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2017年08月16日
豪州雇用統計発表前後のAUDJPY反応分析(2017年8月17日10:30発表結果検証済)
以下、「T.指標予想要点」「U.過去調査詳細」を事前投稿し、「V.発表結果検証」を事後投稿しています。ブログの日付は事前投稿日となっています。指標発表後に事後投稿し、その日時は「V.発表結果検証」のタイトル行付近に記載しています。
2017年8月17日10:30に豪州雇用統計が発表されます。今回発表は2017年7月分の集計結果です。
今回の市場予想と前回結果は次の通りです。市場予想は本記事作成時点の値です。
※ 本稿は8月16日に記しています。市場予想は発表直前に確認しておきましょう。
※ 黄色欄は、後述する事前差異判別式の変数と解です。
本指標の特徴は以下の通りです。
今回発表に対する調査・分析結果を以下に一覧します。
以上の詳細ないしは論拠は、以下の「T.調査・分析」に記しています。
公開情報や既出情報に基づく調査を行い、過去の指標と反応の関係を比較分析しています。方向に関する的中率に比べ、程度に関する的中率は残念ながら低いというのが実情です。利確・損切の目安は、過去平均値を最近の反応の大小と見比べて感覚的に微修正しています。
新規雇用者数の調査は、事業者の給与支払い帳簿を基に集計したものです。
指標の良し悪しを見る上で、豪州人口が自然増であることや毎月の離職者も存在することを踏まえると、+1万人ぐらいが中立的な数字ではないでしょうか。
失業率については、リーマンショック前の2008年頃には4.1%まで低下したことがあります。直近では2017年5月分の5.1%が最も低い数字です。
2015年末を境に、それ以前に比べて反応が小さくなっています。それ以前からRBAは利下げを行っていたので、その時期に大きく情勢が変わったことは、FRBの利上げ開始です。米豪金利差が小さくなるスピードが速まると、豪雇用統計への反応が小さくなる理由はわかりません。
とは言え、それでも本指標が大きく反応する経済指標のひとつであることには変わりありません。
大きく反応する指標なので、指標発表時刻を跨いでポジションを取ることは薦められません。大きく動く指標の分析で最も大切なことは、どうすれば発表後の追撃が容易になるか、です。
本指標に関する調査期間と、過去の反応程度・分布を下表に纏めておきます。
最も指標結果に素直に反応する直後1分足跳幅は、過去平均で37pipsです。分布は、19-37pips跳ねたことが47%と半分近くあります。それ未満の18pips以下だったことは13%しかありません。反応が大きいため、指標発表時刻を跨いでポジションを持つことは慎重でなければいけません。
過去の発表結果と市場予想を下図に一覧します。
下図は発表結果と市場予想をプロットしています。市場予想は発表直前の値をプロットし、発表結果は後に修正値が発表されても定時発表値のままをプロットしています。
項目が多いため、個別項目毎に細かくグラフを眺める前に、見るべきポイントを絞り込みましょう。各項目毎に反応方向にどの程度影響しているのかを下表に纏めておきました。
上表の上3行は、失業率と新規雇用者数と労働参加率の各項目について、ひとつずつ反応方向との一致率を求めています。これは予備計算のようなもので、この予備計算は最も反応方向との一致率が高い項目に注目しています。
そして、上から4行目・5行目・6行目は、それぞれ事前差異と直前10-1分足・事後差異と直後1分足・実態差異と直後11分足の方向一致率が高くなるように、係数を求めています。
結果、本指標ではそれらを細かく使い分けるよりも、同じ係数の判別式として使っても、方向一致率があまり変わらないことがわかりました。
判別式は、ー5✕失業率の差異[%]+2✕新規雇用者数の差異[万人]+1✕労働参加率の差異[%]、です。
過去発表時の直後1分足は、この判別式の符号がプラスのとき陽線でマイナスのとき陰線となる正解率が80%となります。
式が表す内容を掴みます。
失業率は、過去のグラフ推移を見ると、市場予想と発表結果のズレが0.1〜0.2%程度です。仮に0.1%上振れした場合を想定すると、この上振れをキャンセルし得る新規雇用者数は、判別式の係数から0.4万人の増加ということになります。
失業率の市場予想とのズレは0.1〜0.2%程度しか起きない、とします。このとき、新規雇用者数0.8万人以上のズレが起きれば、先の判別式係数の関係で、直後1分足の反応方向は新規雇用者数のズレに依存します。そして、新規雇用者数の0.8万人というズレなんて、しょっちゅう起きていると見立てます。
2015年2月以降前回発表までの29回で、新規雇用者数の前月結果と発表結果が入れ替わったことは16回あります(頻度55%)。そして、前回6月分発表では、発表結果が市場予想を僅かに下回りました。よって、今回は発表結果が市場予想を上回る期待的中率は55%ということになります。
以上の分析要点は以下の通りです。
(1) 過去の直後1分足の反応方向は、ー5✕失業率の差異[%]+2✕新規雇用者数の差異[万人]+1✕労働参加率の差異[%]、という判別式符号と83%一致しています(プラスならば陽線、マイナスならば陰線)。式の係数の大きさから言えば、失業率0.1%のズレは、新規雇用者数0.4万人に相当します。
(2) 2015年2月以降前回発表までの29回で、新規雇用者数の前月結果と発表結果が入れ替わったことは16回あります(頻度55%)。そして、前回6月分発表では、発表結果が市場予想を僅かに下回りました。よって、今回は発表結果が市場予想を上回る期待的中率は55%ということになります。
過去の直前10-1分足・直前1分足・直後1分足・直後11分足の始値基準ローソク足を示します。
まず、直前10-1分足は、過去平均跳幅が9pipsです。その跳幅が10pips以上だったことは過去11回(頻度37%)あります。この11回の直後1分足跳幅は35pipsで、これは直後1分足跳幅の過去全平均37pipsとほぼ同じです。そして、この11回の直前10-1分足と直後1分足の方向は5回(45%)一致しています。
つまり、直前10-1分足の反応が平均より少し大きく動いたからと言って、それが直後1分足の反応程度や方向を示唆しているとは言えません。
次に、直前1分足は過去平均跳幅が8pipsです。跳幅が10pips以上だったことは過去7回(23%)あります。この6回の直後1分足跳幅の平均は38pipsで、これは過去全平均37pipsとほぼ同じです。そして、このとき直前1分足と直後1分足の方向は1回も一致していません(0%)。
つまり、直前1分足跳幅が平均より少し大きく10pips動いたときは注意が必要です。過去事例では、こうした場合には全て、直前1分足と同じ方向に直後1分足が反応していません(逆か始値終値同値)。釣られて直前1分足が伸びた方向に追撃すべきでありません。
そして、直後1分足の過去平均跳幅と値幅の差は9pips(1ー値幅/跳幅=戻り比率24%)です。直後11分足のそれは14pips(戻り比率33%)です。
一般に戻り比率が30%を超えるとヒゲが目立つ傾向があります。がしかし、本指標直後11分足は、まんべんなく戻しているためか、直後11分足ローソク足にヒゲは目立ちません。
直後1分足と直後11分足については、ローソク足観察よりも他の分析結果を参照する方が良いでしょう。
過去のローソク足の特徴を纏めると以下の通りです。
(1) よく(頻度37%)直前10-1分足跳幅が10pips以上動きます。がしかし、直前10-1分足の反応が10pips以上動いても、それが直後1分足の反応程度や方向を示唆しているとは言えません。慌てて釣られないように気を付けましょう。
(2) ときどき(頻度23%)直前1分足跳幅が10pips以上動く場合があります。この場合、注意が必要です。過去事例では、こうした場合には全て、直前1分足と同じ方向に直後1分足が反応していません(逆か始値終値同値)。釣られて直前1分足が伸びた方向に追撃すべきでありません。
(3) 直後1分足の過去平均跳幅と値幅の差は9pips(1ー値幅/跳幅=戻り比率24%)です。直後11分足のそれは14pips(戻り比率33%)です。
反応性分析では、過去発表直後の1分足と11分足の跳幅と値幅を使います。この分析で十分なpipsが狙えそうな指標か否かが判断できます。詳細は「反応性分析」をご参照願います。
反応一致性分析は、指標発表前後の反応方向に特徴的な偏りがないかを調べています。詳細は「反応一致性分析」をご参照願います。
指標一致性分析は、指標の前回結果と市場予想の差(事前差異)と、発表結果と市場予想の差(事後差異)と、発表結果と前回結果の差(実態差異)を求め、そのプラス・マイナスと反応方向に偏りがないかを調べています。詳細は「指標一致性分析」をご参照願います。
反応性分析の結果を下表に示します。
直後1分足と直後11分足との方向一致率は83%です。そして、その83%の方向一致時だけを取り上げて直後1分足跳幅を、直後11分足跳幅が超えて反応を伸ばしたことが63%です。
指標発表時点から見たその後の方向一致率が高く、且つ、反応を伸ばしているのだから、指標発表後に反応方向を確認したら早期追撃です。
そして、指標発表から1分を経過すると、直後1分足終値を超えて直後11分足終値が伸びていたことは55%となっています。それほど安心してポジションを持ち続けられる数字ではないので、発表から1分を過ぎたら早期利確した方がよいと思われます。その後の追撃は、短期利確の繰り返して行った方が良いでしょう。
次に、反応一致性分析の結果を下表に示します。
直前1分足は陰線率が86%、直後1分足は陽線率が73%と、偏りが目立ちます。そして、直前1分足と直後1分足の方向一致率が25%(不一致率75%)となっており、矛盾はありません。
その他、直後1分足と直後11分足の方向一致率が83%と高い点を除けば、先に形成されたローソク足が後で形成されるローソク足の方向を示唆している兆しはありません。
最後に、指標一致性分析の結果を下表に示します。
事後差異と直後1分足・直後11分足の方向一致率がそれぞれ80%・83%となっています。市場予想に対する発表結果の良し悪しに、素直に反応する指標です。
実態差異と直後1分足の方向一致率が70%となっています。前回結果に対する発表結果の良し悪しの影響も受けています。
巻頭箇条書きのシナリオの項をご参照願います。
以下は2017年8月19日に追記しています。
本指標発表結果及び反応は次の通りでした。
発表結果は新規雇用者数が+2.79万人(予想+2.0万人)となり、初期反応は陽線となりました。がしかし、常勤雇用者数△2.03万人(前回+6.2万人)の悪化が嫌気され、陰線側へと転じました。
動きは、発表と同時にどーんと陰線側に跳ね、すぐに陽線側へと転じました。がしかし、陽線側への反応は伸び悩み、発表から1分を過ぎる頃には陰線側に転じました。
発表時刻を跨いでポジションを持っていた場合、ロングであれショートであれ、安全のためには損切せざるを得ない動きでした。
取引結果は次の通りでした。
発表時刻を跨いだ取引では、大きく陰線側に振れたのを見て損切しました。すぐに陽線側に転じたものの、安全のため、これは仕方ありません。
事前調査分析内容を以下に検証します。
事前準備していたシナリオを検証しておきます。
下表に、本ブログを始めてからの本指標シナリオでの取引成績を纏めておきます。
本記事は、同じ指標の発表がある度に更新を繰り返して精度向上を図り、過去の教訓を次の発表時の取引で活かせるように努めています。がしかし、それでも的中率は75%程度に留まり、100%ではありません。詳細は「1. FXは上達するのか」をご参照ください。
そして、本記事は筆者個人の見解に基づいています。本記事に含まれる価格・データ・その他情報等は、本記事に添付されたリンク先とは関係ありません。また、取引や売買における意思決定を、本記事の記載通りに行うことは適切ではありません。そして、本記事の内容が資格を持った投資専門家の助言ではないことを明記しておきます。記載内容のオリジナリティや信頼性確保には努めているものの、それでも万全のチェックは行えていない可能性があります。
ポジションを持つ最終的なご判断は読者ご自身の責任となります。その点を予めご了承の上、本記事がFXを楽しむ一助となれば幸いです。
本記事における分析シート、一部乃至は一連の体系化された手順を、個人の取引以外の目的で使用・公開・二次利用を行う場合には、著作権者及びFX手法研究会に対し、連絡を取り何らかの合意を行う必要があります。
T.指標予想要点
2017年8月17日10:30に豪州雇用統計が発表されます。今回発表は2017年7月分の集計結果です。
今回の市場予想と前回結果は次の通りです。市場予想は本記事作成時点の値です。
※ 本稿は8月16日に記しています。市場予想は発表直前に確認しておきましょう。
※ 黄色欄は、後述する事前差異判別式の変数と解です。
本指標の特徴は以下の通りです。
- 2015年末頃を境に、本指標は反応程度が一段小さくなりました。とは言え、それでもかなり大きく反応する指標なので、発表時刻を跨いでポジションを持つことには慎重でなければいけません。
- 過去の直後1分足の反応方向は、ー5✕失業率の差異[%]+2✕新規雇用者数の差異[万人]+1✕労働参加率の差異[%]、という判別式符号と83%一致しています(プラスならば陽線、マイナスならば陰線)。式の係数の大きさから言えば、失業率0.1%のズレは、新規雇用者数0.4万人に相当します。
- 追撃は、指標発表後に反応方向を確認したら早期開始に向いています。そして、発表から1分を過ぎたら早期利確した方がよいと思われます(1分経過を待たずに利確すできるなら、その方が良い)。その後の追撃は、短期利確の繰り返して行った方が良いでしょう。
ーーー$€¥ーーー
今回発表に対する調査・分析結果を以下に一覧します。
- 危ないので自己責任でお願います。
今回の指標結果の予想分析結論は、発表直後が陽線、です。
(1) 過去の直後1分足の反応方向は、ー5✕失業率の差異[%]+2✕新規雇用者数の差異[万人]+1✕労働参加率の差異[%]、という判別式符号と83%一致しています(プラスならば陽線、マイナスならば陰線)。式の係数の大きさから言えば、失業率0.1%のズレは、新規雇用者数0.4万人に相当します。
(2) 2015年2月以降前回発表までの29回で、新規雇用者数の前月結果と発表結果が入れ替わったことは16回あります(頻度55%)。そして、前回6月分発表では、発表結果が市場予想を僅かに下回りました。よって、今回は発表結果が市場予想を上回る期待的中率は55%ということになります。
(3) 反応一致性分析によれば、直後1分足の陽線率が73%と、偏りが目立ちます。 - 過去のローソク足の特徴は以下の通りです。
(1) よく(頻度37%)直前10-1分足跳幅が10pips以上動きます。がしかし、直前10-1分足の反応が10pips以上動いても、それが直後1分足の反応程度や方向を示唆しているとは言えません。慌てて釣られないように気を付けましょう。
(2) ときどき(頻度23%)直前1分足跳幅が10pips以上動く場合があります。この場合、注意が必要です。過去事例では、こうした場合には全て、直前1分足と同じ方向に直後1分足が反応していません(逆か始値終値同値)。釣られて直前1分足が伸びた方向に追撃すべきでありません。
(3) 直後1分足の過去平均跳幅と値幅の差は9pips(1ー値幅/跳幅=戻り比率24%)です。直後11分足のそれは14pips(戻り比率33%)です。 - 定型分析の結論は次の通りです。
(1) 反応性分析の結論は以下の通りです。
追撃は、指標発表後に反応方向を確認したら早期開始です。そして、発表から1分を過ぎたら早期利確した方がよいと思われます。その後の追撃は、短期利確の繰り返して行った方が良いでしょう。
(2) 反応一致性分析の結論は、以下の通りです。
直前1分足は陰線率が86%、直後1分足は陽線率が73%と、偏りが目立ちます。そして、直前1分足と直後1分足の方向一致率が25%(不一致率75%)となっており、矛盾はありません。
その他、直後1分足と直後11分足の方向一致率が83%と高い点を除けば、先に形成されたローソク足が後で形成されるローソク足の方向を示唆している兆しはありません。
(3) 指標一致性分析の結論は以下の通りです。
事後差異と直後1分足・直後11分足の方向一致率がそれぞれ80%・83%となっています。市場予想に対する発表結果の良し悪しに、素直に反応する指標です。
実態差異と直後1分足の方向一致率が70%となっています。前回結果に対する発表結果の良し悪しの影響も受けています。 - 以上の調査・分析結果に基づき、以下のシナリオで取引に臨みます。
(1) 直前1分足は陰線と見込みます。
(2) 直後1分足は陽線と見込みます。
(3) 追撃は、反応方向を確認したら、早期参加・短期利確です。
(4) 発表から1分を過ぎて追撃するなら、短期利確の繰り返しで行います。
以上の詳細ないしは論拠は、以下の「T.調査・分析」に記しています。
U.過去調査詳細
公開情報や既出情報に基づく調査を行い、過去の指標と反応の関係を比較分析しています。方向に関する的中率に比べ、程度に関する的中率は残念ながら低いというのが実情です。利確・損切の目安は、過去平均値を最近の反応の大小と見比べて感覚的に微修正しています。
【1. 指標概要】
新規雇用者数の調査は、事業者の給与支払い帳簿を基に集計したものです。
指標の良し悪しを見る上で、豪州人口が自然増であることや毎月の離職者も存在することを踏まえると、+1万人ぐらいが中立的な数字ではないでしょうか。
失業率については、リーマンショック前の2008年頃には4.1%まで低下したことがあります。直近では2017年5月分の5.1%が最も低い数字です。
2015年末を境に、それ以前に比べて反応が小さくなっています。それ以前からRBAは利下げを行っていたので、その時期に大きく情勢が変わったことは、FRBの利上げ開始です。米豪金利差が小さくなるスピードが速まると、豪雇用統計への反応が小さくなる理由はわかりません。
とは言え、それでも本指標が大きく反応する経済指標のひとつであることには変わりありません。
大きく反応する指標なので、指標発表時刻を跨いでポジションを取ることは薦められません。大きく動く指標の分析で最も大切なことは、どうすれば発表後の追撃が容易になるか、です。
ーーー$€¥ーーー
本指標に関する調査期間と、過去の反応程度・分布を下表に纏めておきます。
最も指標結果に素直に反応する直後1分足跳幅は、過去平均で37pipsです。分布は、19-37pips跳ねたことが47%と半分近くあります。それ未満の18pips以下だったことは13%しかありません。反応が大きいため、指標発表時刻を跨いでポジションを持つことは慎重でなければいけません。
【2. 既出情報】
(2-1. 過去情報)
(2-1. 過去情報)
過去の発表結果と市場予想を下図に一覧します。
下図は発表結果と市場予想をプロットしています。市場予想は発表直前の値をプロットし、発表結果は後に修正値が発表されても定時発表値のままをプロットしています。
項目が多いため、個別項目毎に細かくグラフを眺める前に、見るべきポイントを絞り込みましょう。各項目毎に反応方向にどの程度影響しているのかを下表に纏めておきました。
上表の上3行は、失業率と新規雇用者数と労働参加率の各項目について、ひとつずつ反応方向との一致率を求めています。これは予備計算のようなもので、この予備計算は最も反応方向との一致率が高い項目に注目しています。
そして、上から4行目・5行目・6行目は、それぞれ事前差異と直前10-1分足・事後差異と直後1分足・実態差異と直後11分足の方向一致率が高くなるように、係数を求めています。
結果、本指標ではそれらを細かく使い分けるよりも、同じ係数の判別式として使っても、方向一致率があまり変わらないことがわかりました。
判別式は、ー5✕失業率の差異[%]+2✕新規雇用者数の差異[万人]+1✕労働参加率の差異[%]、です。
過去発表時の直後1分足は、この判別式の符号がプラスのとき陽線でマイナスのとき陰線となる正解率が80%となります。
式が表す内容を掴みます。
失業率は、過去のグラフ推移を見ると、市場予想と発表結果のズレが0.1〜0.2%程度です。仮に0.1%上振れした場合を想定すると、この上振れをキャンセルし得る新規雇用者数は、判別式の係数から0.4万人の増加ということになります。
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失業率の市場予想とのズレは0.1〜0.2%程度しか起きない、とします。このとき、新規雇用者数0.8万人以上のズレが起きれば、先の判別式係数の関係で、直後1分足の反応方向は新規雇用者数のズレに依存します。そして、新規雇用者数の0.8万人というズレなんて、しょっちゅう起きていると見立てます。
2015年2月以降前回発表までの29回で、新規雇用者数の前月結果と発表結果が入れ替わったことは16回あります(頻度55%)。そして、前回6月分発表では、発表結果が市場予想を僅かに下回りました。よって、今回は発表結果が市場予想を上回る期待的中率は55%ということになります。
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以上の分析要点は以下の通りです。
(1) 過去の直後1分足の反応方向は、ー5✕失業率の差異[%]+2✕新規雇用者数の差異[万人]+1✕労働参加率の差異[%]、という判別式符号と83%一致しています(プラスならば陽線、マイナスならば陰線)。式の係数の大きさから言えば、失業率0.1%のズレは、新規雇用者数0.4万人に相当します。
(2) 2015年2月以降前回発表までの29回で、新規雇用者数の前月結果と発表結果が入れ替わったことは16回あります(頻度55%)。そして、前回6月分発表では、発表結果が市場予想を僅かに下回りました。よって、今回は発表結果が市場予想を上回る期待的中率は55%ということになります。
(2-2. 過去反応)
過去の直前10-1分足・直前1分足・直後1分足・直後11分足の始値基準ローソク足を示します。
まず、直前10-1分足は、過去平均跳幅が9pipsです。その跳幅が10pips以上だったことは過去11回(頻度37%)あります。この11回の直後1分足跳幅は35pipsで、これは直後1分足跳幅の過去全平均37pipsとほぼ同じです。そして、この11回の直前10-1分足と直後1分足の方向は5回(45%)一致しています。
つまり、直前10-1分足の反応が平均より少し大きく動いたからと言って、それが直後1分足の反応程度や方向を示唆しているとは言えません。
次に、直前1分足は過去平均跳幅が8pipsです。跳幅が10pips以上だったことは過去7回(23%)あります。この6回の直後1分足跳幅の平均は38pipsで、これは過去全平均37pipsとほぼ同じです。そして、このとき直前1分足と直後1分足の方向は1回も一致していません(0%)。
つまり、直前1分足跳幅が平均より少し大きく10pips動いたときは注意が必要です。過去事例では、こうした場合には全て、直前1分足と同じ方向に直後1分足が反応していません(逆か始値終値同値)。釣られて直前1分足が伸びた方向に追撃すべきでありません。
そして、直後1分足の過去平均跳幅と値幅の差は9pips(1ー値幅/跳幅=戻り比率24%)です。直後11分足のそれは14pips(戻り比率33%)です。
一般に戻り比率が30%を超えるとヒゲが目立つ傾向があります。がしかし、本指標直後11分足は、まんべんなく戻しているためか、直後11分足ローソク足にヒゲは目立ちません。
直後1分足と直後11分足については、ローソク足観察よりも他の分析結果を参照する方が良いでしょう。
ーーー$€¥ーーー
過去のローソク足の特徴を纏めると以下の通りです。
(1) よく(頻度37%)直前10-1分足跳幅が10pips以上動きます。がしかし、直前10-1分足の反応が10pips以上動いても、それが直後1分足の反応程度や方向を示唆しているとは言えません。慌てて釣られないように気を付けましょう。
(2) ときどき(頻度23%)直前1分足跳幅が10pips以上動く場合があります。この場合、注意が必要です。過去事例では、こうした場合には全て、直前1分足と同じ方向に直後1分足が反応していません(逆か始値終値同値)。釣られて直前1分足が伸びた方向に追撃すべきでありません。
(3) 直後1分足の過去平均跳幅と値幅の差は9pips(1ー値幅/跳幅=戻り比率24%)です。直後11分足のそれは14pips(戻り比率33%)です。
【3. 定型分析】
反応性分析では、過去発表直後の1分足と11分足の跳幅と値幅を使います。この分析で十分なpipsが狙えそうな指標か否かが判断できます。詳細は「反応性分析」をご参照願います。
反応一致性分析は、指標発表前後の反応方向に特徴的な偏りがないかを調べています。詳細は「反応一致性分析」をご参照願います。
指標一致性分析は、指標の前回結果と市場予想の差(事前差異)と、発表結果と市場予想の差(事後差異)と、発表結果と前回結果の差(実態差異)を求め、そのプラス・マイナスと反応方向に偏りがないかを調べています。詳細は「指標一致性分析」をご参照願います。
反応性分析の結果を下表に示します。
直後1分足と直後11分足との方向一致率は83%です。そして、その83%の方向一致時だけを取り上げて直後1分足跳幅を、直後11分足跳幅が超えて反応を伸ばしたことが63%です。
指標発表時点から見たその後の方向一致率が高く、且つ、反応を伸ばしているのだから、指標発表後に反応方向を確認したら早期追撃です。
そして、指標発表から1分を経過すると、直後1分足終値を超えて直後11分足終値が伸びていたことは55%となっています。それほど安心してポジションを持ち続けられる数字ではないので、発表から1分を過ぎたら早期利確した方がよいと思われます。その後の追撃は、短期利確の繰り返して行った方が良いでしょう。
次に、反応一致性分析の結果を下表に示します。
直前1分足は陰線率が86%、直後1分足は陽線率が73%と、偏りが目立ちます。そして、直前1分足と直後1分足の方向一致率が25%(不一致率75%)となっており、矛盾はありません。
その他、直後1分足と直後11分足の方向一致率が83%と高い点を除けば、先に形成されたローソク足が後で形成されるローソク足の方向を示唆している兆しはありません。
最後に、指標一致性分析の結果を下表に示します。
事後差異と直後1分足・直後11分足の方向一致率がそれぞれ80%・83%となっています。市場予想に対する発表結果の良し悪しに、素直に反応する指標です。
実態差異と直後1分足の方向一致率が70%となっています。前回結果に対する発表結果の良し悪しの影響も受けています。
【4. シナリオ作成】
巻頭箇条書きのシナリオの項をご参照願います。
以上
2017年8月17日10:30発表
以下は2017年8月19日に追記しています。
V.発表結果検証
【5. 発表結果】
(5-1. 指標結果)
本指標発表結果及び反応は次の通りでした。
発表結果は新規雇用者数が+2.79万人(予想+2.0万人)となり、初期反応は陽線となりました。がしかし、常勤雇用者数△2.03万人(前回+6.2万人)の悪化が嫌気され、陰線側へと転じました。
