2017年07月04日
4-5. 豪州・NZ経済指標DB(2017年6月最終版)
豪州の経済指標発表前後の取引はAUDJPYで、NZの経済指標発表前後の取引はNZDJPYで行っています。
いずれも、以前ほどではないにせよ、先進国では高金利通貨であり、被投資国のためリスクにはからっきし弱いという特徴があります。
オセアニア通貨は、中国経済指標によって大きく動く傾向があります。
2013年に中国指導部が提唱した一帯一路構想とAIIB設立は、次の2点が多くの関心の的だったようです。ひとつは、「そんなことしている場合か」と思われた隠れ債務問題で、もうひとつが他の地域への影響力行使といった点で米国との対立が始まる予感です。
経済規模が世界No.1の米国債務は、2016年度時点で対GDP比256%です。No.2の中国が猛追し、同年256%へと追いつきました。ちなみに、No.3の日本は同年373%です。中国が現在のペースで債務を増やした場合、2021年頃に対GDP比300%に到達しそうです。
加えて、2017年は北朝鮮問題への影響力行使に関心が集まっています。
RBA(豪中銀)は、中国の経済成長がインフラ投資や不動産投資で下支えされており、これらの投資が借り入れ急増を伴っているためリスクがあることを認識しています。
豪州経済全般は、世界経済の回復によるコモディティー価格上昇によって支えられています。低金利で成長が暫く続いた結果、不動産投資とローン残高が増加しつつあり、貸出基準の厳格化と投資目的不動産ローン金利を引き上げて対策を始めました。
NZ経済指標は、豪中米との二国間関係を始め、国内での報道が皆無と言ってもいいぐらいで、よくわかりません。よって、市場予想がほぼ的中し、且つ、それにも関わらず反応が大きいRBNZ(NZ中銀)政策金利にだけ注目しておけば十分です。そもそもNZについては、昨年就任したイングリッシュ首相という名前からして、どこの国の誰なんだかよくわからないぐらいです。
RBA金融政策は「暫く様子見」です。一時は高まった利上げ年内観測も、5月16日の議事録発表後には無くなったようです。
2017年7月4日、RBAは政策金利を1.5%に据え置きました。ここ最近の金融政策決定理事会の結論は「現在の政策継続が、経済の持続的成長とインフレ率の回復に繋がる」との見解が継続的に示されています。同時発表された声明の内容は、次のようなものです(意訳・要約しています)。
曰く「事業環境が改善しており設備稼働率も上昇、鉱業投資の減少の影響を直接的に受けない地域では企業投資が回復しています。一方、実質賃金の緩やかな成長と家計の借金が高い水準にあるため、消費は伸び悩んでいます。そして、雇用の継続的な伸びが示唆されているものの、賃金が伸び悩んでいるため、こうした状況が暫く続くと予想されます。また、住宅市場が地域差こそあれ、家賃が20年ぶりの緩やかな伸びとなっており、家計の住宅ローン借り入れの増加ペースも収入の伸びを上回っています。 よって、インフレ率の現状見通しは低水準の金利に支援されたものだと言えます」
(事例1) RBA政策金利(2017年6月6日発表結果検証済)
(事例2) RBA金融政策理事会議事録(2017年6月20日10:30公表結果検証済)
RBNZ政策金利の発表では市場予想がほぼ的中します。そして「現状維持」のときにも反応が大きく、一方向への反応が続きがちです。反応方向を確認してから追いかけてポジションが取っても、pipsが稼ぎやすいのです。現地夏時間は5時発表なので、起きられないというのが最大の問題です。
2017年6月22日、RBNZは政策金利を1.75%に据え置くことを発表し、政策が相当の期間緩和的と言及しました。
さて、NZのインフレ率は既に中銀目標の1-3%の中間値に戻っています。がしかし、RBNZ総裁は「2019年の遅い時期まで利上げを開始しない見込み」と表明しています。ただ、同総裁は9月退任予定(2017年2月7日発表)で、その後は2018年3月まで副総裁が代行を務めると発表されています。どの時期からか、政策変更の可能性が報道解説され始めるでしょう。
