2017年07月03日
豪州実態指標「小売売上高」発表前後のAUDJPY反応分析(2017年7月4日10:30発表結果検証済)
以下、「T.調査・分析」を事前投稿し、「U.結果・検証」を事後投稿しています。ブログの日付は事前投稿日となっています。指標発表後に事後投稿し、その日時は「U.結果・検証」のタイトル行付近に記載しています。
2017年7月4日10:30に豪州実態指標「小売売上高」が発表されます。今回発表は2017年5月分の集計結果です。
本指標要点を以下図表に纏めておきました。図表の細かな文字が見えにくければクリックしてください。
本指標の調査・分析の結論は以下の通りです。
公開情報や既出情報に基づく調査を行い、過去の指標と反応の関係を比較分析しています。方向に関する的中率に比べ、程度に関する的中率は残念ながら低いというのが実情です。利確・損切の目安は、過去平均値を最近の反応の大小と見比べて感覚的に微修正しています。
豪州小売売上高は、小売・サービス業の月間売上高をサンプル調査に基づき算出しています。発表は豪連邦統計局(ABS:Australian Bureau of Statistics)が行い、翌々月上旬に月次発表されています。
豪州と言えば資源関連企業に注目が集まります。ところが、資源関連企業の収益は、資源価格が頭打ちとなるにつれて伸び悩んでいます。もともと豪州GDPに占める鉱工業生産高は1割程度しかないのです。その一方、非資源関連企業の収益は、小売売上高が長期的に拡大傾向と見なされており堅調と言えます。
その背景として、豪州は毎年約20万人の移民を受け入れており、2050年までに自然増も含めて約40%の人口増加が見込まれています。豪州は先進国で人口増加率の最も高い国のひとつです。最近の小売売上高は、この人口増加と低金利と豪ドル安が個人消費を押し上げており、今後も堅調に拡大していくと見込まれています。
注意すべき点として、豪州経済指標が発表される時間帯に前後して、中国経済指標の発表が行われることがあります。その場合、中国指標の影響でAUDJPYが1円以上動くことがあります。また、専門家による市場予想が方向も程度もまるで当たらない指標です。ご注意ください。
以下の調査分析範囲は、2015年1月分以降前回までの28回分のデータに基づいています。
過去の発表結果と市場予想を下図に一覧します。
このグラフの市場予想を見て「やる気あるのか」と言ってはいけません。もしあれば、こんな予想になりません。移動平均でもしているのかと思ってよく見ると、そんなことはありません。僅かに先取り増減していることがわかります。
調査期間において発表結果と市場予想の大小関係が入れ替わったことは、28回中9回(32%)です。入れ替わりが少ないと捉えれば、今回の発表結果は市場予想を上回ると見込まれます。
過去の直前10-1分足・直前1分足・直後1分足・直後11分足の始値基準ローソク足を示します。
直前1分足は陰線ばかりです。最近は逆ヒゲが少ないと見て取れるので、pipsは小さいもののポジションを取っても良いでしょう。
反応性分析では、過去発表直後の1分足と11分足の跳幅と値幅を使います。この分析で十分なpipsが狙えそうな指標か否かが判断できます。詳細は「反応性分析」をご参照願います。
反応一致性分析は、指標発表前後の反応方向に特徴的な偏りがないかを調べています。詳細は「反応一致性分析」をご参照願います。
指標一致性分析は、指標の前回結果と市場予想の差(事前差異)と、発表結果と市場予想の差(事後差異)と、発表結果と前回結果の差(実態差異)を求め、そのプラス・マイナスと反応方向に偏りがないかを調べています。詳細は「指標一致性分析」をご参照願います。
反応性分析の結果を下表に示します。
直後1分足と直後11分足との方向一致率は82%です。そして、直後1分足と直後11分足とを比較し、跳値同士・終値同士で反応が伸びたことは各70%・61%です。また、直後1分足終値がついた時点において、更に反応を伸ばしたことは50%でした。
つまり、本指標は指標発表後短期間の追撃に適しており、発表から1分経過するとどちらに反応するかがわかりません。
