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ν賢狼ホロν
「嫌なことなんて、楽しいことでぶっ飛ばそう♪」がもっとうのホロです。
ザ・タイピング・オブ・ザ・デッド2
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2009年01月14日
『闇の狭間の淫略〜淫魔竜レナ』 part3
「レナ!」
道すがら襲ってくるモンスターをなぎ払い、ようやっとレナの寝室にたどり着きドアを蹴り破ったファリスの視界に、レナを小脇に抱えたモンスターが今にも窓から逃げようとしている光景が入ってきた。
どうやらレナは気を失っているらしく、青白い顔に目を閉じたままぐったりと力が抜けている。
「て…てんめえぇーっ!!レナを離しやがれーっ!!」
今にも妹がかどわかされようとしている状況に、ファリスの頭の血は一気に上りモンスターに向けて突進していった。
「お、おいファリス!」
それを見たバッツも慌ててファリスの後に続いていく。
「ぶもっ?!」
今までファリスが見たこともない、頭が牛の形をしている筋骨隆々としたモンスターはファリスとバッツの乱入に相当驚いたのか、レナをぽいと投げ捨てると手に持った両手斧を構えてファリスを迎え撃とうとした。
「ぶもーっ!!」
牛の怪物の持つ斧から、見るからに重そうな一撃がファリス目掛けて振り下ろされる。まともに受けたら剣ごと骨までへし折られてしまうだろう。
だが、ファリスを捉えるにはその動きは遅すぎた。
「へっ!のろまが!!」
ファリスは横に飛んで怪物の攻撃を難なくかわすと、そのまま剣を怪物の胴体目掛けて突き出した。
「ぶもぉ!!」
斧を振り下ろして体勢を立て直せない怪物に、ファリスの突きは真っ直ぐに胸板に突き刺さった。
が、怪物もどういう筋肉をしているのかファリスの突きは深々と刺さることなく切っ先がほんの数センチ埋まっただけだった。
「ぶ、ぶもーーっ!!」
だが、傷口から青々とした血を派手に噴出した怪物は苦悶の雄叫びを上げると、形勢不利と見たのかそのまま窓から飛び出しベランダ伝いに逃げ出してしまった。
もっとも、ファリスもバッツもそんなものに構うことなく、床に寝転げているレナに真っ直ぐ向っていった。
「大丈夫か、レナ!おいレナ!!」
身体に外傷は特になく呼吸もしているので取り合えず命に別状はなさそうだが、ファリスが懸命に揺すって語りかけてもレナはぐったりとしたまま全く動こうとしない。
「レナ!レナぁ!!」
「落ち着けファリス!今は一刻も早く城から逃げ出すんだ。このままここにいたらどうしようもなくなる!」
バッツの言うとおり、窓の下から見える城下には夥しい数のモンスターが集まってきつつある。もしこのまま城内に残っていたら、とてもじゃないが対抗しきれない。
「で、でも他の皆は……」
昔の記憶がなくても、人生の大部分を外で過ごしていたとしても、この城はファリスにとってはやはり生まれ故郷なのだ。そして、ここには何年もファリスを待っていた人間が多数いたのだ。
その人たちを残して自分たちだけ逃げることに、ファリスは躊躇していた。できるなら、生き残っている人間全員引き連れて脱出したい。
だが時間は刻々と迫っている。ほんの僅かな時間の遅れが、今は致命傷になりつつあった。
だからバッツは冷酷に言い放った。
「だめだ。もうそんな時間はない。他の人たちは幸運があるのを祈るしかない」
一人での長い放浪の経験があるだけあってバッツはその辺の決断は迅速だった。ファリスも海賊を率いていたので決断力がないわけではないが、それ故どうしても『仲間』『家族』を大事にするきらいがあって非情な判断を下すのには躊躇いがちになってしまう。
「ほら急ぐんだ!今ならまだ外に出られる余裕はある!」
バッツはファリスからレナを奪って抱え上げると、駆け足に寝室から飛び出していった。ファリスに何も言わないのは、もう議論をする必要も余裕もないという決意の現れであろう。
「………畜生!!」
ほんの少しの時間震え固まった後…、ファリスは後ろ髪を引かれるような思いで寝室を後にした。
これまでに死んだ、これから死ぬと思われる人間たちに心の中で詫びながら。

