下に置いた。近代になると香辛料は各地で栽培されるようになり、貿易における重要性は薄れる。
日本と香辛料[編集]
古くは古事記中に「はじかみ」(波士加美、波之加美)に関する記述が見られる。 これは当時の日本に知られていた香辛料類、すなわちショウガやサンショウを指す総称であった。
東大寺正倉院に遺る献納目録『種々薬帳』(756年)には舶来生薬類の名が多く記載され、中には「胡椒」「畢撥(ヒハツ)[1]」「桂心(=桂皮)」などの名も見られる。 目録の名からもわかるとおりこうした香辛料類はまず薬品として日本にもたらされ、種類によってはその後長期にわたって漢方薬の材料などに使われたのであったが、いっぽうで、ヨーロッパのようにこれらを料理に用い、さかんに輸入・消費していくような気運は、結局日本では生まれなかった。 その背景には日本人が肉食をほとんど行わなかったこと、また発酵調味料を積極的に利用したことなどから、香辛料への潜在的需要が本来低かったということが大きい。
とはいえ中世期になると、より身近な地産の草菜類を利用して、「薬味」「加薬(かやく)」などの概念が発展しはじめる。
江戸時代には日本料理でも薬味の使用が発達しはじめ、当時の料理書『素人包丁』には、「鯛飯」の項に「加益(カヤク)はおろし大根、ネギ、のり、とうがらし」と記されている。大根・葱・紫蘇・芥子・生姜・山葵といった香辛料が特に薬味として好まれ、多用された(特にネギは日本料理に欠かせない存在となり、ダイコンは大根おろしなどの形で大量に用いられた)。そのほか、料理書には山椒、ゆず、肉桂(シナモン)などを使った例がいくつかみられた。胡椒も一時期、うどんの薬味として使われた事があるが、唐辛子の普及により廃れた(近畿などでは現在でも胡椒が用いられている)。その唐辛子はかなり普及し、日本独自のブレンド香辛料である七味唐辛子も登場したが、これらはいずれも風味付け程度の少量の利用にとどまった。
大正時代の頃になるとカレーライスを食べさせる店などが少しずつ創業するようになり、刺激の強いカレーの味覚も少しずつ日本人の知るものとなっていった。 また、カレー粉はいちはやく家庭に普及したブレンド香辛料である。
第二次世界大戦後は生活の洋風化がすすみ、さまざまな香辛料の輸入量も増加の一途をたどった。経済成長を経て社会が豊かになると、本格的な欧風料理やいわゆるエスニック料理などを広くたのしむようになり、現在では様々な香辛料類が家庭内にも常備されるようになっている。
安全性[編集]
医薬品との相互作用[編集]
幾つかの香辛料には医薬品の作用を強くしたり、逆に作用を弱めるものがあることが知られている。食品の例では「納豆と抗凝血薬」の組合せはビタミンKとワルファリンの相互作用として、「グレープフルーツ果汁とCa拮抗薬」の組合せは薬物代謝酵素シトクロムP450 (CYP)の阻害の相互作用として知られている。香辛料では黒胡椒、白胡椒、シナモン、メース、ナツメグなどはシトクロムP450(CYP3A4)またはCYP2C9を阻害する成分を含む[2]が、医学的な研究は不十分である。
微生物による汚染[編集]
香辛料の独特の臭気(香り)の多くは、加熱により揮発あるいは変質してしまう。従って、多くの場合、生産から流通の各段階において加熱殺菌(滅菌)は行われない。その為、食中毒の原因となりうる微生物が混入している場合がある[3]。日本では認可されていないが、アメリカ合衆国、カナダ、全EU加盟国、オーストラリアなどでは放射線などの食品照射処理により殺菌処理した物品が流通している。
代表的な香辛料[編集]
単一の素材のもの[編集]
アサフェティダ(ヒング)
アジョワン
アニス
オールスパイス(百味胡椒、三香子)
オニオン(玉葱)
オレガノ(花薄荷)
カホクザンショウ(華北山椒、花椒)
カルダモン(イライチ)
カレーリーフ(南洋山椒、カリ・パッタ)
キャラウェイ(姫茴香)
クミン(ジーラ、キュマン)
グリーンペッパー(緑胡椒)
クローブ(丁字、ローング)
コショウ(ペッパー、カリ・ミルチ、サフェダ・ミルチ)
コリアンダー(ダニヤ、香菜、パクチー、コエンドロ)
サフラン(ケサル、番紅花)
サンショウ(山椒)
シソ(紫蘇)
シナモン(肉桂、ダルチニ)
ショウガ(生姜、ジンジャー)
スターアニス(八角、大茴香)
セージ
タイム
ターメリック(鬱金、ハルディ)
タデ(蓼、water pepper)
タラゴン(エストラゴン)
ディル(イノンド)
唐辛子、一味唐辛子(チリ、レッドペッパー、ラル・ミルチ)
ナツメグ(肉荳蒄、メース、ジャイファル、ジャビトゥリ)
ニンニク(大蒜、ガーリック)
バニラ
ハラペーニョ
ニラ
ネギ
パプリカ(甘唐辛子)
フェヌグリーク(メティ)
フェンネル(フェネル、茴香、ソーンフ)
ブラッククミン(カロジレ)
ホースラディッシュ(セイヨウワサビ)
ミント
ポピー・シード(けしの実、カスカス)
マージョラム(マヨラナ、スイートマージョラム、ハナハッカ)
マスタード(辛子、ライ、洋芥子)
ミョウガ(茗荷)
ラッキョウ
ラディッシュ(大根)
ローズマリー
ローリエ(月桂樹の葉、ベイリーフ、テジ・パッタ)
ワサビ(山葵)
ブレンドしたもの[編集]
五香粉
ガラムマサラ
カレー粉
七味唐辛子
チリパウダー
花椒塩
柚子胡椒(柚子唐辛子)
唐辛子味噌
ハリッサ
概説[編集]
展示され売られるスパイス(エジプトにて)
料理に香辛料を加えることにより、味に変化が生まれ、おいしく感じさせたり食欲を増進させる効果がある。独特の臭みを持つ食材に対しては、臭み消しとして利用される。ひき肉に対するナツメグや、魚に対するショウガなどがその典型的な例である。臭みが感じられなくなるおかげで、素材の旨味が引き立つ。
また香辛料は、匂いの強い食品や保存による腐敗臭を抑える効果がある。このため、胡椒などは大航海時代の保存食に必要な素材として珍重され、同時に輸入や生産地の確保が航海の主要な目的の一つとなった。香辛料は一般に防腐、殺菌作用が強いと信じている人は多いが、必ずしもそのような効果を持つとは言えない。
ほとんどの香辛料は、植物の実や種子や球根そのものや、それらを乾燥させたもの、乾燥の後に細かくしたり粉にしたものである。たいてい少量で強い効果を持つので、家庭用には10cm程度の大きさの小ビンに入れられて売られていることが多い。
香辛料の味や効能を特徴づける成分には、テルペン類、フェニルプロパノイド、アルカロイドなどがある。多様なアルカロイドのうちには生物活性が強いものが多く、毒物になっているものもある。
英語ではspiceといい、日本でも香辛料を「スパイス」と呼ぶことが多い。香辛料が料理の味に特徴を加えることから転じて、物事にちょっとした特徴を加えて目立つようにしたり気の利いたものにすることを、「スパイスを利かせる」と表現することがある。
香辛料と歴史[編集]