反応一致性分析の結果を下図に示します。
直前1分足は陰線率が88%となっています。がしかし、過去平均の跳幅が5pipsしかありません。取引するなら欲張らないことです。
そして、反応性分析に挙げた直後1分足と直後11分足の方向一致率を除けば、あるローソク足と他のローソク足との方向一致率が30%以下もしくは70%以上になっていません。つまり、本指標発表前後のローソク足の方向は、取引参加者が後の動きを予見できている訳ではないようです。
指標一致性分析の結果を下図に示します。
事後差異は直後1分足・直後11分足との方向一致率が各81%・70%です。本指標は発表結果の良し悪しに素直に反応します。
巻頭箇条書きのシナリオの項をご参照願います。
以下は2017年7月4日11:30頃に追記しています。
本指標発表結果及び反応は次の通りでした。
発表結果は市場予想を上回り、反応は陽線でした。
市場予想は前回結果を下回るもので、その意味では方向が合っています。とは言え、市場予想と発表関係の大小関係を問題にしている為替・債券・株式の取引参加者にとって、またまた「全然違うじゃん」という市場予想でした。
前回結果より今回発表結果はやや低下したものの、2015年以降では4番目の前月比伸び率です(前月は1番大きな伸び率でした)。
取引結果は次の通りでした。
直前1分足はポジション取得を少し遅らせて正解でした。
直後1分足の上ヒゲは、発表後2-3秒で形成されたものです。一旦、利確して、発表後20-30秒後に下がったのを見て、追撃ポジションを取りました。がしかし、思ったより高いポイントでポジション取得となって、含益の表示時間より含損の表示時間が長く、87円上抜けの勢いは無しと見て、ポジション解消しました。
事前調査分析内容を、以下に検証します
下表に、本ブログを始めてからの本指標シナリオでの取引成績を纏めておきます。
本記事は、同じ指標の発表がある度に更新を繰り返して精度向上を図り、過去の教訓を次の発表時の取引で活かせるように努めています。がしかし、それでも的中率は75%程度に留まり、100%ではありません。詳細は「1. FXは上達するのか」をご参照ください。
そして、本記事は筆者個人の見解に基づいています。本記事に含まれる価格・データ・その他情報等は、本記事に添付されたリンク先とは関係ありません。また、取引や売買における意思決定を、本記事の記載通りに行うことは適切ではありません。そして、本記事の内容が資格を持った投資専門家の助言ではないことを明記しておきます。記載内容のオリジナリティや信頼性確保には努めているものの、それでも万全のチェックは行えていない可能性があります。
ポジションを持つ最終的なご判断は読者ご自身の責任となります。その点を予めご了承の上、本記事がFXを楽しむ一助となれば幸いです。
本記事における分析シート、一部乃至は一連の体系化された手順を、個人の取引以外の目的で使用・公開・二次利用を行う場合には、著作権者及びFX手法研究会に対し、連絡を取り何らかの合意を行う必要があります。
2017年7月4日10:30に豪州実態指標「小売売上高」が発表されます。今回発表は2017年5月分の集計結果です。
本指標要点を以下図表に纏めておきました。図表の細かな文字が見えにくければクリックしてください。
本指標の調査・分析の結論は以下の通りです。
- 過去の平均的な反応はやや小さく、発表結果の良し悪しに素直に反応します。追撃は短期利確に適しており、指標発表から1分を過ぎると、どちらに反応するのかがわかりません。
- 指標発表前の値動きは、指標発表後の反応方向と関係ありません。
- 調査期間において発表結果と市場予想の大小関係が入れ替わったことは、28回中9回(32%)です。入れ替わりが少ないと捉えれば、今回の発表結果は市場予想を上回ると見込まれます。
- 直後1分足と直後11分足との方向一致率は82%です。そして、直後1分足と直後11分足とを比較し、跳値同士・終値同士で反応が伸びたことは各70%・61%です。また、直後1分足終値がついた時点において、更に反応を伸ばしたことは50%でした。
