2014年07月08日
Velutinodorcusグループ
Velutinodorcusは要はDorcus属の和名「サビクワガタ」と言われるグループです。
Velutinodorcus Maes,1992は正確には記載としては無効みたいですが、
分類をわかりやすくするために使用してます。
Velutinodorcus Maes,1992は正確には記載としては無効みたいですが、
分類をわかりやすくするために使用してます。
1:D.carinulatus 記載文の絵 Nagel,1941より
2:D.carinulatus
3:D.japonicus Paratype Araya,1999より
4:D.koreanus 飼育品
Dorcus carinulatus Nagel,1941:56-57,fig.3
[Type Locality] Horisha(Insula Formosa)
台湾に分布。
分類に混乱があった種類(D.carinulatus=D.taiwanicusとされたりもした)ですが、
記載文の絵からもそれぞれが別種であることがわかります。
内歯が尖り、前胸上縁部は丸まる(やや角ばる)。
Dorcus japonicus Nakane et S.Makino,1985:19-23,figs.1,5,9(a-b),12
[Type Locality] Gozendo, Isen-cho, Tokunoshima Is.
徳之島に分布し、鹿児島県佐多岬からも数頭記録がある。
D.carinulatusに似るが、
内歯は尖らず、前胸上縁部はあまり丸まらない。
Dorcus koreanus Young-Chul Jang et Shinya Kawai,2008:103-106,figs.1-4,7
[Type Locality] Haenam-gun,Jeollanam-do,Korea
韓国に分布。
内歯の位置は近縁2種に比べて より基部に寄る。
前胸上縁部は丸まり(丸みを帯びる)、後方に行くほどやや幅広になる。
上記3種を亜種とする研究者もいます。
頭楯の形状や上翅の毛の生え方でも区別はつきますが、
個体差で微妙な形状をしていたり、土のせいで分かりにくかったりもします。
判別の仕方としてはあまりいいやり方ではないですが、
歯型で区別するのが手っ取り早いでしょう。
♀は頭楯で区別できますが ラベルが無い状態だと同定は困難かもしれません。
1:D.velutinus
2:D.kawamurai Holotype Fujita,2010より
3:D.tenuihirsutus Holotype Kim&Kim,2010より
4:D.tsunodai Holotype Fujita,2009より
5:D.ursulus Type Arrow,1938より
6:D.u.ssp. S.Vietnam
7:D.taiwanicus Type(Holotype?)と記載文の絵 Huang&Chen,2013より
Dorcus velutinus Thomson,1862:426-427
[Type Locality] India bor.
[sny] Gnaphaloryx cinereus Boileau,1902:321 [Sikkim].
シッキム〜ベトナム、中国南部と広く分布する。
やや「くの字」に曲がった大顎が特徴的。
前胸側面中央部は内側にやや湾入する。
広域に分布していますが、変異は感じられません。
Dorcus kawamurai Fujita,2010:20-21,fig.279,fig.809
[Type Locality] Mt.Sandakphu,Darjeeling,NE India
ダージリン〜ブータン〜アルナチャルと分布。
D.velutinusによく似るが、明らかに体型は細身。
内歯はへら状になり、前胸は台形状。
♀も細身で、前ケイ節は太い。
旧大図鑑 のブータン産の♀(fig.421(9))は本種の♀と思われる。
Dorcus tenuihirsutus Kim et Kim,2010:67-69,figs.7(a-f),8(a,d,g)
[Type Locality] KOREA:Hwangi-ri/ Yangyang-gun, Gangwon-do
韓国〜中国(甘粛省まで)に分布。
黒味が強く、やや細身。
顎は弧を描く感じで湾曲し、複眼縁はやや強く突出し、前ケイ節はやや湾曲する。
♀は前ケイ節が太い。
上翅の毛の列はつながる。
Dorcus tsunodai Fujita,2009:4-5,fig.14
[Type Locality] near Dalat,S.Vietnam
南ベトナム〜中央ベトナム(コンツム)に分布。
♂は大きな内歯が出るので区別は容易。
前胸の点刻は荒く、上翅に点刻列がみられる。
♀も同様。
Dorcus ursulus Arrow,1938:55-56, fig.5
[Type Locality] N.INDIA:Pedong,Darjeeling Distr.
