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ν賢狼ホロν
「嫌なことなんて、楽しいことでぶっ飛ばそう♪」がもっとうのホロです。
ザ・タイピング・オブ・ザ・デッド2
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2008年12月21日
『天装勇者セイバーエンジェル』 Part2
☆序説・安部麗&鈴


日本のS県の県庁所在地の郊外にあるとある大きな建造物。
表向きは火山活動の研究施設ということになっているが、この建物こそ淫略帝国ダーククロスに立ち向かうため国連が秘密裏に結成した防衛機構『セイバーズ』の日本支部であった。

現在セイバーズはダーククロスに立ち向かうことが出来る地球でただ一つの組織である。ダーククロスの淫怪人は地球にある武装では、例え核兵器であろうと淫怪人には傷一つつけることはできず、またどんな対BC防御を施しても淫怪人から発せられる淫力を防ぐことは叶わず男女問わず性の虜となってしまうのだ。
だが、セイバーズ創設者によってもたらされたセイバージュエルは淫怪人の淫力を完全に遮断する能力を持ち合わせており、またセイバージュエルはジュエルに選ばれた少女達に纏われることで少女達に淫怪人に対抗できる戦闘能力を与えることも出来た。

創設者が持ってきたセイバージュエルは全部で6つ。このうち一つは研究用に回され、残りの5つを選ばれた5人の少女達に与えることで対ダーククロス戦隊『セイバーエンジェル』を組織した。
ジュエルの解析が進めばもっとセイバーエンジェルになれる人間も増えるのだろうが、現在はこの5つがダーククロスに対抗する唯一の手段だった。
ダーククロスは当初は世界の各地に出没していたのだが、セイバーエンジェルに自分たちの得意攻撃が通用しないと見るやセイバーエンジェルがいると思われる日本を中心に淫略の手を伸ばしてきた。それだけセイバーエンジェルを脅威に見ているのだろうが、裏を返せばセイバーエンジェルさえ篭絡すれば後は自分たちの淫略を防ぐ手立てを地球がもっていないということ知っている意趣返しとも取れる。
そのため、セイバーズは基地の場所やセイバーエンジェル及び隊員の個人情報は徹底的に秘匿していた。

人間の姿に擬態することも可能な淫怪人がもし基地内に侵入したり、隊員がダーククロスの手に堕ちればその時点でセイバーズが壊滅的な被害を受けるのは必定だからだ。
そのため、セイバーズ日本支部は内々に五重、六重のセキュリティが内蔵されていた。中には現代の科学では実現が困難だとしか思えないシステムも多数搭載されている。
これについては後述する機会もあると思うが今回は以下省略。
とにかく、この徹底した情報秘匿により現時点でここがセイバーズの実質的な本拠地であることはダーククロスに知られてはいなかった。

だが、綻びというのはいつも些細なことから起こるのである。



「お疲れ様でしたー」

セイバーズのシステムオペレーターの一人、安部麗(うらら)は今日の雑務を終え守衛に挨拶をしたあと珍しく心を弾ませながら家路についていた。
何しろ今日、久しぶりに妹の鈴(れい)が尋ねてくると電話があったのだ。麗はセイバーズに配属されてから約半年、肉親との面会もままならないほど仕事に忙殺されておりとても誰かと会う余裕などなかったのだ。
もちろん、自分がセイバーズに勤めているということは家族にも秘密にしている。セイバーズに所属している隊員には守秘義務があり、もし一言でも漏らした場合は即解雇即監禁。聞いた相手も同様の措置というとても厳しいペナルティが待っているのだ。

お姉ちゃんっ子だった鈴に秘密を持つのは麗としては忍びなかったが、姉妹共々どこへと知れぬ地に監禁されるよりはましである。

正直最近の忙しさに麗もかなりストレスを溜めていたので、こうして妹と一時の団欒を過ごせることは素直に嬉しかった。
(今日は沢山飲んで、愚痴でも語り合うかしらね)
ビニールの袋に缶ビールをパンパンに詰め、麗はマンションのエレベーターへと入り込んだ。

麗が自宅の玄関前に辿り着いた時、横の窓から明かりがもれているのが見えた。
鈴には鍵の保管場所を教えていたので、どうやらもう家の中に入り込んでいるようだ。
「ただいまー!」
麗は鈴を驚かせようとしたのか、大声を上げながらドアを勢いよく引き開けた。だが

「……………」

中からは誰の声もしなかった。

麗の目の前には灯りのついた誰もいないダイニングキッチンと奥へと続く閉ざされたドアのみ。
「………鈴?」
変に思った麗だが、とりあえず家の中へと上がり奥へと進もうとした。
「っ!」
が、その時麗の心の中にザッと冷たい空気が横切っていった。
心の中に物凄い圧迫感と悪寒が吹き上がってくる。この扉を開けたら、もう後戻りできないような予感がしてくる。
(何か……おかしい!)
異常を感じた時はすぐにその場を去りセイバーズへ連絡を入れる。その鉄則に従い、麗は家の外に出ようとした。
が、その時

「…お姉ちゃん………」

微かな、本当に微かな声だがドアの奥から妹の鈴の声が聞こえてきた。
「鈴っ?!」
その瞬間、麗は鉄則も悪寒も全て忘れ、奥へと走って部屋のドアをぶち開けた。
そして、その時目に入ってきたものは

「あら、お帰りなさい。お姉さん」

ベッドの上に悠然と座る見知らぬ女と、その奥で喘ぎ声を上げて突っ伏している妹の姿だった。
「…誰……、あなた………」
あからさまに怪しい女に、麗は身構えながら声をかけた。本当ならすぐに逃げ出すところなのだが、後ろに妹がいる以上見捨てて逃げることはできない。その時点で甘いと言わざるを得ないのだが。
「初めまして。私の名前は紫。親衛軍隊長で淫魔姫の称号をもつ者。
ああ、ダーククロスの淫怪人と言ったほうがあなたには分かりやすいかしら?」
目の前の女は名乗りを上げると共にその姿を大きく変じていった。
肌の色は異形の薄緑に変わり、背中からは烏よりも黒い羽がバサッと伸びてくる。恐ろしくも艶やかなその姿は名乗ったとおり淫怪人と言うに相応しい。
「ダーククロス?!」
その言葉を聞き麗は仰天した。なんでダーククロスの淫怪人が自分の部屋にいるのか。
「驚いたかしら?安部麗さん。まあ、私が本気を出せば貴方達の素性を探るのはそう難しいことではないわ。
もっとも、貴方達は本当にセキリュティが厳しいからちょっと時間はかかったし、自宅まで特定できたのは貴方だけだけれどね…
そこで、私たちの世界に迎えにきたわけなんだけれど……。ちょっと予想外の賓客がいてね…」
そう言いながら、紫は鈴の汗だくの尻をぬるりと撫でた。
「あっ…ふうぅ……」
ただそれだけなのだが、鈴はよほど気持ちいいのか顔を真っ赤にしながら悩ましい吐息を上げた。
「思わず…食べちゃったのよ……。おいしかったわよ、あなたの妹……」
「ぐっ…!」
味を反芻するかのように真っ赤な唇をぺろりと舐めた紫の姿は、同性の麗でもグッとくるほど官能に満ち満ちたものだった。
「さあ、貴方にも妹さんと同じ思いを味あわせてあげるわ…。こっちにいらっしゃい…」
紫は手を大きく広げ、麗に自分の元へ来るように求めてきた。紫の顔には慈愛の笑みが溢れ、まるで神のような雰囲気すら漂ってくる。



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