動きは、発表と同時にどーんと陰線側に跳ね、すぐに陽線側へと転じました。がしかし、陽線側への反応は伸び悩み、発表から1分を過ぎる頃には陰線側に転じました。
発表時刻を跨いでポジションを持っていた場合、ロングであれショートであれ、安全のためには損切せざるを得ない動きでした。
(5-2. 取引結果)
取引結果は次の通りでした。
発表時刻を跨いだ取引では、大きく陰線側に振れたのを見て損切しました。すぐに陽線側に転じたものの、安全のため、これは仕方ありません。
【6. 分析検証】
(6-1. 分析検証)
事前調査分析内容を以下に検証します。
- 全体的な傾向について、次のように捉えていました。
「2015年末頃を境に、本指標は反応程度が一段小さくなりました。とは言え、それでもかなり大きく反応する指標なので、発表時刻を跨いでポジションを持つことには慎重でなければいけません。」
この内容は来月もこのままで良いでしょう。
気になったので、直後1分足の逆跳幅が順跳幅より大きかったことを調べてみました。
このブログで、4本足ローソク足の記録を残していたことは、2016年12月分と2017年3・5・6月分と今回の5回です。このうち、2016年12月分と今回の2回(頻度40%)で、直後1分足の逆跳幅が順跳幅より大きくなっていました。
つまり、例え分析が当たっていても、一旦は逆方向に動くことが多いことがわかりました。
このことは、次回以降に指標の特徴として追加しておきます。 - 判別式について、次のように捉えていました。
「過去の直後1分足の反応方向は、ー5✕失業率の差異[%]+2✕新規雇用者数の差異[万人]+1✕労働参加率の差異[%]、という判別式符号と83%一致しています(プラスならば陽線、マイナスならば陰線)。式の係数の大きさから言えば、失業率0.1%のズレは、新規雇用者数0.4万人に相当します。」
結果は、今回の事後差異がプラスで、直後1分足は陽線だったので、問題ありません。 - 取引方法について、次のように捉えていました。
「追撃は、指標発表後に反応方向を確認したら早期開始に向いています。そして、発表から1分を過ぎたら早期利確した方がよいと思われます(1分経過を待たずに利確すできるなら、その方が良い)。その後の追撃は、短期利確の繰り返して行った方が良いでしょう。」
結果は、直後11分足が直後1分足の方向と反転しているので、この内容で問題ありません。
(6-2. シナリオ検証)
事前準備していたシナリオを検証しておきます。
- 直前1分足は陰線と見込みました。結果は陰線でした。
- 直後1分足は陽線と見込みました。結果は陽線でした。
- 追撃は、反応方向を確認したら、早期参加・短期利確を狙いました。結果はこれで良かったと思います。
- 発表から1分を過ぎて追撃するなら、短期利確の繰り返しで行った方が良いと考えていました。結果は、直後11分足が直後1分足の方向と反転したので、この内容で問題ありません。
下表に、本ブログを始めてからの本指標シナリオでの取引成績を纏めておきます。
以上
ーーー注記ーーー
本記事は、同じ指標の発表がある度に更新を繰り返して精度向上を図り、過去の教訓を次の発表時の取引で活かせるように努めています。がしかし、それでも的中率は75%程度に留まり、100%ではありません。詳細は「1. FXは上達するのか」をご参照ください。
そして、本記事は筆者個人の見解に基づいています。本記事に含まれる価格・データ・その他情報等は、本記事に添付されたリンク先とは関係ありません。また、取引や売買における意思決定を、本記事の記載通りに行うことは適切ではありません。そして、本記事の内容が資格を持った投資専門家の助言ではないことを明記しておきます。記載内容のオリジナリティや信頼性確保には努めているものの、それでも万全のチェックは行えていない可能性があります。
ポジションを持つ最終的なご判断は読者ご自身の責任となります。その点を予めご了承の上、本記事がFXを楽しむ一助となれば幸いです。
ーーー注記ーーー
本記事における分析シート、一部乃至は一連の体系化された手順を、個人の取引以外の目的で使用・公開・二次利用を行う場合には、著作権者及びFX手法研究会に対し、連絡を取り何らかの合意を行う必要があります。
以上
2017年08月08日
NZ(RBNZ)金融政策発表後のNZDJPY反応分析(2017年8月10日06:00発表結果検証済)
以下、「T.調査・分析」を事前投稿し、「U.結果・検証」を事後投稿しています。ブログの日付は事前投稿日となっています。指標発表後に事後投稿し、その日時は「U.結果・検証」のタイトル行付近に記載しています。
2017年8月10日06:00にNZ(RBNZ)金融政策が発表されます。
今回の市場予想と前回結果は次の通りです。市場予想は本記事作成時点の値です。
※ 本稿は8月8日に記しています。市場予想は発表直前に確認しておきましょう。
今回の市場予想は現状維持です。以下、特に断らない限り、過去の「市場予想通り現状維持」だったときだけを集計・取り上げて記します。
2013年1月以降35回の発表のうち、そうした事例は24回あります。
本指標(「市場予想通り現状維持」だったとき)の特徴は以下の通りです。
反応性分析の結果は以下の通りです。
「次の政策変更がいつか」に関心が高かった以前に比べ、「当面の政策変更なし」と見なされている最近は、やや反応が小さくなっています。
過去の反応分布は次の通りです。
反応分布は、市場が最も素直に反応していると見なせる直後1分足跳幅の分布です。
指標発表時点において、直後1分足と直後11分足とが同方向に反応したことが92%あります。そして、両者が同方向に伸びたとき、直後11分足跳幅が直後1分足跳幅を超えて反応を伸ばしたことが95%です。
よって、反応方向を確認したら、早期追撃開始すると良いでしょう。
けれども、発表から1分が過ぎると、直後1分足終値を直後11分足終値が超えたことは54%となります。両者方向が反転するリスクは小さい(8%)ものの、直後1分足値幅をそれからは削ることが38%となっています。
よって、発表から1分を過ぎたら、ポジションを持ち続けない方が安全です。
発表から1分を過ぎても、反応が伸び続ける確率の方が、そうでない確率より高いので、再追撃自体は問題ありません。上下動しながら反応を伸ばしていくことが多いので、高値(安値)掴みに気を付けて、無理にだったらポジションを取らない方が良いでしょう。
過去の政策金利発表結果と直後1分足・直後11分足の始値基準ローソク足を示しておきます。以下3図は過去全データで、「市場予想通り現状維持」だけではありません。
こんなものかと眺めて下さい。滅多に長いヒゲを形成していないことがわかれば、それでいいでしょう。
NZ1-3月期GDP前年比は+2.5%で、10-12月期の+2.7%から僅かに低下しました。でも+2.5%です。地震復興需要が一段落ついたら、人口増とそれに伴う住宅投資拡大が経済成長を支えています。直近の好材料は、主要産品の乳製品国際価格が5月後半から持ち直していることです。そして、1-3月期CPI前年比は+2.2%で、RBNZ目標中心値の2%を上回りました。
それにも関わらず、RBNZは6月22日に「2019年の遅い時期まで利上げを開始しない見込み」と発言しています。インフレが加速する懸念よりも、目標以下のインフレ状態が続くことを懸念しています。ただ、同総裁は9月退任予定(2017年2月7日発表)で、その後は2018年3月まで副総裁が代行を務めると発表されています。
以上の調査・分析結果に鑑み、取引シナリオは、発表後の早期順張り追撃・短期利確です。
発表後1分を経過したら、短期順張り取引の繰り返しです。
以下は2017年8月10日20:50頃に追記しています。
本指標発表結果及び反応は次の通りでした。
結果は「市場予想通り現状維持」で、反応は陽線でした。
政策金利と同時発表される声明は未確認です。
RBNZ金融政策発表後の会見で、RBNZ総裁は「(現在の)政策を相当期間に亘って続ける」という方針を示しました。これは既に表明されていたことなので、新鮮さはありません。
緩和継続の理由について、1-3月期成長率が前期+0.5%だったことを挙げて「低金利で景気を下支えする」と述べました。インフレ率も低下したものの「そのうち目標範囲に戻る」との見方も示しました。RBNZのインフレ目標は年率1-3%です。
そして「NZDの下落を望む」と発言したようです。これもいつも通りの発言です。
ロイターの解説に依れば「RBNZはは歴史的に外為市場への介入には極めて消極的な姿勢」にも関わらず、「介入能力がある」ことを強調したそうです。そのためか、RBNZ総裁会見が行われた10:00頃から、NZDJPYは大きく下げています。
次回発表は9月28日です。
寝てました。
事前調査分析内容を、以下に検証します
事前準備していたシナリオは、発表後の早期順張り追撃・短期利確のみ、でした。
これはリアルタイムでチャートを見ていなかったので検証できません。
本記事は、同じ指標の発表がある度に更新を繰り返して精度向上を図り、過去の教訓を次の発表時の取引で活かせるように努めています。がしかし、それでも的中率は75%程度に留まり、100%ではありません。詳細は「1. FXは上達するのか」をご参照ください。
そして、本記事は筆者個人の見解に基づいています。本記事に含まれる価格・データ・その他情報等は、本記事に添付されたリンク先とは関係ありません。また、取引や売買における意思決定を、本記事の記載通りに行うことは適切ではありません。そして、本記事の内容が資格を持った投資専門家の助言ではないことを明記しておきます。記載内容のオリジナリティや信頼性確保には努めているものの、それでも万全のチェックは行えていない可能性があります。
ポジションを持つ最終的なご判断は読者ご自身の責任となります。その点を予めご了承の上、本記事がFXを楽しむ一助となれば幸いです。
本記事における分析シート、一部乃至は一連の体系化された手順を、個人の取引以外の目的で使用・公開・二次利用を行う場合には、著作権者及びFX手法研究会に対し、連絡を取り何らかの合意を行う必要があります。
2017年8月10日06:00にNZ(RBNZ)金融政策が発表されます。
今回の市場予想と前回結果は次の通りです。市場予想は本記事作成時点の値です。
※ 本稿は8月8日に記しています。市場予想は発表直前に確認しておきましょう。
今回の市場予想は現状維持です。以下、特に断らない限り、過去の「市場予想通り現状維持」だったときだけを集計・取り上げて記します。
2013年1月以降35回の発表のうち、そうした事例は24回あります。
本指標(「市場予想通り現状維持」だったとき)の特徴は以下の通りです。
- 過去の傾向では、反応程度がかなり大きいものの、反応方向は事前予想できません。
- 過去の傾向では、発表後の追撃を早期参加・短期利確で開始します。発表から1分を過ぎたら上下動の波にうまく乗って順張り短期追撃の繰り返しが良いでしょう。
- 今回の市場予想は、直近のRBNZ声明・幹部発言に沿った予想です。前回声明では「当面の利上げなし」、その後も同様の発言がRBNZ総裁からありました。
ーーー$€¥ーーー
反応性分析の結果は以下の通りです。
「次の政策変更がいつか」に関心が高かった以前に比べ、「当面の政策変更なし」と見なされている最近は、やや反応が小さくなっています。
過去の反応分布は次の通りです。
反応分布は、市場が最も素直に反応していると見なせる直後1分足跳幅の分布です。
- 22pips以下だったことは21%
- 23-44pipsの範囲だったことは37%
- 45-66pipsの範囲だったことは25%
- 67-88pipsの範囲だったことは13%
- 89pipsいじょうだったことは4%
指標発表時点において、直後1分足と直後11分足とが同方向に反応したことが92%あります。そして、両者が同方向に伸びたとき、直後11分足跳幅が直後1分足跳幅を超えて反応を伸ばしたことが95%です。
よって、反応方向を確認したら、早期追撃開始すると良いでしょう。
けれども、発表から1分が過ぎると、直後1分足終値を直後11分足終値が超えたことは54%となります。両者方向が反転するリスクは小さい(8%)ものの、直後1分足値幅をそれからは削ることが38%となっています。
よって、発表から1分を過ぎたら、ポジションを持ち続けない方が安全です。
発表から1分を過ぎても、反応が伸び続ける確率の方が、そうでない確率より高いので、再追撃自体は問題ありません。上下動しながら反応を伸ばしていくことが多いので、高値(安値)掴みに気を付けて、無理にだったらポジションを取らない方が良いでしょう。
ーーー$€¥ーーー
過去の政策金利発表結果と直後1分足・直後11分足の始値基準ローソク足を示しておきます。以下3図は過去全データで、「市場予想通り現状維持」だけではありません。
こんなものかと眺めて下さい。滅多に長いヒゲを形成していないことがわかれば、それでいいでしょう。
ーーー$€¥ーーー
NZ1-3月期GDP前年比は+2.5%で、10-12月期の+2.7%から僅かに低下しました。でも+2.5%です。地震復興需要が一段落ついたら、人口増とそれに伴う住宅投資拡大が経済成長を支えています。直近の好材料は、主要産品の乳製品国際価格が5月後半から持ち直していることです。そして、1-3月期CPI前年比は+2.2%で、RBNZ目標中心値の2%を上回りました。
それにも関わらず、RBNZは6月22日に「2019年の遅い時期まで利上げを開始しない見込み」と発言しています。インフレが加速する懸念よりも、目標以下のインフレ状態が続くことを懸念しています。ただ、同総裁は9月退任予定(2017年2月7日発表)で、その後は2018年3月まで副総裁が代行を務めると発表されています。
【シナリオ作成】
以上の調査・分析結果に鑑み、取引シナリオは、発表後の早期順張り追撃・短期利確です。
発表後1分を経過したら、短期順張り取引の繰り返しです。
以上
U. 結果・検証
2017年8月10日06:00発表
以下は2017年8月10日20:50頃に追記しています。
【5. 発表結果】
(5-1. 指標結果)
本指標発表結果及び反応は次の通りでした。
結果は「市場予想通り現状維持」で、反応は陽線でした。
政策金利と同時発表される声明は未確認です。
RBNZ金融政策発表後の会見で、RBNZ総裁は「(現在の)政策を相当期間に亘って続ける」という方針を示しました。これは既に表明されていたことなので、新鮮さはありません。
緩和継続の理由について、1-3月期成長率が前期+0.5%だったことを挙げて「低金利で景気を下支えする」と述べました。インフレ率も低下したものの「そのうち目標範囲に戻る」との見方も示しました。RBNZのインフレ目標は年率1-3%です。
そして「NZDの下落を望む」と発言したようです。これもいつも通りの発言です。
ロイターの解説に依れば「RBNZはは歴史的に外為市場への介入には極めて消極的な姿勢」にも関わらず、「介入能力がある」ことを強調したそうです。そのためか、RBNZ総裁会見が行われた10:00頃から、NZDJPYは大きく下げています。
次回発表は9月28日です。
(5-2. 取引結果)
寝てました。
【6. 分析検証】
(6-1. 分析検証)
事前調査分析内容を、以下に検証します
- 過去の傾向では、反応程度がかなり大きいものの、反応方向は事前予想できません。
結果は、直後1分足跳幅が43pipsでした。本発表の過去平均よりも小さな反応だったものの、客観的に見ればかなり大きな跳幅です。 - 過去の傾向では、発表後の追撃を早期参加・短期利確で開始します。発表から1分を過ぎたら上下動の波にうまく乗って順張り短期追撃の繰り返しが良いでしょう。
結果は、リアルタイムで動きを見ていないので、定時直後の動きは論評できません。ただ、ローソク足を見る限りでは、初期に大きく跳ねたらあとは上下動が続いていたようです。結果論から言えば、順張りでの追撃よりも逆張りでの追撃の方が簡単だったように見えます。がしかし、直後1分足に対して直後11分足の反転確率が高くないので、やはり逆張りはできません。 - 今回の市場予想は、直近のRBNZ声明・幹部発言に沿った予想です。前回声明では「当面の利上げなし」、その後も同様の発言がRBNZ総裁からありました。
結果は「市場予想通り現状維持」でした。
(6-2. シナリオ検証)
事前準備していたシナリオは、発表後の早期順張り追撃・短期利確のみ、でした。
これはリアルタイムでチャートを見ていなかったので検証できません。
以上
ーーー注記ーーー
本記事は、同じ指標の発表がある度に更新を繰り返して精度向上を図り、過去の教訓を次の発表時の取引で活かせるように努めています。がしかし、それでも的中率は75%程度に留まり、100%ではありません。詳細は「1. FXは上達するのか」をご参照ください。
そして、本記事は筆者個人の見解に基づいています。本記事に含まれる価格・データ・その他情報等は、本記事に添付されたリンク先とは関係ありません。また、取引や売買における意思決定を、本記事の記載通りに行うことは適切ではありません。そして、本記事の内容が資格を持った投資専門家の助言ではないことを明記しておきます。記載内容のオリジナリティや信頼性確保には努めているものの、それでも万全のチェックは行えていない可能性があります。
ポジションを持つ最終的なご判断は読者ご自身の責任となります。その点を予めご了承の上、本記事がFXを楽しむ一助となれば幸いです。
ーーー注記ーーー
本記事における分析シート、一部乃至は一連の体系化された手順を、個人の取引以外の目的で使用・公開・二次利用を行う場合には、著作権者及びFX手法研究会に対し、連絡を取り何らかの合意を行う必要があります。
以上
2017年08月03日
豪州実態指標「小売売上高」発表前後のAUDJPY反応分析(2017年8月4日10:30発表結果検証済)
以下、「T.調査・分析」を事前投稿し、「U.結果・検証」を事後投稿しています。ブログの日付は事前投稿日となっています。指標発表後に事後投稿し、その日時は「U.結果・検証」のタイトル行付近に記載しています。
2017年8月4日10:30に豪州実態指標「小売売上高」が発表されます。今回発表は2017年6月分の集計結果です。
今回の市場予想と前回結果は次の通りです。市場予想は本記事作成時点の値です。
本指標の特徴は以下の通りです。
定型分析の結果は以下の通りです。
調査・分析結果は以下の通りです。
以上の詳細ないしは論拠は、以下の「T.調査・分析」に記しています。
公開情報や既出情報に基づく調査を行い、過去の指標と反応の関係を比較分析しています。方向に関する的中率に比べ、程度に関する的中率は残念ながら低いというのが実情です。利確・損切の目安は、過去平均値を最近の反応の大小と見比べて感覚的に微修正しています。
豪州小売売上高は、小売・サービス業の月間売上高をサンプル調査に基づき算出しています。発表は豪連邦統計局(ABS:Australian Bureau of Statistics)が行い、翌々月上旬に月次発表されています。
豪州と言えば資源関連企業に注目が集まります。ところが、資源関連企業の収益は、資源価格が頭打ちとなるにつれて伸び悩んでいます。もともと豪州GDPに占める鉱工業生産高は1割程度しかないのです。その一方、非資源関連企業の収益は、小売売上高が長期的に拡大傾向と見なされています。
その背景として、豪州は毎年約20万人の移民を受け入れており、2050年までに自然増も含めて約40%の人口増加が見込まれています。豪州は先進国で人口増加率の最も高い国のひとつです。最近の小売売上高は、この人口増加と低金利と豪ドル安が個人消費を押し上げており、今後も堅調に拡大していくと見込まれています。
本指標に関する調査期間と、過去の反応程度・分布を下表に纏めておきます。
最も指標結果に素直に反応する直後1分足跳幅は、過去平均で17pipsです。反応はあまり大きくありません。
また上表分布を別の言い方で説明すると、
です。
過去の発表結果と市場予想を下図に一覧します。
下図は発表結果と市場予想をプロットしています。市場予想は発表直前の値をプロットし、発表結果は後に修正値が発表されても定時発表値のままをプロットしています。
過去の直前10-1分足・直前1分足・直後1分足・直後11分足の始値基準ローソク足を示します。
反応性分析では、過去発表直後の1分足と11分足の跳幅と値幅を使います。この分析で十分なpipsが狙えそうな指標か否かが判断できます。詳細は「反応性分析」をご参照願います。
反応一致性分析は、指標発表前後の反応方向に特徴的な偏りがないかを調べています。詳細は「反応一致性分析」をご参照願います。
指標一致性分析は、指標の前回結果と市場予想の差(事前差異)と、発表結果と市場予想の差(事後差異)と、発表結果と前回結果の差(実態差異)を求め、そのプラス・マイナスと反応方向に偏りがないかを調べています。詳細は「指標一致性分析」をご参照願います。
反応性分析の結果を下表に示します。
直後1分足と直後11分足との方向一致率は83%です。そして、その83%の方向一致時だけを取り上げて直後1分足跳幅よりも直後11分足跳幅が伸びたことは67%です。また、発表から1分経過時点で、それからも反応が伸びて直後11分足を形成することは50%を切っています。
追撃は可能な数字ですが、注意が必要です。
次に、反応一致性分析の結果を下図に示します。
直前1分足は陰線率が88%と、偏りが目立ちます。
そして、直後1分足と直後11分足の方向一致率を除けば、先に形成されたローソク足が後で形成されるローソク足の方向を示唆している兆候はありません。
最後に、指標一致性分析の結果を下図に示します。
事後差異・実態差異と直後1分足との方向一致率は各79%・77%で、本指標は発表結果の良し悪しに素直に反応しています。
巻頭箇条書きのシナリオの項をご参照願います。
以下は2017年8月4日20:20頃に追記しています。
本指標発表結果及び反応は次の通りでした。
結果は市場予想を上回り、反応は陽線でした。
取引結果は次の通りでした。
追撃は高値掴みをしてしまい、損切となりました。
事前調査分析内容を検証しておきます。
事前準備していたシナリオを検証しておきます。
下表に、本ブログを始めてからの本指標シナリオでの取引成績を纏めておきます。
本記事は、同じ指標の発表がある度に更新を繰り返して精度向上を図り、過去の教訓を次の発表時の取引で活かせるように努めています。がしかし、それでも的中率は75%程度に留まり、100%ではありません。詳細は「1. FXは上達するのか」をご参照ください。
そして、本記事は筆者個人の見解に基づいています。本記事に含まれる価格・データ・その他情報等は、本記事に添付されたリンク先とは関係ありません。また、取引や売買における意思決定を、本記事の記載通りに行うことは適切ではありません。そして、本記事の内容が資格を持った投資専門家の助言ではないことを明記しておきます。記載内容のオリジナリティや信頼性確保には努めているものの、それでも万全のチェックは行えていない可能性があります。
ポジションを持つ最終的なご判断は読者ご自身の責任となります。その点を予めご了承の上、本記事がFXを楽しむ一助となれば幸いです。
本記事における分析シート、一部乃至は一連の体系化された手順を、個人の取引以外の目的で使用・公開・二次利用を行う場合には、著作権者及びFX手法研究会に対し、連絡を取り何らかの合意を行う必要があります。
2017年8月4日10:30に豪州実態指標「小売売上高」が発表されます。今回発表は2017年6月分の集計結果です。
今回の市場予想と前回結果は次の通りです。市場予想は本記事作成時点の値です。
本指標の特徴は以下の通りです。
- 反応程度はあまり大きくありません。反応方向は、発表直後こそ素直なものの、時間経過とともにどちらに反応が進むのかがわからなくなります。
- 追撃は慎重に行う必要があります。発表直後に追撃を開始したら、適当なところで利確して打ち切りましょう。
定型分析の結果は以下の通りです。
調査・分析結果は以下の通りです。
- 指標結果の予想分析は省略します。
- 過去のローソク足の特徴は省略します。
- 定型分析の結論は次の通りです。
(1) 直後1分足と直後11分足との方向一致率は83%です。そして、その83%の方向一致時だけを取り上げて直後1分足跳幅よりも直後11分足跳幅が伸びたことは67%です。また、発表から1分経過時点で、それからも反応が伸びて直後11分足を形成することは50%を切っています。
追撃は可能な数字ですが、注意が必要です。
(2) 直前1分足は陰線率が88%と、偏りが目立ちます。
そして、直後1分足と直後11分足の方向一致率を除けば、先に形成されたローソク足が後で形成されるローソク足の方向を示唆している兆候はありません。
(3) 事後差異・実態差異と直後1分足との方向一致率は各79%・77%で、本指標は発表結果の良し悪しに素直に反応しています。 - 以上の調査・分析結果に基づき、以下のシナリオで取引に臨みます。
(1) 直前1分足は陰線と見込みます。
(2) 指標発表直後に追撃を開始し、4分以内に利確します。
以上の詳細ないしは論拠は、以下の「T.調査・分析」に記しています。
T.調査・分析
公開情報や既出情報に基づく調査を行い、過去の指標と反応の関係を比較分析しています。方向に関する的中率に比べ、程度に関する的中率は残念ながら低いというのが実情です。利確・損切の目安は、過去平均値を最近の反応の大小と見比べて感覚的に微修正しています。
【1. 指標概要】
豪州小売売上高は、小売・サービス業の月間売上高をサンプル調査に基づき算出しています。発表は豪連邦統計局(ABS:Australian Bureau of Statistics)が行い、翌々月上旬に月次発表されています。
豪州と言えば資源関連企業に注目が集まります。ところが、資源関連企業の収益は、資源価格が頭打ちとなるにつれて伸び悩んでいます。もともと豪州GDPに占める鉱工業生産高は1割程度しかないのです。その一方、非資源関連企業の収益は、小売売上高が長期的に拡大傾向と見なされています。
その背景として、豪州は毎年約20万人の移民を受け入れており、2050年までに自然増も含めて約40%の人口増加が見込まれています。豪州は先進国で人口増加率の最も高い国のひとつです。最近の小売売上高は、この人口増加と低金利と豪ドル安が個人消費を押し上げており、今後も堅調に拡大していくと見込まれています。
ーーー$€¥ーーー
本指標に関する調査期間と、過去の反応程度・分布を下表に纏めておきます。
最も指標結果に素直に反応する直後1分足跳幅は、過去平均で17pipsです。反応はあまり大きくありません。
また上表分布を別の言い方で説明すると、
- 12pips以下だったことは28%
- 13-17pipsが38%
- 18-24pipsが17%
- 25-34pipsが14%
35pips以上は3%
です。
【2. 既出情報】
(2-1. 過去情報)
(2-1. 過去情報)
過去の発表結果と市場予想を下図に一覧します。
下図は発表結果と市場予想をプロットしています。市場予想は発表直前の値をプロットし、発表結果は後に修正値が発表されても定時発表値のままをプロットしています。
(2-2. 過去反応)
