2015年06月16日
Prismognathus属
Prismognathus属について。
比較的小型の種類で、通称「オニクワガタ」。
種類は少ないので1回で収まります。
続きは不明種と近縁種についてを予定してます。
いくつかの亜属に分けられます。
Prismognathus Motschulsky, 1860:138 (type: Prismognathus dauricus Motschulsky, 1860)=Cyclorasis Thomson, 1862:405 (type: Lucanus platycephalus Thomson, 1862)
=Eligmodontus Houlbert, 1915:17 (type: Eligmondontus arcuatus Houlbert, 1915)
=Gonometops Houlbert, 1915:19 (type: Gonometopus triapicalis Houlbert, 1915)
=Tetrarthrius Didier, 1926:28 (type: Tetrarthrius castaneus Didier, 1926)
比較的小型の種類で、通称「オニクワガタ」。
種類は少ないので1回で収まります。
続きは不明種と近縁種についてを予定してます。
いくつかの亜属に分けられます。
Prismognathus Motschulsky, 1860:138 (type: Prismognathus dauricus Motschulsky, 1860)=Cyclorasis Thomson, 1862:405 (type: Lucanus platycephalus Thomson, 1862)
=Eligmodontus Houlbert, 1915:17 (type: Eligmondontus arcuatus Houlbert, 1915)
=Gonometops Houlbert, 1915:19 (type: Gonometopus triapicalis Houlbert, 1915)
=Tetrarthrius Didier, 1926:28 (type: Tetrarthrius castaneus Didier, 1926)
Prismognathus alessandrae Bartolozzi,2003:17-21,fig.4
中国(四川省,雲南省) [China:NW Yunnan,Dêqên].
P.davidisに似るが、複眼縁が角ばらないことで区別は容易。
複眼下は膨らます、体型はやや細身。
Prismognathus angularis Waterhouse,1874:6
北海道,利尻島,択捉島,国後島,本州,四国,九州北部,佐渡 [Japan].
通称「オニクワガタ」。
P.davidisに似るが、顎は短く、複眼縁の発達は弱い。
頭部は幅広で、前胸の幅は狭い。
Prismognathus angularis morimotoi Y.Kurosawa,1975:157
九州南部 [Mt.Miroridake,Miyazaki].
宮崎県青井岳〜鹿児島県産が本亜種に当たるようです。
通称「キュウシュウオニ」。
原名亜種に比べ、顎先は内側に向き、複眼縁はややくびれ、前胸後角はやや尖る。
胴体は若干下膨れ傾向にある。
Prismognathus angularis tokui Y.Kurosawa,1975:156 [Prismognathus tokui]
屋久島 [Hananoega,Yakushima].
通称「ヤクシマオニ」。
顎先は強く内側に向き、体型は全体的に幅広。
複眼縁はややくびれ、前胸後角はやや尖る。
Prismognathus arcuatus (Houlbert,1915):17-19,figs.1-2 [Eligmodontus arcuatus]
中国(四川省) [Ta-Tsien-Lou].
P.kanghianusに似るが顎先は細くて湾曲して下方に向く。
頭楯は長方形で突出は弱く、頭部は小さめ。
旧大図鑑に図示されているタイプ標本とされる個体(画像6)は
顎はふと短くて上反りし、複眼縁は突出し、頭部は大きい。
記載文に図示されているものと特徴が一致しなく、不明種と思われる。
画像5の個体が記載文に図示されているものでホロタイプとは記述はされてないのですが、
記載文は38oの1♂についてのみ書かれているのでこれがホロタイプと判断しました。
旧大図鑑に図示されているネパール産(画像7)はラベル間違いのように感じます。
Prismognathus bretschneideri Schenk, 2008:178,fig.4
Arunachal Pradesh,Bhutan [Nord-Indien,Arunachal Pradesh,Distrikt Bomdila].
P.noseiに似るが、光沢が強く、細長い体型、ケイ節は短い。
Prismognathus castaneus (Didier,1926):29-31,fig.6 [Tetrarthrius castaneus]
=Dorcus rufobrunneus Arrow,1943:136 (new name for castaneus Didier)
=Dorcus castaneicolor Arrow,1950:167, pl.12 (new name for castaneus) [SIKKIM].
NE.India [Sikkim].
