2017年07月04日
英国景気指標「サービス業PMI」発表前後のGBPJPY反応分析(2017年7月5日17:30発表結果検証済)
以下、「T.調査・分析」を事前投稿し、「U.結果・検証」を事後投稿しています。ブログの日付は事前投稿日となっています。指標発表後に事後投稿し、その日時は「U.結果・検証」のタイトル行付近に記載しています。
2017年7月5日17:30に英国景気指標「サービス業PMI」が発表されます。今回発表は2017年6月分の集計結果です。
本指標要点を以下図表に纏めておきました。図表の細かな文字が見えにくければクリックしてください。
本指標の調査・分析の結論は以下の通りです。
以上の詳細ないしは論拠は、以下の「T.調査・分析」に記しています。
公開情報や既出情報に基づく調査を行い、過去の指標と反応の関係を比較分析しています。方向に関する的中率に比べ、程度に関する的中率は残念ながら低いというのが実情です。利確・損切の目安は、過去平均値を最近の反応の大小と見比べて感覚的に微修正しています。
PMIは、企業購買担当者に直接調査して算出されるため、景気実態を正確に反映した先行指標と言われています。
一般論として、製造業の材料・部品調達は、数か月先の取引先動向や製品需要から仕入れを行うため先行性がある、と考えられます。それよりは先行性が劣るものの、サービス業も販売機会喪失を避けるため、消費者の動向に先んじようと必死です。
但し、製造業景況感のサービス業景況感に対する「先行性」については、以前ほど当てにならないようです。昔とは違って、流通経路が可視化・効率化され、企業購買部門の力量が向上し、国内サービス業を介さずに海外と直接取引を行うことができるから、です。サービス業の仕入れに至っては、ほぼ消費動向とリアルタイムで一致しつつある時代を迎えつつあります。
指数の解釈は、50%を上回ると景気拡大・50%を下回ると景気後退、です。
指数の意義は、景気転換をGDPよりも先行示唆することと、です。
英国重要指標全般に言えることですが、指標発表結果への反応(値動き)が素直で大きいという特徴があります。がしかし、FX会社などの経済指標ランク分では、他国の景気指標と同程度かそれ以下の重要度・注目度に位置づけられることが多いように見受けられます。そのためポジションを持つ場合には注意が必要です。調査対象期間中に最も大きく反応したときは110pipsにも達しています。
英国経済指標へのGBPJPYの反応は、他国の経済指標への反応よりワンランク上なのです。
以下の調査分析範囲は、2015年1月分以降前回までの29回分のデータに基づいています。
過去の発表結果と市場予想を下図に一覧します。
上図は、発表結果と市場予想をプロットしています。そして、発表結果は後日修正があっても修正せずに、発表時のままにしています。
グラフから、前回結果と市場予想の大小関係の入れ替わりが多く、本指標は現在「市場予想後追い型」ではありません。
次に、製造業PMIとサービス業PMIと間に、先行性・遅行性の有無を見ておきましょう。
先行性・遅行性の有無は、実態差異(発表結果ー前回結果)で判断すべきです。
上図から、両指標の実態差異の方向一致率は58%で、高くありません。両指標の増減方向に関係がないとは断言しませんが、一致率が58%なら他の情報をアテにした方がよさそうです。
過去の直前10-1分足・直前1分足・直後1分足・直後11分足の始値基準ローソク足を示します。
直前1分足は陰線が目立ちます。
直後11分足が50pips以上も反応したことが3回あります。がしかし、その3回の直前10-1分足・直前1分足とを見比べても、予兆らしい動きはありません。
反応性分析では、過去発表直後の1分足と11分足の跳幅と値幅を使います。この分析で十分なpipsが狙えそうな指標か否かが判断できます。詳細は「反応性分析」をご参照願います。
反応一致性分析は、指標発表前後の反応方向に特徴的な偏りがないかを調べています。詳細は「反応一致性分析」をご参照願います。
指標一致性分析は、指標の前回結果と市場予想の差(事前差異)と、発表結果と市場予想の差(事後差異)と、発表結果と前回結果の差(実態差異)を求め、そのプラス・マイナスと反応方向に偏りがないかを調べています。詳細は「指標一致性分析」をご参照願います。
反応性分析の結果を下表に示します。
反応一致性分析の結果を下図に示します。