つまり、本指標は指標発表後短期間の追撃に適しており、発表から1分経過するとどちらに反応するかがわかりません。 - 以上の調査・分析結果に基づき、以下のシナリオで取引に臨みます。
(1) 直前1分足は陰線と見込みます。過去の平均的な跳幅は5pipsしかないので、含益が得られたらすぐに利確です。
(2) 指標発表直前に買ポジションを取り、発表後すぐに利確にせよ損切にせよ行います。
(3) 指標発表後の反応方向を確認したら、追撃を短劇利確方針で行います。
T.調査・分析
公開情報や既出情報に基づく調査を行い、過去の指標と反応の関係を比較分析しています。方向に関する的中率に比べ、程度に関する的中率は残念ながら低いというのが実情です。利確・損切の目安は、過去平均値を最近の反応の大小と見比べて感覚的に微修正しています。
【1. 指標概要】
豪州小売売上高は、小売・サービス業の月間売上高をサンプル調査に基づき算出しています。発表は豪連邦統計局(ABS:Australian Bureau of Statistics)が行い、翌々月上旬に月次発表されています。
豪州と言えば資源関連企業に注目が集まります。ところが、資源関連企業の収益は、資源価格が頭打ちとなるにつれて伸び悩んでいます。もともと豪州GDPに占める鉱工業生産高は1割程度しかないのです。その一方、非資源関連企業の収益は、小売売上高が長期的に拡大傾向と見なされており堅調と言えます。
その背景として、豪州は毎年約20万人の移民を受け入れており、2050年までに自然増も含めて約40%の人口増加が見込まれています。豪州は先進国で人口増加率の最も高い国のひとつです。最近の小売売上高は、この人口増加と低金利と豪ドル安が個人消費を押し上げており、今後も堅調に拡大していくと見込まれています。
注意すべき点として、豪州経済指標が発表される時間帯に前後して、中国経済指標の発表が行われることがあります。その場合、中国指標の影響でAUDJPYが1円以上動くことがあります。また、専門家による市場予想が方向も程度もまるで当たらない指標です。ご注意ください。
【2. 既出情報】
以下の調査分析範囲は、2015年1月分以降前回までの28回分のデータに基づいています。
(2-1. 過去情報)
過去の発表結果と市場予想を下図に一覧します。
このグラフの市場予想を見て「やる気あるのか」と言ってはいけません。もしあれば、こんな予想になりません。移動平均でもしているのかと思ってよく見ると、そんなことはありません。僅かに先取り増減していることがわかります。
調査期間において発表結果と市場予想の大小関係が入れ替わったことは、28回中9回(32%)です。入れ替わりが少ないと捉えれば、今回の発表結果は市場予想を上回ると見込まれます。
(2-2. 過去反応)
過去の直前10-1分足・直前1分足・直後1分足・直後11分足の始値基準ローソク足を示します。
直前1分足は陰線ばかりです。最近は逆ヒゲが少ないと見て取れるので、pipsは小さいもののポジションを取っても良いでしょう。
【3. 定型分析】
反応性分析では、過去発表直後の1分足と11分足の跳幅と値幅を使います。この分析で十分なpipsが狙えそうな指標か否かが判断できます。詳細は「反応性分析」をご参照願います。
反応一致性分析は、指標発表前後の反応方向に特徴的な偏りがないかを調べています。詳細は「反応一致性分析」をご参照願います。
指標一致性分析は、指標の前回結果と市場予想の差(事前差異)と、発表結果と市場予想の差(事後差異)と、発表結果と前回結果の差(実態差異)を求め、そのプラス・マイナスと反応方向に偏りがないかを調べています。詳細は「指標一致性分析」をご参照願います。
反応性分析の結果を下表に示します。
直後1分足と直後11分足との方向一致率は82%です。そして、直後1分足と直後11分足とを比較し、跳値同士・終値同士で反応が伸びたことは各70%・61%です。また、直後1分足終値がついた時点において、更に反応を伸ばしたことは50%でした。
つまり、本指標は指標発表後短期間の追撃に適しており、発表から1分経過するとどちらに反応するかがわかりません。