過去の直前10-1分足・直前1分足・直後1分足・直後11分足の始値基準ローソク足を示します。
【3. 定型分析】
反応性分析では、過去発表直後の1分足と11分足の跳幅と値幅を使います。この分析で十分なpipsが狙えそうな指標か否かが判断できます。詳細は「反応性分析」をご参照願います。
反応一致性分析は、指標発表前後の反応方向に特徴的な偏りがないかを調べています。詳細は「反応一致性分析」をご参照願います。
指標一致性分析は、指標の前回結果と市場予想の差(事前差異)と、発表結果と市場予想の差(事後差異)と、発表結果と前回結果の差(実態差異)を求め、そのプラス・マイナスと反応方向に偏りがないかを調べています。詳細は「指標一致性分析」をご参照願います。
反応性分析の結果を下表に示します。
直後1分足と直後11分足との方向一致率は83%です。そして、その83%の方向一致時だけを取り上げて直後1分足跳幅よりも直後11分足跳幅が伸びたことは67%です。また、発表から1分経過時点で、それからも反応が伸びて直後11分足を形成することは50%を切っています。
追撃は可能な数字ですが、注意が必要です。
次に、反応一致性分析の結果を下図に示します。
直前1分足は陰線率が88%と、偏りが目立ちます。
そして、直後1分足と直後11分足の方向一致率を除けば、先に形成されたローソク足が後で形成されるローソク足の方向を示唆している兆候はありません。
最後に、指標一致性分析の結果を下図に示します。
事後差異・実態差異と直後1分足との方向一致率は各79%・77%で、本指標は発表結果の良し悪しに素直に反応しています。
【4. シナリオ作成】
巻頭箇条書きのシナリオの項をご参照願います。
以上
2017年8月4日10:30発表
以下は2017年8月4日20:20頃に追記しています。
U. 結果・検証
【5. 発表結果】
(5-1. 指標結果)
本指標発表結果及び反応は次の通りでした。
結果は市場予想を上回り、反応は陽線でした。
(5-2. 取引結果)
取引結果は次の通りでした。
追撃は高値掴みをしてしまい、損切となりました。
【6. 分析検証】
(6-1. 分析検証)
事前調査分析内容を検証しておきます。
- 過去の傾向では、反応程度があまり大きくありません。反応方向は、発表直後こそ素直なものの、時間経過とともにどちらに反応が進むのかがわからなくなります。
結果は発表直後19pips跳ねており、これは過去平均17pipsとほぼ同じです。また、取引対象期間において、陽線から同値となっていますが、その後はまた再反転をしています。
この内容で来月も構いません。 - 過去の傾向では、追撃を慎重に行う必要があります。発表直後に追撃を開始したら、適当なところで利確して打ち切りましょう。
結果はこの内容で問題ありません。
(6-2. シナリオ検証)
事前準備していたシナリオを検証しておきます。
- 直前1分足は陰線と見込んでいました。結果は陰線でした。
- 指標発表直後に追撃を開始し、4分以内に利確するつもりでした。
結果は損切でしたが、直後11分足は結局、始値同値で終わっています。シナリオには問題ありません。
下表に、本ブログを始めてからの本指標シナリオでの取引成績を纏めておきます。
以上
ーーー注記ーーー
本記事は、同じ指標の発表がある度に更新を繰り返して精度向上を図り、過去の教訓を次の発表時の取引で活かせるように努めています。がしかし、それでも的中率は75%程度に留まり、100%ではありません。詳細は「1. FXは上達するのか」をご参照ください。
そして、本記事は筆者個人の見解に基づいています。本記事に含まれる価格・データ・その他情報等は、本記事に添付されたリンク先とは関係ありません。また、取引や売買における意思決定を、本記事の記載通りに行うことは適切ではありません。そして、本記事の内容が資格を持った投資専門家の助言ではないことを明記しておきます。記載内容のオリジナリティや信頼性確保には努めているものの、それでも万全のチェックは行えていない可能性があります。
ポジションを持つ最終的なご判断は読者ご自身の責任となります。その点を予めご了承の上、本記事がFXを楽しむ一助となれば幸いです。
ーーー注記ーーー
本記事における分析シート、一部乃至は一連の体系化された手順を、個人の取引以外の目的で使用・公開・二次利用を行う場合には、著作権者及びFX手法研究会に対し、連絡を取り何らかの合意を行う必要があります。
以上
2017年07月31日
豪州金融政策発表前後のAUDJPY反応分析(2017年8月1日13:30発表結果検証済)
以下、「T.調査・分析」を事前投稿し、「U.結果・検証」を事後投稿しています。ブログの日付は事前投稿日となっています。指標発表後に事後投稿し、その日時は「U.結果・検証」のタイトル行付近に記載しています。
2017年8月1日13:30に豪州金融政策が発表されます。
今回の市場予想と前回結果は次の通りです。市場予想は本記事作成時点の値です。
本指標の特徴は以下の通りです。
定型分析の結果は以下の通りです。なお、この定型分析は「市場予想通り現状維持」だったときに限定しています。
調査・分析結果は以下の通りです。
以上の詳細ないしは論拠は、以下の「T.調査・分析」に記しています。
公開情報や既出情報に基づく調査を行い、過去の指標と反応の関係を比較分析しています。方向に関する的中率に比べ、程度に関する的中率は残念ながら低いというのが実情です。利確・損切の目安は、過去平均値を最近の反応の大小と見比べて感覚的に微修正しています。
RBAとはオーストラリア準備銀行(Reserve Bank Of Australia)のことで、日本の日銀に相当します。RBAの金融政策は、金融政策決定理事会で決定されます。金融政策決定理事会は近年1月を除き毎月第1火曜日に実施されます。
金融政策は、物価を適正水準に保つため中央銀行が行う経済政策です。政策には金融緩和か金融引締という施策があって、政策金利もそのひとつと言えます。
現在、主要先進国で為替レートを適正水準に保とうとする行為は、それがその国の通貨を安くする場合に表向き否定されがちです。がしかし、現実問題として金利が動けば、金利差が広がったときに資金は金利の高い方へと移動します。そして、政策金利を動かした国の通貨の為替レートが動きます。
前回発表(7月4日)では、RBAは政策金利を1.5%に据え置きました。ここ最近の金融政策決定理事会の結論は「現在の政策継続が、経済の持続的成長とインフレ率の回復に繋がる」との見解が継続的に示されています。同時発表された声明の内容は、次のようなものです(意訳・要約しています)。
曰く「事業環境が改善しており設備稼働率も上昇、鉱業投資の減少の影響を直接的に受けない地域では企業投資が回復しています。一方、実質賃金の緩やかな成長と家計の借金が高い水準にあるため、消費は伸び悩んでいます。そして、雇用の継続的な伸びが示唆されているものの、賃金が伸び悩んでいるため、こうした状況が暫く続くと予想されます。また、住宅市場が地域差こそあれ、家賃が20年ぶりの緩やかな伸びとなっており、家計の住宅ローン借り入れの増加ペースも収入の伸びを上回っています。 よって、インフレ率の現状見通しは低水準の金利に支援されたものだと言えます」
引締政策に転じる兆しはありません。
一方、豪政府は今後10年でインフラ整備に750億AUDを投じることを発表しました(7月9日)。主な投資先は鉄道・滑走路・道路となっており、政府説明は以前の鉱山ブーム時代の経済構造からの産業構造転換を目指すため、ということのようです。
2016年の豪GDPは1.7兆AUDなので、対GDP比0.44%/年と捉えた方がわかりやすいでしょう。インパクトを日本のGDP規模に置き換えれば、単年度2兆円程度ということになります。いわば、日本が東京五輪を毎年やるぐらい、インフラ整備に力を入れるのです。
財政・金融の方向さえ一致していれば、こんなときに金融引締めを始めたりしません。
むしろ、政府のインフラ投資に先駆けて、ここ数か月は住居目的以外の不動産融資に限定して利上げをしたのです。今にして思えば、これは利上げへの政策転換の前触れでなく、政府の大規模投資を支援するためだった、と解釈する方が自然です。
本指標に関する調査期間と、過去の反応程度・分布を下表に纏めておきます。
調査期間における全データの平均は以下の通りです。
今回は「市場予想通り現状維持」になると考えられます。「市場予想通り現状維持」だったときの過去平均は下表のようになります。
最も指標結果に素直に反応する直後1分足跳幅は、過去平均で22pipsです。反応が大きいため、指標発表時刻を跨いでポジションを持つことは慎重でなければいけません。
また上表分布を別の言い方で説明すると、
です。
これでは、まんべんなく分布しており、利確・損切の目安がありません。
過去の発表結果と市場予想を下図に一覧します。
過去の直前10-1分足・直前1分足・直後1分足・直後11分足の始値基準ローソク足を示します。
まず、直前10-1分足は、過去平均跳幅が6pipsです。跳幅がその1.5倍の9pips以上だったことは過去4回(17%)あります。
この4回の直後1分足跳幅は31pipsで、これは直後1分足の過去全平均22pipsを40%強も上回っています。そして、この4回の直前10-1分足と直後1分足の方向は1回(25%)しか一致していません。
つまり、直前10-1分足の反応が9pips以上に達しても、それが直後1分足の反応方向を示唆しているとは言えません。但し、直後1分足跳幅は大きくなる傾向があります。
次に、直前1分足の過去平均跳幅は14pipsです。この跳幅が21pips以上だったことは過去2回(8%)です。
この2回の直前1分足跳幅平均は85pipsにも達しており、何かが異常です。取引しないに越したことがありません。
そして、直後1分足の過去平均跳幅は22pipsです。
過去平均の22pipsを超えたことは46%あり、平均の1.5倍である33pipsを超えたことも25%あります。一方、11pips以下しか跳ねなかったことも25%あって、ばらつきが大きな指標だと言えます。
ばらつきが大きく、利確・損切の目安が得にくい以上、取引の基本は短期利確・損切の繰り返しがベターです。
直後11分足は、過去平均跳幅が33pips、過去平均値幅が21pipsです。平均的なヒゲの長さは12pipsにもなるので、高値(安値)掴みに気を付けましょう。
反応性分析では、過去発表直後の1分足と11分足の跳幅と値幅を使います。この分析で十分なpipsが狙えそうな指標か否かが判断できます。詳細は「反応性分析」をご参照願います。
反応一致性分析は、指標発表前後の反応方向に特徴的な偏りがないかを調べています。詳細は「反応一致性分析」をご参照願います。
金融政策発表時の分析では、指標一致性分析を行いません。
反応性分析の結果を下表に示します。
直後1分足と直後11分足との方向一致率は83%です。そして、その83%の方向一致時だけを取り上げて直後1分足と直後11分足とを比較すると、跳値同士・終値同士で反応が伸びたことは各68%・63%です。また、直後1分足終値がついた時点では、それからも反応が伸び続けて直後11分足終値が直後1分足終値を超えた事例は50%です。
つまり、本指標は反応方向を確認したら、高値(安値)掴みに気を付けて早期参加した方が良さそうです。直後1分足跳幅未満で追撃ポジションが取れたら、発表から1分経過後も利確の機会を窺っても良いでしょう。追撃ポジションが直後1分足値幅以上になってしまったときは、早期ポジション解消です。
反応一致性分析の結果を下表に示します。
直後1分足は陽線率が71%と、偏りが目立ちます。
そして、発表前のローソク足方向が、発表後のローソク足方向を示唆している兆しはありません。
直後1分足と直後11分足の方向一致率は83%となっており、発表以降にローソク足が反転する可能性は17%しかありません。
巻頭箇条書きのシナリオの項をご参照願います。
以下は2017年8月1日22:20頃に追記しています。
本指標発表結果及び反応は次の通りでした。
結果は「市場予想通り現状維持」で、反応は最初が陰線で途中陽線へと反転しました。分析対象期間外ながら、その後は再反転して陰線側に推移しました。
まず、最初の陰線での反応は、「現状維持」に対する市場の捉え方を表している、と考えられます。利上げの可能性が当面ない以上、AUD売りは自然な反応です。
次に陽線に転じたことは、当面の豪経済が好調に推移する見通しが声明で示されたからではないでしょうか。
そして、日足転換線付近に達したことで、転換線上抜けの材料もないため、また再下降し始めた、といったところでしょう。AUD高牽制も、その動きに影響した可能性があります。
同時発表されたRBA声明は次の通りです。
「ざっくり」ですから、正確な訳は報道機関の記事をご覧ください。
「結論、政策理事会は政策金利を1.50%に据え置くことを決定した。」
「世界経済への認識は次の通り。
世界経済は引き続き上向きで、多くの先進国はトレンドを上回るペースでの成長が見込まれる。中国経済はやや上向いているものの、インフラや不動産建設への支出拡大が成長を下支えしている。中国の高水準の債務は中期的リスクがある。最近のコモディティー価格は、全体的に上昇しているものの、豪州貿易収支は減少していくと見込まれる。
主要国では、賃金伸び率とコアインフレ率が抑制されている。米国金利は更に上昇すると見込まれており、今後は他の主要国でも追加緩和が実施される見込みはない。」
「国内経済への認識は次の通り。
経済見通しはほぼ同じままだ。
今後数年間の成長率は年率3%前後と見込んでいる。資源開発はほぼ終了しており、鉱業以外への投資の増加が見込まれる。住宅建設は当面高水準に継続した後、徐々に減少していくだろう。小売売上高は最近回復したものの、実質賃金が伸び悩んでおり、高水準の家計債務が消費を抑え込む可能性がある。」
「その背景には次の理由がある。
雇用が最近数か月で加速し、今後も継続的に伸びると見込まれるため、あと数年間の失業率もやや低下する見込みだ。がしかし、賃金伸び悩みの状況が続く恐れがある。
RBA予想の通り、インフレ率は2%弱の水準となっている。電気料金とたばこ価格の上昇がインフレ率を押し上げ、小売業界の新規加入者による競争激化が逆の作用を生むだろう。
米ドル安によって豪ドルは上昇している。通貨高はインフレ率と生産と雇用を抑えてしまう。豪ドル高によって、経済とインフレは緩やかになるだろう。
住宅市場は地域によってかなりばらつきがある。価格上昇が大きい地域もあるが、こうした状況が和らぎ始めた兆しもある。東部主要都市では今後数年、かなりの数の集合住宅の追加供給が計画され、家賃の伸びは低水準となっている。問題は、家計に占める住宅ローン比率が収入の伸びを上回っていることだ。」
「纏めると、現状の低金利は引き続き豪経済を支援している。こうした入手可能な情報を踏まえて、理事会は現在の政策スタンスを維持することが、持続可能な経済 成長およびインフレ目標の達成と整合的と判断した。」
その後のRBA総裁による会見時は、チャートを見ていませんでした。
報道に依れば、AUD高への牽制発言があったようです。
AUDは今年に入って10%以上上昇しています。がしかし、AUDの性質から言えば、7か月で10%ぐらいの変動ぐらい小さいぐらいではないでしょうか。けれども、せっかくRBAが色々と施策を行っても、AUD高に台無しにされてしまうのでは、嘆きたくなる気もわからなくありません。
ただ、毎回々々そんなことを言っても、発言の影響力が弱まるばかりです。
AUD高は、製造と雇用の改善を遅らせ、RBAのインフレ予想を後ズレさせてしまうそうです。ではAUD安になったら、どうなるのでしょう。USD高です。
同じことが米国で起きるなら、こんなことを言っても意味がありません。米欧日の中銀TOPに比べると、発言に影響力がないことは、自国経済規模の問題だけでもないようです。
取引結果は次の通りでした。
問題ありません。
初期の下振れに釣られなかったことは大正解です。正解と言っても、事前分析にはそんなことは書いていません。AUDUSDがAUDJPYより派手に動いて、始値に戻すのが、かなり早かったように見えました。
事前調査分析内容を、以下に検証します
事前準備していたシナリオは、指標発表後の早期参加・短期利確でした。
実際には全然違う取引を行ってしまいました。シナリオ通りに取引していたら、うまく反転を掴めなかったかも知れません。
珍しくシナリオ通りに取引せずに、チャートだけを見て取引した理由は単純です。ちょうど直前・直後に人と話していて、動きが早すぎるときに取引できなかったためです。
下表に、本ブログを始めてからの本指標シナリオでの取引成績を纏めておきます。
本記事は、同じ指標の発表がある度に更新を繰り返して精度向上を図り、過去の教訓を次の発表時の取引で活かせるように努めています。がしかし、それでも的中率は75%程度に留まり、100%ではありません。詳細は「1. FXは上達するのか」をご参照ください。
そして、本記事は筆者個人の見解に基づいています。本記事に含まれる価格・データ・その他情報等は、本記事に添付されたリンク先とは関係ありません。また、取引や売買における意思決定を、本記事の記載通りに行うことは適切ではありません。そして、本記事の内容が資格を持った投資専門家の助言ではないことを明記しておきます。記載内容のオリジナリティや信頼性確保には努めているものの、それでも万全のチェックは行えていない可能性があります。
ポジションを持つ最終的なご判断は読者ご自身の責任となります。その点を予めご了承の上、本記事がFXを楽しむ一助となれば幸いです。
本記事における分析シート、一部乃至は一連の体系化された手順を、個人の取引以外の目的で使用・公開・二次利用を行う場合には、著作権者及びFX手法研究会に対し、連絡を取り何らかの合意を行う必要があります。
2017年8月1日13:30に豪州金融政策が発表されます。
今回の市場予想と前回結果は次の通りです。市場予想は本記事作成時点の値です。
本指標の特徴は以下の通りです。
- 今回は「市場予想通り現状維持」になると予想します。
- 「市場予想通り現状維持」だった場合、反応程度にばらつきが大きく、22pips以下しか発表直後に跳ねなかったことも54%あります。発表直後は陽線側に反応することが多い(71%)ものの、前回の声明で当面の利上げ可能性がなくなったばかりです。ばらつきが大きく利確・損切の目安を得にくくて、反応方向も過去の傾向と直近の状況とが矛盾しています。
取引は、短期毎にポジション取得・解消を繰り返し、様子を見ながらが良いでしょう。 - 追撃は早期参加した方が良いでしょう。直後1分足方向に対し、発表から1分を経過してから直後11分足が反転するリスクは17%しかありません。反転リスクが高いのは、むしろ発表から10数秒間です。
高値(安値)掴みに気を付けて、短期利確を繰り返しながら複数回の順張り追撃しても、損益期待値はプラスになるでしょう。
定型分析の結果は以下の通りです。なお、この定型分析は「市場予想通り現状維持」だったときに限定しています。
調査・分析結果は以下の通りです。
- 指標結果の市場予想は「現状維持」です。
(1) 前回発表時の声明で、現状維持が(他の諸政策と)整合」となっていました。
(2) 7月下旬にRBA総裁は、わざわざ「(緩和縮小で)欧米主要中銀の動きに追随しない」旨、発言しています。
(3) 7月上旬に豪政府は、今後10年間に亘る大規模な交通インフラ整備の投資を発表しています。もしRBAが引締めに転じると、財政・金融の方向不一致となります。
(4) よって、今回結果は「市場予想通り現状維持」と考えます。 - 過去のローソク足の特徴は以下の通りです。
(1) たまに(頻度17%)直前10-1分足は、過去平均跳幅の1.5倍以上にあたる9pips以上の反応をすることがあります。この17%の過去事例を見ると、大きく跳ねた直前10-1分足が直後1分足の反応方向を示唆しているとは言えません。但し、直後1分足跳幅はやや大きくなる傾向があります。
(2) まれに(頻度8%)直前1分足が、信じらないほど大きく反応します。この8%の事例で直前1分足跳幅平均は85pipsにも達しており、何かが異常です。直前1分足は、本指標では取引すべきではありません。
恐ろしいことに、このような事例での直前1分足と直後1分足の方向が一致するとは言えません。
RBAの政策発表内容が事前に一部に漏れていた可能性と、規模の大きな参加者が発表直前に何かを仕掛けやすい可能性があります。直前10-1分足や直前1分足に大きな動きがあるとき、発表時刻を跨いだポジションを取らない方が無難です。
1年に1回しか起きないことでも、本発表時取引の1年分負けてしまいかねない異常な動きが、本発表前には観察されています。 - 定型分析の結論は次の通りです。
(1) 本指標は反応方向を確認したら、高値(安値)掴みに気を付けて早期参加した方が良さそうです。直後1分足跳幅未満で追撃ポジションが取れたら、発表から1分経過後も利確の機会を窺っても良いでしょう。追撃ポジションが直後1分足値幅以上になってしまったときは、早期ポジション解消です。
(2) 直後1分足は陽線率が71%と、偏りが目立ちます。
そして、発表前のローソク足方向が、発表後のローソク足方向を示唆している兆しはありません。
直後1分足と直後11分足の方向一致率は83%となっており、発表以降にローソク足が反転する可能性は17%しかありません。
但し、反転する確率は低いものの、直後1分足値幅を削ることも31%あることは留意しておきましょう。 - 以上の調査・分析結果に基づき、以下のシナリオで取引に臨みます。
(1) 取引は、指標発表後の早期参加・短期利確での追撃に限定した方が良いでしょう。
以上の詳細ないしは論拠は、以下の「T.調査・分析」に記しています。
T.調査・分析
公開情報や既出情報に基づく調査を行い、過去の指標と反応の関係を比較分析しています。方向に関する的中率に比べ、程度に関する的中率は残念ながら低いというのが実情です。利確・損切の目安は、過去平均値を最近の反応の大小と見比べて感覚的に微修正しています。
【1. 指標概要】
RBAとはオーストラリア準備銀行(Reserve Bank Of Australia)のことで、日本の日銀に相当します。RBAの金融政策は、金融政策決定理事会で決定されます。金融政策決定理事会は近年1月を除き毎月第1火曜日に実施されます。
金融政策は、物価を適正水準に保つため中央銀行が行う経済政策です。政策には金融緩和か金融引締という施策があって、政策金利もそのひとつと言えます。
現在、主要先進国で為替レートを適正水準に保とうとする行為は、それがその国の通貨を安くする場合に表向き否定されがちです。がしかし、現実問題として金利が動けば、金利差が広がったときに資金は金利の高い方へと移動します。そして、政策金利を動かした国の通貨の為替レートが動きます。
ーーー$€¥ーーー
前回発表(7月4日)では、RBAは政策金利を1.5%に据え置きました。ここ最近の金融政策決定理事会の結論は「現在の政策継続が、経済の持続的成長とインフレ率の回復に繋がる」との見解が継続的に示されています。同時発表された声明の内容は、次のようなものです(意訳・要約しています)。
曰く「事業環境が改善しており設備稼働率も上昇、鉱業投資の減少の影響を直接的に受けない地域では企業投資が回復しています。一方、実質賃金の緩やかな成長と家計の借金が高い水準にあるため、消費は伸び悩んでいます。そして、雇用の継続的な伸びが示唆されているものの、賃金が伸び悩んでいるため、こうした状況が暫く続くと予想されます。また、住宅市場が地域差こそあれ、家賃が20年ぶりの緩やかな伸びとなっており、家計の住宅ローン借り入れの増加ペースも収入の伸びを上回っています。 よって、インフレ率の現状見通しは低水準の金利に支援されたものだと言えます」
引締政策に転じる兆しはありません。
一方、豪政府は今後10年でインフラ整備に750億AUDを投じることを発表しました(7月9日)。主な投資先は鉄道・滑走路・道路となっており、政府説明は以前の鉱山ブーム時代の経済構造からの産業構造転換を目指すため、ということのようです。
2016年の豪GDPは1.7兆AUDなので、対GDP比0.44%/年と捉えた方がわかりやすいでしょう。インパクトを日本のGDP規模に置き換えれば、単年度2兆円程度ということになります。いわば、日本が東京五輪を毎年やるぐらい、インフラ整備に力を入れるのです。
財政・金融の方向さえ一致していれば、こんなときに金融引締めを始めたりしません。
むしろ、政府のインフラ投資に先駆けて、ここ数か月は住居目的以外の不動産融資に限定して利上げをしたのです。今にして思えば、これは利上げへの政策転換の前触れでなく、政府の大規模投資を支援するためだった、と解釈する方が自然です。
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本指標に関する調査期間と、過去の反応程度・分布を下表に纏めておきます。
調査期間における全データの平均は以下の通りです。
今回は「市場予想通り現状維持」になると考えられます。「市場予想通り現状維持」だったときの過去平均は下表のようになります。
最も指標結果に素直に反応する直後1分足跳幅は、過去平均で22pipsです。反応が大きいため、指標発表時刻を跨いでポジションを持つことは慎重でなければいけません。
また上表分布を別の言い方で説明すると、
- 11pips以下だったことは25%
- 12-22pipsが29%
- 23-33pipsが21%
- 34pips以上は25%
です。
これでは、まんべんなく分布しており、利確・損切の目安がありません。
【2. 既出情報】
(2-1. 過去情報)
(2-1. 過去情報)
過去の発表結果と市場予想を下図に一覧します。
(2-2. 過去反応)
過去の直前10-1分足・直前1分足・直後1分足・直後11分足の始値基準ローソク足を示します。
まず、直前10-1分足は、過去平均跳幅が6pipsです。跳幅がその1.5倍の9pips以上だったことは過去4回(17%)あります。
この4回の直後1分足跳幅は31pipsで、これは直後1分足の過去全平均22pipsを40%強も上回っています。そして、この4回の直前10-1分足と直後1分足の方向は1回(25%)しか一致していません。
つまり、直前10-1分足の反応が9pips以上に達しても、それが直後1分足の反応方向を示唆しているとは言えません。但し、直後1分足跳幅は大きくなる傾向があります。
次に、直前1分足の過去平均跳幅は14pipsです。この跳幅が21pips以上だったことは過去2回(8%)です。
この2回の直前1分足跳幅平均は85pipsにも達しており、何かが異常です。取引しないに越したことがありません。
そして、直後1分足の過去平均跳幅は22pipsです。
過去平均の22pipsを超えたことは46%あり、平均の1.5倍である33pipsを超えたことも25%あります。一方、11pips以下しか跳ねなかったことも25%あって、ばらつきが大きな指標だと言えます。
ばらつきが大きく、利確・損切の目安が得にくい以上、取引の基本は短期利確・損切の繰り返しがベターです。
直後11分足は、過去平均跳幅が33pips、過去平均値幅が21pipsです。平均的なヒゲの長さは12pipsにもなるので、高値(安値)掴みに気を付けましょう。
【3. 定型分析】
