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ν賢狼ホロν
「嫌なことなんて、楽しいことでぶっ飛ばそう♪」がもっとうのホロです。
ザ・タイピング・オブ・ザ・デッド2
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2009年02月05日
『闇に抗う自動人形(オートマタ)』(前編) part3

に抗う自動(オートマタ)』(前編)

いなづまこと様作


かつて副都心と呼ばれた瓦礫の山。ダーククロスが来る前までは数々のうず高い高層ビルが列をなしていたそこは、今は見る影も無く荒れ果てかつてあった文明の残滓をそこに刻んでいた。
目立つ所だっただけに真っ先にダーククロスの淫略に狙われ壊滅したそこは、当然人間など住めるはずがないほどに荒れ果て、他の生物の侵入すらかたくなに拒み続けていた。
が、そんな不毛の空間を歩く二つの影があった。
全く同じ背格好、色こそ違え全く同じ服装を纏ったその姿はあのハクとコクである。
二人は歩く歩幅も全く変わることなく、一定の距離を開けながら瓦礫の山をすたすたと進んでいた。
もはや狩るべき人間がいないこの副都心跡にダーククロスの構成員はまず現れない。
いや、現れたとしてもこの二人を見た瞬間ダーククロス側が逃げ出すだろう。もっとも、二人を目の当たりにして逃げられた淫怪人など、それこそ片手で数えるほどもないのだが。
それほどまでに、この世界でのハクとコクは恐れられていた。
何しろ、自分たちの自慢の淫力が全く通用せず、淫怪人すらはるかに凌駕する戦闘能力で確実に葬ってくるのだ。
そのあまりに無慈悲な殺戮の様にハクは『煉獄の白い悪魔』。
そのまるで舞踊のような流麗な殺しの技にコクは『踊る黒い死神』と称され、目撃イコール死という認識をこの世界の淫略を任されている淫怪人や戦闘員に与えていた。
もちろん、ダーククロスの側もただ逃げていただけではなかった。
いくら強いといっても、ベースは人間のはずなのでどこか拠点があるのは確かなのだ。ならば、そこを抑えてしまえばある程度は戦闘力をこそぎ落とすことは出来ると考えていた。
だからダーククロスも、以前は二人の後を付けまわしたり上空からアジトを探したりしてみた。
だが、結論から言えばそれはすべて失敗に終わった。
どんなに気配を消して後を追っても絶対に気づかれて抹殺され、どんなに高空を飛んでいようと正確無比な射撃で一匹残らず撃墜されてしまうのだ。
そして、追跡の根が絶ったと同時に二人はいずこへと素早く消え去ってしまうのだ。
はっきり言って、ハクとコクがどれほど抵抗しようがすでにこの世界の9割以上を支配下に置いたダーククロス側からしてみたら痛くも痒くもないのだ。ハクとコクに連動して人間のレジスタンス活動が起こるわけでもなく、被害地域が副都心跡を中心に環状線の内側に限定されているので、そこに近づきさえしなければハクとコクに襲われることは無いのだ。
だが、ダーククロス側からしてみたらこれほど癪なことはない。
これまで色々な次元に魔の手を伸ばし、その徒然で数え切れないほどの世界と勇者をその手に堕としてきたのだ。それもただ一つの例外もなく。
それが、たった二人の小娘相手にまるで歯が立たないどころかいいように蹂躙されてしまっている。
そして、それに対抗する術を淫怪人たちは持ちえてないのだ。

そのあまりの部下の不甲斐なさに、とうとうダークサタンの堪忍袋の尾が切れて自ら参戦してきたことがあった。
『小娘ども!よくもいいように我が下僕どもを葬ってきたものよ。その力、賞賛に値する!
よって、貴様らに我が淫怪人となる栄誉を授けることにする。これからその力、我が役に立てるがよい!!』
道を進む二人の前に突如地面を割って現れたダークサタンの触手が、ハクとコクに向けて淫怪人とは比較にもならないくらいの濃度と密度の淫力をぶつけてきた。
かつてこれに抗えた人間はおらず、どんなに貞淑な人間も、どれほど力を持った勇者と言えどダークサタンの前に淫蕩に支配された笑みを浮かべて肉体を捧げてきたのだ。
「………」
「………」
だが、空気すら遮断するほどの淫力をぶつけられてもハクの顔色は相変わらず白いままでコクの瞳には冷たい光が宿り続けていた。
これはダークサタンにとってはまさに予想の範囲外だった。
『バ、バカな!!淫怪人ならいざ知らず、わ、我が淫力までも利かないというのか?!』
おそらく、こんなにダークサタンを狼狽させたのは数多くの次元でダークサタンに相対してきた勇者の中でハクとコクだけだろう。
淫力に酔ったハクとコクに襲い掛かろうと揺らめいていた触手がきっかけをなくしてまごまごしていたその時、白いきらめきと共にすっぱりと空へと吹き飛んだ。
『ギ、ギャアアァッ!!』
ハクの持つ刀により根元から切断された触手は暫くビチビチと跳ね回っていたが、やがて黒い煙を上げてジュウジュウと溶けて消えてしまった。