指標一致性分析の結果を下図に示します。
巻頭箇条書きのシナリオの項をご参照願います。
以下は2017年7月5日21:00頃に追記しています。
本指標発表結果及び反応は次の通りでした。
発表結果は前回結果・市場予想を下回り、初期反応が陰線で、その後反転しました。
当月(6月分)PMIは、製造業・建設業・サービス業のいずれも前回より数値が低下しました。
他の指標では、貿易収支は2017年3月分が直近の底、鉱工業生産指数前月比は2017年2月分で直近の底、小売売上高指数前月比は凸凹で前月5月分がマイナス、物価はCPI前月比が2017年1月分で直近の底、なので、実態によって景況感がゆっくり下がっている訳でもなさそうです。
今回発表結果の53.4という数字は、昨年6月集計のEU離脱国民投票前の53.5を下回っています。国民投票直後の集計分(2017年7月分)こそ47.4まで低下したものの、その後はGBP安によって企業業績が上向き、2016年12月分は56.2、2017年4月分は55.8まで上昇していました。
反応は、発表後3分程度は上下方向に迷いがあって小さなものでした。意外と指標の落ち込みが小さい、ということでしょうか。
取引結果は次の通りでした。
方向感に欠けて、タイミングが掴めませんでした。挽回もあと少し及ばずです。
事前調査分析内容を、以下に検証します
下表に、本ブログを始めてからの本指標シナリオでの取引成績を纏めておきます。
本記事は、同じ指標の発表がある度に更新を繰り返して精度向上を図り、過去の教訓を次の発表時の取引で活かせるように努めています。がしかし、それでも的中率は75%程度に留まり、100%ではありません。詳細は「1. FXは上達するのか」をご参照ください。
そして、本記事は筆者個人の見解に基づいています。本記事に含まれる価格・データ・その他情報等は、本記事に添付されたリンク先とは関係ありません。また、取引や売買における意思決定を、本記事の記載通りに行うことは適切ではありません。そして、本記事の内容が資格を持った投資専門家の助言ではないことを明記しておきます。記載内容のオリジナリティや信頼性確保には努めているものの、それでも万全のチェックは行えていない可能性があります。
ポジションを持つ最終的なご判断は読者ご自身の責任となります。その点を予めご了承の上、本記事がFXを楽しむ一助となれば幸いです。
本記事における分析シート、一部乃至は一連の体系化された手順を、個人の取引以外の目的で使用・公開・二次利用を行う場合には、著作権者及びFX手法研究会に対し、連絡を取り何らかの合意を行う必要があります。
2017年7月5日17:30に英国景気指標「サービス業PMI」が発表されます。今回発表は2017年6月分の集計結果です。
本指標要点を以下図表に纏めておきました。図表の細かな文字が見えにくければクリックしてください。
本指標の調査・分析の結論は以下の通りです。
- 反応はたまに大きく、直後1分足跳幅が25pipsを超えたことが31%となっています。
反応方向は指標発表結果の良し悪しに素直で、事後差異(発表結果ー市場予想)との方向一致率は78%です。
直後1分足と直後11分足との方向一致率は85%、直後1分足値幅を直後1分足跳幅が超えたことは83%です。追撃に適した指標だと言えます。 - 製造業PMIとサービス業PMIの実態差異(発表結果ー前回結果)の方向一致率は高くありません(58%)。がしかし、両指標の事前差異(市場予想ー前回結果)の方向一致率は68%と、3回に2回が一致しています。
なお、1〜3か月前の製造業PMI結果との対比では、むしろ、両指標の実態差異の一致率が低下するので、両指標間に先行・遅行の関係はありません。 - 直前1分足は陰線率が77%となっています。過去平均跳幅は8pipsで、上ヒゲを持つこともあります。直前1分足が10pipsも動くと、他の指標と比べて大きいので慌てがちです。
がしかし、直前1分足の方向や値幅は、指標発表後の方向や値幅と関係ありません。 - 直前10-1分足は、事後差異との方向一致率が68%となっています。本指標の取引参加者は3回に2回の確率で指標発表結果を当てています。
そして本指標は、事後差異と直後1分足の方向一致率が78%なので、発表結果の良し悪しに素直に反応する傾向があります。 - 直後1分足と直後11分足の方向一致率は85%あり、両者跳幅同士・終値同士で反応が伸びたことは各83%・65%です。これは指標発表後の反応方向を確認してからでも、追撃に適している数字だと言えます。