インドにおいては紀元前3000年頃からすでに黒胡椒やクローブ等の多くの香辛料が使われていた。 ヨーロッパの人々の多くは、古くから肉や魚を多く食べていたが、内陸まで食材を運んだり冬期に備えたりするために肉や魚を長期保存する必要があった。クローブや胡椒などには高い防腐作用があると考えられたため、食材の保存には欠かせないものとなった(実際には胡椒の防腐作用は小さい)。また、腐敗を防止する効能により、その香りが病魔を退治すると信じられており、香として焚いて用いる用途も多かった。さらに、水がそれほど豊富でない地域では、体の洗浄不足と肉食が相まって体臭が問題になり、このことが香辛料の強い香りを求める要因にもなった。
クローブ、ナツメグなど一部の香辛料はインドネシアのモルッカ諸島でのみ産出した。また胡椒はインド東海岸やスマトラ島で多く生産された。このため、これらの地域と交易を行なって香辛料を手に入れることが、国を保つために大事なこととなった。すなわち、香辛料がヨーロッパの人々を世界進出に駆り立てた。造船技術や天文学などの科学技術の発達によって長期の航海が可能となった時、大航海時代の幕が開けた。ヨーロッパ人は大挙して新大陸やアジアに進出し、植民や、現地住民に対して略奪、虐殺、強制を伴ったキリスト教への改宗を実行していった。
古代ローマ時代には東洋の香辛料がインド経由でヨーロッパに輸出されている。中世にはムスリム商人がインド洋における香辛料貿易を独占し、ヨーロッパではヴェネツィア共和国がエジプトのマムルーク朝やオスマン帝国からの輸入を独占した。ポルトガルはヴェネツィアの香辛料貿易独占を打破するために喜望峰経由のインド航路を発見し、貿易を独占しようとした。(ポルトガル海上帝国参照。)
このように、当初は東側に向けて香辛料を求める進出が続いたが、貿易の主導権の争いは熾烈なものとなっていったため、一部の人たちは西側にも目を向けるようになった。クリストファー・コロンブスもその一人で、1492年にスペインから西に出帆した。結局のところ、彼は香辛料の主産地であるインドやインドネシアには到達できなかったが、アメリカ大陸に到達し、その存在をヨーロッパ人に知らしめた。彼の目的地がインドであったことは、当初アメリカ大陸をインドと勘違いし、そこに住む先住民を「インディオ」と呼んだことに色濃く残っている。この呼称は現在に至るまで残っている。
17世紀に入ると、オランダがアジアに進出してポルトガルと争い、モルッカ諸島やスマトラ島を直接支配下に置いた。近代になると香辛料は各地で栽培されるようになり、貿易における重要性は薄れる。
日本と香辛料[編集]
古くは古事記中に「はじかみ」(波士加美、波之加美)に関する記述が見られる。 これは当時の日本に知られていた香辛料類、すなわちショウガやサンショウを指す総称であった。
東大寺正倉院に遺る献納目録『種々薬帳』(756年)には舶来生薬類の名が多く記載され、中には「胡椒」「畢撥(ヒハツ)[1]」「桂心(=桂皮)」などの名も見られる。 目録の名からもわかるとおりこうした香辛料類はまず薬品として日本にもたらされ、種類によってはその後長期にわたって漢方薬の材料などに使われたのであったが、いっぽうで、ヨーロッパのようにこれらを料理に用い、さかんに輸入・消費していくような気運は、結局日本では生まれなかった。 その背景には日本人が肉食をほとんど行わなかったこと、また発酵調味料を積極的に利用したことなどから、香辛料への潜在的需要が本来低かったということが大きい。
とはいえ中世期になると、より身近な地産の草菜類を利用して、「薬味」「加薬(かやく)」などの概念が発展しはじめる。
江戸時代には日本料理でも薬味の使用が発達しはじめ、当時の料理書『素人包丁』には、「鯛飯」の項に「加益(カヤク)はおろし大根、ネギ、のり、とうがらし」と記されている。大根・葱・紫蘇・芥子・生姜・山葵といった香辛料が特に薬味として好まれ、多用された(特にネギは日本料理に欠かせない存在となり、ダイコンは大根おろしなどの形で大量に用いられた)。そのほか、料理書には山椒、ゆず、肉桂(シナモン)などを使った例がいくつかみられた。胡椒も一時期、うどんの薬味として使われた事があるが、唐辛子の普及により廃れた(近畿などでは現在でも胡椒が用いられている)。その唐辛子はかなり普及し、日本独自のブレンド香辛料である七味唐辛子も登場したが、これらはいずれも風味付け程度の少量の利用にとどまった。
大正時代の頃になるとカレーライスを食べさせる店などが少しずつ創業するようになり、刺激の強いカレーの味覚も少しずつ日本人の知るものとなっていった。 また、カレー粉はいちはやく家庭に普及したブレンド香辛料である。
第二次世界大戦後は生活の洋風化がすすみ、さまざまな香辛料の輸入量も増加の一途をたどった。経済成長を経て社会が豊かになると、本格的な欧風料理やいわゆるエスニック料理などを広くたのしむようになり、現在では様々な香辛料類が家庭内にも常備されるようになっている。
安全性[編集]
医薬品との相互作用[編集]
幾つかの香辛料には医薬品の作用を強くしたり、逆に作用を弱めるものがあることが知られている。食品の例では「納豆と抗凝血薬」の組合せはビタミンKとワルファリンの相互作用として、「グレープフルーツ果汁とCa拮抗薬」の組合せは薬物代謝酵素シトクロムP450 (CYP)の阻害の相互作用として知られている。香辛料では黒胡椒、白胡椒、シナモン、メース、ナツメグなどはシトクロムP450(CYP3A4)またはCYP2C9を阻害する成分を含む[2]が、医学的な研究は不十分である。
微生物による汚染[編集]
香辛料の独特の臭気(香り)の多くは、加熱により揮発あるいは変質してしまう。従って、多くの場合、生産から流通の各段階において加熱殺菌(滅菌)は行われない。その為、食中毒の原因となりうる微生物が混入している場合がある[3]。日本では認可されていないが、アメリカ合衆国、カナダ、全EU加盟国、オーストラリアなどでは放射線などの食品照射処理により殺菌処理した物品が流通している。
代表的な香辛料[編集]
単一の素材のもの[編集]
アサフェティダ(ヒング)
アジョワン
アニス
オールスパイス(百味胡椒、三香子)
オニオン(玉葱)
オレガノ(花薄荷)
カホクザンショウ(華北山椒、花椒)
カルダモン(イライチ)
カレーリーフ(南洋山椒、カリ・パッタ)
キャラウェイ(姫茴香)
クミン(ジーラ、キュマン)
グリーンペッパー(緑胡椒)
クローブ(丁字、ローング)
コショウ(ペッパー、カリ・ミルチ、サフェダ・ミルチ)
コリアンダー(ダニヤ、香菜、パクチー、コエンドロ)
サフラン(ケサル、番紅花)
サンショウ(山椒)
シソ(紫蘇)
シナモン(肉桂、ダルチニ)
ショウガ(生姜、ジンジャー)
スターアニス(八角、大茴香)
セージ
タイム
