昨日、ブログに「事件から母親の存在を考える」のタイトルで綴った。秋葉原事件を採り上げたが、それに関連する週刊誌の記事をもう一つ紹介する。
それは週刊朝日7/4の「 酒鬼薔薇からアキバ事件まで 私たちは特別な世代だった 1982年生まれの衝撃 」である。既に読まれた方も多いと多いと思う。
記事の冒頭を紹介する。
”魔の17歳”と呼ばれた世代があった。8年前、「西鉄バスジャック事件」など立て続けに起きた少年事件の犯人と同じ1982(昭和57)年生まれのことである。そして、日本中に衝撃を与えた「酒鬼薔薇事件」も、今回の「アキバ」事件も犯人は皆、同い年だ。「他の世代とは違う」。そう語る同世代人たちの心の底に何があるのか----。
そして、世相の解説コメントを織り交ぜながら、この世代の何人かの男女の声を載せている。週刊朝日がこれらの人物に本当に取材したのか、いつ何処で取材したのかの疑問が残るものの、以下に同世代の声のいくつかを紹介する。(記事の中の世相の解説コメントは省略)
●「秋葉原の事件の犯人が私と同い年と聞いた時、なんだかわかる気がしたんです。82年生まれは”特別”な世代ですから」(関西出身の女性:26)
●私たちは”お試し”世代なんです。苦労はどの世代も一緒と言われるけど、私たちは小さい頃から事あるごとに[格差]に直面してきました。自分の力に振り回されることが多くて、どこかイライラしてた。受験も就職も[運河悪かったわね] [その世代、可哀想にね]で終わって何のフォローもない。色々試されてきたのに、(試した側は)何の責任も取っていない。信用しろと言われてもできないですよ」(上記と同じ関西出身の女性:26)
●「授業に追いつけなくて、塾や家庭教師があたりまえになった。でも、おカネがなくてそうできない家の子たちは落ちこぼれる一方だった。私たちは”実験台”として、試行錯誤の教育を受けてきたんです」(福岡県出身の男性)
●「[ローンはどうする] [あの子の家は大変みたい] なんて大人の事情を聞かされて、純粋な子供ではいられなかった」(福島県出身の女性)
●「ゲームの[スーパーマリオワールド]とか流行ったけれど、買える家と買えない家で大きく差が出て、友人関係にも影響が出ましたね。人のゲームを取り上げる子もいれば、仲間はずれにされる子もいた」(神奈川県出身の男性)
このように、同世代の男女の声が紹介されている。最後にこの記事は次のように結んでいる。
ついていない----加藤容疑者の歪んだ心を占めていたこの感情に「共感」する同世代は、決して少なくないようである。
さて、週刊朝日は一体何を言いたいのか。読者に何を伝えたいのか。世相の分析としては良いだろう。しかし、この記事の中には加藤容疑者の犯行の本質に迫り、その原因を追究しようとする姿勢など全く見当たらない。取材した同世代の男女の声の中にも、勿論それは無い。寧ろ、全て社会が悪いのだ、と言わんばかりの上で「共感」を呼ぼうとしているように私は受け止める。
「共感」と言う情緒的な言葉でこの凶悪な事件を記事にする事に、私はメディアに携わる人間の良識を疑いたくなる。
-
no image
-
no image
-
no image
-
no image
-
no image