反応性分析では、過去発表直後の1分足と11分足の跳幅と値幅を使います。この分析で十分なpipsが狙えそうな指標か否かが判断できます。詳細は「反応性分析」をご参照願います。
反応一致性分析は、指標発表前後の反応方向に特徴的な偏りがないかを調べています。詳細は「反応一致性分析」をご参照願います。
金融政策発表時の分析では、指標一致性分析を行いません。
反応性分析の結果を下表に示します。
直後1分足と直後11分足との方向一致率は83%です。そして、その83%の方向一致時だけを取り上げて直後1分足と直後11分足とを比較すると、跳値同士・終値同士で反応が伸びたことは各68%・63%です。また、直後1分足終値がついた時点では、それからも反応が伸び続けて直後11分足終値が直後1分足終値を超えた事例は50%です。
つまり、本指標は反応方向を確認したら、高値(安値)掴みに気を付けて早期参加した方が良さそうです。直後1分足跳幅未満で追撃ポジションが取れたら、発表から1分経過後も利確の機会を窺っても良いでしょう。追撃ポジションが直後1分足値幅以上になってしまったときは、早期ポジション解消です。
反応一致性分析の結果を下表に示します。
直後1分足は陽線率が71%と、偏りが目立ちます。
そして、発表前のローソク足方向が、発表後のローソク足方向を示唆している兆しはありません。
直後1分足と直後11分足の方向一致率は83%となっており、発表以降にローソク足が反転する可能性は17%しかありません。
【4. シナリオ作成】
巻頭箇条書きのシナリオの項をご参照願います。
以上
2017年8月1日発表
以下は2017年8月1日22:20頃に追記しています。
U. 結果・検証
【5. 発表結果】
(5-1. 指標結果)
本指標発表結果及び反応は次の通りでした。
結果は「市場予想通り現状維持」で、反応は最初が陰線で途中陽線へと反転しました。分析対象期間外ながら、その後は再反転して陰線側に推移しました。
まず、最初の陰線での反応は、「現状維持」に対する市場の捉え方を表している、と考えられます。利上げの可能性が当面ない以上、AUD売りは自然な反応です。
次に陽線に転じたことは、当面の豪経済が好調に推移する見通しが声明で示されたからではないでしょうか。
そして、日足転換線付近に達したことで、転換線上抜けの材料もないため、また再下降し始めた、といったところでしょう。AUD高牽制も、その動きに影響した可能性があります。
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同時発表されたRBA声明は次の通りです。
「ざっくり」ですから、正確な訳は報道機関の記事をご覧ください。
「結論、政策理事会は政策金利を1.50%に据え置くことを決定した。」
「世界経済への認識は次の通り。
世界経済は引き続き上向きで、多くの先進国はトレンドを上回るペースでの成長が見込まれる。中国経済はやや上向いているものの、インフラや不動産建設への支出拡大が成長を下支えしている。中国の高水準の債務は中期的リスクがある。最近のコモディティー価格は、全体的に上昇しているものの、豪州貿易収支は減少していくと見込まれる。
主要国では、賃金伸び率とコアインフレ率が抑制されている。米国金利は更に上昇すると見込まれており、今後は他の主要国でも追加緩和が実施される見込みはない。」
「国内経済への認識は次の通り。
経済見通しはほぼ同じままだ。
今後数年間の成長率は年率3%前後と見込んでいる。資源開発はほぼ終了しており、鉱業以外への投資の増加が見込まれる。住宅建設は当面高水準に継続した後、徐々に減少していくだろう。小売売上高は最近回復したものの、実質賃金が伸び悩んでおり、高水準の家計債務が消費を抑え込む可能性がある。」
「その背景には次の理由がある。
雇用が最近数か月で加速し、今後も継続的に伸びると見込まれるため、あと数年間の失業率もやや低下する見込みだ。がしかし、賃金伸び悩みの状況が続く恐れがある。
RBA予想の通り、インフレ率は2%弱の水準となっている。電気料金とたばこ価格の上昇がインフレ率を押し上げ、小売業界の新規加入者による競争激化が逆の作用を生むだろう。
米ドル安によって豪ドルは上昇している。通貨高はインフレ率と生産と雇用を抑えてしまう。豪ドル高によって、経済とインフレは緩やかになるだろう。
住宅市場は地域によってかなりばらつきがある。価格上昇が大きい地域もあるが、こうした状況が和らぎ始めた兆しもある。東部主要都市では今後数年、かなりの数の集合住宅の追加供給が計画され、家賃の伸びは低水準となっている。問題は、家計に占める住宅ローン比率が収入の伸びを上回っていることだ。」
「纏めると、現状の低金利は引き続き豪経済を支援している。こうした入手可能な情報を踏まえて、理事会は現在の政策スタンスを維持することが、持続可能な経済 成長およびインフレ目標の達成と整合的と判断した。」
ーーー$€¥ーーー
その後のRBA総裁による会見時は、チャートを見ていませんでした。
報道に依れば、AUD高への牽制発言があったようです。
AUDは今年に入って10%以上上昇しています。がしかし、AUDの性質から言えば、7か月で10%ぐらいの変動ぐらい小さいぐらいではないでしょうか。けれども、せっかくRBAが色々と施策を行っても、AUD高に台無しにされてしまうのでは、嘆きたくなる気もわからなくありません。
ただ、毎回々々そんなことを言っても、発言の影響力が弱まるばかりです。
AUD高は、製造と雇用の改善を遅らせ、RBAのインフレ予想を後ズレさせてしまうそうです。ではAUD安になったら、どうなるのでしょう。USD高です。
同じことが米国で起きるなら、こんなことを言っても意味がありません。米欧日の中銀TOPに比べると、発言に影響力がないことは、自国経済規模の問題だけでもないようです。
(5-2. 取引結果)
取引結果は次の通りでした。
問題ありません。
初期の下振れに釣られなかったことは大正解です。正解と言っても、事前分析にはそんなことは書いていません。AUDUSDがAUDJPYより派手に動いて、始値に戻すのが、かなり早かったように見えました。
【6. 分析検証】
(6-1. 分析検証)
事前調査分析内容を、以下に検証します
- 今回は「市場予想通り現状維持」になると予想していました。威張ることでもありません。
- 事前分析では、「市場予想通り現状維持」だった場合に、反応程度にばらつきが大きく、22pips以下しか発表直後に跳ねなかったことも54%ありました。発表直後は陽線側に反応することが多く(71%)なっています。前回の声明で当面の利上げ可能性がなくなったばかりで、ばらつきが大きく利確・損切の目安を得にくくて、反応方向も過去の傾向と直近の状況とが矛盾していました。取引は、短期毎にポジション取得・解消を繰り返し、様子を見ながらが良い、と見込んでいました。
結果は、過去の反応並みで、反対方向に振れました。 - 事前分析では、追撃に早期参加した方が良く、直後1分足方向に対し、発表から1分を経過してから直後11分足が反転するリスクは17%しかない、と記していました。反転リスクが高いのは、むしろ発表から10数秒間と捉えていました。
今回、この分析とは異なる動きとなりました。次回記述を見直すべきか考えます。
(6-2. シナリオ検証)
事前準備していたシナリオは、指標発表後の早期参加・短期利確でした。
実際には全然違う取引を行ってしまいました。シナリオ通りに取引していたら、うまく反転を掴めなかったかも知れません。
珍しくシナリオ通りに取引せずに、チャートだけを見て取引した理由は単純です。ちょうど直前・直後に人と話していて、動きが早すぎるときに取引できなかったためです。
下表に、本ブログを始めてからの本指標シナリオでの取引成績を纏めておきます。
以上
ーーー注記ーーー
本記事は、同じ指標の発表がある度に更新を繰り返して精度向上を図り、過去の教訓を次の発表時の取引で活かせるように努めています。がしかし、それでも的中率は75%程度に留まり、100%ではありません。詳細は「1. FXは上達するのか」をご参照ください。
そして、本記事は筆者個人の見解に基づいています。本記事に含まれる価格・データ・その他情報等は、本記事に添付されたリンク先とは関係ありません。また、取引や売買における意思決定を、本記事の記載通りに行うことは適切ではありません。そして、本記事の内容が資格を持った投資専門家の助言ではないことを明記しておきます。記載内容のオリジナリティや信頼性確保には努めているものの、それでも万全のチェックは行えていない可能性があります。
ポジションを持つ最終的なご判断は読者ご自身の責任となります。その点を予めご了承の上、本記事がFXを楽しむ一助となれば幸いです。
ーーー注記ーーー
本記事における分析シート、一部乃至は一連の体系化された手順を、個人の取引以外の目的で使用・公開・二次利用を行う場合には、著作権者及びFX手法研究会に対し、連絡を取り何らかの合意を行う必要があります。
以上
2017年07月28日
4-5. 豪州・NZ経済指標DB(2017年7月最終版)
豪州の経済指標発表前後の取引はAUDJPYで、NZの経済指標発表前後の取引はNZDJPYで行っています。
いずれも、以前ほどではないにせよ、先進国では高金利通貨であり、被投資国のためリスクにはからっきし弱いという特徴があります。
オセアニア通貨は、中国経済指標によって大きく動く傾向があります。中国関連で注目した報道は以下3点です。
ひとつは、7月13日に発表された中国4-6月期GDPです。結果は前年比+6.9%で、1-3月期と同値でした。
中国政府の2017年通年成長率の目標は6.5%前後です。上半期は目標を上回り続けたことになります。今回は前期同値だったものの、直近の推移を見ると、2016年7-9月期を境に、それまでの下降基調が上昇基調に転じたようにも見えます。
もうひとつは、7月27日に報道された「システミックリスク対策」です。システミックリスクというのは、ひとつの決済不能が次々と波及していくことです。これこそ主要各国が中国に対し不安を持っていたことです。
まだ何をどうするのか、具体的内容が報道されていないようです。
がしかし「システミックリスクを起こすぐらいなら、むしろ経済成長等のその他のことを犠牲にしたって構わない」旨、報道官は説明しました。この説明を要約して見出しにした記事は多いようです。だから「はよ、そうせい」ってずっと言ってたじゃないか、ということでしょう。
そして、日米が問題視する北朝鮮問題は、中国の影響力を頼り過ぎな気がします。日米ともにトップの支持率が低下・低迷している状況下では、中国から見れば日米側の国内問題と捉える方が自然でしょう。
米国の意向に逆らう北朝鮮が居ても、中国が困ることはまだ起きていません。いま中国が困ることは、人事に関わるようなことでしょう。そうした二国間関係に影響が大きな施策・作戦を行うには、米政権の支持率が低すぎるように思えます。
そういう姿が垣間見えた月でした。
豪州の7月状況について纏めます。
企業景況感は、貿易収支が黒字転換した2016年11月から1か月遅れで、ほぼ+10以上の高位安定しつつあります。RBAの最近の見解は、「物価が2017年中に2%超に達して(1-3月期は2.1%、4-6月期は1.9%)、あと一押しのために賃金伸び悩みを脱したい、だからAUD高で邪魔するな」という感じが続いています。
雇用自体は、新規雇用者数の増加が3月分以降継続しており、常勤雇用者数増加といった内容改善も進んでいます。賃金上昇は、日本のアベノミクスだと2年ぐらい遅れた記憶があります。
経済実態は、6月に発表された1-3月期GDP前年比が+1.7%が最新結果です。その後、小売売上高は前月比が4月分でプラス転換し、消費増を推定させています。貿易収支は、2016年11月分が2年8か月ぶりに黒字転換して以来、好調です。2017年年初からの貿易黒字は100億AUDを超えました。次回、9月のGDP発表が待たれます。
さて、先月末から当月月初にかけて米欧英加の中銀関係者による緩和縮小発言が続きました。そして、豪州経済は上述の通り、先行きの明るさがデータで示されつつあります。その結果、市場では「RBAも欧米主要国中銀に追従するのではないか」との期待感がありました。
がしかし、7月4日のRBA声明結論は、従来と同じく「(現状維持が)整合的」でした。7月26日には、RBA総裁が「引締で他の中銀を追従しない」とも発言しました。
そりゃそうです。
豪政府は7月に入ってから今後10年間のインフラ投資を再発表しています(5月に概要が発表されていました)。財政・金融の方向さえ一致していれば、当面は緩和縮小という話にはなりません。政府の輸送インフラへの投資政策やRBAの低金利政策は、海外からの投資資金に頼らずに済む自立志向の強まりを示唆しています。
ここ最近の毎回のRBA声明では、中国の債務問題を少し遠慮がちにリスクとして捉えています。政府も中銀も緩やかにそれに備え始めたのです。
規模が大きなAUD取引参加者が注視していることは、
が、いつ修正されるかではないでしょうか。中長期のこの売買基準は、当分同じままになると見込んでいます。
NZ経済に関しては、前月認知と変更なしです。
NZ経済指標は、豪中米との二国間関係を始め、国内での報道が皆無と言ってもいいぐらいで、よくわかりません。よって、市場予想がほぼ的中し、且つ、それにも関わらず反応が大きいRBNZ(NZ中銀)政策金利にだけ注目しておけば十分です。そもそもNZについては、昨年就任したイングリッシュ首相という名前からして、どこの国の誰なんだかよくわからないぐらいです。
1-3月期GDP前年比は+2.5%で、10-12月期の+2.7%から僅かに低下しました。でも+2.5%です。地震復興需要が一段落ついたら、人口増とそれに伴う住宅投資拡大が経済成長を支えています。直近の好材料は、主要産品の乳製品国際価格が5月後半から持ち直していることです。そして、1-3月期CPI前年比は+2.2%で、RBNZ目標中心値の2%を上回りました。
それにも関わらず、RBNZは6月22日に「相当の期間、緩和的政策維持」の声明を継続しています。インフレが加速する懸念よりも、目標以下のインフレ状態が続くことを懸念しています。RBNZ金融政策(声明)は、次回8月10日に予定されています。
2017年7月4日、RBAは政策金利を1.5%に据え置きました。ここ最近の金融政策決定理事会の結論は「現在の政策継続が、経済の持続的成長とインフレ率の回復に繋がる」との見解が継続的に示されています。同時発表された声明の内容は、次のようなものです(意訳・要約しています)。
曰く「事業環境が改善しており設備稼働率も上昇、鉱業投資の減少の影響を直接的に受けない地域では企業投資が回復しています。一方、実質賃金の緩やかな成長と家計の借金が高い水準にあるため、消費は伸び悩んでいます。そして、雇用の継続的な伸びが示唆されているものの、賃金が伸び悩んでいるため、こうした状況が暫く続くと予想されます。また、住宅市場が地域差こそあれ、家賃が20年ぶりの緩やかな伸びとなっており、家計の住宅ローン借り入れの増加ペースも収入の伸びを上回っています。 よって、インフレ率の現状見通しは低水準の金利に支援されたものだと言えます」
(分析事例) RBA金融政策(2017年8月1日発表結果検証済)
(分析事例) RBA金融政策理事会議事録(2017年6月20日10:30公表結果検証済)
RBNZ政策金利の発表では市場予想がほぼ的中します。そして「現状維持」のときにも反応が大きく、一方向への反応が続きがちです。反応方向を確認してから追いかけてポジションが取っても、pipsが稼ぎやすいのです。現地夏時間は5時発表なので、起きられないというのが最大の問題です。
2017年6月22日、RBNZは政策金利を1.75%に据え置くことを発表し、政策が相当の期間緩和的と言及しました。
さて、NZのインフレ率は既に中銀目標の1-3%の中間値まで回復しています。がしかし、RBNZ総裁は「2019年の遅い時期まで利上げを開始しない見込み」と表明しています。ただ、同総裁は9月退任予定(2017年2月7日発表)で、その後は2018年3月まで副総裁が代行を務めると発表されています。どの時期からか、政策変更の可能性が報道解説され始めるでしょう。
(分析事例) RBNZ政策金利(2017年6月22日発表結果検証済)
7月9日、豪政府は今後10年でインフラ整備に750億AUDを投じることを発表しました。主な投資先は鉄道・滑走路・道路となっており、政府説明は以前の鉱山ブーム時代の経済構造からの産業構造転換を目指すため、ということのようです。
2016年の豪GDPは1.7兆AUDなので、対GDP比0.44%/年と捉えた方がわかりやすいでしょう。インパクトを日本のGDP規模に置き換えれば、単年度2兆円程度ということになります。いわば、日本が東京五輪を毎年やるぐらい、インフラ整備に力を入れるのです。
豪州・NZの景気指標では取引を行っていません。両国の代表的な経済誌もわからないし、内政・外交の主要議題も掴めません。むしろ、景気指標を取引対象としてでなく、総合的な雰囲気を掴む手段として利用する方が有用です。
7月11日に発表されたNAB企業景況感指数は+15でした。貿易収支が黒字転換した2016年11月から1か月遅れで、景況感がほぼ+10以上の高位安定しつつあります。
7月31日に発表された7月分NBNZ企業景況感は+19.4でした。4月分の+11が当面の底となって、5・6月と2か月連続で改善しててから、僅かに下降です。
四半期毎に発表される豪州物価指標はCPIに注目しておけば十分です。輸入物価指数や生産者物価指数はほぼ反応せず、取引には不向きです。
RBA見解(3月)では、インフレ率(CPI前年比)が2017年に2%を上回る、と予想していました。賃金の伸び悩みが物価上昇を抑えているとの見解は、7月4日のRBA政策金利発表時の声明でも言及されました。
7月26日に発表された4-6月期CPI前年比は+1.9%でした。1-3月期2.1%を下回ったものの、まだ2016年1-3月期を起点とする上昇基調は維持されている水準です。
(分析事例) 四半期消費者物価指数(2017年7月26日発表結果検証済)
(分析事例) 四半期生産者物価指数(2017年1月27日発表結果検証済)
PPIはほとんど反応しないので、取引に向きません。
CPIは非常に大きく反応します。何より、直後1分足終値より直後11分足終値が同方向に伸びていた確率が高いのです。こうした指標では、無理して発表時刻を跨いでポジションを持たずに、追撃で十分です。
7月18日に発表されたNZ4-6月期CPI前期比は0に急落しました(1-3月期は+1%)。2015年10-12月期の△0.5%を底として、その後は先期までプラス幅を伸ばしていました。急落原因は把握していません。
豪州雇用統計でも最近、他の国と同様に賃金上昇率が注目されています。がしかし、豪州ではパートタイム従業員よりフルタイム従業員が増加している点が同じ趣旨でも意味があります。
7月20日に発表された豪州雇用統計では、失業率が前月同値で、新規雇用者数・常勤雇用者数が前月より僅かに増えました。新規雇用者数こそ前月より減ったものの、プラス維持されていました。常勤雇用者数の増加も続いています。
(分析事例) 雇用統計(2017年7月20日発表結果検証済)
本指標への反応には特徴があります。直前1分足が陰線なら、直後1分足が陽線となる可能性が高く、その後も反応を伸ばしがちです。直前1分足が陰線なら、追撃徹底も可です。
RBA見込みでは、2019年〜2020年の成長率を3%と見込んでいます。
がしかし、IMFでは2017年の成長率を3.1%、2018年を3.0%と見込んでいます(2017年4月時点の見通し) 。2016年10月時点では、各0.4%・0.1%と見込んでいたのだから、かなり大幅な上方修正です。ともあれ、RBA見通しに比べて、IMFは相当に豪州経済の成長を早く大きく見込んでいることになります。
中銀が「まだ早い」というのに、市場が「利上げはまだか」という一因は、こうしたギャップにもある訳です。
6月7日に発表された豪州1-3月期GDPは、前期比(+0.3%)・前年比(+1.7%)ともに前回結果(各+1.1%・+2.4%)を下回りました。
(分析事例) 四半期GDP(2017年6月7日発表結果検証済)
反応は比較的安定して大きいものの、極端に大きくはありません。発表後に初期反応の値幅を削ることはあっても、反転する確率は低いため、小さな負けを覚悟して順張り追撃を繰り返していれば、期待値がプラスになります。こういうやり方に徹して収益を上げるためには、同じやり方を繰り返す・高値(安値)掴みをするぐらいなら取引しない、という鉄壁の意思が絶対に必要です。
6月15日に発表されたNZ1-3月期GDP前期比は+0.5%でした。2015年7-9月期以降、+1%付近に回復していたものの、10-12月期が+0.4%に落ち込み、そこから僅かに回復です。
現地夏時間の発表時刻は06:45なので、FX会社によってはまだ取引時間前ということもがあります。
(分析事例) NZ四半期GDP(2016年12月21日分析済)
このとき取引できなかったのです。
(2-1)小売
豪州は先進国で最も今後の人口増が期待される国です。人口増は消費指標や小売指標に対し長期的改善をもたらします。
8月4日に発表された6月分小売売上高前月比は+0.3%でした。5月分が+0.6%、4月分が+1.0%なので、1-3月期よりも4-6月期は消費も大幅に伸びつつあるのではないでしょうか。
(分析事例) 小売売上高(2017年8月4日発表結果検証済)
(分析事例) 四半期小売売上高(2017年5月9日発表結果検証済)
これら指標はあまり大きく反応せず、しかも最初に跳ねてもその後の反応が伸び悩む傾向があります。こういう指標は追撃が難しいので、あまり大きな利確が期待できません。取引が難しい指標と言っても良いでしょう。
5月15日に発表されたNZ1ー3月期小売売上高指数前期比は+1.5%でした。四半期発表でNZ小売売上高指数は、2013以降に一度もマイナスとなっていません。
発表時刻は現地冬時間で07:45なので、取引できない時間ではありません。そこそこ反応も大きいようなので、研究を始めても良いかも知れません。
(2-2)住宅
豪州には投資資金が流入しており、ここ最近のRBA金融政策決定理事会は住宅価格高騰への懸念を継続的に示しています。最近、その対策として投資目的住宅のローン金利を引き上げたものの、2017年6月20日に発表された1-3月期住宅価格指数ではまだその効果が見受けられません。1-3月期は前年比10%超の価格指数上昇となっていました。
7月3日に発表された豪州5月分住宅建設許可件数前月比は△5.6%でした。3か月移動平均で許可件数を見る限り、9-11月より12-1月は増えて3-5月はほぼ9-11月並みまで減少しました。
7月11日に発表された豪州5月分住宅ローン件数前月比は+1.0%でした。ただ、2016年11月分の+1.0%からは減少が続き、2・3・4月分はマイナスだったので、5月分単月が+1.0%でも流れとしてはまだ、件数減少傾向が止まったとは言えません。
RBAの住宅価格抑制策が効果を挙げ始めているのかも知れません。
(分析事例)四半期住宅価格指数(2017年6月20日発表結果検証済)
本指標は反応こそ小さいものの、「市場予想後追い型」で70%程度の期待的中率が確認できています。そして、最近の住宅価格高騰の影響で、発表後の陽線率が70%を超えています。そういう意味で取引しやすい指標です。
NZの住宅関連指標では取引を行っていません。
7月31日に発表された6月分住宅建設許可件数前月比は△1.0%でした。5月分は+7.0%、4月分は△7.6%だったので、上下動で前月の反動としては小さかったことになります。
7月6日に発表された豪州5月分貿易収支は+24.7億AUDでした。2016年11月分で2年8か月ぶりに黒字転換し、4月分が5.55億AUDまで急落していたので、反転急上昇です。年初からの貿易黒字は100億AUDを超えました。
7月26日に発表されたNZ6月分貿易収支は+2.42億NZDでした。NZ貿易収支は、2017年3月分から黒字転換しており、これで4か月連続黒字となります。NZ貿易収支は8・9月頃に毎年赤字が最大化する傾向があり、来月ぐらいから赤字転換の可能性が高まります。
いずれも、以前ほどではないにせよ、先進国では高金利通貨であり、被投資国のためリスクにはからっきし弱いという特徴があります。
【4-5-1. 7月概観】
オセアニア通貨は、中国経済指標によって大きく動く傾向があります。中国関連で注目した報道は以下3点です。
ひとつは、7月13日に発表された中国4-6月期GDPです。結果は前年比+6.9%で、1-3月期と同値でした。
中国政府の2017年通年成長率の目標は6.5%前後です。上半期は目標を上回り続けたことになります。今回は前期同値だったものの、直近の推移を見ると、2016年7-9月期を境に、それまでの下降基調が上昇基調に転じたようにも見えます。
もうひとつは、7月27日に報道された「システミックリスク対策」です。システミックリスクというのは、ひとつの決済不能が次々と波及していくことです。これこそ主要各国が中国に対し不安を持っていたことです。
まだ何をどうするのか、具体的内容が報道されていないようです。
がしかし「システミックリスクを起こすぐらいなら、むしろ経済成長等のその他のことを犠牲にしたって構わない」旨、報道官は説明しました。この説明を要約して見出しにした記事は多いようです。だから「はよ、そうせい」ってずっと言ってたじゃないか、ということでしょう。
そして、日米が問題視する北朝鮮問題は、中国の影響力を頼り過ぎな気がします。日米ともにトップの支持率が低下・低迷している状況下では、中国から見れば日米側の国内問題と捉える方が自然でしょう。
米国の意向に逆らう北朝鮮が居ても、中国が困ることはまだ起きていません。いま中国が困ることは、人事に関わるようなことでしょう。そうした二国間関係に影響が大きな施策・作戦を行うには、米政権の支持率が低すぎるように思えます。
そういう姿が垣間見えた月でした。
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豪州の7月状況について纏めます。
企業景況感は、貿易収支が黒字転換した2016年11月から1か月遅れで、ほぼ+10以上の高位安定しつつあります。RBAの最近の見解は、「物価が2017年中に2%超に達して(1-3月期は2.1%、4-6月期は1.9%)、あと一押しのために賃金伸び悩みを脱したい、だからAUD高で邪魔するな」という感じが続いています。
雇用自体は、新規雇用者数の増加が3月分以降継続しており、常勤雇用者数増加といった内容改善も進んでいます。賃金上昇は、日本のアベノミクスだと2年ぐらい遅れた記憶があります。
経済実態は、6月に発表された1-3月期GDP前年比が+1.7%が最新結果です。その後、小売売上高は前月比が4月分でプラス転換し、消費増を推定させています。貿易収支は、2016年11月分が2年8か月ぶりに黒字転換して以来、好調です。2017年年初からの貿易黒字は100億AUDを超えました。次回、9月のGDP発表が待たれます。
さて、先月末から当月月初にかけて米欧英加の中銀関係者による緩和縮小発言が続きました。そして、豪州経済は上述の通り、先行きの明るさがデータで示されつつあります。その結果、市場では「RBAも欧米主要国中銀に追従するのではないか」との期待感がありました。