ターメリック(鬱金、ハルディ)
タデ(蓼、water pepper)
タラゴン(エストラゴン)
ディル(イノンド)
唐辛子、一味唐辛子(チリ、レッドペッパー、ラル・ミルチ)
ナツメグ(肉荳蒄、メース、ジャイファル、ジャビトゥリ)
ニンニク(大蒜、ガーリック)
バニラ
ハラペーニョ
ニラ
ネギ
パプリカ(甘唐辛子)
フェヌグリーク(メティ)
フェンネル(フェネル、茴香、ソーンフ)
ブラッククミン(カロジレ)
ホースラディッシュ(セイヨウワサビ)
ミント
ポピー・シード(けしの実、カスカス)
マージョラム(マヨラナ、スイートマージョラム、ハナハッカ)
マスタード(辛子、ライ、洋芥子)
ミョウガ(茗荷)
ラッキョウ
ラディッシュ(大根)
ローズマリー
ローリエ(月桂樹の葉、ベイリーフ、テジ・パッタ)
ワサビ(山葵)
ブレンドしたもの[編集]
五香粉
ガラムマサラ
カレー粉
七味唐辛子
チリパウダー
花椒塩
柚子胡椒(柚子唐辛子)
唐辛子味噌
ハリッサ
ハーブ
ハーブ(英語: herb、イギリス英語で 英語発音: /ˈhɜːb/ 「ハーブ」、アメリカ英語では 英語発音: /ˈɚːb/ 「アーブ」)は、「草」を意味するラテン語: herba に由来する言葉。
概要[編集]
一般にハーブという場合、特にヨーロッパで薬用の薬草やスパイス等として有用な植物を指す。野菜や穀物のように大量に生産される物や、「花卉」と呼ばれる観賞植物は除外されるのが普通で、香りや辛味、苦味などの風味を楽しむために少量用いられるキッチンハーブを指すことが多い。劇薬として有用なものをも含むため、いわゆる有毒植物もハーブに含まれ、使用や栽培に許可が必要なものもある。
語源からすると、元々木本植物は有用植物ではあってもハーブではなかったと思われるが、現在ではローズマリーやローリエ等、木本植物であっても、一般にハーブとして扱われる物も多い。またヨーロッパとは関係がなくても、薬用や調味用に小量使われる草もハーブと呼ばれている。
また、ローズヒップ(バラの果実)の様に、植物全体としては通常ハーブには含まれないが、その実や花弁等の有用部分のみを指してハーブと呼ぶようなものもある。更に、一般的な植物名とは別に、ハーブ等として利用する時に使用される固有の名前を持つものも多い。
ハーブの利用法[編集]
1.食用として利用できるもの。
2.食べられないが香りを利用できるもの。
3.両方を利用できるもの。
4.香り以外の非食用用途のもの
に大別することができる。
いずれも、利用する事で、大なり小なり薬効を得られるとされている事が多い。しかし、特に薬用と謳われるハーブの中には、毒性が強く、用法や量を誤ると深刻な中毒症状を引き起こすものもあるので利用には注意が必要である。ハーブはまた食材として味付け、香り付けにも使われたり、お茶(ハーブティ)として使われたりする。香りを利用する方法としてはポプリや精油等としての利用がある。香りの持つ薬効も知られており、現在ではアロマテラピーの中で利用されたりする。
注意事項[編集]
ハーブには薬効の強いものがある。日本においてハーブは、薬事法で医薬品に分類されないものは食品に区分されて市販されている。しかし、その中にはセント・ジョーンズ・ワートの様に、うつ病に処方する国があるようなハーブもある。ほかにも薬物との相互作用に注意を要する、イチョウ葉エキス、エゾウコギは摂食に十分な注意が必要である。[1] また妊娠中の摂食に対しては安全性の確認されていない物も多いため注意が必要である。
アロマテラピーで用いる精油は法律上、雑貨として販売される。
こうした食品や雑貨を販売するにあたって薬効を標榜することは薬事法に違反することになる。
向精神薬作用のある「脱法ハーブ」と呼ばれるものもあり、法律によって管理・規制されているものもある。近年使用者の犯罪行為なども注目されており、問題視されている。また、単にハーブと言った場合、大麻を指す隠語の場合もある。
歴史と文化[編集]
その歴史は古く、ヨーロッパではキリスト教発祥以前から使われており、ヨーロッパのキリスト教以前の宗教との繋がりが深いと思われる。古代エジプトではイチジク・ブドウと合せてヤグルマギクやケシの仲間が栽培された薬草園があった。
現在でも、ハーブが庭に生い茂っている家に住む人や、ハーブに造詣が深い人を指して尊敬を込めてハーブ魔女と呼ぶ事がある。
ヨーロッパ中世を襲ったペスト(黒死病)の蔓延を救ったのも、ハーブの知識とされ、例えば、セージやマジョラム、ローズマリーなどを酢に漬けておいたものを飲んだり、身体につけるとペストの感染を防ぐとされた。現在になってからの研究によるとこれらのハーブは抗酸化性が強く、免疫力を高めることが分かっている。
中世ヨーロッパでは、ハーブなどの知識に詳しかったりハーブを魔よけ等に使う知識を持った人々が魔女狩りなどで弾圧された。キリスト教ではない宗教性と繋がりのある人々がハーブの知識などにより人々を救い、そのことにより注目された反動として、キリスト教会が後になってこれらの知恵者を弾圧したのが魔女狩りの本当の理由だと言う説がある[要出典]。
ハーブの知識は、ローマから距離的に離れなおかつローマ教会(カトリック)の影響の少ないイギリスに残った。現在もイギリスではハーブガーデンを始めとしたハーブの知識が多く、1980年以降は代替医療として国家政策としても積極的に使用が推進されている[要出典]。
イギリスから現在のヨーロッパやアメリカにもハーブの知識が伝わった。また、ヨーロッパのハーブの知識は、移民との接触によって北米先住民にも伝わり、北米先住民の使うハーブに、ヨーロッパを原産とするセージが含まれていることもある[要出典]。
カール大帝はハーブの知識が豊富であり、ハーブを「医学の友にして料理人の称賛の的」と喩えたという。[2]
分類[編集]
木本類 常緑樹 - ラベンダー、ゲッケイジュなど
落葉樹 - バラなど
草本類 1、2年草 - ナスタチューム、ヒマワリなど
多年草 - ミントなど
球根類 - サフランなど
概要[編集]
一般にハーブという場合、特にヨーロッパで薬用の薬草やスパイス等として有用な植物を指す。野菜や穀物のように大量に生産される物や、「花卉」と呼ばれる観賞植物は除外されるのが普通で、香りや辛味、苦味などの風味を楽しむために少量用いられるキッチンハーブを指すことが多い。劇薬として有用なものをも含むため、いわゆる有毒植物もハーブに含まれ、使用や栽培に許可が必要なものもある。
語源からすると、元々木本植物は有用植物ではあってもハーブではなかったと思われるが、現在ではローズマリーやローリエ等、木本植物であっても、一般にハーブとして扱われる物も多い。またヨーロッパとは関係がなくても、薬用や調味用に小量使われる草もハーブと呼ばれている。
