重くて哀しい話ですので、書こうかどうかを迷っています。が、書きます。
このような時、ことばがある事、それを使って文章を書く事を、本当は辛く思います。
居酒屋”もみじ”は心優しい人々の集まりの場です。女将さんが一冊の本を私にこっそりと手渡してくれました。
「好かったら、読んでみて」
本の題名は「知覧特別攻撃隊」。サブタイトルとして、写真・遺書・日記・手紙・記録・名簿と記されています。編:村永薫、推薦:鹿児島県図書館協会・鹿児島県学校図書館協議会とあります。
特攻隊の事は従軍体験のある亡父からも聞いていましたので、少しは知っていました。膨大な戦争関連図書を読んでいた父の面影が浮かびますが、敢えて戦争の事は自ら 口にしませんでした。心の傷が深かったのでしょう。息子の私にはそれを知られたくなかったのでしょう。
本の冒頭、はじめに を紹介します。
薩摩半島の知覧に陸軍の特攻基地がありました。
いま基地跡の東隅に、慰霊の特攻平和観音堂があり、特攻銅像がたち、さらに勇士の遺品を永久に保存するために、知覧特攻平和会館が建立されています。そして千三十六柱の御霊のために、千三十六基の石灯篭の建立事業が進められています。
平和会館の入館者は一日千人をこえています。観光気分で入館した皆さんが、出撃前夜の手紙や日記、遺言や辞世の歌を詠むうちに目頭があつくなり、すすり泣く人もあり、可愛相にというこえも聞かれ、そして涙にむせんで館を後にします。平和会館は涙の出る館であり、涙をさそう館です。
基地の近くに住む私は、もう何十回となく足をはこび、そのたびに涙があふれてなりません。(後略)
村永 薫
読んでいると、私も止めなく涙が流れます。一気に最後まで読み切る事ができません。それで、神坂次郎さんの著書・「特攻隊員の命の声が聞こえる」を買って来て交互に読んでいます。
自分の命と引き換えに、祖国を守ろうと敵艦に体当たり突撃をして散って行った二十歳前後の若者たち。戦争と言う絶望的な境涯の中で、命の尊厳を見事に結晶させた特攻隊員の日記や手紙、遺書は重くて哀しいです。心が震えます。
色々綴りたい事がありますが、今日は止めます。
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