早めに取得した追撃ポジションが高値(安値)掴みをしていないかの目安として、直後1分足終値がついた時点から、直後11分足終値の反応が伸びたことは56%で、反転したことは45%です(四捨五入の関係で合計101%になってしまっています)。 - 以上の調査・分析結果に基づき、次のシナリオで取引に臨みます。
(1) 直前1分足は陰線と見込みます。
(2) 直後1分足は、直前10-1分足と同じ方向に指標発表直前にポジションを取得し、発表後は早々に解消します。
(3) 追撃は早めにポジションを取得し、直後1分足終値で高値(安値)掴みをしていないか確認します。チャンスがあれば、その後の複数回の追撃もOKです。
以上の詳細ないしは論拠は、以下の「T.調査・分析」に記しています。
T.調査・分析
公開情報や既出情報に基づく調査を行い、過去の指標と反応の関係を比較分析しています。方向に関する的中率に比べ、程度に関する的中率は残念ながら低いというのが実情です。利確・損切の目安は、過去平均値を最近の反応の大小と見比べて感覚的に微修正しています。
【1. 指標概要】
PMIは、企業購買担当者に直接調査して算出されるため、景気実態を正確に反映した先行指標と言われています。
一般論として、製造業の材料・部品調達は、数か月先の取引先動向や製品需要から仕入れを行うため先行性がある、と考えられます。それよりは先行性が劣るものの、サービス業も販売機会喪失を避けるため、消費者の動向に先んじようと必死です。
但し、製造業景況感のサービス業景況感に対する「先行性」については、以前ほど当てにならないようです。昔とは違って、流通経路が可視化・効率化され、企業購買部門の力量が向上し、国内サービス業を介さずに海外と直接取引を行うことができるから、です。サービス業の仕入れに至っては、ほぼ消費動向とリアルタイムで一致しつつある時代を迎えつつあります。
指数の解釈は、50%を上回ると景気拡大・50%を下回ると景気後退、です。
指数の意義は、景気転換をGDPよりも先行示唆することと、です。
英国重要指標全般に言えることですが、指標発表結果への反応(値動き)が素直で大きいという特徴があります。がしかし、FX会社などの経済指標ランク分では、他国の景気指標と同程度かそれ以下の重要度・注目度に位置づけられることが多いように見受けられます。そのためポジションを持つ場合には注意が必要です。調査対象期間中に最も大きく反応したときは110pipsにも達しています。
英国経済指標へのGBPJPYの反応は、他国の経済指標への反応よりワンランク上なのです。
【2. 既出情報】
以下の調査分析範囲は、2015年1月分以降前回までの29回分のデータに基づいています。
(2-1. 過去情報)
過去の発表結果と市場予想を下図に一覧します。
上図は、発表結果と市場予想をプロットしています。そして、発表結果は後日修正があっても修正せずに、発表時のままにしています。
グラフから、前回結果と市場予想の大小関係の入れ替わりが多く、本指標は現在「市場予想後追い型」ではありません。
次に、製造業PMIとサービス業PMIと間に、先行性・遅行性の有無を見ておきましょう。
先行性・遅行性の有無は、実態差異(発表結果ー前回結果)で判断すべきです。
上図から、両指標の実態差異の方向一致率は58%で、高くありません。両指標の増減方向に関係がないとは断言しませんが、一致率が58%なら他の情報をアテにした方がよさそうです。
(2-2. 過去反応)
過去の直前10-1分足・直前1分足・直後1分足・直後11分足の始値基準ローソク足を示します。
直前1分足は陰線が目立ちます。
直後11分足が50pips以上も反応したことが3回あります。がしかし、その3回の直前10-1分足・直前1分足とを見比べても、予兆らしい動きはありません。
【3. 定型分析】
反応性分析では、過去発表直後の1分足と11分足の跳幅と値幅を使います。この分析で十分なpipsが狙えそうな指標か否かが判断できます。詳細は「反応性分析」をご参照願います。
反応一致性分析は、指標発表前後の反応方向に特徴的な偏りがないかを調べています。詳細は「反応一致性分析」をご参照願います。