がしかし、7月4日のRBA声明結論は、従来と同じく「(現状維持が)整合的」でした。7月26日には、RBA総裁が「引締で他の中銀を追従しない」とも発言しました。
そりゃそうです。
豪政府は7月に入ってから今後10年間のインフラ投資を再発表しています(5月に概要が発表されていました)。財政・金融の方向さえ一致していれば、当面は緩和縮小という話にはなりません。政府の輸送インフラへの投資政策やRBAの低金利政策は、海外からの投資資金に頼らずに済む自立志向の強まりを示唆しています。
ここ最近の毎回のRBA声明では、中国の債務問題を少し遠慮がちにリスクとして捉えています。政府も中銀も緩やかにそれに備え始めたのです。
規模が大きなAUD取引参加者が注視していることは、
- 2017年は現状維持、2018年は利上げに政策転換、という市場認識
- 成長率3%超への到達時期が2019-2020年頃、という中銀認識
が、いつ修正されるかではないでしょうか。中長期のこの売買基準は、当分同じままになると見込んでいます。
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NZ経済に関しては、前月認知と変更なしです。
NZ経済指標は、豪中米との二国間関係を始め、国内での報道が皆無と言ってもいいぐらいで、よくわかりません。よって、市場予想がほぼ的中し、且つ、それにも関わらず反応が大きいRBNZ(NZ中銀)政策金利にだけ注目しておけば十分です。そもそもNZについては、昨年就任したイングリッシュ首相という名前からして、どこの国の誰なんだかよくわからないぐらいです。
1-3月期GDP前年比は+2.5%で、10-12月期の+2.7%から僅かに低下しました。でも+2.5%です。地震復興需要が一段落ついたら、人口増とそれに伴う住宅投資拡大が経済成長を支えています。直近の好材料は、主要産品の乳製品国際価格が5月後半から持ち直していることです。そして、1-3月期CPI前年比は+2.2%で、RBNZ目標中心値の2%を上回りました。
それにも関わらず、RBNZは6月22日に「相当の期間、緩和的政策維持」の声明を継続しています。インフレが加速する懸念よりも、目標以下のインフレ状態が続くことを懸念しています。RBNZ金融政策(声明)は、次回8月10日に予定されています。
【4-5-2. 政策決定指標】
(1) 金融政策
2017年7月4日、RBAは政策金利を1.5%に据え置きました。ここ最近の金融政策決定理事会の結論は「現在の政策継続が、経済の持続的成長とインフレ率の回復に繋がる」との見解が継続的に示されています。同時発表された声明の内容は、次のようなものです(意訳・要約しています)。
曰く「事業環境が改善しており設備稼働率も上昇、鉱業投資の減少の影響を直接的に受けない地域では企業投資が回復しています。一方、実質賃金の緩やかな成長と家計の借金が高い水準にあるため、消費は伸び悩んでいます。そして、雇用の継続的な伸びが示唆されているものの、賃金が伸び悩んでいるため、こうした状況が暫く続くと予想されます。また、住宅市場が地域差こそあれ、家賃が20年ぶりの緩やかな伸びとなっており、家計の住宅ローン借り入れの増加ペースも収入の伸びを上回っています。 よって、インフレ率の現状見通しは低水準の金利に支援されたものだと言えます」
(分析事例) RBA金融政策(2017年8月1日発表結果検証済)
(分析事例) RBA金融政策理事会議事録(2017年6月20日10:30公表結果検証済)
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RBNZ政策金利の発表では市場予想がほぼ的中します。そして「現状維持」のときにも反応が大きく、一方向への反応が続きがちです。反応方向を確認してから追いかけてポジションが取っても、pipsが稼ぎやすいのです。現地夏時間は5時発表なので、起きられないというのが最大の問題です。
2017年6月22日、RBNZは政策金利を1.75%に据え置くことを発表し、政策が相当の期間緩和的と言及しました。
さて、NZのインフレ率は既に中銀目標の1-3%の中間値まで回復しています。がしかし、RBNZ総裁は「2019年の遅い時期まで利上げを開始しない見込み」と表明しています。ただ、同総裁は9月退任予定(2017年2月7日発表)で、その後は2018年3月まで副総裁が代行を務めると発表されています。どの時期からか、政策変更の可能性が報道解説され始めるでしょう。
(分析事例) RBNZ政策金利(2017年6月22日発表結果検証済)
(2) 財政政策
7月9日、豪政府は今後10年でインフラ整備に750億AUDを投じることを発表しました。主な投資先は鉄道・滑走路・道路となっており、政府説明は以前の鉱山ブーム時代の経済構造からの産業構造転換を目指すため、ということのようです。
2016年の豪GDPは1.7兆AUDなので、対GDP比0.44%/年と捉えた方がわかりやすいでしょう。インパクトを日本のGDP規模に置き換えれば、単年度2兆円程度ということになります。いわば、日本が東京五輪を毎年やるぐらい、インフラ整備に力を入れるのです。
(3) 景気指標
豪州・NZの景気指標では取引を行っていません。両国の代表的な経済誌もわからないし、内政・外交の主要議題も掴めません。むしろ、景気指標を取引対象としてでなく、総合的な雰囲気を掴む手段として利用する方が有用です。
7月11日に発表されたNAB企業景況感指数は+15でした。貿易収支が黒字転換した2016年11月から1か月遅れで、景況感がほぼ+10以上の高位安定しつつあります。
7月31日に発表された7月分NBNZ企業景況感は+19.4でした。4月分の+11が当面の底となって、5・6月と2か月連続で改善しててから、僅かに下降です。
(4) 物価指標
四半期毎に発表される豪州物価指標はCPIに注目しておけば十分です。輸入物価指数や生産者物価指数はほぼ反応せず、取引には不向きです。
RBA見解(3月)では、インフレ率(CPI前年比)が2017年に2%を上回る、と予想していました。賃金の伸び悩みが物価上昇を抑えているとの見解は、7月4日のRBA政策金利発表時の声明でも言及されました。
7月26日に発表された4-6月期CPI前年比は+1.9%でした。1-3月期2.1%を下回ったものの、まだ2016年1-3月期を起点とする上昇基調は維持されている水準です。
(分析事例) 四半期消費者物価指数(2017年7月26日発表結果検証済)
(分析事例) 四半期生産者物価指数(2017年1月27日発表結果検証済)
PPIはほとんど反応しないので、取引に向きません。
CPIは非常に大きく反応します。何より、直後1分足終値より直後11分足終値が同方向に伸びていた確率が高いのです。こうした指標では、無理して発表時刻を跨いでポジションを持たずに、追撃で十分です。
ーーー$€¥ーーー
7月18日に発表されたNZ4-6月期CPI前期比は0に急落しました(1-3月期は+1%)。2015年10-12月期の△0.5%を底として、その後は先期までプラス幅を伸ばしていました。急落原因は把握していません。
(5) 雇用指標
豪州雇用統計でも最近、他の国と同様に賃金上昇率が注目されています。がしかし、豪州ではパートタイム従業員よりフルタイム従業員が増加している点が同じ趣旨でも意味があります。
7月20日に発表された豪州雇用統計では、失業率が前月同値で、新規雇用者数・常勤雇用者数が前月より僅かに増えました。新規雇用者数こそ前月より減ったものの、プラス維持されていました。常勤雇用者数の増加も続いています。
(分析事例) 雇用統計(2017年7月20日発表結果検証済)
本指標への反応には特徴があります。直前1分足が陰線なら、直後1分足が陽線となる可能性が高く、その後も反応を伸ばしがちです。直前1分足が陰線なら、追撃徹底も可です。
【4-5-3. 経済実態指標】
RBA見込みでは、2019年〜2020年の成長率を3%と見込んでいます。
がしかし、IMFでは2017年の成長率を3.1%、2018年を3.0%と見込んでいます(2017年4月時点の見通し) 。2016年10月時点では、各0.4%・0.1%と見込んでいたのだから、かなり大幅な上方修正です。ともあれ、RBA見通しに比べて、IMFは相当に豪州経済の成長を早く大きく見込んでいることになります。
中銀が「まだ早い」というのに、市場が「利上げはまだか」という一因は、こうしたギャップにもある訳です。
(1) 経済成長
6月7日に発表された豪州1-3月期GDPは、前期比(+0.3%)・前年比(+1.7%)ともに前回結果(各+1.1%・+2.4%)を下回りました。
(分析事例) 四半期GDP(2017年6月7日発表結果検証済)
反応は比較的安定して大きいものの、極端に大きくはありません。発表後に初期反応の値幅を削ることはあっても、反転する確率は低いため、小さな負けを覚悟して順張り追撃を繰り返していれば、期待値がプラスになります。こういうやり方に徹して収益を上げるためには、同じやり方を繰り返す・高値(安値)掴みをするぐらいなら取引しない、という鉄壁の意思が絶対に必要です。
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6月15日に発表されたNZ1-3月期GDP前期比は+0.5%でした。2015年7-9月期以降、+1%付近に回復していたものの、10-12月期が+0.4%に落ち込み、そこから僅かに回復です。
現地夏時間の発表時刻は06:45なので、FX会社によってはまだ取引時間前ということもがあります。
(分析事例) NZ四半期GDP(2016年12月21日分析済)
このとき取引できなかったのです。
(2) 実態指標
(2-1)小売
豪州は先進国で最も今後の人口増が期待される国です。人口増は消費指標や小売指標に対し長期的改善をもたらします。
8月4日に発表された6月分小売売上高前月比は+0.3%でした。5月分が+0.6%、4月分が+1.0%なので、1-3月期よりも4-6月期は消費も大幅に伸びつつあるのではないでしょうか。
(分析事例) 小売売上高(2017年8月4日発表結果検証済)
(分析事例) 四半期小売売上高(2017年5月9日発表結果検証済)
これら指標はあまり大きく反応せず、しかも最初に跳ねてもその後の反応が伸び悩む傾向があります。こういう指標は追撃が難しいので、あまり大きな利確が期待できません。取引が難しい指標と言っても良いでしょう。
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5月15日に発表されたNZ1ー3月期小売売上高指数前期比は+1.5%でした。四半期発表でNZ小売売上高指数は、2013以降に一度もマイナスとなっていません。
発表時刻は現地冬時間で07:45なので、取引できない時間ではありません。そこそこ反応も大きいようなので、研究を始めても良いかも知れません。
(2-2)住宅
豪州には投資資金が流入しており、ここ最近のRBA金融政策決定理事会は住宅価格高騰への懸念を継続的に示しています。最近、その対策として投資目的住宅のローン金利を引き上げたものの、2017年6月20日に発表された1-3月期住宅価格指数ではまだその効果が見受けられません。1-3月期は前年比10%超の価格指数上昇となっていました。
7月3日に発表された豪州5月分住宅建設許可件数前月比は△5.6%でした。3か月移動平均で許可件数を見る限り、9-11月より12-1月は増えて3-5月はほぼ9-11月並みまで減少しました。
7月11日に発表された豪州5月分住宅ローン件数前月比は+1.0%でした。ただ、2016年11月分の+1.0%からは減少が続き、2・3・4月分はマイナスだったので、5月分単月が+1.0%でも流れとしてはまだ、件数減少傾向が止まったとは言えません。
RBAの住宅価格抑制策が効果を挙げ始めているのかも知れません。
(分析事例)四半期住宅価格指数(2017年6月20日発表結果検証済)
本指標は反応こそ小さいものの、「市場予想後追い型」で70%程度の期待的中率が確認できています。そして、最近の住宅価格高騰の影響で、発表後の陽線率が70%を超えています。そういう意味で取引しやすい指標です。
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NZの住宅関連指標では取引を行っていません。
7月31日に発表された6月分住宅建設許可件数前月比は△1.0%でした。5月分は+7.0%、4月分は△7.6%だったので、上下動で前月の反動としては小さかったことになります。
【4-5-4. 収支関係指標】
7月6日に発表された豪州5月分貿易収支は+24.7億AUDでした。2016年11月分で2年8か月ぶりに黒字転換し、4月分が5.55億AUDまで急落していたので、反転急上昇です。年初からの貿易黒字は100億AUDを超えました。
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7月26日に発表されたNZ6月分貿易収支は+2.42億NZDでした。NZ貿易収支は、2017年3月分から黒字転換しており、これで4か月連続黒字となります。NZ貿易収支は8・9月頃に毎年赤字が最大化する傾向があり、来月ぐらいから赤字転換の可能性が高まります。
以上
2017年07月25日
豪州物価指標「四半期CPI」発表前後のAUDJPY反応分析(2017年7月26日10:30発表結果検証済)
以下、「T.調査・分析」を事前投稿し、「U.結果・検証」を事後投稿しています。ブログの日付は事前投稿日となっています。指標発表後に事後投稿し、その日時は「U.結果・検証」のタイトル行付近に記載しています。
2017年7月26日10:30に豪州物価指標「四半期CPI(消費者物価指数)」が発表されます。今回発表は2017年4-6月期分の集計結果です。
今回の市場予想と前回結果は次の通りです。市場予想は本記事作成時点の値です。
本指標の特徴は以下の通りです。
定型分析の結果は以下の通りです。
調査・分析結果は以下の通りです。
以上の調査・分析結果に基づき、以下のシナリオで取引に臨みます。
(1) 直前1分足は陰線と見込みます。
(2) 指標発表直後に騙しに気を付けて(最低3秒あけて)早期参加し、追撃は順張りで徹底します。複数回の追撃も可とします。
以上の詳細ないしは論拠は、以下の「T.調査・分析」に記しています。
公開情報や既出情報に基づく調査を行い、過去の指標と反応の関係を比較分析しています。方向に関する的中率に比べ、程度に関する的中率は残念ながら低いというのが実情です。利確・損切の目安は、過去平均値を最近の反応の大小と見比べて感覚的に微修正しています。
本指標の意義は、RBA(豪中銀)の金融政策に影響を与える点です。RBAが目標とする消費者物価指数は2〜3%ということが公表されています。
本指標は豪州統計局から四半期毎の翌月(1・4・7・11月)下旬に発表されます。
問題は本統計発表に先立ち、他の主要国のように毎月のCPI発表があるか否かです。もしそんなものがあれば、我々は日本で情報不足のまま取引することになってしまいます。確認しておきましょう。
豪統計局HP(ABS)の指標発表カレンダーで確認しておきました。結果、例えば7月にCPI月次発表は見当たりません。
もし興味があれば、ついでに本指標発表の形式をご覧になっておいてもいいでしょう。
ともあれ、基本的な疑問についてはこれで一安心です。
本指標に関する調査期間と、過去の反応程度・分布を下表に纏めておきます。
最も指標結果に素直に反応する直後1分足跳幅は、過去平均で45pipsにも達しています。本指標は非常に反応が大きいため、指標発表時刻を跨いでポジションを持つことは慎重でなければいけません。
また上表分布を別の言い方で説明すると、23pips以下だったことは6%しかなく、24-45pipsが47%、46-68pipsが29%、69pips以上は18%、です。
これは大きい。
過去の発表結果と市場予想を下図に一覧します。下図は発表結果と市場予想をプロットしています。そして、発表結果は後に修正値が発表されても、このグラフでは修正していません。
まず、前期比のグラフ(上)を見てみましょう。
今回は前期よりやや低下すると市場予想されています。AUDUSDの1-3月期は始値0.7183-終値0.7634、4-6月期は始値0.7634-終値0.7689で、AUDが強くなっています。それにも関わらず、本発表翌日に予定されている輸入物価指数は前期比+0.7%と、現時点では強気の市場予想が出ています。
次に、前年比のグラフ(下)を見てみましょう。
今回は前年同期と同値と市場予想されています。昨年4-6月期のAUDUSDは始値0.7657-終値0.7451なので、今年の4-6月期の方がややAUDが強くなっています。こちらは輸入物価指数前年比の資料を見つけることができませんでした。
つまり、AUDUSDレートを見る限り、4-6月期はAUDが強くなっており、本来ならこれは輸入物価が下がります。それにも関わらず、輸入物価指数(前月比しか調べていませんが)は上昇と予想されている状況です。アマチュアの我々は、この矛盾に妙に解釈を加えない方が良さそうです。
前期比・前年比ともに、発表結果と市場予想の大小関係が入れ替わったことは過去8回です。入れ替わりの頻度は50%ですから、本指標は市場予想後追い型ではありません。
前期比・前年比の各項目が反応方向にどの程度影響しているのかを調べておきました。
上表から、発表結果と市場予想最の差(事後差異)と、事後差異に最も素直に反応すると見なせる直後1分足との方向一致率を見ると、前期比と前年比のどちらの影響が強い、とは言えません。
過去の直前10-1分足・直前1分足・直後1分足・直後11分足の始値基準ローソク足を示します。
まず、直前10-1分足は、過去平均跳幅が7pipsです。跳幅がその1.5倍の11pips以上だったことは過去3回(18%)あります。
この3回の直後1分足跳幅は46pipsで、これは直後1分足の過去全平均45pipsとほぼ同じです。そして、この3回の直前10-1分足と直後1分足の方向は2回(67%)一致しています。
つまり、直前10-1分足の反応が11pips以上に達しても、それが直後1分足の反応方向を示唆しているとは言えません。67%あっても、たった3回の事例で67%の根拠で決め打ちするには、本指標直後1分足の反応は大きすぎます。
次に、直前1分足の過去平均跳幅が8pipsです。この跳幅が12pips以上だったことは過去3回(18%)です。
この3回の直後1分足跳幅の平均は56pipsで、これは過去全平均45pipsより12pips大きくなってました。直前1分足がいつもより大きく動いたときには、直後1分足もやや大きく反応している可能性があります。そして、このとき直前1分足と直後1分足の方向は2回(67%)一致しています。
つまり、直前10-1分足の反応が12pips以上に達しても、それが直後1分足の反応方向を示唆しているとは言えません。67%あっても、たった3回の事例で67%の根拠で決め打ちするには、本指標直後1分足の反応は大きすぎます。
そして、直後1分足の過去平均跳幅は45pipsです。
過去平均の45pipsを超えたことは47%あり、平均の1.5倍である68pipsを超えたことも18%あります。本指標は安定して反応が大きな指標だと言えます。
直後11分足は、過去平均跳幅が53pips、過去平均値幅が45pipsです。
平均値を見る限り、直後1分足跳幅よりも直後11分足跳幅は8pips以上大きく、直後1分足終値より直後11分足跳幅は16pips以上大きくなっています。単なる差でなく「以上」と記したのは、これら平均値が直後1分足と直後11分足が反転したことも含めた平均となっているためです。
ともあれ、直後11分足終値と直後1分足跳幅の平均値の差が10pipsある以上、追撃時の利確は直後1分足終値がついてからの方が良さそうです。
反応性分析では、過去発表直後の1分足と11分足の跳幅と値幅を使います。この分析で十分なpipsが狙えそうな指標か否かが判断できます。詳細は「反応性分析」をご参照願います。
反応一致性分析は、指標発表前後の反応方向に特徴的な偏りがないかを調べています。詳細は「反応一致性分析」をご参照願います。
指標一致性分析は、指標の前回結果と市場予想の差(事前差異)と、発表結果と市場予想の差(事後差異)と、発表結果と前回結果の差(実態差異)を求め、そのプラス・マイナスと反応方向に偏りがないかを調べています。詳細は「指標一致性分析」をご参照願います。
反応性分析の結果を下表に示します。
直後1分足と直後11分足との方向一致率は88%です。そして、その88%の方向一致時だけを取り上げて直後1分足と直後11分足とを比較すると、跳値同士・終値同士で反応が伸びたことは各80%・80%です。また、直後1分足終値がついた時点では、それからも反応が伸び続けて直後11分足終値が直後1分足終値を超えた事例は71%もあります。
つまり、本指標は反応方向を確認したら、早期参加・追撃徹底です。高値(安値)掴みに気を付けて、早期参加は2段階か3段階にしても良いかも知れません。
次に、反応一致性分析の結果を下表に示します。
直前1分足は陰線率が80%と、偏りが目立ちます。
そして、直後1分足は直前10-1分足の方向一致率は23%(不一致率77%)です。おそらくこれは、多くの取引参加者が早い時間から指標発表直後の反応方向を見越し、指標発表10分前ぐらいからポジションを解消しているものと思われます。本指標の取引参加者は、発表後の反応方向をほぼ正しく捉えている可能性があります。
最後に、指標一致性分析の結果を下表に示します。
事後差異と直後1分足との方向一致率は63%で、本指標は発表結果の市場予想に対する良し悪しにあまり素直に反応していません。
そして、事前差異と直後11分足の方向一致率が29%(不一致率71%)となっているものの、今回の事前差異はプラスでもマイナスでもない0となっています。よって、今回はこの特徴を利用したポジションは取れません。
巻頭箇条書きのシナリオの項をご参照願います。
以下は2017年7月27日に追記しています。
本指標発表結果及び反応は次の通りでした。
結果は前回結果・市場予想を下回り、反応は陰線でした。
とは言え、数値自体は前期比プラスで、前年比は+1.9%と、悪い結果ではありません。結果、直後1分足は上下にヒゲを残す形となり、反応程度も過去平均より小さくなりました。
気になる点は、直前1分足であたかも結果を予め知っていたような動きがあったことです。豪州指標には良くこうしたことが起こります。
RBA(豪中銀)のインフレ目標である2-3%は、前期のみでまた2%割れとなりました。関心の高いRBA利上げは当面できない、ということになります。
RBA金融政策は次回8月1日に発表されます。
取引結果は次の通りでした。
思ったほどには陰線が伸びず、損切もありました。理由は先述の通り、前回結果・市場予想には及ばなかったものの、悪い数字ではなかったからでしょう。
事前調査分析結論を、以下に検証します
事前準備していたシナリオは次の通りです。
下表に、本ブログを始めてからの本指標シナリオでの取引成績を纏めておきます。
本記事は、同じ指標の発表がある度に更新を繰り返して精度向上を図り、過去の教訓を次の発表時の取引で活かせるように努めています。がしかし、それでも的中率は75%程度に留まり、100%ではありません。詳細は「1. FXは上達するのか」をご参照ください。
そして、本記事は筆者個人の見解に基づいています。本記事に含まれる価格・データ・その他情報等は、本記事に添付されたリンク先とは関係ありません。また、取引や売買における意思決定を、本記事の記載通りに行うことは適切ではありません。そして、本記事の内容が資格を持った投資専門家の助言ではないことを明記しておきます。記載内容のオリジナリティや信頼性確保には努めているものの、それでも万全のチェックは行えていない可能性があります。
ポジションを持つ最終的なご判断は読者ご自身の責任となります。その点を予めご了承の上、本記事がFXを楽しむ一助となれば幸いです。
本記事における分析シート、一部乃至は一連の体系化された手順を、個人の取引以外の目的で使用・公開・二次利用を行う場合には、著作権者及びFX手法研究会に対し、連絡を取り何らかの合意を行う必要があります。
2017年7月26日10:30に豪州物価指標「四半期CPI(消費者物価指数)」が発表されます。今回発表は2017年4-6月期分の集計結果です。
今回の市場予想と前回結果は次の通りです。市場予想は本記事作成時点の値です。
※本稿は7月24日に記しています。発表直前には
市場予想を確認しておいた方がいいでしょう。
市場予想を確認しておいた方がいいでしょう。
本指標の特徴は以下の通りです。
- 反応程度が非常に大きいため、指標発表時刻を跨いでポジションを持つことは慎重でなければいけません。でも大丈夫です。そんなリスクを冒さなくても、本指標は追撃に適しています。
- 指標結果に対する反応方向はあまり素直とは言えず(63%)、むしろ指標発表後は一方向に反応が進む特徴に着目した方が良さそうです。
- 反応方向を確認したら、早期参加・順張り徹底を薦めます。騙しには気を付けましょう。ほとんどの場合、指標発表直後の騙しは3-10秒以内に収まります。
定型分析の結果は以下の通りです。
調査・分析結果は以下の通りです。
- 指標結果に関する予想分析は「わからない」が結論です。
(1) AUDUSDレートを見る限り、4-6月期は1-3月期よりAUDが強くなっており、本来ならこれは輸入物価が下がります。それにも関わらず、輸入物価指数(前月比しか調べていませんが)は、現時点で上昇と予想されています。アマチュアの我々は、この矛盾に妙に解釈を加えない方が良さそうです。
(2) 現在、本指標は市場予想後追い型ではありません。
(3) 前期比と前年比のどちらが反応方向に強い影響を与えているといった傾向は見出せません。 - 過去のローソク足を見る限り、何点か予め知っておいた方が良いポイントがありました。
(1) まれに(頻度18%)直前10-1分足の反応が11pips以上になることがあります。がしかし、そのような場合の直後1分足の反応は平均的で、反応方向はわかりません。
(2) まれに(頻度18%)直前1分足の反応が12pips以上になることがあります。そのような場合の直後1分足の反応はやや平均より大きいものの、反応方向はわかりません。
(3) 指標発表直後の跳幅は、23pips以下だったことは6%しかなく、24-45pipsが47%、46-68pipsが29%、69pips以上は18%、です。つまり、本指標は安定して大きく反応しています。 - 定型分析の結論は次の通りです。
(1) 直後1分足と直後11分足との方向一致率は88%です。そして、その88%の方向一致時だけを取り上げて直後1分足と直後11分足とを比較すると、跳値同士・終値同士で反応が伸びたことは各80%・80%です。また、直後1分足終値がついた時点では、それからも反応が伸び続けて直後11分足終値が直後1分足終値を超えた事例は71%もあります。
つまり、本指標は反応方向を確認したら、早期参加・追撃徹底です。高値(安値)掴みに気を付けて、早期参加は2段階か3段階にしても良いかも知れません。
(2) 直後1分足は直前10-1分足の方向一致率は23%(不一致率77%)です。