シッキム〜ベトナム、中国(雲南・チベット)に分布。
D.velutinusによく似ていて、分布域もかぶってます。
体型は幅広で、前胸はやや寸詰まり。
1番の区別点は複眼上に丸い瘤が出ます。
Dorcus ursulus ssp.
[Distribution] S.Vietnam
広域分布のD.ursulusですが、南ベトナムの個体群はけっこう変わっていました。
体型や前胸の形状などはD.velutinusによく似ていますが、
複眼上に瘤があるのでD.ursulusになります。
その瘤も他の産地の個体群に比べかなり大きいです。
Dorcus taiwanicus Nakane et Makino,1985:19-25,figs.2,6,10,13
[Type Locality] Lushan Spa, Nantou, Taiwan
台湾に分布。
顎はやや細長て内歯は鋭く、体型もやや細身。
D.velutinusに混ぜられると見分けは困難で、亜種くらいなものかもしれません。
1:D.cylindricus Fujita,2010より
2:D.bobi 記載文の絵 Didier,1927より
3:D.bobi Type Mizunuma&Nagai,1994より
4:D.rugosus Fujita,2010より
D.immundus Type Arrow,1938より
Dorcus cylindricus Thomson,1862:427
[Type Locality] India bor.
[sny] Dorcus rosti Zang,1906:184 [Kashmir].
Dorcus bobi Didier,1927:191-193,figs.1-3 [Kaschmyr].
北西インド〜ネパールに分布。
顎の発達の弱い種類で、。
体型は細身で、頭楯はかまぼこ型。
D.bobiは本種のシノニムとされていますが、
頭楯の幅は狭くてやや突出し、複眼縁は大きく、ケイ節は太い、など違いがみられます。
記載文ではD.rostiと比較されています。
Maeda,2014(BeKuwa)では独立種として紹介されています。
Dorcus rugosus Boileau,1904:39-40
[Type Locality] Madura
[sny] Eurytrachelus travancorica Gravely,1915:425-426,fig.5 [South India:Travancore-High Range].
南インドに分布。
ずんぐりした体形でかなり特徴的な種類。
黒色で、全体的に点刻が荒く、光沢がある。
前胸上縁部は丸まり、前ケイ節は太くてやや湾曲する。
Lissotes属に似た雰囲気の種類です。
Dorcus immundus Arrow,1938:56-58, fig.8
[Type Locality] S.INDIA:Camp Valparai,Coimbatore
南インドに分布し、特徴を見るにD.velutinusに近縁と思われます。
複眼縁の発達は弱く、大顎は長い。
1:D.mineti 記載文の絵 Delisle,1974より
2:D.mineti
3:D.multicavus ギネス個体 25o
Dorcus mineti DeLisle,1974:52-54,figs.1(a-b)
[Type Locality] Tapah,Malaysia
マレー・スマトラ・ボルネオに分布。
波歯状に歯型、王冠型の頭楯、台形状の前胸、とかなり特徴的な種類。
Gnaphaloryx tricuspis Ritsema,1882を本種と同種とする研究者もいますが、
G.tricuspisはG.dilaticollisのシノニムです。(タイプ標本確認済み)
Dorcus multicavus Mizunuma in Mizunuma et Nagai,1994:30-31, fig. 86(a-f), p. 274, pl. 113, fig. 427(1-5)
[Type Locality] Pulu Pulu,near Rantepao
分布域も特徴もかなり特異な種類。
中央スラウェシ〜南スラウェシに分布。
長い大顎に四つ歯気味のへら状の内歯、
両端が突出する頭楯、複眼下が尖る、
前胸側面後方は尖ってそこから湾入する。
【Dorcusの最新記事】
この記事へのコメント