また、ローズヒップ(バラの果実)の様に、植物全体としては通常ハーブには含まれないが、その実や花弁等の有用部分のみを指してハーブと呼ぶようなものもある。更に、一般的な植物名とは別に、ハーブ等として利用する時に使用される固有の名前を持つものも多い。
ハーブの利用法[編集]
1.食用として利用できるもの。
2.食べられないが香りを利用できるもの。
3.両方を利用できるもの。
4.香り以外の非食用用途のもの
に大別することができる。
いずれも、利用する事で、大なり小なり薬効を得られるとされている事が多い。しかし、特に薬用と謳われるハーブの中には、毒性が強く、用法や量を誤ると深刻な中毒症状を引き起こすものもあるので利用には注意が必要である。ハーブはまた食材として味付け、香り付けにも使われたり、お茶(ハーブティ)として使われたりする。香りを利用する方法としてはポプリや精油等としての利用がある。香りの持つ薬効も知られており、現在ではアロマテラピーの中で利用されたりする。
注意事項[編集]
ハーブには薬効の強いものがある。日本においてハーブは、薬事法で医薬品に分類されないものは食品に区分されて市販されている。しかし、その中にはセント・ジョーンズ・ワートの様に、うつ病に処方する国があるようなハーブもある。ほかにも薬物との相互作用に注意を要する、イチョウ葉エキス、エゾウコギは摂食に十分な注意が必要である。[1] また妊娠中の摂食に対しては安全性の確認されていない物も多いため注意が必要である。
アロマテラピーで用いる精油は法律上、雑貨として販売される。
こうした食品や雑貨を販売するにあたって薬効を標榜することは薬事法に違反することになる。
向精神薬作用のある「脱法ハーブ」と呼ばれるものもあり、法律によって管理・規制されているものもある。近年使用者の犯罪行為なども注目されており、問題視されている。また、単にハーブと言った場合、大麻を指す隠語の場合もある。
歴史と文化[編集]
その歴史は古く、ヨーロッパではキリスト教発祥以前から使われており、ヨーロッパのキリスト教以前の宗教との繋がりが深いと思われる。古代エジプトではイチジク・ブドウと合せてヤグルマギクやケシの仲間が栽培された薬草園があった。
現在でも、ハーブが庭に生い茂っている家に住む人や、ハーブに造詣が深い人を指して尊敬を込めてハーブ魔女と呼ぶ事がある。
ヨーロッパ中世を襲ったペスト(黒死病)の蔓延を救ったのも、ハーブの知識とされ、例えば、セージやマジョラム、ローズマリーなどを酢に漬けておいたものを飲んだり、身体につけるとペストの感染を防ぐとされた。現在になってからの研究によるとこれらのハーブは抗酸化性が強く、免疫力を高めることが分かっている。
中世ヨーロッパでは、ハーブなどの知識に詳しかったりハーブを魔よけ等に使う知識を持った人々が魔女狩りなどで弾圧された。キリスト教ではない宗教性と繋がりのある人々がハーブの知識などにより人々を救い、そのことにより注目された反動として、キリスト教会が後になってこれらの知恵者を弾圧したのが魔女狩りの本当の理由だと言う説がある[要出典]。
ハーブの知識は、ローマから距離的に離れなおかつローマ教会(カトリック)の影響の少ないイギリスに残った。現在もイギリスではハーブガーデンを始めとしたハーブの知識が多く、1980年以降は代替医療として国家政策としても積極的に使用が推進されている[要出典]。
イギリスから現在のヨーロッパやアメリカにもハーブの知識が伝わった。また、ヨーロッパのハーブの知識は、移民との接触によって北米先住民にも伝わり、北米先住民の使うハーブに、ヨーロッパを原産とするセージが含まれていることもある[要出典]。
カール大帝はハーブの知識が豊富であり、ハーブを「医学の友にして料理人の称賛の的」と喩えたという。[2]
分類[編集]
木本類 常緑樹 - ラベンダー、ゲッケイジュなど
落葉樹 - バラなど
草本類 1、2年草 - ナスタチューム、ヒマワリなど
多年草 - ミントなど
球根類 - サフランなど
魔女
魔女(まじょ、英: witch、仏: sorcière、独: Hexe)は、古いヨーロッパの俗信で、超自然的な力で人畜に害を及ぼすとされた人間、または妖術を行使する者のこと[1]。
現存する史料からうかがわれる魔女狩りの時代の魔女観では、魔女は、多くの場合女性で、時には男性であったとされている[2]。現代ヨーロッパ言語には「男性のwitch」を指す言葉(英: warlock、仏: sorcier、独: Hexer)も存在するが、日本語では「魔男」という言い方は普及しておらず、男性形の sorcier に「魔法使い」という訳語を当てる場合がある[3]。
概要[編集]
(始めに、ここで登場する「異教」及び「異端」という言葉はキリスト教主観からのものである)
冒頭で魔女の一般的な定義を与えたが、すべてに当てはまる最大公約数的定義を示すのは困難である。ヨーロッパの歴史における魔女は複雑な背景を持つ重層的な概念となっており、多面的な魔女像が存在する。古代や中世前期での原型的魔女ないし魔法使いから、中世末以降に魔女論者たちが定式化し識字層に広まった類型的魔女像、近世・近代の民間伝承やメルヒェンの中の魔女像、19世紀以降に考えられたロマンチックな魔女像や、20世紀以降の新異教主義の魔女に至るまでの、さまざまなものが魔女という言葉で括られている。
魔女の概念の古層には、ラテン語で「マレフィキウム」(悪行)と呼ばれた加害魔法の概念があるとされる[4]。呪術的な手段によって他者を害することは、古代ギリシア・ローマの異教時代から刑罰の対象であった。キリスト教化された中世ヨーロッパでもこのマレフィキウムに対する考え方は存続し、呪術による罪を宣告された者は死刑などの重い刑を科せられた。
しかし中世晩期の15世紀になると、それまでの単なる悪い呪術師とは別様の、「悪魔と契約を結んで得た力をもって災いをなす存在」という概念が生まれた。魔女とは悪魔に従属する人間であり、悪魔や精霊(デーモン)との契約および性的交わりによって、超自然的な魔力や人を害する軟膏を授かった者とされた[5]。魔女裁判が盛んに行われた16世紀から17世紀の近世ヨーロッパ社会において識字層を中心に広まっていた魔女観はこのようなものであった。
欧米では20世紀後半以降、魔女と自己規定する人が増えている。その多くは、20世紀半ばにジェラルド・ガードナーが始めた魔女の宗教運動であるウイッカや、これに類する新異教主義のウイッチクラフトの信奉者である。ウイッカを信奉する者はウイッチ (Witch) という言葉のもつ悪いイメージを嫌い、ウイッカンと呼ばれる。ウイッカやこれに類する新異教主義のウイッチクラフト諸派は日本で魔女宗とも魔女術とも呼ばれている。
魔女狩り[編集]
詳細は「魔女狩り」を参照