「適性生物、ダーククロスと確認。排除します」
ハクが持った刀が、周囲を取り巻いた触手をズパズパと切断する。
「ダーククロスは、排除する」
コクが持った銃が、逃げ惑う触手を正確に撃ち貫く。
『お、おのれえぇぇっ!!小娘どもがぁ!!』
あたり一面に腐臭と汚液を撒き散らした後、敵わぬと見たのかダークサタンの分身は来たときと同じく地面へと引っ込んで消えていった。
「…ダーククロス、認識を消失。戦闘行動を停止します」
「了解。戦闘行動を停止」
ダークサタンの分身が完全に消え去ったのを見て、ハクとコクは得物を懐に収め何事も無かったかのように歩き始めた。

この結果は、ダーククロスの構成員をさらに震え上がらせた。自分たちの主であるダークサタンの淫力すら、それがたとえ本体より数段劣る分身のものでったにせよ通用しないなどとは思いもしなかったからだ。
なにしろ、自分たちはその分身の力に屈して淫怪人として生まれ変わったのだ。
それすら利かないとなったら、自分たちに勝てるはずがない!
それ以降、ハクとコクはダーククロスにとってまさに死神として写るようになった。ダークサタンや幹部たちがどんなに叱咤しようが淫怪人も戦闘員も絶対に二人に近づこうとしなくなった。
じゃあ幹部たち自らが手を出したのかというとそれもない。
ダークサタン分身すら退けた二人に手を出して、無事にすむ道理がないことは火を見るより明らかだからだ。
これにより環状線内側の一帯は、殆どダーククロスの活動がない空白地と化してしまった。それほど、ハクとコクの存在はダークサタンに恐れられていたのだ。
環状線の内側に入らなくなったことにより、悪魔と死神に会うことがなくなった淫怪人たちはようやっと胸を撫で下ろした。
と、言うわけにはいかなかった。
なんと最近、環状線の外側で二人に遭遇した淫怪人がいる可能性があるらしいのだ。
何で疑問形なのかは言うまでもない。
二人に遭遇して、生きて帰ってきた戦闘員も淫怪人もいないからだ。



瓦礫がうず高く積みあがる廃墟。二つの塔が立っていた跡があるそれはかつては都庁と呼ばれていた建築物だが、現在は自慢の塔もぽっきりと折れかつての威容は見る影もない。
外から見るとまったく人の気配が感じられないそこに、ハクとコクは小さな体を折り曲げて中へと入っていった。殆ど日も射さない真っ暗な空間を、二人はまるで日中の外のように軽やかな足取りで先へと進んでいく。
すると、奥のほうにぽつんと灯る一条の明かりが目に入ってきた。どうやらそこが、二人の目的地のようだ。
もはや廃屋と化した都庁の部屋で、唯一電気が生きている部屋。
意外なほどの広さをもつその部屋の中には、都庁には似つかわしい理系の大学の研究室のような設備がごっそりと備え付けられていた。
いや、それはそんな生易しい代物ではない。
正体不明の液体が並々と蓄えられている強化ガラス製の筒。不気味な点滅を繰り返している正体不明の機器。
都庁にあったものをそのまま流用しているスーパーコンピューター。所々に転がっている、用途の不明な物体。
それは大学の研究室というようなものを明らかに超越している、どう見ても映画や小説に出てくる頭の螺子が飛んでいるマッドな科学者の一室だった。
そしてその中心には、そこにいるのが相応しいと断言できるよれよれの白衣を羽織った、目に異常な光を宿した科学者が一心不乱にキーボードになにかを入力し続けていた。

「「ただいま帰りました。創造主」」

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