P.subnitensに似るが、顎の湾曲は強く 、頭楯は双葉状。
複眼縁の突出は弱く、複眼下の膨らみは小さく、前胸は後方に行くほどやや幅広い。
体型は細身で、体色はやや明るい。
旧大図鑑に図示されているタイプ標本はP.subnitensと区別ができず、
旧大図鑑ではラベルが付け替えられたものではないかとしています。
Arrow,1950で図示されている個体(画像9)がホロタイプっぽいです。
Prismognathus castaneus sukkiti Nagai,2005:34-37,figs.8-11
N.Myanmar [Chudo Razi,NE. Kachin,northern Myanmar].
原名亜種に比べ、顎は短くて湾曲は弱く、頭部は大きくて、頭楯は大きい。
前胸後角の突出はやや弱く、胴体は寸詰まり。
Prismognathus dauricus (Motschulsky,1860):137-138,fig.11 [Metopodontus dauricus]
=Cladognathus subaeneus Motschulsky,1860:138,fig.12 [rives de l'Amour].
=Cyclorasis jekelii Parry,1864:41-42,fig.4 [Chowsan(Corea)].
対馬,朝鮮半島,済州島,中国北東部,シベリア [rives de l'Amour].
P.davidisに似るが、顎は細長くて直線的。
複眼縁は真横に突出する。
Prismognathus davidis Deyrolle et Fairmaire,1878:94-95
中国(四川省,陝西省,貴州省,甘粛省) [Chine centrale].
顎は中央部がややくびれて先端部が上下に二股に分かれる。
複眼縁は尖りやや前方を向く、頭楯はやや突出した双山状。
前胸後方は湾入し、前胸後角はやや尖る。
Prismognathus davidis cheni Bomans et Ratti,1973:282-284,fig.1
台湾中部 [Taiwan,Li-Shan].
原名亜種に比べ、顎は短く、複眼縁の突出はやや弱く、ケイ節は太短い。
Prismognathus davidis nigerrimus Sakaino et Yu,1993:14-15,figs.1-3
台湾中部(花蓮懸碧緑〜慈恩) [Pilu, Hualien-Hsien, in the east of Central Taiwan].
名前の通り黒味が強い亜種。
Ssp.cheniに比べ、顎はやや太く、複眼縁は真横を向き、胴体はやや幅広。
Prismognathus delislei Endrödi,1971:10
Nepal [Nepal,Helmu-Gebiet,Gusum Banjyang].
黒色で、顎の発達が悪い種類。
P.yukinobuiに似るが、顎は短くて直線的、前胸側面は直線的、
ケイ節は長く、体型は寸詰まりで細身、全体的にやや光沢が強い。
Prismognathus formosanus Nagel,1928:274-275,fig.2
台湾中部 [monte Morrison(Insula Formosa mediana)].
通称「タイワンオニ」。
P.piluensisに似るが、顎が細くて区別は容易。
ケイ節はやや長くて、上翅の光沢は強く、胴体は俵型。
Prismognathus fukinukii Nagai,2000:2-3,7,figs.1-2 [Prismognathus miyashitai fukinukii]
N.Myanmar [Mt.Long-Na-Razi,N.Kachin State,N.Myanmar].
P.miyashitaiの亜種として記載されたが、同所でP.miyashitaiも得られていてFujita,2010で独立種とされた。
亜種として記載されたようにP.miyashitaiによく似るが、
顎付け根の内歯は非常に小さく、頭楯は1山状、前胸後角は突出しない。
Prismognathus haojiani Huang et Chen,2012:16-17,figs.66,78,96,133,152-153,188-189,213,235
中国(貴州省) [CHINA:Guizhou Province:Tongren City,Jiangkou County,Fanjingshan].
P.arcuatusに似るが、顎はやや短くて直線的で、体色は明るい。
複眼縁はやや丸みを帯び、頭楯は幅広な双山状。
前胸は寸詰まりで、前胸後角はより突出し、前胸後方の湾入は深い。
ケイ節は短い。
Prismognathus kanghianus (Didier et Séguy,1953):44-45 [Eligmodontus kanghianus]
N.Vietnam [Chapa].
P.arcuatusに似るが、顎が直線的で立体なので区別は容易。
頭部はやや大きく、頭楯は1本の棒状で大きく突出する。
Prismognathus kanghianus kittii Nagai,2005:32-33,35,37,fig.19
N.Myanmar [Chudo Razi,NE. Kachin,northern Myanmar].
かなりの珍品のようです。
原名亜種と比較し、顎は短く、前胸・胴体は幅広。
頭楯の突出は弱くて付け根部分はかまぼこ状、複眼縁は角ばらない。
Prismognathus katsurai H.Ikeda,1997:30,figs.4-5
N.Vietnam [Piaoc,Cao Bang,N.Vietnam].