15世紀から17世紀にかけてのヨーロッパ諸国において、多くの人々が魔女の嫌疑をかけられ、世俗の裁判や宗教裁判によって処断された。当時魔女は悪魔と交わり特別な力を授けられ、作物や家畜に害をなすと信じられていた。特に女性と限られてはおらず「男性の魔女」というのもおり、どちらも英語では同じ Witch という語で現され(のちに詐欺師、悪魔を意味する Warlock をあてはめられた)、魔法使い・魔術師 (Wizard) とは異なるものである。魔女は聖俗の裁判官や教会学者によって捏造されたものであるとする説が19世紀に登場した。しかし魔女とされた人々の一部は何らかの異教的または異端的な豊穣儀礼を実践していたという説もある。
15世紀に書かれた魔女を糾弾する書物の中でも、ドイツの異端審問官によって著された『魔女への鉄槌』(1489年)は魔女狩りの手引きとして特に有名である。同書は15世紀の印刷革命に乗じてヨーロッパ諸国で広く読まれ、ドイツにおける魔女裁判の本格化に寄与したとも言われている[6]。もっとも、魔女狩りが本格化したのは同書の出版の1世紀後のことであるから、同書と魔女狩りの激化との関係は明白ではない。魔女狩りの盛期であった16世紀から17世紀には、フランスの法律家ジャン・ボダンの『魔女の悪魔憑依』(1580年)をはじめとして魔女妄想を煽る悪魔学書が多数出版された。一方、ドイツの医師ヨーハン・ヴァイヤーは『悪魔の眩惑』(1563年)を著して魔女裁判に異議を唱え、イギリスのレジナルド・スコットは『妖術の暴露』(1584年)を書き、魔女をめぐる種々の空想(妄想)を否定した。
実際に魔女と名指しされた人たちがどのような人々であったかについては、地域や個々の魔女裁判によって異なるため一般化するのは難しい。告発された人は女性とは限らなかった。裁判記録に基づく統計によれば、西欧ではおおむね女性が多い傾向にあったが、北欧では男性の方が多い地域もあった。多くの地域で犠牲者は貧しい下層階級の人々が多く、高齢の女性が多い傾向にあった。時には比較的身分の高い人や少年少女が魔女とされることもあり、さまざまな種類の人々が魔女として告発された。集団的な妄想の犠牲者やマイノリティ、同性愛者や姦通者、隣人の恨みを買った人たち、悪魔憑きなどがいた。「賢い女性たち」といわれる民間療法の担い手・正規の医者ではないが医者の代行を務めた、今で言う助産師のような人たちが多かったとの説があるが、学術的には受け入れられていない。悪魔学者たちは産婆を魔女として糾弾したが、実際には裁判記録にみられる産婆の数はけっして多くはない。また民間の治療師や占い師である白魔女も、少なくともイングランドの裁判記録を見る限り、ことさらに告発の対象になったわけではないようである[7]。
『旧約聖書』には呪術や口寄せを断罪する記述がいくつかあるが、魔女狩りの時代にはそれらは当時の魔女のイメージに合うように解釈された。たとえば「出エジプト記」の中で、律法を述べた22章第17節[補註 1]には、「女呪術師を生かしておいてはならない」ということが記されている。この女呪術師のヘブライ語はメハシェファ(mekhashshepheh)で、呪術を使う女と解されている[8]。この箇所が『欽定訳聖書』(1611年)では「魔女(Witch)を生かしおくべからず」と翻訳され、魔女迫害の正当化の根拠として引き合いに出された。
魔女狩りの対象者の性別[編集]
「記録として残された魔女裁判」の統計調査結果からすると、地域や年代によって差はあるが、被告が女性である事例が多い地域が目立ち、全体としてみればおよそ8割が女性であった[9]。ただし記録が現存していない事例や不完全な記録も多いため、実際に女性のほうが多かったとするのはあくまで有意な帰納的推定であり、事実として確定しえない。訴追にまで至らなかった民間の魔女迫害についても、どれほどの事例があったのかも今日では知りえず調査対象とならない。その中でも、アイスランドやモスクワなど男性のほうが多い地域もあったことや、魔女狩りの早期であった15世紀頃には男性もかなり含まれていたことは注目に価する。
魔女とジェンダー[編集]
Edit-find-replace.svg
この記事には独自研究が含まれているおそれがあります。問題箇所を検証し出典を追加して、記事の改善にご協力ください。議論はノートを参照してください。(2011年5月)
魔女は必ずしも女性ではないが、中世・近世のヨーロッパでは女性の社会的地位は男性に比べてはるかに下に位置づけられていたし、女性形と男性形がある言語では、よくないことをあらわす名詞は女性形をとることが多かった(フランス語の Sorcière やドイツ語の Hexe は女性形)。古代エジプトやメソポタミアや古代ローマなどアニミズム的な信仰のもとでは女性の宗教的地位・社会的地位は高かったが、それらの世界の征服者であるキリスト教やイスラム教や仏教などは女性の位置を低く置いて発達していくこととなった。20世紀になって男女平等的をよしとする社会の中で暮らしていると当時の観念を勘違いしてしまうことは多いが、当時のように社会的地位において女性が低く置かれていた社会において、男に対して女呼ばわりするというのは最大限のののしり行為である。「記録として残された魔女裁判」の統計からすると女性の例が多かったとする説もある[10]が、件数だけ判明している村などがあり、人物名や人物像など詳細な記録にならなかった例のほうがはるかに多く、実際に女性のほうが多かったかどうかは明らかではない。
女性の宗教的地位・社会的地位の低かった中世近世ヨーロッパの中にあって、女王が存在し独自のキリスト教会(イングランド国教会)を作った島国イギリスで用いられる言語である英語では性による区別が大方失われており[補註 2]、必然的にウイッチ (Witch)は男女双方に対して適用される名詞としてある。
日本では民俗儀礼や神道では女性は神と通じる役目を持っているし、古代史には女性天皇が続いた時代もあり、中世でも関東では女性の土地相続が男性と変わらず保障されるなどの例があり、女性の社会的・宗教的地位は必ずしも低くはなかったともいえる。しかし、仏教が席巻してからの日本では仏教の男性上位の考え方が広まって社会的地位は男性のものとなり、人をたぶらかす類の「あやかし」は雪女や女狐といった形でやはり女を付けてあらわされることが多かった(大入道など、力や大きさで人をおどろかす類の「あやかし」は男性のイメージで語られてきた)。
白魔女[編集]
害悪をもたらす妖術には関わらない白魔女も存在した。彼/彼女らは、イギリスで「器用な人」(cunning man, cunning woman)、フランスで「占い師兼病気治し」(devins-guerisseurs)などと呼ばれた[11]。 民衆は白魔女を信頼していた。教会学者は白魔女を魔女の同類とみなし、白魔女の占いや治療行為を非難したが、イングランドの裁判記録では白魔女の関係する訴訟はかなり少なかったことが判っている[7]。