(事例) RBNZ政策金利(2017年6月22日発表結果検証済)
RBA見解(3月)では、インフレ率が2017年に2%を上回る、と予想されています。賃金の伸び悩みが物価上昇を抑えているとの見解は、7月4日のRBA政策金利発表時の声明でも言及されました。
(事例1) 四半期消費者物価指数(2017年4月26日発表結果検証済)
(事例2) 四半期生産者物価指数(2017年1月27日発表結果検証済)
最近、他の国と同様に賃金上昇率が注目されていますが、豪州ではパートタイム従業員よりフルタイム従業員が増加している点が同じ趣旨でも意味があります。がしかし、本指標への反応は、まだ新規雇用者数の増減が最も強く影響しています。
(事例) 雇用統計(2017年6月15日発表結果検証済)
豪州経済自体は堅実に成長が続くと見込んでいます。がしかし、AUDJPYの反応はまだ暫く中国経済の見通しに影響を受けると思われます。
(事例) 四半期GDP(2017年6月7日発表結果検証済)
(2-1)小売
豪州は先進国で最も今後の人口増が期待される国です。人口増は消費指標や小売指標に対し長期的改善をもたらします。
7月4日に発表された小売売上高は前月比+0.6%で、6月発表の+1.0%に続いて過去の水準より高く推移しています。1-3月期よりも4-6月期は、消費も大幅に伸びつつあるのではないでしょうか。
(事例1) 小売売上高(2017年7月4日発表結果検証済)
(事例2) 四半期小売売上高(2017年5月9日発表結果検証済)
(2-2)住宅
豪州には投資資金が流入しており、ここ最近のRBA金融政策決定理事会は住宅価格高騰への懸念を継続的に示しています。最近、その対策として投資目的住宅のローン金利を引き上げたものの、2017年6月20日に発表された1-3月期住宅価格指数ではまだその効果が見受けられません。1-3月期は前年比10%超の価格指数上昇となっていました。
(事例)四半期住宅価格指数(2017年6月20日発表結果検証済)
いずれも、以前ほどではないにせよ、先進国では高金利通貨であり、被投資国のためリスクにはからっきし弱いという特徴があります。
【4-5-1. 6月概観】
オセアニア通貨は、中国経済指標によって大きく動く傾向があります。
2013年に中国指導部が提唱した一帯一路構想とAIIB設立は、次の2点が多くの関心の的だったようです。ひとつは、「そんなことしている場合か」と思われた隠れ債務問題で、もうひとつが他の地域への影響力行使といった点で米国との対立が始まる予感です。
経済規模が世界No.1の米国債務は、2016年度時点で対GDP比256%です。No.2の中国が猛追し、同年256%へと追いつきました。ちなみに、No.3の日本は同年373%です。中国が現在のペースで債務を増やした場合、2021年頃に対GDP比300%に到達しそうです。
加えて、2017年は北朝鮮問題への影響力行使に関心が集まっています。
RBA(豪中銀)は、中国の経済成長がインフラ投資や不動産投資で下支えされており、これらの投資が借り入れ急増を伴っているためリスクがあることを認識しています。
豪州経済全般は、世界経済の回復によるコモディティー価格上昇によって支えられています。低金利で成長が暫く続いた結果、不動産投資とローン残高が増加しつつあり、貸出基準の厳格化と投資目的不動産ローン金利を引き上げて対策を始めました。
NZ経済指標は、豪中米との二国間関係を始め、国内での報道が皆無と言ってもいいぐらいで、よくわかりません。よって、市場予想がほぼ的中し、且つ、それにも関わらず反応が大きいRBNZ(NZ中銀)政策金利にだけ注目しておけば十分です。そもそもNZについては、昨年就任したイングリッシュ首相という名前からして、どこの国の誰なんだかよくわからないぐらいです。
【4-5-2. 政策決定指標】
(1) 金融政策
RBA金融政策は「暫く様子見」です。一時は高まった利上げ年内観測も、5月16日の議事録発表後には無くなったようです。