P.dauricusに似るが、複眼縁が真横に大きく突出するので区別は容易。
顎中央部の内歯は発達し、頭楯はやや幅広、頭部後方の幅は狭く、ケイ節は太短い。
Prismognathus klapperichi Bomans,1989:7,15-16
中国(福建省,広東省,浙江省) [Chine,Fukien,Kuatun].
P.dauricusに似るが、顎中央部はややくびれ、顎先は前方を向き、顎先端付近の内歯はやや発達して内側に向く。
頭楯はやや突出し、複眼下の膨らみはやや強く、前ケイ節はやや太くて湾曲が強い。
特徴的にはよく似ているので亜種くらいなものかもしれません。
Prismognathus kucerai Baba,2004:27-28,figs.4-7,9
NW.India [Mandoli,Utar Pradesh State,India].
P.delisleiに似るが、全体的に強壮な印象。
頭部は大きく、複眼は小さめで真横への突出は弱い。
前胸側面はやや丸みを帯び、前胸後方湾入部の後方はやや丸まる。
Prismognathus kurosawai Fujita et Ichikawa,1986:177-179
N.Thailand [Doi Inthanon,northern Thailand].
P.kanghianusに似るが、顎は短く、頭部は小さく、胴体は幅広。
頭楯は1山状で、複眼縁は角ばらない。
Prismognathus lucidus Boileau,1904:278
NE.India [proviennent du Sikkim].
P.castaneusに非常によく似るが、頭楯は1山状で、胴体はぼってりした印象。
確認したタイプ標本は不鮮明な写真ではっきりとした特徴は見えなかったのですが、
複眼下の膨らみは弱くて胴体はぼってりしているので、
新大図鑑でP.lucidusとされている個体は別種と思われます。
Prismognathus mekolaorum Okuda et Maeda,2015:29,32,33-34,figs.13-16,25,27
Arunachal Pradesh [Lower Dibang Vally, Arunachal Pradesh, northeastern India].
P.davidisの顎を短くしたような種類。
頭部・胴体は大きく、前胸はかなり寸詰まり、前ケイ節は細くて外棘は長くて数が少ない。
Prismognathus miyashitai H.Ikeda,1997:29,figs.1-2
N.Vietnam [Sapa,N.Vietnam].
P.triapicalisに近縁と思われる。長歯型は見たことはありません。
P.triapicalisと比べると、顎は細くて、顎付け根の内歯は長く、頭部は大きく、頭楯は突出の弱い2つのかまぼこ状。
Prismognathus miyashitai ssp.
N.Myanmar
新大図鑑では分けられてませんが、亜種くらいにはなりえると判断しました。
本個体群では長歯型も確認でき、P.triapicalisに似ていますが内歯は先端が二股でやや基部寄りに1本備えます。
頭楯は発達は悪く、複眼縁はやや丸みを帯び、ケイ節は長め。
Prismognathus nigricolor Boucher,1996:70-77
中国(雲南省) [Chaine Gaoligong,frontière sino-birmanie].
日本で主に本種とされている種群は別種のようで、本来はP.davidisに似た種類のようです。
P.davidisとは頭楯が1山状、複眼縁があまり突出せずにほぼ直角状、胴体はやや幅広。
新大図鑑のP.davidisの大きい個体は本種っぽいです。
Prismognathus nosei Nagai,2000:99,figs.91-94
N.Myanmar [N Kachin].
P.lucidusに似るが、顎先端は細く、頭楯は双山状、
複眼縁は突出し、複眼下は膨らまない、前胸側面中央はややくびれる。
Prismognathus parvus Didier,1928:79,fig.38
Assam,Bhutan [l'Assam et du Bhoutan britannique].
分けちゃったけどP.subnitensと同種でしょう。
Didier,1928に出ている記載文の絵と全く同じものがDidier & Séguy,1953ではP.subnitensとして紹介されています。
タイプ標本を見てあえて違いを言うなら、前ケイ節がやや太い?
Prismognathus passangi Okuda et Maeda,2015:35-39,figs.13-15,19,21(a-b),23
Arnachal Pradesh [West Kameng, Arnachal Pradesh, northeastern India].
出たばかりの月刊むしで記載された種類なので、画像は模写にとどめておきます。
P.lucidusによく似るが、頭部・前胸は小さく、上翅には点刻列が並ぶ。
Prismognathus piluensis Sakaino,1992:10-12,figs.1-5,11
台湾中部(花蓮縣碧緑,台中縣鞍馬山) [Pilu,Hualien-Hsien,Taiwan].