黒魔女[編集]
人間界を、暗黒にするといわれている魔女。白魔女とは逆。黒魔術を使って、人を苦しめる。
垣根の上にいる女[編集]
魔女に当たるドイツ語は Hexe(ちなみに魔法使いは Zauberer)で、ヨーロッパの多くの言語で、「魔女」はこれに類したつづりになる[要出典]が、これは「垣根の上にいる女」の意味に由来している。この「垣根」とはただの垣根ではなく、生と死の間の垣根のことである。出産の介助、病気の看病、薬草、傷薬の処方、熱さまし、避妊、堕胎など、彼女たちの多くの活動が「生と死の垣根」の仕事であり、それが不首尾に終わったりすると、逆恨みから「魔女」と名指しされることも多かった。
『魔女への鉄槌』中に見られる用語、sorcier(妖術師と訳される。魔術師のこと)の女性形で sorciere がのちに魔女を意味するようになり、魔女裁判の記録に残されている。フランス語では現在もこれを引き継ぎ、魔女は Sorcière、男性の魔女、魔法使い・魔術師は Sorcier と性が異なるのみで同じ単語を用いる。
魔女についての迷信[編集]
死に際の魔女の手を握ると魔力が握った側に移る。
女性が悪魔と交わることで魔女となる。
魔女はホウキにまたがって空を飛び、サバトに参加する。ここで悪魔との乱交が行われる。
魔女は悪魔の力を借りて作物や家畜に被害を与える。
魔女は水中に沈められても悪魔に助けられて浮かび上がる。
魔女は体のどこかに「契約の印」と呼ばれる、痛みを感じない箇所がある。
魔女はカラスを召使いとする。
多くの魔女は黒猫を聖なるものとして飼っているとされた。そのため魔女の使い魔とされている。
「魔女狩りにより猫を殺し過ぎたために天敵のいなくなった鼠の数が増え、これがペスト流行の一因となった」といわれるがこれは誤りである。
創作上の魔女[編集]
西洋の童話などに頻繁に登場する魔術、呪術、妖術などを使う女性の、大抵のイメージは鉤鼻の老婆が黒い三角帽・黒マント姿で、大鍋でトカゲなどを煮ているというものが多い。このイメージは、魔女狩りの歴史の中で固まったと言われている。
現代のファンタジー小説、テレビドラマ、映画等では、上記のような伝統的な意味での用法ではなく、魔法使いの女性形の意味で使われている場合が多い。作品によってはある程度現実的な世界観もあるが、こと魔法に関してはまったく現実から浮遊したものである場合がほとんどである。
日本のアニメには『魔女っ子メグちゃん』『おジャ魔女どれみ』など、魔法を行使する少女、魔法少女を主人公としたパターンがしばしば見られる。また、本来の魔女も『怪物くん』や『ゲゲゲの鬼太郎』のゲストキャラや敵キャラとして登場し、また前述の魔法少女アニメでも魔法少女の師匠に当たる役割で登場する事もある。
魔女を題材とした海外ドラマには、『チャームド〜魔女3姉妹〜』、『奥さまは魔女』、『サブリナ』などがある。
魔女術・魔女宗(Witchcraft・Wicca)[編集]
詳細は「ウィッカ」を参照
新異教主義の一種である魔女宗(ウイッカ、ウイッチクラフト)は、魔女は古代の異教を伝える人々であったという思想を前提に、魔女の信仰と知恵を復興させ現代に実践しようとする宗教運動である。
20世紀半ばにして魔女禁止令がようやく廃止されたイギリスで、魔女の宗教集団に接触し教えを伝授されたと主張するジェラルド・ガードナーという人物が、魔女の宗教についての一連の著作を執筆するなどの活動を通じて、魔女の宗教を復活させようとした。現在では学問的価値がないとされているイギリスのエジプト考古学者マーガレット・マリーの魔女の宗教に関する学説や近代西洋儀式魔術の儀式様式などを取り入れて創作されたものとも言われている彼の魔女宗教は、当初ウイッチクラフトと呼ばれ、後にはウイッカと呼ばれるようになった。
Witchcraftを単純に和訳し、魔女術(ウイッチクラフト)と呼ばれることがある。その場合は、単なる「術」、つまりおまじないや呪術の総称と言える。対して、「キリスト教以前に存在したヨーロッパの多神教の復活である」という思想を有する、ガードナーに始まるウイッカ (Wicca) やこれに類する新異教主義のウイッチクラフト諸派は信仰的側面をもっているため、ウイッカ宗、魔女宗と訳すのが望ましい。魔女宗は、オカルト趣味とは異なり、欧米で認められている宗教の一つである。ウイッカを信奉する魔女は、差別的な意味合いを負わされてきた英語のウイッチ(Witch)という言葉を好まず、ウイッカン (Wiccan) と称することが多い。
魔女宗の魔女たちは、魔女を「キリスト教の悪意によって魔女とされた、自然の神々の崇拝者」であるとし、キリスト教以前の神々を崇拝する。現代の魔女宗の復興に大きな影響を与えたジェラルド・ガードナーが近代西洋儀式魔術の要素を導入したため、儀式魔術と同じようなものとして語られることがあるが、魔女宗は宗教であり魔術とは異なる。むしろシャーマニズムや神道と同列に語られるべきものである。
欧米における魔女宗の魔女たちは、伝統的には13人、しかし実際にはもっと少ない人数の実践グループ「カヴン(魔女団)」に所属するか、もしくは一人で活動する。中には全裸で儀式を執り行うグループもあり、スキャンダラスに取り上げられがちであるが、ヌーディズムのヌーディスト・クラブの例を見るまでもなく、全裸の作業が性的な乱れに繋がることは一部の不心得団体以外にはない(そしてそのような不心得の団体は、本物の魔女宗のメンバーとは認められない)。
現存する史料からうかがわれる魔女狩りの時代の魔女観では、魔女は、多くの場合女性で、時には男性であったとされている[2]。現代ヨーロッパ言語には「男性のwitch」を指す言葉(英: warlock、仏: sorcier、独: Hexer)も存在するが、日本語では「魔男」という言い方は普及しておらず、男性形の sorcier に「魔法使い」という訳語を当てる場合がある[3]。
概要[編集]
(始めに、ここで登場する「異教」及び「異端」という言葉はキリスト教主観からのものである)
冒頭で魔女の一般的な定義を与えたが、すべてに当てはまる最大公約数的定義を示すのは困難である。ヨーロッパの歴史における魔女は複雑な背景を持つ重層的な概念となっており、多面的な魔女像が存在する。古代や中世前期での原型的魔女ないし魔法使いから、中世末以降に魔女論者たちが定式化し識字層に広まった類型的魔女像、近世・近代の民間伝承やメルヒェンの中の魔女像、19世紀以降に考えられたロマンチックな魔女像や、20世紀以降の新異教主義の魔女に至るまでの、さまざまなものが魔女という言葉で括られている。
魔女の概念の古層には、ラテン語で「マレフィキウム」(悪行)と呼ばれた加害魔法の概念があるとされる[4]。呪術的な手段によって他者を害することは、古代ギリシア・ローマの異教時代から刑罰の対象であった。キリスト教化された中世ヨーロッパでもこのマレフィキウムに対する考え方は存続し、呪術による罪を宣告された者は死刑などの重い刑を科せられた。