反応一致性分析の結果を下図に示します。
直前1分足は陰線率が88%となっています。がしかし、過去平均の跳幅が5pipsしかありません。取引するなら欲張らないことです。
そして、反応性分析に挙げた直後1分足と直後11分足の方向一致率を除けば、あるローソク足と他のローソク足との方向一致率が30%以下もしくは70%以上になっていません。つまり、本指標発表前後のローソク足の方向は、取引参加者が後の動きを予見できている訳ではないようです。
指標一致性分析の結果を下図に示します。
事後差異は直後1分足・直後11分足との方向一致率が各81%・70%です。本指標は発表結果の良し悪しに素直に反応します。
【4. シナリオ作成】
巻頭箇条書きのシナリオの項をご参照願います。
以上
2017年7月4日10:30発表
以下は2017年7月4日11:30頃に追記しています。
U. 結果・検証
【5. 発表結果】
(5-1. 指標結果)
本指標発表結果及び反応は次の通りでした。
発表結果は市場予想を上回り、反応は陽線でした。
市場予想は前回結果を下回るもので、その意味では方向が合っています。とは言え、市場予想と発表関係の大小関係を問題にしている為替・債券・株式の取引参加者にとって、またまた「全然違うじゃん」という市場予想でした。
前回結果より今回発表結果はやや低下したものの、2015年以降では4番目の前月比伸び率です(前月は1番大きな伸び率でした)。
(5-2. 取引結果)
取引結果は次の通りでした。
直前1分足はポジション取得を少し遅らせて正解でした。
直後1分足の上ヒゲは、発表後2-3秒で形成されたものです。一旦、利確して、発表後20-30秒後に下がったのを見て、追撃ポジションを取りました。がしかし、思ったより高いポイントでポジション取得となって、含益の表示時間より含損の表示時間が長く、87円上抜けの勢いは無しと見て、ポジション解消しました。
【6. 分析検証】
(6-1. 分析検証)
事前調査分析内容を、以下に検証します
- 過去の平均的な反応をやや上回り、発表結果に対してはに素直に反応しました。追撃が短期利確に適していた点は分析通りです。
- 指標発表前の値動きは、指標発表後の反応方向と逆でした。
- 調査期間において発表結果と市場予想の大小関係が入れ替わったことは、28回中9回(32%)でした。過去の実績から入れ替わりが少ないと見込んで、今回の発表結果は市場予想を上回ると見込んでいました。結果、市場予想を上回りました。
- 直後1分足と直後11分足との方向は一致しました。そして、直後1分足と直後11分足とを比較し、跳値同士・終値同士では反応を伸ばすことができませんでした。
(6-2. シナリオ検証)
下表に、本ブログを始めてからの本指標シナリオでの取引成績を纏めておきます。
以上
ーーー注記ーーー
本記事は、同じ指標の発表がある度に更新を繰り返して精度向上を図り、過去の教訓を次の発表時の取引で活かせるように努めています。がしかし、それでも的中率は75%程度に留まり、100%ではありません。詳細は「1. FXは上達するのか」をご参照ください。
そして、本記事は筆者個人の見解に基づいています。本記事に含まれる価格・データ・その他情報等は、本記事に添付されたリンク先とは関係ありません。また、取引や売買における意思決定を、本記事の記載通りに行うことは適切ではありません。そして、本記事の内容が資格を持った投資専門家の助言ではないことを明記しておきます。記載内容のオリジナリティや信頼性確保には努めているものの、それでも万全のチェックは行えていない可能性があります。
ポジションを持つ最終的なご判断は読者ご自身の責任となります。その点を予めご了承の上、本記事がFXを楽しむ一助となれば幸いです。
ーーー注記ーーー
本記事における分析シート、一部乃至は一連の体系化された手順を、個人の取引以外の目的で使用・公開・二次利用を行う場合には、著作権者及びFX手法研究会に対し、連絡を取り何らかの合意を行う必要があります。
以上
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