大図鑑に載ってないクワガタたち（主に）

FalcicornisはD.groultiに近縁なグループになります。

Huang&Chen,2013ではMacrodorcasから分離させて、
MacrodorcasはDorcusに含め
FalcicornisにPogonodorcusを統合して独立させています。
当方はMacrodorcasをDorcusの亜属に位置づけして、
FalcicornisとPogonodorcusはその下位と考えています。

Macrodorcas Motschulsky, 1862:15 (type: Psalidostomus rectus Motschulsky, 1857)
=Falcicornis Planet, 1894:44 (type: Falcicornis groulti Planet, 1894)
=Macrodorcus Felsche, 1898:48 (type: Psalidostomus rectus Motschulsky, 1857)
=Pogonodorcus Séguy, 1954:189 (type: Prosopocoelus elegantulus Albers, 1891)


1:D.groulti 　記載文の絵　Planet,1894より
2：D.groulti 　Fujita,2010より
3：D.g.sagaingensis　Types Fujita,2010より
4：D.g.suzumurai Types Fujita,2010より

Dorcus groulti (Planet,1894):44-45,figs. [Falcicornis groulti]
[Type Locality] Inde[sny] Dorcus barbarus Jordan,1894:485-486,fig.2 [Assam].

アッサムに分布。
赤みの強い体色と、くの字に湾曲した大顎が特徴的で他種との区別は容易でしょう。


Dorcus groulti sagaingensis Fujita,2010:17,233,figs.684(4-7)
[Type Locality] NW Sagaing,N.Myanmar

ミャンマー北部に分布。
D.groultiの中では一番入手が容易。
光沢が強く、上翅接合部は黒っぽくなる。


Dorcus groulti suzumurai Fujita,2010:17-18,233,fugs.684(8-11)
[Type Locality] Nan,NE Thailand

タイ北部に分布。基準産地がNanなのでもしかしたらラオスからも採集されるかも。
体型はやや細身で、光沢は弱い。
前胸前方は先端に向かって尖る。



1：D.vernicatus Holotype Arrow,1938より
2：D.vernicatus Fujita,2010より
3：D.vernicatus N.Myanmar
4：D.vernicatus Huang&Chen,2013より
5：D.sircari　Fujita,2010より

Dorcus vernicatus Arrow,1938:58-59,fig.7
[Type Locality] ASSAM:Shillong District

同定に混乱がありましたが、Typeを見ると現在の同定で大丈夫なようです。
分布はインド・ブータン〜ミャンマー〜チベット。
D.humilisに似ますが、やや大型。


Dorcus sircari (Lacroix et Ratti,1975):112 [Hemisodorcus sircari]
[Type Locality] Assam,Khasi Hills,région de Shillong

アッサムに分布する珍品。
D.vernicatusに似るが、やや大型で顎は直線的。
中型個体の内歯はやや4つ歯状になる。
頭楯の突出はやや弱く、中央部は内側に湾曲する。
前胸上縁部のくびれはやや強い。



1：D.nageli Holotype Arrow,1935より
2：D.humilis Paratype Websiteより
3：D.humilis　Huang&Chen,2013より
4：D.itoi
D.heyangi Paratype Huang&Chen,2013より

Dorcus nageli Arrow,1935:112-113,fig.1
[Type Locality] Assam

アッサムより記載された。
不鮮明な写真しか見たことが無いですが、
頭楯は台形のように見え、前胸は大きいようです。


Dorcus humilis Arrow,1935:111-112
[Type Locality] N.BENGAL:Gopaldhara,Rungdong Valley; BHUTAN

インド・ブータン〜ミャンマー〜チベットに分布。
D.vernicatusに似ていて、分布域もかぶっているのでちょっと厄介です。
やや小型で細身で、体色は明るめ。
顎は細くてやや湾曲は弱く、頭楯の幅は狭くてやや突出する。
上翅の光沢はやや強い。


Dorcus itoi (Bomans,1993):400-401, 406,fig.3 [Macrodorcus itoi]
[Type Locality] Tam Dao, N.Vietnam

D.taibaishanensis（D.kusakabei）と同所で得られますが、
内歯は小さくて尖り、頭楯の形状で区別できる。
ベトナム北部、ラオス北部、中国南東部に分布。


Dorcus heyangi (Huang et Chen,2013):280-281,pl.48-figs.56(1-3) [Falcicornis heyangi]
[Type Locality] CHINA: SE Tibet: Linzhi Pref., Motuo County, Hanmi

チベットより記載された新しい種類。
細身で頭部が小さく、発達の悪い大顎が特徴的。
体表は艶消し。



1：D.taibaishanensis Holotype Schenk,2010より
2：D.t.kusakabei Holotype Fujita,2010より
3：D.t.hagiangensis
4：D.t.ssp.　N.Thailand
5：D.t.ssp.　S.Myanmar
6：D.t.ssp.?　C.Vietnam

Dorcus taibaishanensis (Schenk,2008):8,fig.9 [Macrodorcas taibaishanensis]
[Type Locality] China, Shaanxi, Zhouzi county, Tai Bai Shan

以前にD.vernicatusとされていた種類です。
中国各地から記録があります。
中国以外の産地では場所によって変異が見られるので、
中国の個体群もよく調べれば区別できるのかもしれません。


Dorcus taibaishanensis kusakabei Fujita,2010:18,233-234,figs.687(1-5) [Dorcus kusakabei]
[Type Locality] Chudo Razi,NE Kachin,Myanmar

ミャンマー北部から独立種として記載されましたが、
D.taibaishanensisの亜種くらいなものでしょう。
顎はたた小さく、頭楯の幅は狭い。
複眼縁はあまり突出せず、前胸はやや小さ目。
Huang&Chen,2013ではシノニムとして処理しています。


Dorcus taibaishanensis hagiangensis Fujita,2010:18,234,figs.687(9-11) [Dorcus kusakabei hagiangensis]
[Type Locality] border of Yunnan,NW of Ha Giang City,Ha Tuyen,N.Vietnam

北ベトナム・北ラオス・広西・海南島に分布。
顎は直線的で、内歯は丸みを帯びる。
頭楯は丸みを帯び、中央部がやや凹む。


Dorcus taibaishanensis ssp.　
[Distribution] N.Thailand

顎はやや直線的で、内歯は上下に幅広。
頭楯の角は丸まる。


Dorcus taibaishanensis ssp.[Distribution] S.Myanmar

内歯は小さい。
頭楯の突出は強く、角は丸まる。


Dorcus taibaishanensis ssp.
[Distribution] C.Vietnam

中部ベトナムのNghe Anで得られました。
内歯は小さく、頭楯は強く突出して中央部の凹みはやや弱い。