大図鑑に載ってないクワガタたち（主に）

Prismognathus属の不明種と近縁種について。

P.triapicalisに似た種類が多数いて、もしかしたら変異の範疇に含まれるかもしれません。


近縁種は以下の通りです。

Capreolucanus Didier, 1928:65 (G. = Capreolucanus sicardi Didier, 1928)

Cladophyllus Houlbert, 1912:138 (type: Cladophyllus oberthuri Houlbert, 1912)

Katsuraius Nagai, 1996:12 (type: Katsuraius ikedaorum Nagai, 1996)

Cladophyllus属はPrismognathus属に含める研究者もいます。
Katsuraius属は♀の形状がCapreolucanus属によく似ているのでPrismognathus属の近縁種に含めました。

1:P.sp.-1　摸写 2:P.sp.-2　Fujita,2010より 3:P.sp.-3　Huang&Chen,2012より 4:P.sp.-4　摸写 5:P.sp.-5　Fujita,2003より 6:P.sp.-6 Fujita,2010より 7:P.sp.-7　摸写 8:P.sp.-8　摸写 9:P.sp.-9　Fujita,2010より 10:P.sp.-10　摸写 11:P.sp.-11　Fujita,2010より

Prismognathus sp.　-1
Tibet

P.miyashitaiに似るが、顎は直線的で先端は三叉状、
頭楯は突出し、前胸は後方に行っても幅が狭い、胴体は俵型でやや長い。


Prismognathus sp.　-2
Tibet

P.triapicalisに似た種類、頭楯は幅がやや狭くてより突出し中央は湾入する。
P.triapicalisも含めて顎の湾曲具合や前胸・複眼縁の形状は変異に富んでるようで、
頭楯以外はこれだと言う変異はわからなかったので、個体変異なのかもしれません。


Prismognathus sp.　-3
広西壮族自治区

P.sp.-2に似た種類で、Huang&Chen,2012ではP.triapicalisの不明亜種として紹介されてます。
顎はやや太く、頭楯は強く突出して中央は湾入、複眼縁は尖り、
複眼下はやや膨らむ、前胸後角は尖らず、ケイ節はやや太い。


Prismognathus sp.　-4
浙江省

もしかしたらこれがP.sinensisの可能性もあり。
顎はやや太短く、頭部は幅広、複眼縁の複眼の直ぐ上の部分はくびれ、
頭楯は両端が鋭く突出して中央は双山状、
前胸は丸みを帯び、前胸後方の湾入は小さい。


Prismognathus sp.　-5
四川省,雲南省,貴州省,青海省,浙江省

P.triapicalisに似るが、顎は直線的、頭楯は強く突出して中央は湾入、
複眼縁の複眼の直ぐ上の部分はくびれ、前胸はやや幅が狭い、ケイ節はやや細い。


Prismognathus sp.　-6
N.Myanmar,Tibet

P.fukinukiiによく似るが、やや大型で、顎は太短く、頭楯の幅が狭く、
複眼縁は尖り、前胸後方の湾入は大きく、胴体は幅広で、上翅の光沢は強い。


Prismognathus sp.　-7
安徽省

P.dauricusに似るが、顎は非常に太くて短く、体型は全体的に幅広で寸詰まり、
前胸前方は幅広く、ケイ節（特に前ケイ節）は太い。


Prismognathus sp.　-8
広西壮族自治区,四川省

P.siniaeviに似た種類。
顎は短く、複眼縁はやや鈍角、前胸側面は直線的で、前ケイ節はやや湾曲する。
亜種?


Prismognathus sp.　-9
N.E.India

新大図鑑でP.lucidusとして紹介されている種類。
頭部は幅広で、複眼下の膨らみは大きく、前胸後方の湾入は大きくて後方の突出はやや弱い、
胴体はアーモンド型で若干幅広で寸詰まり。


Prismognathus sp.　-10
Tibet

なんかの小型個体っぽいけど当てはまるものがわかりませんでした。
顎は直線的で、複眼縁は角ばり、前胸側面中央部はややくびれて、前胸後角は尖り、
胴体は下膨れ、上翅は艶消し状、前ケイ節はやや長くて外棘は短くて等間隔で多く入る。


Prismognathus sp.　-11
N.Myanmar,中国(雲南省)

P.nigricolorとよく同定されている種類。
顎は短く、複眼縁は複眼上で内側に強く入り、
前胸側面はややくびれて後方に行くほど幅広、胴体は大きくて下膨れ。

1:C.bousqueti　記載文の絵　Boucher,1996より 2:C.b.nobuhikoi　Holotype　Fujita,2010より 3:C.oberthueri Holotype Mizunuma&Nagai,1994より 4:C.flavus Holotype Mizunuma&Nagai,1994より

Cladophyllus bousqueti Boucher,1996:74-77
中国(雲南省南西部),N.Myanmar [Chaine Gaoligong,frontière sino-birmanie].