指標一致性分析は、指標の前回結果と市場予想の差(事前差異)と、発表結果と市場予想の差(事後差異)と、発表結果と前回結果の差(実態差異)を求め、そのプラス・マイナスと反応方向に偏りがないかを調べています。詳細は「指標一致性分析」をご参照願います。
反応性分析の結果を下表に示します。
反応一致性分析の結果を下図に示します。
指標一致性分析の結果を下図に示します。
【4. シナリオ作成】
巻頭箇条書きのシナリオの項をご参照願います。
以上
2017年7月5日17:30発表
以下は2017年7月5日21:00頃に追記しています。
U. 結果・検証
【5. 発表結果】
(5-1. 指標結果)
本指標発表結果及び反応は次の通りでした。
発表結果は前回結果・市場予想を下回り、初期反応が陰線で、その後反転しました。
当月(6月分)PMIは、製造業・建設業・サービス業のいずれも前回より数値が低下しました。
他の指標では、貿易収支は2017年3月分が直近の底、鉱工業生産指数前月比は2017年2月分で直近の底、小売売上高指数前月比は凸凹で前月5月分がマイナス、物価はCPI前月比が2017年1月分で直近の底、なので、実態によって景況感がゆっくり下がっている訳でもなさそうです。
今回発表結果の53.4という数字は、昨年6月集計のEU離脱国民投票前の53.5を下回っています。国民投票直後の集計分(2017年7月分)こそ47.4まで低下したものの、その後はGBP安によって企業業績が上向き、2016年12月分は56.2、2017年4月分は55.8まで上昇していました。
反応は、発表後3分程度は上下方向に迷いがあって小さなものでした。意外と指標の落ち込みが小さい、ということでしょうか。
(5-2. 取引結果)
取引結果は次の通りでした。
方向感に欠けて、タイミングが掴めませんでした。挽回もあと少し及ばずです。
【6. 分析検証】
(6-1. 分析検証)
事前調査分析内容を、以下に検証します
- 初期反応は2-3pipsで、かなり小さなものでした。
反応方向は陰線で、これは事後差異と方向が一致しています。
直後1分足と直後11分足とが反転しており、追撃に適していたとは言えません。 - 製造業PMIと事前差異・事後差異ともに一致しました。
- 直前1分足は陰線と予想していたものの、陽線となりました。
- 直前10-1分足は、事後差異との方向一致率が68%となっていて、3回に2回の確率で指標発表結果を当てていました。発表結果が市場予想を下回るということと矛盾ない動きをしていました。
そして、事後差異と直後1分足の方向一致率は78%でした。事後差異がマイナスに対し陰線での反応ですから、素直に反応しています。 - 直後1分足と直後11分足の方向一致率は85%あり、両者跳幅同士・終値同士で反応が伸びたことは各83%・65%でした。がしかし、直後1分足と直後11分足は反転しており、この点は分析を外しました。
確率上の問題であり、特に分析法の見直しは必要ないと考えています。
(6-2. シナリオ検証)
下表に、本ブログを始めてからの本指標シナリオでの取引成績を纏めておきます。
以上
ーーー注記ーーー
本記事は、同じ指標の発表がある度に更新を繰り返して精度向上を図り、過去の教訓を次の発表時の取引で活かせるように努めています。がしかし、それでも的中率は75%程度に留まり、100%ではありません。詳細は「1. FXは上達するのか」をご参照ください。
そして、本記事は筆者個人の見解に基づいています。本記事に含まれる価格・データ・その他情報等は、本記事に添付されたリンク先とは関係ありません。また、取引や売買における意思決定を、本記事の記載通りに行うことは適切ではありません。そして、本記事の内容が資格を持った投資専門家の助言ではないことを明記しておきます。記載内容のオリジナリティや信頼性確保には努めているものの、それでも万全のチェックは行えていない可能性があります。
ポジションを持つ最終的なご判断は読者ご自身の責任となります。その点を予めご了承の上、本記事がFXを楽しむ一助となれば幸いです。
ーーー注記ーーー
本記事における分析シート、一部乃至は一連の体系化された手順を、個人の取引以外の目的で使用・公開・二次利用を行う場合には、著作権者及びFX手法研究会に対し、連絡を取り何らかの合意を行う必要があります。
以上
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