しかし中世晩期の15世紀になると、それまでの単なる悪い呪術師とは別様の、「悪魔と契約を結んで得た力をもって災いをなす存在」という概念が生まれた。魔女とは悪魔に従属する人間であり、悪魔や精霊(デーモン)との契約および性的交わりによって、超自然的な魔力や人を害する軟膏を授かった者とされた[5]。魔女裁判が盛んに行われた16世紀から17世紀の近世ヨーロッパ社会において識字層を中心に広まっていた魔女観はこのようなものであった。
欧米では20世紀後半以降、魔女と自己規定する人が増えている。その多くは、20世紀半ばにジェラルド・ガードナーが始めた魔女の宗教運動であるウイッカや、これに類する新異教主義のウイッチクラフトの信奉者である。ウイッカを信奉する者はウイッチ (Witch) という言葉のもつ悪いイメージを嫌い、ウイッカンと呼ばれる。ウイッカやこれに類する新異教主義のウイッチクラフト諸派は日本で魔女宗とも魔女術とも呼ばれている。
魔女狩り[編集]
詳細は「魔女狩り」を参照
15世紀から17世紀にかけてのヨーロッパ諸国において、多くの人々が魔女の嫌疑をかけられ、世俗の裁判や宗教裁判によって処断された。当時魔女は悪魔と交わり特別な力を授けられ、作物や家畜に害をなすと信じられていた。特に女性と限られてはおらず「男性の魔女」というのもおり、どちらも英語では同じ Witch という語で現され(のちに詐欺師、悪魔を意味する Warlock をあてはめられた)、魔法使い・魔術師 (Wizard) とは異なるものである。魔女は聖俗の裁判官や教会学者によって捏造されたものであるとする説が19世紀に登場した。しかし魔女とされた人々の一部は何らかの異教的または異端的な豊穣儀礼を実践していたという説もある。
15世紀に書かれた魔女を糾弾する書物の中でも、ドイツの異端審問官によって著された『魔女への鉄槌』(1489年)は魔女狩りの手引きとして特に有名である。同書は15世紀の印刷革命に乗じてヨーロッパ諸国で広く読まれ、ドイツにおける魔女裁判の本格化に寄与したとも言われている[6]。もっとも、魔女狩りが本格化したのは同書の出版の1世紀後のことであるから、同書と魔女狩りの激化との関係は明白ではない。魔女狩りの盛期であった16世紀から17世紀には、フランスの法律家ジャン・ボダンの『魔女の悪魔憑依』(1580年)をはじめとして魔女妄想を煽る悪魔学書が多数出版された。一方、ドイツの医師ヨーハン・ヴァイヤーは『悪魔の眩惑』(1563年)を著して魔女裁判に異議を唱え、イギリスのレジナルド・スコットは『妖術の暴露』(1584年)を書き、魔女をめぐる種々の空想(妄想)を否定した。
実際に魔女と名指しされた人たちがどのような人々であったかについては、地域や個々の魔女裁判によって異なるため一般化するのは難しい。告発された人は女性とは限らなかった。裁判記録に基づく統計によれば、西欧ではおおむね女性が多い傾向にあったが、北欧では男性の方が多い地域もあった。多くの地域で犠牲者は貧しい下層階級の人々が多く、高齢の女性が多い傾向にあった。時には比較的身分の高い人や少年少女が魔女とされることもあり、さまざまな種類の人々が魔女として告発された。集団的な妄想の犠牲者やマイノリティ、同性愛者や姦通者、隣人の恨みを買った人たち、悪魔憑きなどがいた。「賢い女性たち」といわれる民間療法の担い手・正規の医者ではないが医者の代行を務めた、今で言う助産師のような人たちが多かったとの説があるが、学術的には受け入れられていない。悪魔学者たちは産婆を魔女として糾弾したが、実際には裁判記録にみられる産婆の数はけっして多くはない。また民間の治療師や占い師である白魔女も、少なくともイングランドの裁判記録を見る限り、ことさらに告発の対象になったわけではないようである[7]。
『旧約聖書』には呪術や口寄せを断罪する記述がいくつかあるが、魔女狩りの時代にはそれらは当時の魔女のイメージに合うように解釈された。たとえば「出エジプト記」の中で、律法を述べた22章第17節[補註 1]には、「女呪術師を生かしておいてはならない」ということが記されている。この女呪術師のヘブライ語はメハシェファ(mekhashshepheh)で、呪術を使う女と解されている[8]。この箇所が『欽定訳聖書』(1611年)では「魔女(Witch)を生かしおくべからず」と翻訳され、魔女迫害の正当化の根拠として引き合いに出された。
魔女狩りの対象者の性別[編集]
「記録として残された魔女裁判」の統計調査結果からすると、地域や年代によって差はあるが、被告が女性である事例が多い地域が目立ち、全体としてみればおよそ8割が女性であった[9]。ただし記録が現存していない事例や不完全な記録も多いため、実際に女性のほうが多かったとするのはあくまで有意な帰納的推定であり、事実として確定しえない。訴追にまで至らなかった民間の魔女迫害についても、どれほどの事例があったのかも今日では知りえず調査対象とならない。その中でも、アイスランドやモスクワなど男性のほうが多い地域もあったことや、魔女狩りの早期であった15世紀頃には男性もかなり含まれていたことは注目に価する。
魔女とジェンダー[編集]
Edit-find-replace.svg
この記事には独自研究が含まれているおそれがあります。問題箇所を検証し出典を追加して、記事の改善にご協力ください。議論はノートを参照してください。(2011年5月)
魔女は必ずしも女性ではないが、中世・近世のヨーロッパでは女性の社会的地位は男性に比べてはるかに下に位置づけられていたし、女性形と男性形がある言語では、よくないことをあらわす名詞は女性形をとることが多かった(フランス語の Sorcière やドイツ語の Hexe は女性形)。古代エジプトやメソポタミアや古代ローマなどアニミズム的な信仰のもとでは女性の宗教的地位・社会的地位は高かったが、それらの世界の征服者であるキリスト教やイスラム教や仏教などは女性の位置を低く置いて発達していくこととなった。20世紀になって男女平等的をよしとする社会の中で暮らしていると当時の観念を勘違いしてしまうことは多いが、当時のように社会的地位において女性が低く置かれていた社会において、男に対して女呼ばわりするというのは最大限のののしり行為である。「記録として残された魔女裁判」の統計からすると女性の例が多かったとする説もある[10]が、件数だけ判明している村などがあり、人物名や人物像など詳細な記録にならなかった例のほうがはるかに多く、実際に女性のほうが多かったかどうかは明らかではない。