P.sp.-11によく似るが、触角のラメラが長いので区別は容易。
頭楯は山状、顎は先端は内側を向き、前胸後方の幅はやや狭い。


Cladophyllus nobuhikoi Ikeda,2000:42,fig. [Cladophyllus bousqueti nobuhikoi]
N.Vietnam [Sapa,Lao Cai,N.Vietnam].

C.bousquetiの亜種として記載された。
顎は太く、頭部は大きく、複眼縁は鈍角、頭楯はやや突出した長方形で中央部が山状にさらに突出、
胴体は細く、前ケイ節はやや湾曲し、触角のラメラはやや短い。


Cladophyllus oberthueri Houbert,1912:139-148,fig.1-8,10-16
=Cladophyllus flavus Didier,1930:125-127,figs.82-82,85-86 [Yunnan(Chine méridionale),Tsé-Kou].
中国(雲南省,四川省),N.Myanmar [Yunnan(Chine méridionale),Tsé-Kou].

Cladophyllus属の基準種で、通称「ヒメオニクワガタ」。
C.bousquetiに似るが、顎はやや長く、頭部はやや大きく、上翅の光沢は強い。
触角の先端のラメラの先が大きく二股に分かれる。

1:C.sicardi　記載文の絵　Didier,1928より 2:C.s.akitai Paratype Nagai,2002より 3:C.s.nosei Holotype Nagai,2002より 4:K.ikedaorum Holotype Fujita,2010より 5:K.ikedaorum Fujita,2003より

Capreolucanus sicardi Didier,1928:66-67,figs.20-22
N.Vietnam,N.Laos [Chapa,province de Lao-Kay,Haut-Tonkin].

1属1種で、通称「シカツノオニクワガタ」。
顎は直線的で先端方向を向くタテヅノを備える。
頭部の形状はC.nobuhikoiに似ていて頭頂は丸く凹む、
頭部は大きく、前胸前方の幅は広く、前ケイ節は直線的で、符節は短かい。
♀は♂と似た体形で、前胸前方の幅がより広く、顎は直線的でやや内反りする。


Capreolucanus sicardi akitai Nagai,2002:12,14,fig.5
N.Thailand [Doi Pui(Mt.Pui),N.Chiang Mai,NW Thailand].

原名亜種に比べ、体型はやや細く、体色は赤褐色、
複眼縁は前胸は複眼上で深く内側に入る、やや丸みを帯びる、符節はやや短い。


Capreolucanus sicardi nosei Nagai,2002:12-14,fig.6
N.Myanmar [Mt.Sangaung,Sangaung,20 km northwest of Putao,N.Kachin,N.Myanmar].

原名亜種に比べ、体型は瓢箪型、複眼縁は前胸は複眼上で内側に入る、
前胸先方の幅は広くて後方の幅は狭い、ケイ節はやや太く、符節はやや短い。


Katsuraius ikedaorum Nagai,1996:12-14,figs.1-5
N.Vietnam [Mt.Tam Dao Hai,Vihn Phu,N.Vietnam].

♂はProsocopoilus buddhaに似、♀はCapreolucanus属に似る。通称「ヌエクワガタ」。
♂はP.buddhaと比べ、顎は左右対象、頭部前方中央部は湾入せず、複眼縁はより角ばり、
複願は横に突出し、複眼下はやや尖り、頭頂部は凹み、前胸前方は丸まり、胴体は大きく、ケイ節外棘を欠く。
♀はCapreolucanus属と比べ、複眼縁はやや丸く、前胸先方は丸みを帯び、前胸後方は湾入せず、
胴体は大きく、上翅の光沢は強く、ケイ節外棘を欠く。