おそらくこれは、多くの取引参加者が早い時間から指標発表直後の反応方向を見越し、指標発表10分前ぐらいからポジションを解消しているものと思われます。本指標の取引参加者は、発表後の反応方向をほぼ正しく捉えている可能性があります。AUDJPYは、大きな指標発表があるときにかなり早くから動き始めます。
また、直前1分足は陰線率が80%と、偏りが目立ちます。
(3) 事後差異と直後1分足との方向一致率は63%で、本指標は発表結果の市場予想に対する良し悪しにあまり素直に反応していません。
そして、事前差異と直後11分足の方向一致率が29%(不一致率71%)となっているものの、今回の事前差異はプラスでもマイナスでもない0となっています。よって、今回はこの特徴を利用したポジションは取れません。
(1) 直前1分足は陰線と見込みます。
(2) 指標発表直後に騙しに気を付けて(最低3秒あけて)早期参加し、追撃は順張りで徹底します。複数回の追撃も可とします。
以上の詳細ないしは論拠は、以下の「T.調査・分析」に記しています。
T.調査・分析
公開情報や既出情報に基づく調査を行い、過去の指標と反応の関係を比較分析しています。方向に関する的中率に比べ、程度に関する的中率は残念ながら低いというのが実情です。利確・損切の目安は、過去平均値を最近の反応の大小と見比べて感覚的に微修正しています。
【1. 指標概要】
本指標の意義は、RBA(豪中銀)の金融政策に影響を与える点です。RBAが目標とする消費者物価指数は2〜3%ということが公表されています。
本指標は豪州統計局から四半期毎の翌月(1・4・7・11月)下旬に発表されます。
問題は本統計発表に先立ち、他の主要国のように毎月のCPI発表があるか否かです。もしそんなものがあれば、我々は日本で情報不足のまま取引することになってしまいます。確認しておきましょう。
豪統計局HP(ABS)の指標発表カレンダーで確認しておきました。結果、例えば7月にCPI月次発表は見当たりません。
もし興味があれば、ついでに本指標発表の形式をご覧になっておいてもいいでしょう。
ともあれ、基本的な疑問についてはこれで一安心です。
ーーー$€¥ーーー
本指標に関する調査期間と、過去の反応程度・分布を下表に纏めておきます。
最も指標結果に素直に反応する直後1分足跳幅は、過去平均で45pipsにも達しています。本指標は非常に反応が大きいため、指標発表時刻を跨いでポジションを持つことは慎重でなければいけません。
また上表分布を別の言い方で説明すると、23pips以下だったことは6%しかなく、24-45pipsが47%、46-68pipsが29%、69pips以上は18%、です。
これは大きい。
【2. 既出情報】
(2-1. 過去情報)
(2-1. 過去情報)
過去の発表結果と市場予想を下図に一覧します。下図は発表結果と市場予想をプロットしています。そして、発表結果は後に修正値が発表されても、このグラフでは修正していません。
まず、前期比のグラフ(上)を見てみましょう。
今回は前期よりやや低下すると市場予想されています。AUDUSDの1-3月期は始値0.7183-終値0.7634、4-6月期は始値0.7634-終値0.7689で、AUDが強くなっています。それにも関わらず、本発表翌日に予定されている輸入物価指数は前期比+0.7%と、現時点では強気の市場予想が出ています。
次に、前年比のグラフ(下)を見てみましょう。
今回は前年同期と同値と市場予想されています。昨年4-6月期のAUDUSDは始値0.7657-終値0.7451なので、今年の4-6月期の方がややAUDが強くなっています。こちらは輸入物価指数前年比の資料を見つけることができませんでした。
つまり、AUDUSDレートを見る限り、4-6月期はAUDが強くなっており、本来ならこれは輸入物価が下がります。それにも関わらず、輸入物価指数(前月比しか調べていませんが)は上昇と予想されている状況です。アマチュアの我々は、この矛盾に妙に解釈を加えない方が良さそうです。
ーーー$€¥ーーー
前期比・前年比ともに、発表結果と市場予想の大小関係が入れ替わったことは過去8回です。入れ替わりの頻度は50%ですから、本指標は市場予想後追い型ではありません。
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前期比・前年比の各項目が反応方向にどの程度影響しているのかを調べておきました。
上表から、発表結果と市場予想最の差(事後差異)と、事後差異に最も素直に反応すると見なせる直後1分足との方向一致率を見ると、前期比と前年比のどちらの影響が強い、とは言えません。
(2-2. 過去反応)
過去の直前10-1分足・直前1分足・直後1分足・直後11分足の始値基準ローソク足を示します。
まず、直前10-1分足は、過去平均跳幅が7pipsです。跳幅がその1.5倍の11pips以上だったことは過去3回(18%)あります。
この3回の直後1分足跳幅は46pipsで、これは直後1分足の過去全平均45pipsとほぼ同じです。そして、この3回の直前10-1分足と直後1分足の方向は2回(67%)一致しています。
つまり、直前10-1分足の反応が11pips以上に達しても、それが直後1分足の反応方向を示唆しているとは言えません。67%あっても、たった3回の事例で67%の根拠で決め打ちするには、本指標直後1分足の反応は大きすぎます。
次に、直前1分足の過去平均跳幅が8pipsです。この跳幅が12pips以上だったことは過去3回(18%)です。
この3回の直後1分足跳幅の平均は56pipsで、これは過去全平均45pipsより12pips大きくなってました。直前1分足がいつもより大きく動いたときには、直後1分足もやや大きく反応している可能性があります。そして、このとき直前1分足と直後1分足の方向は2回(67%)一致しています。
つまり、直前10-1分足の反応が12pips以上に達しても、それが直後1分足の反応方向を示唆しているとは言えません。67%あっても、たった3回の事例で67%の根拠で決め打ちするには、本指標直後1分足の反応は大きすぎます。
そして、直後1分足の過去平均跳幅は45pipsです。
過去平均の45pipsを超えたことは47%あり、平均の1.5倍である68pipsを超えたことも18%あります。本指標は安定して反応が大きな指標だと言えます。
直後11分足は、過去平均跳幅が53pips、過去平均値幅が45pipsです。
平均値を見る限り、直後1分足跳幅よりも直後11分足跳幅は8pips以上大きく、直後1分足終値より直後11分足跳幅は16pips以上大きくなっています。単なる差でなく「以上」と記したのは、これら平均値が直後1分足と直後11分足が反転したことも含めた平均となっているためです。
ともあれ、直後11分足終値と直後1分足跳幅の平均値の差が10pipsある以上、追撃時の利確は直後1分足終値がついてからの方が良さそうです。
【3. 定型分析】
反応性分析では、過去発表直後の1分足と11分足の跳幅と値幅を使います。この分析で十分なpipsが狙えそうな指標か否かが判断できます。詳細は「反応性分析」をご参照願います。
反応一致性分析は、指標発表前後の反応方向に特徴的な偏りがないかを調べています。詳細は「反応一致性分析」をご参照願います。
指標一致性分析は、指標の前回結果と市場予想の差(事前差異)と、発表結果と市場予想の差(事後差異)と、発表結果と前回結果の差(実態差異)を求め、そのプラス・マイナスと反応方向に偏りがないかを調べています。詳細は「指標一致性分析」をご参照願います。
反応性分析の結果を下表に示します。
直後1分足と直後11分足との方向一致率は88%です。そして、その88%の方向一致時だけを取り上げて直後1分足と直後11分足とを比較すると、跳値同士・終値同士で反応が伸びたことは各80%・80%です。また、直後1分足終値がついた時点では、それからも反応が伸び続けて直後11分足終値が直後1分足終値を超えた事例は71%もあります。
つまり、本指標は反応方向を確認したら、早期参加・追撃徹底です。高値(安値)掴みに気を付けて、早期参加は2段階か3段階にしても良いかも知れません。
次に、反応一致性分析の結果を下表に示します。
直前1分足は陰線率が80%と、偏りが目立ちます。
そして、直後1分足は直前10-1分足の方向一致率は23%(不一致率77%)です。おそらくこれは、多くの取引参加者が早い時間から指標発表直後の反応方向を見越し、指標発表10分前ぐらいからポジションを解消しているものと思われます。本指標の取引参加者は、発表後の反応方向をほぼ正しく捉えている可能性があります。
最後に、指標一致性分析の結果を下表に示します。
事後差異と直後1分足との方向一致率は63%で、本指標は発表結果の市場予想に対する良し悪しにあまり素直に反応していません。
そして、事前差異と直後11分足の方向一致率が29%(不一致率71%)となっているものの、今回の事前差異はプラスでもマイナスでもない0となっています。よって、今回はこの特徴を利用したポジションは取れません。
【4. シナリオ作成】
巻頭箇条書きのシナリオの項をご参照願います。
以上
2017年7月26日10:30発表
以下は2017年7月27日に追記しています。
U. 結果・検証
【5. 発表結果】
(5-1. 指標結果)
本指標発表結果及び反応は次の通りでした。
結果は前回結果・市場予想を下回り、反応は陰線でした。
とは言え、数値自体は前期比プラスで、前年比は+1.9%と、悪い結果ではありません。結果、直後1分足は上下にヒゲを残す形となり、反応程度も過去平均より小さくなりました。
気になる点は、直前1分足であたかも結果を予め知っていたような動きがあったことです。豪州指標には良くこうしたことが起こります。
RBA(豪中銀)のインフレ目標である2-3%は、前期のみでまた2%割れとなりました。関心の高いRBA利上げは当面できない、ということになります。
RBA金融政策は次回8月1日に発表されます。
(5-2. 取引結果)
取引結果は次の通りでした。
思ったほどには陰線が伸びず、損切もありました。理由は先述の通り、前回結果・市場予想には及ばなかったものの、悪い数字ではなかったからでしょう。
【6. 分析検証】
(6-1. 分析検証)
事前調査分析結論を、以下に検証します
- 過去の傾向から言えば、反応程度が非常に大きく、指標発表時刻を跨いでポジションを持たないことにしていました。そんなリスクを冒さなくても、追撃で稼げるからです。
結果は、反応が過去平均より小さくなったものの、発表から5分強ぐらいは追撃しやすかったと思われます。 - 過去の傾向から言えば、指標結果に対する反応方向はあまり素直とは言えず(63%)、むしろ指標発表後は一方向に反応が進む特徴に着目した方が良い、と捉えていました。
結果は、発表直後の上ヒゲからのすぐ反転を過ぎると、陰線側に伸びていきました。ただ、発表後5分過ぎぐらいで停滞し、対象期間を過ぎてからも15:00頃までは下降が続いたようです。 - 反応方向を確認したら、早期参加・順張り徹底を薦めます。騙しには気を付けましょう。ほとんどの場合、指標発表直後の騙しは3-10秒以内に収まります。
(6-2. シナリオ検証)
事前準備していたシナリオは次の通りです。
- 直前1分足は陰線と見込んでいました。
結果は陰線でしたが、その動きは異常で発表後よりも大きくなりました。理由が何であれ危ない通貨です。 - 指標発表直後に騙しに気を付けて(最低3秒あけて)早期参加し、追撃は順張りで徹底を予定していました。
途中、損切もありましたが、複数回の追撃でプラスとなりました。必ず損切(読み間違い)は発生します。がしかし、大きく外さないやり方を続けていれば、問題ありません。
下表に、本ブログを始めてからの本指標シナリオでの取引成績を纏めておきます。
以上
ーーー注記ーーー
本記事は、同じ指標の発表がある度に更新を繰り返して精度向上を図り、過去の教訓を次の発表時の取引で活かせるように努めています。がしかし、それでも的中率は75%程度に留まり、100%ではありません。詳細は「1. FXは上達するのか」をご参照ください。
そして、本記事は筆者個人の見解に基づいています。本記事に含まれる価格・データ・その他情報等は、本記事に添付されたリンク先とは関係ありません。また、取引や売買における意思決定を、本記事の記載通りに行うことは適切ではありません。そして、本記事の内容が資格を持った投資専門家の助言ではないことを明記しておきます。記載内容のオリジナリティや信頼性確保には努めているものの、それでも万全のチェックは行えていない可能性があります。
ポジションを持つ最終的なご判断は読者ご自身の責任となります。その点を予めご了承の上、本記事がFXを楽しむ一助となれば幸いです。
ーーー注記ーーー
本記事における分析シート、一部乃至は一連の体系化された手順を、個人の取引以外の目的で使用・公開・二次利用を行う場合には、著作権者及びFX手法研究会に対し、連絡を取り何らかの合意を行う必要があります。
以上
2017年07月18日
豪州雇用統計発表前後のAUDJPY反応分析(2017年7月20日10:30発表結果検証済)
以下、「T.調査・分析」を事前投稿し、「U.結果・検証」を事後投稿しています。ブログの日付は事前投稿日となっています。指標発表後に事後投稿し、その日時は「U.結果・検証」のタイトル行付近に記載しています。
2017年7月20日10:30に豪州雇用統計が発表されます。今回発表は2017年6月の集計結果です。
今回の市場予想と前回結果は次の通りです。市場予想は本記事投稿時点の値です。
本指標の特徴は以下の通りです。
調査・分析結果は以下の通りです。
以上の調査・分析結果に基づき、以下のシナリオで取引に臨みます
以上の詳細ないしは論拠は、以下の「T.調査・分析」に記しています。
公開情報や既出情報に基づく調査を行い、過去の指標と反応の関係を比較分析しています。方向に関する的中率に比べ、程度に関する的中率は残念ながら低いというのが実情です。利確・損切の目安は、過去平均値を最近の反応の大小と見比べて感覚的に微修正しています。
新規雇用者数の調査は、事業者の給与支払い帳簿を基に集計したものです。指標の良し悪しを見る上で、豪州人口が自然増であることや毎月の離職者も存在することを踏まえると、+1万人ぐらいが中立的な数字ではないでしょうか。同時に、常勤雇用者数・労働参加率・失業率も発表されています。
豪統計局が翌月中旬に発表しています。
本指標に関する調査期間と、過去の反応程度・分布を下表に纏めておきます。
過去平均で、直後1分足値幅が28pips、直後11分足値幅は30pipsに達しています。指標発表直後の跳幅は過去平均で37pipsあり、86%の事例で18pipsを超えています。大きく反応する指標なので、発表時刻を跨いでポジションを持つには注意が必要です。
新規雇用者数のグラフは、市場予想後追い型の可能性があります。確認しておきましょう。
市場予想と発表結果の大小関係が前回と入れ替わった回数は、過去13回(46%)です。グラフを見て下降基調や上昇基調が見受けられても、この入れ替わりが50%から離れていなければ、市場予想後追い型として決め打ちでポジションを取ることはできません。
よって、新規雇用者数は市場予想後追い型とは言えません。
失業率のグラフは、市場予想後追い型の可能性があります。これも確認しておきましょう。
市場予想と発表結果の大小関係が前回と入れ替わった回数は、過去11回(39%)です。これは、前回発表時に発表結果が市場予想を下回っていると、今回も発表結果が市場予想を下回る確率が61%ということです。
よって、失業率は市場予想後追い型と言っても良いものの、61%という期待的中率なら他の情報を参考にした方が良さそうです。
過去の発表結果と市場予想を下図に一覧します。下図は発表結果と市場予想をプロットしています。そして、発表結果は後に修正値が発表されても、このグラフでは修正していません。
発表される各項目毎の反応方向への「影響の強さ」を下表に示しておきます。なお、ここでいう「影響の強さ」とは、事後差異(発表結果ー市場予想)と直後1分足の方向一致率が高くなることを指しています。但し、必ずしも最も影響が強くなるようには各係数を求めていません。
上表から、常勤雇用者数と労働参加率は反応方向に影響をほぼ与えていません。失業率△1%につき新規雇用者数は+2.5万人で、互いの影響が相殺されています。
過去の直前10-1分足・直前1分足・直後1分足・直後11分足の始値基準ローソク足を示します。
まず、直前10-1分足は、過去平均跳幅が9pips、過去平均値幅が6pipsです。
跳幅が平均値の1.5倍にあたる14pips以上だったことは、過去3回(%)あります。
この3回の直前10-1分足と直後1分足の方向は1回しか一致(33%)していません。そして、この3回の直後1分足跳幅の平均は37pipsで、これは直後1分足の過去全平均37pipsと同じです。
つまり、まれに直前10-1分足の反応が大きく(14pips以上)なっても、それが直後1分足の反応の大きさや方向を示唆している訳ではありません。慌てて追いかけないように気を付けましょう。
次に、直前1分足は、過去平均跳幅が8pips、過去平均値幅が5pipsです。
跳幅が12pips以上だったことは過去6回(21%)あります。この6回の直後1分足跳幅の平均は42pipsで、これは直後1分足の過去全平均37pipsをやや上回っています。また、この6回の直前1分足と直後1分足の方向が一致したことは0回です。
つまり、直前1分足が大きく動いたとき(12pips以上)は、指標発表直後の反応はやや大きく、直後1分足の反応方向はその逆になったことしかありません。
そして、直後1分足は、過去平均跳幅が37pips、過去平均値幅が28pipsです。
過去平均の37pipsを超えたことは41%あり、その半分の18pipsを超えたことは86%に達しています。大きく反応する指標なので、発表時刻を跨いでポジションを持つことは慎重になる必要があります。
直後11分足は、過去平均跳幅が43pips、過去平均値幅が30pipsです。
平均値を見る限り、直後1分足終値に比べて、直後11分足の跳幅は15pips以上大きく、値幅平均は2pips以上大きくなっています。単なる差でなく「以上」と記したのは、これら平均値が直後1分足と直後11分足が反転したことも含めた平均となっているためです。
ともあれ、直後1分足値幅平均に比べ、直後11分足跳幅平均が15pips以上もあるので、指標発表から1分以内に追撃を始め、直後1分足終値がついて以降に利確が狙えます。
反応性分析では、過去発表直後の1分足と11分足の跳幅と値幅を使います。この分析で十分なpipsが狙えそうな指標か否かが判断できます。詳細は「反応性分析」をご参照願います。
反応一致性分析は、指標発表前後の反応方向に特徴的な偏りがないかを調べています。詳細は「反応一致性分析」をご参照願います。
指標一致性分析は、指標の前回結果と市場予想の差(事前差異)と、発表結果と市場予想の差(事後差異)と、発表結果と前回結果の差(実態差異)を求め、そのプラス・マイナスと反応方向に偏りがないかを調べています。詳細は「指標一致性分析」をご参照願います。
反応性分析の結果を下表に示します。
指標結果への反応が最も素直に現れがちな直後1分足跳幅は、過去平均で37pipsに達しています。そして、この平均値を超えたことが41%あります。本指標は大きく反応しがちです。
直後1分足と直後11分足との方向一致率は82%です。そして、その82%の方向一致時だけを取り上げて直後1分足と直後11分足とを比較すると、跳値同士・終値同士で反応が伸びたことは各65%・70%です。但し、直後1分足終値がついた時点で考えると、その時点から反応が伸び続けて直後11分足終値が直後1分足終値を超える確率は57%とやや見劣りします。
つまり、本指標での取引は、反応方向を確認したら早期参加し、直後1分足終値がついたら利確のタイミングを探りましょう。
次に、反応一致性分析の結果を下図に示します。
直前1分足は陰線率が89%、直後1分足は陽線率が72%となっています。偏りに特徴があり、この特徴によって、直前1分足と直後1分足の方向一致率は22%(不一致率78%)にも達しています。本指標では、取引参加者が発表直前に不利なポジションを解消しがちな傾向が窺えます。
そして、直後1分足と直後11分足の方向一致率が82%に達しているということは、追撃徹底に適した指標だと言えるでしょう。
最後に、指標一致性分析の結果を下図に示します。
事前差異はローソク足の方向を示唆していません。
事後差異は直後1分足や直後11分足との方向一致率が高く、本指標が発表結果の良し悪しに素直に反応することを示しています。
そして、直前1分足との方向一致率が30%(不一致率70%)は、発表結果が市場予想を上回るか下回るかを、直前1分足の方向と逆と示唆していることになります。
巻頭箇条書きのシナリオの項をご参照願います。
以下は2017年7月20日14時頃に追記しています。
本指標発表結果及び反応は次の通りでした。
結果は、失業率・新規雇用者数ともに前回結果より悪化しました。
反応は大きな陽線で、指標結果に対し方向が不一致となりました。
新規雇用者数は市場予想を下回ったにも関わらず、こうした反応になったことに意味があるのか解釈が難しいところです。
あえて意味づけをすれば、失業率が市場予想と同じで、新規雇用者数は市場予想を僅かに下回ったものの前月より増加しています。そして、常勤雇用者数が僅かに増えています。失業率が低下し、新規の雇用者の増加ペースが減ったものの、常勤者雇用が増えたと考えれば、確かに陽線での反応もおかしくありません。
ECBの記事を書いていて、また取引時間を逃してしまいました。
事前調査分析内容を、以下に検証します
取引はできなかったものの、シナリオで取引を検証しておきます。
つまり、今回は完全に分析を外していたことになります。
本記事は、同じ指標の発表がある度に更新を繰り返して精度向上を図り、過去の教訓を次の発表時の取引で活かせるように努めています。がしかし、それでも的中率は75%程度に留まり、100%ではありません。詳細は「1. FXは上達するのか」をご参照ください。
そして、本記事は筆者個人の見解に基づいています。本記事に含まれる価格・データ・その他情報等は、本記事に添付されたリンク先とは関係ありません。また、取引や売買における意思決定を、本記事の記載通りに行うことは適切ではありません。そして、本記事の内容が資格を持った投資専門家の助言ではないことを明記しておきます。記載内容のオリジナリティや信頼性確保には努めているものの、それでも万全のチェックは行えていない可能性があります。
ポジションを持つ最終的なご判断は読者ご自身の責任となります。その点を予めご了承の上、本記事がFXを楽しむ一助となれば幸いです。
本記事における分析シート、一部乃至は一連の体系化された手順を、個人の取引以外の目的で使用・公開・二次利用を行う場合には、著作権者及びFX手法研究会に対し、連絡を取り何らかの合意を行う必要があります。
2017年7月20日10:30に豪州雇用統計が発表されます。今回発表は2017年6月の集計結果です。
今回の市場予想と前回結果は次の通りです。市場予想は本記事投稿時点の値です。
本指標の特徴は以下の通りです。
- 反応程度はかなり大きく、過去86%は指標発表直後に19pips以上跳ねています。
- 反応方向には特徴的な偏りがあり、
- 追撃はその偏りを利用して徹底すべきです(確率的には)。
調査・分析結果は以下の通りです。
- 本指標には次の特徴があります。
(1) 発表項目のうち、反応方向への影響があるのは、失業率と新規雇用者数です。それらの反応への影響力は、失業率△1%につき新規雇用者数は+2.5万人で互いに相殺されます。
(2) 直前1分足の陰線率は89%とかなり偏っています。そして、直後1分足は陽線率が72%で、直前1分足との方向一致率が22%(不一致率78%)となっています。更に、直後11分足は直後1分足との方向一致率が82%と高くなっています。
つまり、直前1分足が陰線なら、直後1分足が陽線となる可能性が高く、その後も反応を伸ばしがちです。直前1分足が陰線なら、追撃徹底です。
(3) 失業率は、市場予想後追い型と言えます。前回は発表結果が市場予想を下回っていたので、今回も同様の大小関係となる期待的中率は61%です。 - 過去のローソク足を見る限り、何点か予め知っておいた方が良いポイントがありました。
(1) まれに(頻度10%程度)、直前10-1分足の反応が大きく(14pips以上)動くことがあります。けれども、この動きは直後1分足の反応の大きさや方向と関係ありません。慌てて追いかけないように気を付けましょう。
(2) まれに(頻度21%)、直前1分足が大きく(12pips以上)動くことがあります。このとき、指標発表直後の反応はやや大きく、直後1分足の反応方向は過去の事例(6例)で全て直前1分足の逆方向になっています。
(3) 直後1分足は、過去平均跳幅が37pips、過去平均値幅が28pipsです。過去平均の37pipsを超えたことは41%あり、その半分の18pipsを超えたことは86%に達しています。大きく反応する指標なので、発表時刻を跨いでポジションを持つことは慎重になる必要があります。
(4) 過去平均値を見る限り、直後1分足終値に比べて、直後11分足の跳幅は15pipsと大きくなっています。この差が15pipsもあるなら、指標発表から1分以内に追撃を始め、直後1分足終値がついて以降に利確が狙えます。 - 市場予想と前回結果との大小関係はローソク足の方向を示唆していません。
事後差異(発表結果ー市場予想)は、直後1分足や直後11分足との方向一致率が高く、本指標が発表結果の良し悪しに素直に反応することを示しています。
そして、直前1分足との方向一致率が30%(不一致率70%)は、発表結果が市場予想を上回るか下回るかを、直前1分足の方向と逆と示唆していることになります。
以上の調査・分析結果に基づき、以下のシナリオで取引に臨みます
- (1) 直前1分足は陰線と見込みます。
- (2) 直前1分足が陰線になりそうなら、指標発表直前に買ポジションを取ります。
- (3) 指標発表から1分以内に、反応方向に順張り追撃ポジションを取ります。
以上の詳細ないしは論拠は、以下の「T.調査・分析」に記しています。
T.調査・分析
公開情報や既出情報に基づく調査を行い、過去の指標と反応の関係を比較分析しています。方向に関する的中率に比べ、程度に関する的中率は残念ながら低いというのが実情です。利確・損切の目安は、過去平均値を最近の反応の大小と見比べて感覚的に微修正しています。
【1. 指標概要】
新規雇用者数の調査は、事業者の給与支払い帳簿を基に集計したものです。指標の良し悪しを見る上で、豪州人口が自然増であることや毎月の離職者も存在することを踏まえると、+1万人ぐらいが中立的な数字ではないでしょうか。同時に、常勤雇用者数・労働参加率・失業率も発表されています。
豪統計局が翌月中旬に発表しています。
本指標に関する調査期間と、過去の反応程度・分布を下表に纏めておきます。
過去平均で、直後1分足値幅が28pips、直後11分足値幅は30pipsに達しています。指標発表直後の跳幅は過去平均で37pipsあり、86%の事例で18pipsを超えています。大きく反応する指標なので、発表時刻を跨いでポジションを持つには注意が必要です。