女性の宗教的地位・社会的地位の低かった中世近世ヨーロッパの中にあって、女王が存在し独自のキリスト教会(イングランド国教会)を作った島国イギリスで用いられる言語である英語では性による区別が大方失われており[補註 2]、必然的にウイッチ (Witch)は男女双方に対して適用される名詞としてある。
日本では民俗儀礼や神道では女性は神と通じる役目を持っているし、古代史には女性天皇が続いた時代もあり、中世でも関東では女性の土地相続が男性と変わらず保障されるなどの例があり、女性の社会的・宗教的地位は必ずしも低くはなかったともいえる。しかし、仏教が席巻してからの日本では仏教の男性上位の考え方が広まって社会的地位は男性のものとなり、人をたぶらかす類の「あやかし」は雪女や女狐といった形でやはり女を付けてあらわされることが多かった(大入道など、力や大きさで人をおどろかす類の「あやかし」は男性のイメージで語られてきた)。
白魔女[編集]
害悪をもたらす妖術には関わらない白魔女も存在した。彼/彼女らは、イギリスで「器用な人」(cunning man, cunning woman)、フランスで「占い師兼病気治し」(devins-guerisseurs)などと呼ばれた[11]。 民衆は白魔女を信頼していた。教会学者は白魔女を魔女の同類とみなし、白魔女の占いや治療行為を非難したが、イングランドの裁判記録では白魔女の関係する訴訟はかなり少なかったことが判っている[7]。
黒魔女[編集]
人間界を、暗黒にするといわれている魔女。白魔女とは逆。黒魔術を使って、人を苦しめる。
垣根の上にいる女[編集]
魔女に当たるドイツ語は Hexe(ちなみに魔法使いは Zauberer)で、ヨーロッパの多くの言語で、「魔女」はこれに類したつづりになる[要出典]が、これは「垣根の上にいる女」の意味に由来している。この「垣根」とはただの垣根ではなく、生と死の間の垣根のことである。出産の介助、病気の看病、薬草、傷薬の処方、熱さまし、避妊、堕胎など、彼女たちの多くの活動が「生と死の垣根」の仕事であり、それが不首尾に終わったりすると、逆恨みから「魔女」と名指しされることも多かった。
『魔女への鉄槌』中に見られる用語、sorcier(妖術師と訳される。魔術師のこと)の女性形で sorciere がのちに魔女を意味するようになり、魔女裁判の記録に残されている。フランス語では現在もこれを引き継ぎ、魔女は Sorcière、男性の魔女、魔法使い・魔術師は Sorcier と性が異なるのみで同じ単語を用いる。
魔女についての迷信[編集]
死に際の魔女の手を握ると魔力が握った側に移る。
女性が悪魔と交わることで魔女となる。
魔女はホウキにまたがって空を飛び、サバトに参加する。ここで悪魔との乱交が行われる。
魔女は悪魔の力を借りて作物や家畜に被害を与える。
魔女は水中に沈められても悪魔に助けられて浮かび上がる。
魔女は体のどこかに「契約の印」と呼ばれる、痛みを感じない箇所がある。
魔女はカラスを召使いとする。
多くの魔女は黒猫を聖なるものとして飼っているとされた。そのため魔女の使い魔とされている。
「魔女狩りにより猫を殺し過ぎたために天敵のいなくなった鼠の数が増え、これがペスト流行の一因となった」といわれるがこれは誤りである。
創作上の魔女[編集]
西洋の童話などに頻繁に登場する魔術、呪術、妖術などを使う女性の、大抵のイメージは鉤鼻の老婆が黒い三角帽・黒マント姿で、大鍋でトカゲなどを煮ているというものが多い。このイメージは、魔女狩りの歴史の中で固まったと言われている。
現代のファンタジー小説、テレビドラマ、映画等では、上記のような伝統的な意味での用法ではなく、魔法使いの女性形の意味で使われている場合が多い。作品によってはある程度現実的な世界観もあるが、こと魔法に関してはまったく現実から浮遊したものである場合がほとんどである。
日本のアニメには『魔女っ子メグちゃん』『おジャ魔女どれみ』など、魔法を行使する少女、魔法少女を主人公としたパターンがしばしば見られる。また、本来の魔女も『怪物くん』や『ゲゲゲの鬼太郎』のゲストキャラや敵キャラとして登場し、また前述の魔法少女アニメでも魔法少女の師匠に当たる役割で登場する事もある。
魔女を題材とした海外ドラマには、『チャームド〜魔女3姉妹〜』、『奥さまは魔女』、『サブリナ』などがある。
魔女術・魔女宗(Witchcraft・Wicca)[編集]
詳細は「ウィッカ」を参照
新異教主義の一種である魔女宗(ウイッカ、ウイッチクラフト)は、魔女は古代の異教を伝える人々であったという思想を前提に、魔女の信仰と知恵を復興させ現代に実践しようとする宗教運動である。
20世紀半ばにして魔女禁止令がようやく廃止されたイギリスで、魔女の宗教集団に接触し教えを伝授されたと主張するジェラルド・ガードナーという人物が、魔女の宗教についての一連の著作を執筆するなどの活動を通じて、魔女の宗教を復活させようとした。現在では学問的価値がないとされているイギリスのエジプト考古学者マーガレット・マリーの魔女の宗教に関する学説や近代西洋儀式魔術の儀式様式などを取り入れて創作されたものとも言われている彼の魔女宗教は、当初ウイッチクラフトと呼ばれ、後にはウイッカと呼ばれるようになった。
Witchcraftを単純に和訳し、魔女術(ウイッチクラフト)と呼ばれることがある。その場合は、単なる「術」、つまりおまじないや呪術の総称と言える。対して、「キリスト教以前に存在したヨーロッパの多神教の復活である」という思想を有する、ガードナーに始まるウイッカ (Wicca) やこれに類する新異教主義のウイッチクラフト諸派は信仰的側面をもっているため、ウイッカ宗、魔女宗と訳すのが望ましい。魔女宗は、オカルト趣味とは異なり、欧米で認められている宗教の一つである。ウイッカを信奉する魔女は、差別的な意味合いを負わされてきた英語のウイッチ(Witch)という言葉を好まず、ウイッカン (Wiccan) と称することが多い。
魔女宗の魔女たちは、魔女を「キリスト教の悪意によって魔女とされた、自然の神々の崇拝者」であるとし、キリスト教以前の神々を崇拝する。現代の魔女宗の復興に大きな影響を与えたジェラルド・ガードナーが近代西洋儀式魔術の要素を導入したため、儀式魔術と同じようなものとして語られることがあるが、魔女宗は宗教であり魔術とは異なる。むしろシャーマニズムや神道と同列に語られるべきものである。
欧米における魔女宗の魔女たちは、伝統的には13人、しかし実際にはもっと少ない人数の実践グループ「カヴン(魔女団)」に所属するか、もしくは一人で活動する。中には全裸で儀式を執り行うグループもあり、スキャンダラスに取り上げられがちであるが、ヌーディズムのヌーディスト・クラブの例を見るまでもなく、全裸の作業が性的な乱れに繋がることは一部の不心得団体以外にはない(そしてそのような不心得の団体は、本物の魔女宗のメンバーとは認められない)。