2017年7月4日、RBAは政策金利を1.5%に据え置きました。ここ最近の金融政策決定理事会の結論は「現在の政策継続が、経済の持続的成長とインフレ率の回復に繋がる」との見解が継続的に示されています。同時発表された声明の内容は、次のようなものです(意訳・要約しています)。
曰く「事業環境が改善しており設備稼働率も上昇、鉱業投資の減少の影響を直接的に受けない地域では企業投資が回復しています。一方、実質賃金の緩やかな成長と家計の借金が高い水準にあるため、消費は伸び悩んでいます。そして、雇用の継続的な伸びが示唆されているものの、賃金が伸び悩んでいるため、こうした状況が暫く続くと予想されます。また、住宅市場が地域差こそあれ、家賃が20年ぶりの緩やかな伸びとなっており、家計の住宅ローン借り入れの増加ペースも収入の伸びを上回っています。 よって、インフレ率の現状見通しは低水準の金利に支援されたものだと言えます」
(事例1) RBA政策金利(2017年6月6日発表結果検証済)
(事例2) RBA金融政策理事会議事録(2017年6月20日10:30公表結果検証済)
RBNZ政策金利の発表では市場予想がほぼ的中します。そして「現状維持」のときにも反応が大きく、一方向への反応が続きがちです。反応方向を確認してから追いかけてポジションが取っても、pipsが稼ぎやすいのです。現地夏時間は5時発表なので、起きられないというのが最大の問題です。
2017年6月22日、RBNZは政策金利を1.75%に据え置くことを発表し、政策が相当の期間緩和的と言及しました。
さて、NZのインフレ率は既に中銀目標の1-3%の中間値に戻っています。がしかし、RBNZ総裁は「2019年の遅い時期まで利上げを開始しない見込み」と表明しています。ただ、同総裁は9月退任予定(2017年2月7日発表)で、その後は2018年3月まで副総裁が代行を務めると発表されています。どの時期からか、政策変更の可能性が報道解説され始めるでしょう。
(事例) RBNZ政策金利(2017年6月22日発表結果検証済)
(2) 物価指標
RBA見解(3月)では、インフレ率が2017年に2%を上回る、と予想されています。賃金の伸び悩みが物価上昇を抑えているとの見解は、7月4日のRBA政策金利発表時の声明でも言及されました。
(事例1) 四半期消費者物価指数(2017年4月26日発表結果検証済)
(事例2) 四半期生産者物価指数(2017年1月27日発表結果検証済)
(3) 雇用指標
最近、他の国と同様に賃金上昇率が注目されていますが、豪州ではパートタイム従業員よりフルタイム従業員が増加している点が同じ趣旨でも意味があります。がしかし、本指標への反応は、まだ新規雇用者数の増減が最も強く影響しています。
(事例) 雇用統計(2017年6月15日発表結果検証済)
【4-5-3. 政策決定指標】
(1) 経済成長
豪州経済自体は堅実に成長が続くと見込んでいます。がしかし、AUDJPYの反応はまだ暫く中国経済の見通しに影響を受けると思われます。
(事例) 四半期GDP(2017年6月7日発表結果検証済)
(2) 実態指標
(2-1)小売
豪州は先進国で最も今後の人口増が期待される国です。人口増は消費指標や小売指標に対し長期的改善をもたらします。
7月4日に発表された小売売上高は前月比+0.6%で、6月発表の+1.0%に続いて過去の水準より高く推移しています。1-3月期よりも4-6月期は、消費も大幅に伸びつつあるのではないでしょうか。
(事例1) 小売売上高(2017年7月4日発表結果検証済)
(事例2) 四半期小売売上高(2017年5月9日発表結果検証済)
(2-2)住宅
豪州には投資資金が流入しており、ここ最近のRBA金融政策決定理事会は住宅価格高騰への懸念を継続的に示しています。最近、その対策として投資目的住宅のローン金利を引き上げたものの、2017年6月20日に発表された1-3月期住宅価格指数ではまだその効果が見受けられません。1-3月期は前年比10%超の価格指数上昇となっていました。
(事例)四半期住宅価格指数(2017年6月20日発表結果検証済)
以上
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