通称「ヘキロクオニ」。
P.formosanusに似るが、顎は太く、複眼縁はやや角ばり、
前胸は幅広で、胴体は寸詰まり、上翅の光沢は弱い。
Prismognathus platycephalus (Hope,1842):83,fig.2 [Lucanus platycephalus]
=Prismognathus branczicki Nonfried,1905:11-12 [Ou-Hou,Süb-west-China].
Assam,Bhutan,Nepal,中国(雲南省) [Kasya Hills,near the boundary of Assam].
Dorcus multicavusのような顎が特徴的な種類。
複眼縁は真横に大きく突出し、胴体は大きく、全体的に光沢がある。
Prismognathus prossi Bartolozzi et Wan,2006:61-68
中国(チベット,四川省,青海省,雲南省) [China,Xizang(Tibet),Fa-Mu-Dui,Linzhi].
P.davidisによく似るが、複眼縁の形状で区別は容易。
顎はやや短くて直線的、胴体はやや寸詰まり。
Prismognathus ruficephalus Lacroix,1978:281-286,fig.14
Assam [Assam,Naga Hills].
細長い印象の変わった種類。
顎の発達は悪く、複眼縁は角ばり、頭楯は1山状、前胸後方は湾入する。
Prismognathus shani Huang et Chen,2012:9-10,figs.29,61-64,111,146-147,180,208,235
中国(四川省,雲南省) [CHINA:Sichuan:Ya-an City,Tianquan County,Erlangshan].
P.davidisを貧弱にしたような種類。
P.nigricolorにもよく似ていて、顎はやや短くて細く、
複眼縁は角ばるがやや丸みを帯び、複眼下はやや膨らむ。
Prismognathus sinensis Bomans,1989:16
中国(福建省,浙江省) [Chine,Fulien,Kuatun].
♀のみで記載され、ホロタイプを見た限りではP.triapicalisに近縁のように見えます。
本種の♂と思われる個体を考察すると、
P.triapicalisに似るが、顎は太短く、頭楯は突出した五角形状、複眼縁は張り出さず、
胴体は幅広、前ケイ節は太くてやや湾曲する。
Prismognathus siniaevi H.Ikeda,1997:29-30,fig.3
N.Vietnam [Sapa,N.Vietnam].
P.davidisに似るが、顎は直線的、複眼縁は斜め前方に大きく突出し、
前胸は丸みを帯び、胴体は長い。
Prismognathus siniaevi rattakiti Nagai,2005:32-34,36,fig.3
N.Myanmar [Chudo Razi,NE. Kachin,northern Myanmar].
原名亜種に比べ、顎はやや太短く、複眼縁は真横を向き、胴体はやや幅広。
Prismognathus subnitens (Parry,1862):112(G. Cyclorasis
NE.India,Nepal [Ind.Or.].
P.castaneusに似るが、顎の湾曲は弱く、頭楯はエリンギ状、
複眼下は大きく膨らみ、胴体は幅広で寸詰まり。
Prismognathus sukkitorum Nagai,2005:36-38,figs.21-23
N.Myanmar [Chudo Razi,NE. Kachin,northern Myanmar].
P.kurosawaiに似るが、頭楯はなだらかな1山状、複眼縁は角ばり、
前胸側面は直線的、ケイ節は太い。
Prismognathus triapicalis (Houlbert,1915):19-21,figs.4-5 [Gonometopus triapicalis]
中国(四川省,貴州省,雲南省,陝西省) [Ta-Tsien-Lou].
顎先端が三叉状になるのが特徴的な種類。
よく似た種群が多数見られて厄介なグループで、
個体変異なのか別種なのかよくわかりません。
P.mitashitaiに似るが、頭楯は突出した3つ山状、頭部は小さい。
Prismognathus yukinobui Nagai,2005:34-35,37,figs.14-17
N.Myanmar [Chudo Razi,NE. Kachin,northern Myanmar].
P.kuceraiに似るが、顎はやや発達し、頭部・前胸は小さく、
前胸後角は突出し、符節はやや長い。
Prismognathus zhangi Huang et Chen,2013:35-36,pl.11-figs.A(1,2)
中国(雲南省) [CHINA: Yunnan province: Lijiang City, Ninglang County, Gou-zuan-dong Pass].
P.nigricolorの小型個体に似るが、顎は太くて先端は内側に向き、
頭部は小さく、頭頂部はV字状に隆起し、前胸後方はやや大きく湾入し、上翅は艶消し状。
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