新規雇用者数のグラフは、市場予想後追い型の可能性があります。確認しておきましょう。
市場予想と発表結果の大小関係が前回と入れ替わった回数は、過去13回(46%)です。グラフを見て下降基調や上昇基調が見受けられても、この入れ替わりが50%から離れていなければ、市場予想後追い型として決め打ちでポジションを取ることはできません。
よって、新規雇用者数は市場予想後追い型とは言えません。
失業率のグラフは、市場予想後追い型の可能性があります。これも確認しておきましょう。
市場予想と発表結果の大小関係が前回と入れ替わった回数は、過去11回(39%)です。これは、前回発表時に発表結果が市場予想を下回っていると、今回も発表結果が市場予想を下回る確率が61%ということです。
よって、失業率は市場予想後追い型と言っても良いものの、61%という期待的中率なら他の情報を参考にした方が良さそうです。
【2. 既出情報】
(2-1. 過去情報)
(2-1. 過去情報)
過去の発表結果と市場予想を下図に一覧します。下図は発表結果と市場予想をプロットしています。そして、発表結果は後に修正値が発表されても、このグラフでは修正していません。
発表される各項目毎の反応方向への「影響の強さ」を下表に示しておきます。なお、ここでいう「影響の強さ」とは、事後差異(発表結果ー市場予想)と直後1分足の方向一致率が高くなることを指しています。但し、必ずしも最も影響が強くなるようには各係数を求めていません。
上表から、常勤雇用者数と労働参加率は反応方向に影響をほぼ与えていません。失業率△1%につき新規雇用者数は+2.5万人で、互いの影響が相殺されています。
(2-2. 過去反応)
過去の直前10-1分足・直前1分足・直後1分足・直後11分足の始値基準ローソク足を示します。
まず、直前10-1分足は、過去平均跳幅が9pips、過去平均値幅が6pipsです。
跳幅が平均値の1.5倍にあたる14pips以上だったことは、過去3回(%)あります。
この3回の直前10-1分足と直後1分足の方向は1回しか一致(33%)していません。そして、この3回の直後1分足跳幅の平均は37pipsで、これは直後1分足の過去全平均37pipsと同じです。
つまり、まれに直前10-1分足の反応が大きく(14pips以上)なっても、それが直後1分足の反応の大きさや方向を示唆している訳ではありません。慌てて追いかけないように気を付けましょう。
次に、直前1分足は、過去平均跳幅が8pips、過去平均値幅が5pipsです。
跳幅が12pips以上だったことは過去6回(21%)あります。この6回の直後1分足跳幅の平均は42pipsで、これは直後1分足の過去全平均37pipsをやや上回っています。また、この6回の直前1分足と直後1分足の方向が一致したことは0回です。
つまり、直前1分足が大きく動いたとき(12pips以上)は、指標発表直後の反応はやや大きく、直後1分足の反応方向はその逆になったことしかありません。
そして、直後1分足は、過去平均跳幅が37pips、過去平均値幅が28pipsです。
過去平均の37pipsを超えたことは41%あり、その半分の18pipsを超えたことは86%に達しています。大きく反応する指標なので、発表時刻を跨いでポジションを持つことは慎重になる必要があります。
直後11分足は、過去平均跳幅が43pips、過去平均値幅が30pipsです。
平均値を見る限り、直後1分足終値に比べて、直後11分足の跳幅は15pips以上大きく、値幅平均は2pips以上大きくなっています。単なる差でなく「以上」と記したのは、これら平均値が直後1分足と直後11分足が反転したことも含めた平均となっているためです。
ともあれ、直後1分足値幅平均に比べ、直後11分足跳幅平均が15pips以上もあるので、指標発表から1分以内に追撃を始め、直後1分足終値がついて以降に利確が狙えます。
【3. 定型分析】
反応性分析では、過去発表直後の1分足と11分足の跳幅と値幅を使います。この分析で十分なpipsが狙えそうな指標か否かが判断できます。詳細は「反応性分析」をご参照願います。
反応一致性分析は、指標発表前後の反応方向に特徴的な偏りがないかを調べています。詳細は「反応一致性分析」をご参照願います。
指標一致性分析は、指標の前回結果と市場予想の差(事前差異)と、発表結果と市場予想の差(事後差異)と、発表結果と前回結果の差(実態差異)を求め、そのプラス・マイナスと反応方向に偏りがないかを調べています。詳細は「指標一致性分析」をご参照願います。
反応性分析の結果を下表に示します。
指標結果への反応が最も素直に現れがちな直後1分足跳幅は、過去平均で37pipsに達しています。そして、この平均値を超えたことが41%あります。本指標は大きく反応しがちです。
直後1分足と直後11分足との方向一致率は82%です。そして、その82%の方向一致時だけを取り上げて直後1分足と直後11分足とを比較すると、跳値同士・終値同士で反応が伸びたことは各65%・70%です。但し、直後1分足終値がついた時点で考えると、その時点から反応が伸び続けて直後11分足終値が直後1分足終値を超える確率は57%とやや見劣りします。
つまり、本指標での取引は、反応方向を確認したら早期参加し、直後1分足終値がついたら利確のタイミングを探りましょう。
次に、反応一致性分析の結果を下図に示します。
直前1分足は陰線率が89%、直後1分足は陽線率が72%となっています。偏りに特徴があり、この特徴によって、直前1分足と直後1分足の方向一致率は22%(不一致率78%)にも達しています。本指標では、取引参加者が発表直前に不利なポジションを解消しがちな傾向が窺えます。
そして、直後1分足と直後11分足の方向一致率が82%に達しているということは、追撃徹底に適した指標だと言えるでしょう。
最後に、指標一致性分析の結果を下図に示します。
事前差異はローソク足の方向を示唆していません。
事後差異は直後1分足や直後11分足との方向一致率が高く、本指標が発表結果の良し悪しに素直に反応することを示しています。
そして、直前1分足との方向一致率が30%(不一致率70%)は、発表結果が市場予想を上回るか下回るかを、直前1分足の方向と逆と示唆していることになります。
【4. シナリオ作成】
巻頭箇条書きのシナリオの項をご参照願います。
以上
2017年7月20日10:30発表
以下は2017年7月20日14時頃に追記しています。
U. 結果・検証
【5. 発表結果】
(5-1. 指標結果)
本指標発表結果及び反応は次の通りでした。
結果は、失業率・新規雇用者数ともに前回結果より悪化しました。
反応は大きな陽線で、指標結果に対し方向が不一致となりました。
新規雇用者数は市場予想を下回ったにも関わらず、こうした反応になったことに意味があるのか解釈が難しいところです。
あえて意味づけをすれば、失業率が市場予想と同じで、新規雇用者数は市場予想を僅かに下回ったものの前月より増加しています。そして、常勤雇用者数が僅かに増えています。失業率が低下し、新規の雇用者の増加ペースが減ったものの、常勤者雇用が増えたと考えれば、確かに陽線での反応もおかしくありません。
(5-2. 取引結果)
ECBの記事を書いていて、また取引時間を逃してしまいました。
【6. 分析検証】
(6-1. 分析検証)
事前調査分析内容を、以下に検証します
- 過去の傾向では、失業率と新規雇用者数が市場予想に比べて大きいか小さいかで反応が決まる傾向がありました。その点、今回は新規雇用者数が市場予想を下回ったのに陽線での反応ですから、分析を外したことになります。
確率上の問題なのか、分析方法の問題なのかは、まだ暫く様子を見ます。 - 直前1分足は陽線となり、分析を外しました。
直後1分足は陽線となり、これは過去の傾向と一致しました。 - 失業率は、市場予想後追い型と言えます。前回は発表結果が市場予想を下回っていたので、今回も同様の大小関係となる期待的中率は61%と捉えていました。結果は同値で判定なしです。
- 事後差異はマイナスなので、陽線での反応は分析を外したことになります。
(6-2. シナリオ検証)
取引はできなかったものの、シナリオで取引を検証しておきます。
- (1) 直前1分足は陰線と見込んでいました。結果は陽線で1〜2pipsの損切となっていた可能性があります。
- (2) 直前1分足が陰線になりそうなら、指標発表直前に買ポジションを取るつもりでした。
リアルタイムでチャートを見ていなかったものの、結果は直前1分足が陽線なのでポジションを取らなかったはずです。もし、指標発表直前に急に陽線に転じたのなら、この取引は20-30pipsの損切となっていたでしょう。 - (3) 指標発表から1分以内に、反応方向に順張り追撃ポジションを取るつもりでした。
これも、発表から2分後からポジションを取っていたなら、損切となっていた可能性が高い、と思われます。
つまり、今回は完全に分析を外していたことになります。
以上
ーーー注記ーーー
本記事は、同じ指標の発表がある度に更新を繰り返して精度向上を図り、過去の教訓を次の発表時の取引で活かせるように努めています。がしかし、それでも的中率は75%程度に留まり、100%ではありません。詳細は「1. FXは上達するのか」をご参照ください。
そして、本記事は筆者個人の見解に基づいています。本記事に含まれる価格・データ・その他情報等は、本記事に添付されたリンク先とは関係ありません。また、取引や売買における意思決定を、本記事の記載通りに行うことは適切ではありません。そして、本記事の内容が資格を持った投資専門家の助言ではないことを明記しておきます。記載内容のオリジナリティや信頼性確保には努めているものの、それでも万全のチェックは行えていない可能性があります。
ポジションを持つ最終的なご判断は読者ご自身の責任となります。その点を予めご了承の上、本記事がFXを楽しむ一助となれば幸いです。
ーーー注記ーーー
本記事における分析シート、一部乃至は一連の体系化された手順を、個人の取引以外の目的で使用・公開・二次利用を行う場合には、著作権者及びFX手法研究会に対し、連絡を取り何らかの合意を行う必要があります。
以上
2017年07月04日
4-5. 豪州・NZ経済指標DB(2017年6月最終版)
豪州の経済指標発表前後の取引はAUDJPYで、NZの経済指標発表前後の取引はNZDJPYで行っています。
いずれも、以前ほどではないにせよ、先進国では高金利通貨であり、被投資国のためリスクにはからっきし弱いという特徴があります。
オセアニア通貨は、中国経済指標によって大きく動く傾向があります。
2013年に中国指導部が提唱した一帯一路構想とAIIB設立は、次の2点が多くの関心の的だったようです。ひとつは、「そんなことしている場合か」と思われた隠れ債務問題で、もうひとつが他の地域への影響力行使といった点で米国との対立が始まる予感です。
経済規模が世界No.1の米国債務は、2016年度時点で対GDP比256%です。No.2の中国が猛追し、同年256%へと追いつきました。ちなみに、No.3の日本は同年373%です。中国が現在のペースで債務を増やした場合、2021年頃に対GDP比300%に到達しそうです。
加えて、2017年は北朝鮮問題への影響力行使に関心が集まっています。
RBA(豪中銀)は、中国の経済成長がインフラ投資や不動産投資で下支えされており、これらの投資が借り入れ急増を伴っているためリスクがあることを認識しています。
豪州経済全般は、世界経済の回復によるコモディティー価格上昇によって支えられています。低金利で成長が暫く続いた結果、不動産投資とローン残高が増加しつつあり、貸出基準の厳格化と投資目的不動産ローン金利を引き上げて対策を始めました。
NZ経済指標は、豪中米との二国間関係を始め、国内での報道が皆無と言ってもいいぐらいで、よくわかりません。よって、市場予想がほぼ的中し、且つ、それにも関わらず反応が大きいRBNZ(NZ中銀)政策金利にだけ注目しておけば十分です。そもそもNZについては、昨年就任したイングリッシュ首相という名前からして、どこの国の誰なんだかよくわからないぐらいです。
RBA金融政策は「暫く様子見」です。一時は高まった利上げ年内観測も、5月16日の議事録発表後には無くなったようです。
2017年7月4日、RBAは政策金利を1.5%に据え置きました。ここ最近の金融政策決定理事会の結論は「現在の政策継続が、経済の持続的成長とインフレ率の回復に繋がる」との見解が継続的に示されています。同時発表された声明の内容は、次のようなものです(意訳・要約しています)。
曰く「事業環境が改善しており設備稼働率も上昇、鉱業投資の減少の影響を直接的に受けない地域では企業投資が回復しています。一方、実質賃金の緩やかな成長と家計の借金が高い水準にあるため、消費は伸び悩んでいます。そして、雇用の継続的な伸びが示唆されているものの、賃金が伸び悩んでいるため、こうした状況が暫く続くと予想されます。また、住宅市場が地域差こそあれ、家賃が20年ぶりの緩やかな伸びとなっており、家計の住宅ローン借り入れの増加ペースも収入の伸びを上回っています。 よって、インフレ率の現状見通しは低水準の金利に支援されたものだと言えます」
(事例1) RBA政策金利(2017年6月6日発表結果検証済)
(事例2) RBA金融政策理事会議事録(2017年6月20日10:30公表結果検証済)
RBNZ政策金利の発表では市場予想がほぼ的中します。そして「現状維持」のときにも反応が大きく、一方向への反応が続きがちです。反応方向を確認してから追いかけてポジションが取っても、pipsが稼ぎやすいのです。現地夏時間は5時発表なので、起きられないというのが最大の問題です。
2017年6月22日、RBNZは政策金利を1.75%に据え置くことを発表し、政策が相当の期間緩和的と言及しました。
さて、NZのインフレ率は既に中銀目標の1-3%の中間値に戻っています。がしかし、RBNZ総裁は「2019年の遅い時期まで利上げを開始しない見込み」と表明しています。ただ、同総裁は9月退任予定(2017年2月7日発表)で、その後は2018年3月まで副総裁が代行を務めると発表されています。どの時期からか、政策変更の可能性が報道解説され始めるでしょう。
(事例) RBNZ政策金利(2017年6月22日発表結果検証済)
RBA見解(3月)では、インフレ率が2017年に2%を上回る、と予想されています。賃金の伸び悩みが物価上昇を抑えているとの見解は、7月4日のRBA政策金利発表時の声明でも言及されました。
(事例1) 四半期消費者物価指数(2017年4月26日発表結果検証済)
(事例2) 四半期生産者物価指数(2017年1月27日発表結果検証済)
最近、他の国と同様に賃金上昇率が注目されていますが、豪州ではパートタイム従業員よりフルタイム従業員が増加している点が同じ趣旨でも意味があります。がしかし、本指標への反応は、まだ新規雇用者数の増減が最も強く影響しています。
(事例) 雇用統計(2017年6月15日発表結果検証済)
豪州経済自体は堅実に成長が続くと見込んでいます。がしかし、AUDJPYの反応はまだ暫く中国経済の見通しに影響を受けると思われます。
(事例) 四半期GDP(2017年6月7日発表結果検証済)
(2-1)小売
豪州は先進国で最も今後の人口増が期待される国です。人口増は消費指標や小売指標に対し長期的改善をもたらします。
7月4日に発表された小売売上高は前月比+0.6%で、6月発表の+1.0%に続いて過去の水準より高く推移しています。1-3月期よりも4-6月期は、消費も大幅に伸びつつあるのではないでしょうか。
(事例1) 小売売上高(2017年7月4日発表結果検証済)
(事例2) 四半期小売売上高(2017年5月9日発表結果検証済)
(2-2)住宅
豪州には投資資金が流入しており、ここ最近のRBA金融政策決定理事会は住宅価格高騰への懸念を継続的に示しています。最近、その対策として投資目的住宅のローン金利を引き上げたものの、2017年6月20日に発表された1-3月期住宅価格指数ではまだその効果が見受けられません。1-3月期は前年比10%超の価格指数上昇となっていました。
(事例)四半期住宅価格指数(2017年6月20日発表結果検証済)
いずれも、以前ほどではないにせよ、先進国では高金利通貨であり、被投資国のためリスクにはからっきし弱いという特徴があります。
【4-5-1. 6月概観】
オセアニア通貨は、中国経済指標によって大きく動く傾向があります。
2013年に中国指導部が提唱した一帯一路構想とAIIB設立は、次の2点が多くの関心の的だったようです。ひとつは、「そんなことしている場合か」と思われた隠れ債務問題で、もうひとつが他の地域への影響力行使といった点で米国との対立が始まる予感です。
経済規模が世界No.1の米国債務は、2016年度時点で対GDP比256%です。No.2の中国が猛追し、同年256%へと追いつきました。ちなみに、No.3の日本は同年373%です。中国が現在のペースで債務を増やした場合、2021年頃に対GDP比300%に到達しそうです。
加えて、2017年は北朝鮮問題への影響力行使に関心が集まっています。
RBA(豪中銀)は、中国の経済成長がインフラ投資や不動産投資で下支えされており、これらの投資が借り入れ急増を伴っているためリスクがあることを認識しています。
豪州経済全般は、世界経済の回復によるコモディティー価格上昇によって支えられています。低金利で成長が暫く続いた結果、不動産投資とローン残高が増加しつつあり、貸出基準の厳格化と投資目的不動産ローン金利を引き上げて対策を始めました。
NZ経済指標は、豪中米との二国間関係を始め、国内での報道が皆無と言ってもいいぐらいで、よくわかりません。よって、市場予想がほぼ的中し、且つ、それにも関わらず反応が大きいRBNZ(NZ中銀)政策金利にだけ注目しておけば十分です。そもそもNZについては、昨年就任したイングリッシュ首相という名前からして、どこの国の誰なんだかよくわからないぐらいです。
【4-5-2. 政策決定指標】
(1) 金融政策
RBA金融政策は「暫く様子見」です。一時は高まった利上げ年内観測も、5月16日の議事録発表後には無くなったようです。
2017年7月4日、RBAは政策金利を1.5%に据え置きました。ここ最近の金融政策決定理事会の結論は「現在の政策継続が、経済の持続的成長とインフレ率の回復に繋がる」との見解が継続的に示されています。同時発表された声明の内容は、次のようなものです(意訳・要約しています)。
曰く「事業環境が改善しており設備稼働率も上昇、鉱業投資の減少の影響を直接的に受けない地域では企業投資が回復しています。一方、実質賃金の緩やかな成長と家計の借金が高い水準にあるため、消費は伸び悩んでいます。そして、雇用の継続的な伸びが示唆されているものの、賃金が伸び悩んでいるため、こうした状況が暫く続くと予想されます。また、住宅市場が地域差こそあれ、家賃が20年ぶりの緩やかな伸びとなっており、家計の住宅ローン借り入れの増加ペースも収入の伸びを上回っています。 よって、インフレ率の現状見通しは低水準の金利に支援されたものだと言えます」
(事例1) RBA政策金利(2017年6月6日発表結果検証済)
(事例2) RBA金融政策理事会議事録(2017年6月20日10:30公表結果検証済)
RBNZ政策金利の発表では市場予想がほぼ的中します。そして「現状維持」のときにも反応が大きく、一方向への反応が続きがちです。反応方向を確認してから追いかけてポジションが取っても、pipsが稼ぎやすいのです。現地夏時間は5時発表なので、起きられないというのが最大の問題です。
2017年6月22日、RBNZは政策金利を1.75%に据え置くことを発表し、政策が相当の期間緩和的と言及しました。
さて、NZのインフレ率は既に中銀目標の1-3%の中間値に戻っています。がしかし、RBNZ総裁は「2019年の遅い時期まで利上げを開始しない見込み」と表明しています。ただ、同総裁は9月退任予定(2017年2月7日発表)で、その後は2018年3月まで副総裁が代行を務めると発表されています。どの時期からか、政策変更の可能性が報道解説され始めるでしょう。
(事例) RBNZ政策金利(2017年6月22日発表結果検証済)
(2) 物価指標
RBA見解(3月)では、インフレ率が2017年に2%を上回る、と予想されています。賃金の伸び悩みが物価上昇を抑えているとの見解は、7月4日のRBA政策金利発表時の声明でも言及されました。
(事例1) 四半期消費者物価指数(2017年4月26日発表結果検証済)
(事例2) 四半期生産者物価指数(2017年1月27日発表結果検証済)
(3) 雇用指標
最近、他の国と同様に賃金上昇率が注目されていますが、豪州ではパートタイム従業員よりフルタイム従業員が増加している点が同じ趣旨でも意味があります。がしかし、本指標への反応は、まだ新規雇用者数の増減が最も強く影響しています。
(事例) 雇用統計(2017年6月15日発表結果検証済)
【4-5-3. 政策決定指標】
(1) 経済成長
豪州経済自体は堅実に成長が続くと見込んでいます。がしかし、AUDJPYの反応はまだ暫く中国経済の見通しに影響を受けると思われます。
(事例) 四半期GDP(2017年6月7日発表結果検証済)
(2) 実態指標
(2-1)小売
豪州は先進国で最も今後の人口増が期待される国です。人口増は消費指標や小売指標に対し長期的改善をもたらします。
7月4日に発表された小売売上高は前月比+0.6%で、6月発表の+1.0%に続いて過去の水準より高く推移しています。1-3月期よりも4-6月期は、消費も大幅に伸びつつあるのではないでしょうか。
(事例1) 小売売上高(2017年7月4日発表結果検証済)
(事例2) 四半期小売売上高(2017年5月9日発表結果検証済)
(2-2)住宅
豪州には投資資金が流入しており、ここ最近のRBA金融政策決定理事会は住宅価格高騰への懸念を継続的に示しています。最近、その対策として投資目的住宅のローン金利を引き上げたものの、2017年6月20日に発表された1-3月期住宅価格指数ではまだその効果が見受けられません。1-3月期は前年比10%超の価格指数上昇となっていました。
(事例)四半期住宅価格指数(2017年6月20日発表結果検証済)
以上
2017年07月03日
豪州実態指標「小売売上高」発表前後のAUDJPY反応分析(2017年7月4日10:30発表結果検証済)
以下、「T.調査・分析」を事前投稿し、「U.結果・検証」を事後投稿しています。ブログの日付は事前投稿日となっています。指標発表後に事後投稿し、その日時は「U.結果・検証」のタイトル行付近に記載しています。
2017年7月4日10:30に豪州実態指標「小売売上高」が発表されます。今回発表は2017年5月分の集計結果です。
本指標要点を以下図表に纏めておきました。図表の細かな文字が見えにくければクリックしてください。
本指標の調査・分析の結論は以下の通りです。
公開情報や既出情報に基づく調査を行い、過去の指標と反応の関係を比較分析しています。方向に関する的中率に比べ、程度に関する的中率は残念ながら低いというのが実情です。利確・損切の目安は、過去平均値を最近の反応の大小と見比べて感覚的に微修正しています。
豪州小売売上高は、小売・サービス業の月間売上高をサンプル調査に基づき算出しています。発表は豪連邦統計局(ABS:Australian Bureau of Statistics)が行い、翌々月上旬に月次発表されています。
豪州と言えば資源関連企業に注目が集まります。ところが、資源関連企業の収益は、資源価格が頭打ちとなるにつれて伸び悩んでいます。もともと豪州GDPに占める鉱工業生産高は1割程度しかないのです。その一方、非資源関連企業の収益は、小売売上高が長期的に拡大傾向と見なされており堅調と言えます。
その背景として、豪州は毎年約20万人の移民を受け入れており、2050年までに自然増も含めて約40%の人口増加が見込まれています。豪州は先進国で人口増加率の最も高い国のひとつです。最近の小売売上高は、この人口増加と低金利と豪ドル安が個人消費を押し上げており、今後も堅調に拡大していくと見込まれています。
注意すべき点として、豪州経済指標が発表される時間帯に前後して、中国経済指標の発表が行われることがあります。その場合、中国指標の影響でAUDJPYが1円以上動くことがあります。また、専門家による市場予想が方向も程度もまるで当たらない指標です。ご注意ください。
以下の調査分析範囲は、2015年1月分以降前回までの28回分のデータに基づいています。
過去の発表結果と市場予想を下図に一覧します。
このグラフの市場予想を見て「やる気あるのか」と言ってはいけません。もしあれば、こんな予想になりません。移動平均でもしているのかと思ってよく見ると、そんなことはありません。僅かに先取り増減していることがわかります。
調査期間において発表結果と市場予想の大小関係が入れ替わったことは、28回中9回(32%)です。入れ替わりが少ないと捉えれば、今回の発表結果は市場予想を上回ると見込まれます。
過去の直前10-1分足・直前1分足・直後1分足・直後11分足の始値基準ローソク足を示します。
直前1分足は陰線ばかりです。最近は逆ヒゲが少ないと見て取れるので、pipsは小さいもののポジションを取っても良いでしょう。
反応性分析では、過去発表直後の1分足と11分足の跳幅と値幅を使います。この分析で十分なpipsが狙えそうな指標か否かが判断できます。詳細は「反応性分析」をご参照願います。
反応一致性分析は、指標発表前後の反応方向に特徴的な偏りがないかを調べています。詳細は「反応一致性分析」をご参照願います。
指標一致性分析は、指標の前回結果と市場予想の差(事前差異)と、発表結果と市場予想の差(事後差異)と、発表結果と前回結果の差(実態差異)を求め、そのプラス・マイナスと反応方向に偏りがないかを調べています。詳細は「指標一致性分析」をご参照願います。
反応性分析の結果を下表に示します。
直後1分足と直後11分足との方向一致率は82%です。そして、直後1分足と直後11分足とを比較し、跳値同士・終値同士で反応が伸びたことは各70%・61%です。また、直後1分足終値がついた時点において、更に反応を伸ばしたことは50%でした。
つまり、本指標は指標発表後短期間の追撃に適しており、発表から1分経過するとどちらに反応するかがわかりません。
反応一致性分析の結果を下図に示します。
直前1分足は陰線率が88%となっています。がしかし、過去平均の跳幅が5pipsしかありません。取引するなら欲張らないことです。
そして、反応性分析に挙げた直後1分足と直後11分足の方向一致率を除けば、あるローソク足と他のローソク足との方向一致率が30%以下もしくは70%以上になっていません。つまり、本指標発表前後のローソク足の方向は、取引参加者が後の動きを予見できている訳ではないようです。
指標一致性分析の結果を下図に示します。
事後差異は直後1分足・直後11分足との方向一致率が各81%・70%です。本指標は発表結果の良し悪しに素直に反応します。
巻頭箇条書きのシナリオの項をご参照願います。
以下は2017年7月4日11:30頃に追記しています。
本指標発表結果及び反応は次の通りでした。
発表結果は市場予想を上回り、反応は陽線でした。