幸い、裏に隠し止めていた馬にはまだモンスターの手は伸びていなかった。
「ほらファリス。しっかり抱えているんだぞ!」
バッツはファリスの馬にレナを預けてから、自分の馬の手綱を解き放った。
どうやら自分が先頭に立ち、ファリスとレナの血路を開くつもりのようだ。
「いいか、もし俺が遅れても決して助けようとするな。全力で逃げるんだ。いいな!」
「そんな?!俺だって……」
「レナを抱えているのを忘れるな!俺なら一人でもどうにかなる。なにがあっても絶対に馬を止めるんじゃないぞ!」
そう言うなり、バッツを馬を走らせ始めた。行く先には、バッツたちの気配を察して集まり始めたモンスターが十重二十重と。
「うおおおぉっ!!」
馬の上からバッツが剣を振るう。その斬檄にたちまちモンスターの一角が崩れ、突破口が作り出されていく。
「いいなファリス!もし俺とはぐれたら、お前達二人だけで先にクルルのいるバル城へ行くんだぞ!」
「くそぅ…死ぬなよバッツ!お前が死んだら俺は、俺はよぉ!!」
その突破口目掛けてファリスが馬を突っ込ませていく。たちまちのうちに周りは血飛沫と怒号と悲鳴に包まれ、自分が前に進んでいるのか後ろに進んでいるのかすらもわからなくなってきている。
「ちきしょう!ちくしょう!ちくしょう!!」
前を進んでいるはずのバッツの姿が、いつのころからか確認できなくなってきている。だが、バッツとの約束から決して馬を止めることはなく、脱出路を目指しひたすら突き進んでいる。
(死ぬなよバッツ!死ぬんじゃねえぞ!!)
こうなってはもうファリスはバッツの無事を祈るしかなく、レナをしっかりと抱えながらもみくちゃになったタイクーン城下をひたすら駆け続けていた。
そんな大混乱の中、意識がないはずのレナの口元が不自然に上に釣りあがっていた。
が、逃げるのに夢中のファリスがそれに気づくことはなかった。

そしてようやっと包囲網を抜け出した時にはファリスは完全にバッツとはぐれていた。
「大丈夫だ……。あいつは絶対大丈夫だ。どうにかなるって、言っていたじゃないか……」
もしかしたら、先にアジトの洞窟に向っているのかもしれない。ファリスはそう納得し、先を急いだ。
「そうさ。俺が行ったら先についていたバッツが『遅かったな』っていって迎えてくれるんだ。
あいつは昔からそういう奴さ。いつもこっちを驚かせやがるんだ……だいたいあいつは……」
ファリスは自らにそう言い聞かせ、心の平静を保とうとした。
そうでもしないと、先に心が参ってしまいそうだったからだ。

だが、ファリスがアジトに辿り着いた時、そこにバッツはいなかった。バッツが乗っていたはずの馬もどこにもいなかった。
「……バ……そんな……
いいや!あいつが死ぬはずがない!あいつがこんなことで、ことで……!」
そうだ。待とう。もしかしたら少し遅れているだけかもしれない。どうせ落ち合うところはここと決めてあるのだ。しばらくしたら、きっとケロッとした顔でやってくるに違いない。
ファリスはとりあえず奥にあるアジト跡に引っ込み、まだ残っていたベッドにレナを寝かせて自分は洞窟の入り口辺りに身を伏せた。
こうすれば、もしタイクーンの方からモンスターがやってきてもすぐに引っ込んで地底湖から船をだせるし、また少しでも早くバッツを視界に捉えたいという意味もあった。
「まったく…おいバッツよぉ……。ちんたらしてるんじゃねえよ……」
そのままファリスはバッツの帰還を待ち続けた。


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