市場予想は前回結果を下回るもので、その意味では方向が合っています。とは言え、市場予想と発表関係の大小関係を問題にしている為替・債券・株式の取引参加者にとって、またまた「全然違うじゃん」という市場予想でした。
前回結果より今回発表結果はやや低下したものの、2015年以降では4番目の前月比伸び率です(前月は1番大きな伸び率でした)。
取引結果は次の通りでした。
直前1分足はポジション取得を少し遅らせて正解でした。
直後1分足の上ヒゲは、発表後2-3秒で形成されたものです。一旦、利確して、発表後20-30秒後に下がったのを見て、追撃ポジションを取りました。がしかし、思ったより高いポイントでポジション取得となって、含益の表示時間より含損の表示時間が長く、87円上抜けの勢いは無しと見て、ポジション解消しました。
事前調査分析内容を、以下に検証します
下表に、本ブログを始めてからの本指標シナリオでの取引成績を纏めておきます。
本記事は、同じ指標の発表がある度に更新を繰り返して精度向上を図り、過去の教訓を次の発表時の取引で活かせるように努めています。がしかし、それでも的中率は75%程度に留まり、100%ではありません。詳細は「1. FXは上達するのか」をご参照ください。
そして、本記事は筆者個人の見解に基づいています。本記事に含まれる価格・データ・その他情報等は、本記事に添付されたリンク先とは関係ありません。また、取引や売買における意思決定を、本記事の記載通りに行うことは適切ではありません。そして、本記事の内容が資格を持った投資専門家の助言ではないことを明記しておきます。記載内容のオリジナリティや信頼性確保には努めているものの、それでも万全のチェックは行えていない可能性があります。
ポジションを持つ最終的なご判断は読者ご自身の責任となります。その点を予めご了承の上、本記事がFXを楽しむ一助となれば幸いです。
本記事における分析シート、一部乃至は一連の体系化された手順を、個人の取引以外の目的で使用・公開・二次利用を行う場合には、著作権者及びFX手法研究会に対し、連絡を取り何らかの合意を行う必要があります。
2017年7月4日10:30に豪州実態指標「小売売上高」が発表されます。今回発表は2017年5月分の集計結果です。
本指標要点を以下図表に纏めておきました。図表の細かな文字が見えにくければクリックしてください。
本指標の調査・分析の結論は以下の通りです。
- 過去の平均的な反応はやや小さく、発表結果の良し悪しに素直に反応します。追撃は短期利確に適しており、指標発表から1分を過ぎると、どちらに反応するのかがわかりません。
- 指標発表前の値動きは、指標発表後の反応方向と関係ありません。
- 調査期間において発表結果と市場予想の大小関係が入れ替わったことは、28回中9回(32%)です。入れ替わりが少ないと捉えれば、今回の発表結果は市場予想を上回ると見込まれます。
- 直後1分足と直後11分足との方向一致率は82%です。そして、直後1分足と直後11分足とを比較し、跳値同士・終値同士で反応が伸びたことは各70%・61%です。また、直後1分足終値がついた時点において、更に反応を伸ばしたことは50%でした。
つまり、本指標は指標発表後短期間の追撃に適しており、発表から1分経過するとどちらに反応するかがわかりません。 - 以上の調査・分析結果に基づき、以下のシナリオで取引に臨みます。
(1) 直前1分足は陰線と見込みます。過去の平均的な跳幅は5pipsしかないので、含益が得られたらすぐに利確です。
(2) 指標発表直前に買ポジションを取り、発表後すぐに利確にせよ損切にせよ行います。
(3) 指標発表後の反応方向を確認したら、追撃を短劇利確方針で行います。
T.調査・分析
公開情報や既出情報に基づく調査を行い、過去の指標と反応の関係を比較分析しています。方向に関する的中率に比べ、程度に関する的中率は残念ながら低いというのが実情です。利確・損切の目安は、過去平均値を最近の反応の大小と見比べて感覚的に微修正しています。
【1. 指標概要】
豪州小売売上高は、小売・サービス業の月間売上高をサンプル調査に基づき算出しています。発表は豪連邦統計局(ABS:Australian Bureau of Statistics)が行い、翌々月上旬に月次発表されています。
豪州と言えば資源関連企業に注目が集まります。ところが、資源関連企業の収益は、資源価格が頭打ちとなるにつれて伸び悩んでいます。もともと豪州GDPに占める鉱工業生産高は1割程度しかないのです。その一方、非資源関連企業の収益は、小売売上高が長期的に拡大傾向と見なされており堅調と言えます。
その背景として、豪州は毎年約20万人の移民を受け入れており、2050年までに自然増も含めて約40%の人口増加が見込まれています。豪州は先進国で人口増加率の最も高い国のひとつです。最近の小売売上高は、この人口増加と低金利と豪ドル安が個人消費を押し上げており、今後も堅調に拡大していくと見込まれています。
注意すべき点として、豪州経済指標が発表される時間帯に前後して、中国経済指標の発表が行われることがあります。その場合、中国指標の影響でAUDJPYが1円以上動くことがあります。また、専門家による市場予想が方向も程度もまるで当たらない指標です。ご注意ください。
【2. 既出情報】
以下の調査分析範囲は、2015年1月分以降前回までの28回分のデータに基づいています。
(2-1. 過去情報)
過去の発表結果と市場予想を下図に一覧します。
このグラフの市場予想を見て「やる気あるのか」と言ってはいけません。もしあれば、こんな予想になりません。移動平均でもしているのかと思ってよく見ると、そんなことはありません。僅かに先取り増減していることがわかります。
調査期間において発表結果と市場予想の大小関係が入れ替わったことは、28回中9回(32%)です。入れ替わりが少ないと捉えれば、今回の発表結果は市場予想を上回ると見込まれます。
(2-2. 過去反応)
過去の直前10-1分足・直前1分足・直後1分足・直後11分足の始値基準ローソク足を示します。
直前1分足は陰線ばかりです。最近は逆ヒゲが少ないと見て取れるので、pipsは小さいもののポジションを取っても良いでしょう。
【3. 定型分析】
反応性分析では、過去発表直後の1分足と11分足の跳幅と値幅を使います。この分析で十分なpipsが狙えそうな指標か否かが判断できます。詳細は「反応性分析」をご参照願います。
反応一致性分析は、指標発表前後の反応方向に特徴的な偏りがないかを調べています。詳細は「反応一致性分析」をご参照願います。
指標一致性分析は、指標の前回結果と市場予想の差(事前差異)と、発表結果と市場予想の差(事後差異)と、発表結果と前回結果の差(実態差異)を求め、そのプラス・マイナスと反応方向に偏りがないかを調べています。詳細は「指標一致性分析」をご参照願います。
反応性分析の結果を下表に示します。
直後1分足と直後11分足との方向一致率は82%です。そして、直後1分足と直後11分足とを比較し、跳値同士・終値同士で反応が伸びたことは各70%・61%です。また、直後1分足終値がついた時点において、更に反応を伸ばしたことは50%でした。
つまり、本指標は指標発表後短期間の追撃に適しており、発表から1分経過するとどちらに反応するかがわかりません。
反応一致性分析の結果を下図に示します。
直前1分足は陰線率が88%となっています。がしかし、過去平均の跳幅が5pipsしかありません。取引するなら欲張らないことです。
そして、反応性分析に挙げた直後1分足と直後11分足の方向一致率を除けば、あるローソク足と他のローソク足との方向一致率が30%以下もしくは70%以上になっていません。つまり、本指標発表前後のローソク足の方向は、取引参加者が後の動きを予見できている訳ではないようです。
指標一致性分析の結果を下図に示します。
事後差異は直後1分足・直後11分足との方向一致率が各81%・70%です。本指標は発表結果の良し悪しに素直に反応します。
【4. シナリオ作成】
巻頭箇条書きのシナリオの項をご参照願います。
以上
2017年7月4日10:30発表
以下は2017年7月4日11:30頃に追記しています。
U. 結果・検証
【5. 発表結果】
(5-1. 指標結果)
本指標発表結果及び反応は次の通りでした。
発表結果は市場予想を上回り、反応は陽線でした。
市場予想は前回結果を下回るもので、その意味では方向が合っています。とは言え、市場予想と発表関係の大小関係を問題にしている為替・債券・株式の取引参加者にとって、またまた「全然違うじゃん」という市場予想でした。
前回結果より今回発表結果はやや低下したものの、2015年以降では4番目の前月比伸び率です(前月は1番大きな伸び率でした)。
(5-2. 取引結果)
取引結果は次の通りでした。
直前1分足はポジション取得を少し遅らせて正解でした。
直後1分足の上ヒゲは、発表後2-3秒で形成されたものです。一旦、利確して、発表後20-30秒後に下がったのを見て、追撃ポジションを取りました。がしかし、思ったより高いポイントでポジション取得となって、含益の表示時間より含損の表示時間が長く、87円上抜けの勢いは無しと見て、ポジション解消しました。
【6. 分析検証】
(6-1. 分析検証)
事前調査分析内容を、以下に検証します
- 過去の平均的な反応をやや上回り、発表結果に対してはに素直に反応しました。追撃が短期利確に適していた点は分析通りです。
- 指標発表前の値動きは、指標発表後の反応方向と逆でした。
- 調査期間において発表結果と市場予想の大小関係が入れ替わったことは、28回中9回(32%)でした。過去の実績から入れ替わりが少ないと見込んで、今回の発表結果は市場予想を上回ると見込んでいました。結果、市場予想を上回りました。
- 直後1分足と直後11分足との方向は一致しました。そして、直後1分足と直後11分足とを比較し、跳値同士・終値同士では反応を伸ばすことができませんでした。
(6-2. シナリオ検証)
下表に、本ブログを始めてからの本指標シナリオでの取引成績を纏めておきます。
以上
ーーー注記ーーー
本記事は、同じ指標の発表がある度に更新を繰り返して精度向上を図り、過去の教訓を次の発表時の取引で活かせるように努めています。がしかし、それでも的中率は75%程度に留まり、100%ではありません。詳細は「1. FXは上達するのか」をご参照ください。
そして、本記事は筆者個人の見解に基づいています。本記事に含まれる価格・データ・その他情報等は、本記事に添付されたリンク先とは関係ありません。また、取引や売買における意思決定を、本記事の記載通りに行うことは適切ではありません。そして、本記事の内容が資格を持った投資専門家の助言ではないことを明記しておきます。記載内容のオリジナリティや信頼性確保には努めているものの、それでも万全のチェックは行えていない可能性があります。
ポジションを持つ最終的なご判断は読者ご自身の責任となります。その点を予めご了承の上、本記事がFXを楽しむ一助となれば幸いです。
ーーー注記ーーー
本記事における分析シート、一部乃至は一連の体系化された手順を、個人の取引以外の目的で使用・公開・二次利用を行う場合には、著作権者及びFX手法研究会に対し、連絡を取り何らかの合意を行う必要があります。
以上
2017年06月19日
豪州実態指標「四半期住宅価格指数」発表前後のAUDJPY反応分析(2017年6月20日10:30発表結果検証済)
以下、「T.調査・分析」を事前投稿し、「U.結果・検証」を事後投稿しています。ブログの日付は事前投稿日となっています。指標発表後に事後投稿し、その日時は「U.結果・検証」のタイトル行付近に記載しています。
2017年6月20日10:30に豪州実態指標「四半期住宅価格指数」が発表されます。今回発表は2017年1-3月期分の集計結果です。
同時に「RBA金融政策理事会議事録」の公表があります。「議事録」は金融政策に事前の注目度が集まっていたり、政策変更に関わる内容が変更されたいた場合、反応が大きくなります。今回は特に「議事録」で注目すべき点はないように思えます。
よって、今回は本指標「四半期住宅価格指数」の方が反応に寄与するのではないでしょうか。
本指標の要点は下表に整理しておきました。
次に、本指標発表前後にポジションを持つときのポイントを整理しておきます。
まず、本指標で取引する上での注意点です。
次に指標定型分析の結果は次の通りです。
以上の分析結果に基づき以下のシナリオで取引に臨みます。
公開情報や既出情報に基づく調査を行い、過去の指標と反応の関係を比較分析しています。方向に関する的中率に比べ、程度に関する的中率は残念ながら低いというのが実情です。利確・損切の目安は、過去平均値を最近の反応の大小と見比べて感覚的に微修正している、というのが実情です。
住宅価格指数(HPI)は、住宅の販売価格の変動を表しています。
直近は価格高騰が激しく、低金利政策を実施中のRBAが投資目的の住宅ローン金利だけは引き上げています。
以下の調査分析範囲は、2015年1月分以降前回までの14回分のデータに基づいています。
下図に過去の市場予想と発表結果を示します。
前期比・前年比の発表において反応に寄与するのは前年比です。
下表は、事前差異・事後差異・実態差異に前期比と前年比の重み付けの配分比を変えて、事前差異と直前1分足、事後差異・実態差異と直後1分足・直後11分足、の方向一致率を調べた結果です。
結論は、事後差異・実態差異の前年比の直後11分足は方向一致率が高い傾向があるようです。
その前年比は、典型的な市場予想後追い型の指標に見えます。
市場予想後追い型とは、実際には市場予想の方が発表結果よりも先に公表されているにも関わらず、後からそれらをプロットしたグラフを見ると、いかにも市場予想の方が発表結果を追従しているように見える指標です。こうした指標では、直近の指標発表結果が上昇・下降しているとき、市場予想をオーバーシュートした発表結果となることが多いのです。
これも確認しておきます。
調査期間において、発表結果が市場予想を上抜け・下抜けしたことは4回(29%)です。
よって、四半期住宅価格指数前年比は市場予想後追い型で、市場予想を発表結果が上抜けたり下抜けると、抜けっぱなしとなりがちです。
現在は発表結果が市場予想を上抜けているので、今回は市場予想を上回ると予想されます。
過去の直前10-1分足・直前1分足・直後1分足・直後11分足の始値基準ローソク足を示しておきます。
直近の傾向は、発表直後にほとんど反応せず、発表から少し時間をおいて反応していることがわかります。以前は、直後11分足に陽線への偏りがあったようですが、最近はどちらに反応するかがローソク足を見ていてもわかりません。
反応性分析では、過去発表直後の1分足と11分足の跳幅と値幅を使います。この分析で十分なpipsが狙えそうな指標か否かが判断できます。詳細は「反応性分析」をご参照願います。
直後11分足は、直後1分足との方向一致率が77%です。方向一致時に直後1分足と直後11分足を比較して、跳値同士で反応が伸びたことは90%、終値同士で反応が伸びたことは70%となっています。
つまり、確率的には反応方向が確認でき次第、追撃ポジションを取得して直後11分足跳値・終値を狙うのに適した数値となっています。
反応一致性分析は、指標発表前後の反応方向に特徴的な偏りがないかを調べています。詳細は「反応一致性分析」をご参照願います。
直前10-1分足の陰線率が77%です。また、直前1分足・直後1分足・直後11分足の陽線率が各67%・77%・79%と高くなっています。
これは、直近の住宅価格が高騰しており、RBAがその対策に苦心していることと合致した傾向です。
指標一致性分析は、指標の前回結果と市場予想の差(事前差異)と、発表結果と市場予想の差(事後差異)と、発表結果と前回結果の差(実態差異)を求め、そのプラス・マイナスと反応方向に偏りがないかを調べています。詳細は「指標一致性分析」をご参照願います。
いずれの差異も直後1分足の反応方向と関係あるようには見えません。
本指標結果は直後1分足でなく、直後11分足の反応方向と関係が強いことがわかります。
巻頭箇条書きのシナリオの項をご参照願います。
以下は2017年6月22日に追記しています。
本指標発表結果及び反応は次の通りでした。
結果は前回結果・市場予想を上回り、反応は陽線でした。
取引結果できませんでした。
前年比に反応しています。
また、指標発表直後の反応が小さく、少し時間をおいて反応が伸びがちで、直後1分足と直後11分足の方向一致率や反応伸長率が高いので、反応方向を確認してから追撃するのに適している、と記していました。
だいたい当たったようです。
但し、直後11分足は直後1分足より値幅が小さくなったようなので、追撃ポジションを取るタイミングによっては損切となったかも知れません。
直前10-1分足は陰線と見込んでいましたが、結果は陽線でした。
直前1分足は陽線と見込んでいましたが、結果は同値でした。
大きくは分析通りの傾向だったものの、取引していたら数100円ぐらい損切になっていたかも知れません。
本記事は、同じ指標の発表がある度に更新を繰り返して精度向上を図り、過去の教訓を次の発表時の取引で活かせるように努めています。がしかし、それでも的中率は75%程度に留まり、100%ではありません。詳細は「1. FXは上達するのか」をご参照ください。
そして、本記事は筆者個人の見解に基づいています。本記事に含まれる価格・データ・その他情報等は、本記事に添付されたリンク先とは関係ありません。また、取引や売買における意思決定を、本記事の記載通りに行うことは適切ではありません。そして、本記事の内容が資格を持った投資専門家の助言ではないことを明記しておきます。記載内容のオリジナリティや信頼性確保には努めているものの、それでも万全のチェックは行えていない可能性があります。
ポジションを持つ最終的なご判断は読者ご自身の責任となります。その点を予めご了承の上、本記事がFXを楽しむ一助となれば幸いです。
本記事における分析シート、一部乃至は一連の体系化された手順を、個人の取引以外の目的で使用・公開・二次利用を行う場合には、著作権者及びFX手法研究会に対し、連絡を取り何らかの合意を行う必要があります。
2017年6月20日10:30に豪州実態指標「四半期住宅価格指数」が発表されます。今回発表は2017年1-3月期分の集計結果です。
同時に「RBA金融政策理事会議事録」の公表があります。「議事録」は金融政策に事前の注目度が集まっていたり、政策変更に関わる内容が変更されたいた場合、反応が大きくなります。今回は特に「議事録」で注目すべき点はないように思えます。
よって、今回は本指標「四半期住宅価格指数」の方が反応に寄与するのではないでしょうか。
本指標の要点は下表に整理しておきました。
次に、本指標発表前後にポジションを持つときのポイントを整理しておきます。
まず、本指標で取引する上での注意点です。
- 指標発表直後の反応は小さく、少し時間をおいて反応が伸びがちです。直後1分足と直後11分足の方向一致率や反応伸長率が高いので、反応方向を確認してから追撃するのに適した指標だと言えます。
- 同時発表される「RBA金融政策理事会議事録」の影響がなければ、直後11分足は、前年比>前月比、実態差異>事後差異、で反応しがちです。
前年比の前回結果との大小関係と同じ方向に、直後11分足終値が伸びがちです。 - その前年比は、市場予想後追い型の特徴を備えています(期待的中率70%以上)。今回の市場予想は前回結果を上回っていますので、発表結果はその市場予想を上回る可能性が高い訳です。
但し、この傾向はファンダメンタルなど無視した過去の確率的傾向に過ぎません。的中率は調査範囲において70%を超えていますが、だからと言って他人に薦めるには少し気が引ける傾向です。
次に指標定型分析の結果は次の通りです。
- 反応性分析の結果は次の通りです。
直後11分足は、直後1分足との方向一致率が77%です。方向一致時に直後1分足と直後11分足を比較して、跳値同士で反応が伸びたことは90%、終値同士で反応が伸びたことは70%となっています。
つまり、確率的には反応方向が確認でき次第、追撃ポジションを取得して直後11分足跳値・終値を狙うのに適した数値となっています。 - 反応一致性分析の結果は次の通りです。
直前10-1分足の陰線率が77%です。また、直前1分足・直後1分足・直後11分足の陽線率が各67%・77%・79%と高くなっています。
これは、直近の住宅価格が高騰しており、RBAがその対策に苦心していることと合致した傾向です。 - 指標一致性分析の結論は次の通りです。
いずれの差異も直後1分足の反応方向と関係あるようには見えません。本指標結果は直後1分足でなく、直後11分足の反応方向と関係が強いようです。
以上の分析結果に基づき以下のシナリオで取引に臨みます。
- 直前10-1分足は陰線と見込みます。
- 直前1分足は陽線と見込み込ます。
但し、過去の反応平均値は跳値が3pipsしかないので、当日のチャートの動きが小さいようならばポジション取得を諦めます。 - 直後11分足は指標発表後の反応を確認してから追撃します。少し反応が遅い指標なので、反応方向の確認はしっかり行えると思います。
T.調査・分析
公開情報や既出情報に基づく調査を行い、過去の指標と反応の関係を比較分析しています。方向に関する的中率に比べ、程度に関する的中率は残念ながら低いというのが実情です。利確・損切の目安は、過去平均値を最近の反応の大小と見比べて感覚的に微修正している、というのが実情です。
【1. 指標概要】
住宅価格指数(HPI)は、住宅の販売価格の変動を表しています。
直近は価格高騰が激しく、低金利政策を実施中のRBAが投資目的の住宅ローン金利だけは引き上げています。
【2. 既出情報】
以下の調査分析範囲は、2015年1月分以降前回までの14回分のデータに基づいています。
(2-1. 過去情報)
下図に過去の市場予想と発表結果を示します。
前期比・前年比の発表において反応に寄与するのは前年比です。
下表は、事前差異・事後差異・実態差異に前期比と前年比の重み付けの配分比を変えて、事前差異と直前1分足、事後差異・実態差異と直後1分足・直後11分足、の方向一致率を調べた結果です。
結論は、事後差異・実態差異の前年比の直後11分足は方向一致率が高い傾向があるようです。
その前年比は、典型的な市場予想後追い型の指標に見えます。
市場予想後追い型とは、実際には市場予想の方が発表結果よりも先に公表されているにも関わらず、後からそれらをプロットしたグラフを見ると、いかにも市場予想の方が発表結果を追従しているように見える指標です。こうした指標では、直近の指標発表結果が上昇・下降しているとき、市場予想をオーバーシュートした発表結果となることが多いのです。
これも確認しておきます。
調査期間において、発表結果が市場予想を上抜け・下抜けしたことは4回(29%)です。
よって、四半期住宅価格指数前年比は市場予想後追い型で、市場予想を発表結果が上抜けたり下抜けると、抜けっぱなしとなりがちです。
現在は発表結果が市場予想を上抜けているので、今回は市場予想を上回ると予想されます。
(2-2. 過去反応)
過去の直前10-1分足・直前1分足・直後1分足・直後11分足の始値基準ローソク足を示しておきます。
直近の傾向は、発表直後にほとんど反応せず、発表から少し時間をおいて反応していることがわかります。以前は、直後11分足に陽線への偏りがあったようですが、最近はどちらに反応するかがローソク足を見ていてもわかりません。
【3. 定型分析】
(3-1. 反応性分析)
反応性分析では、過去発表直後の1分足と11分足の跳幅と値幅を使います。この分析で十分なpipsが狙えそうな指標か否かが判断できます。詳細は「反応性分析」をご参照願います。
直後11分足は、直後1分足との方向一致率が77%です。方向一致時に直後1分足と直後11分足を比較して、跳値同士で反応が伸びたことは90%、終値同士で反応が伸びたことは70%となっています。
つまり、確率的には反応方向が確認でき次第、追撃ポジションを取得して直後11分足跳値・終値を狙うのに適した数値となっています。
(3-2. 反応一致性分析)
反応一致性分析は、指標発表前後の反応方向に特徴的な偏りがないかを調べています。詳細は「反応一致性分析」をご参照願います。
直前10-1分足の陰線率が77%です。また、直前1分足・直後1分足・直後11分足の陽線率が各67%・77%・79%と高くなっています。
これは、直近の住宅価格が高騰しており、RBAがその対策に苦心していることと合致した傾向です。
(3-3. 指標一致性分析)
指標一致性分析は、指標の前回結果と市場予想の差(事前差異)と、発表結果と市場予想の差(事後差異)と、発表結果と前回結果の差(実態差異)を求め、そのプラス・マイナスと反応方向に偏りがないかを調べています。詳細は「指標一致性分析」をご参照願います。
いずれの差異も直後1分足の反応方向と関係あるようには見えません。
本指標結果は直後1分足でなく、直後11分足の反応方向と関係が強いことがわかります。
【4. シナリオ作成】
巻頭箇条書きのシナリオの項をご参照願います。
以上
2017年6月20日10:30発表
以下は2017年6月22日に追記しています。
U. 結果・検証
【5. 発表結果】
(5-1. 指標結果)
本指標発表結果及び反応は次の通りでした。
結果は前回結果・市場予想を上回り、反応は陽線でした。
(5-2. 取引結果)
取引結果できませんでした。
【6. 分析検証】
(6-1. 分析検証)
前年比に反応しています。
また、指標発表直後の反応が小さく、少し時間をおいて反応が伸びがちで、直後1分足と直後11分足の方向一致率や反応伸長率が高いので、反応方向を確認してから追撃するのに適している、と記していました。
だいたい当たったようです。
但し、直後11分足は直後1分足より値幅が小さくなったようなので、追撃ポジションを取るタイミングによっては損切となったかも知れません。
(6-2. シナリオ検証)
直前10-1分足は陰線と見込んでいましたが、結果は陽線でした。
直前1分足は陽線と見込んでいましたが、結果は同値でした。
大きくは分析通りの傾向だったものの、取引していたら数100円ぐらい損切になっていたかも知れません。
以上
ーーー注記ーーー
本記事は、同じ指標の発表がある度に更新を繰り返して精度向上を図り、過去の教訓を次の発表時の取引で活かせるように努めています。がしかし、それでも的中率は75%程度に留まり、100%ではありません。詳細は「1. FXは上達するのか」をご参照ください。
そして、本記事は筆者個人の見解に基づいています。本記事に含まれる価格・データ・その他情報等は、本記事に添付されたリンク先とは関係ありません。また、取引や売買における意思決定を、本記事の記載通りに行うことは適切ではありません。そして、本記事の内容が資格を持った投資専門家の助言ではないことを明記しておきます。記載内容のオリジナリティや信頼性確保には努めているものの、それでも万全のチェックは行えていない可能性があります。
ポジションを持つ最終的なご判断は読者ご自身の責任となります。その点を予めご了承の上、本記事がFXを楽しむ一助となれば幸いです。
ーーー注記ーーー
本記事における分析シート、一部乃至は一連の体系化された手順を、個人の取引以外の目的で使用・公開・二次利用を行う場合には、著作権者及びFX手法研究会に対し、連絡を取り何らかの合意を行う必要があります。
以上