見当識とは、現在の年月や時刻、自分が何処にいるのか、自分は誰なのか、などの基本的な状況把握のこです。見当識が保たれているかどうかが意識障害の指標となります。
意識レベルの怪しい患者に対して医者は次の3点を質問します。「今はいつ?」 「ここは何処?」 「あなたは誰?」
これらに答えられれば、「意識レベルは正常である」と見做されるわけです。
しかし、掘り下げて考えると、これらにまともに答えることは大変難しいのです。例えば、「今はいつ?」。
「2008年5月29日の午前10時」と答えたとします。この場合、時間としての座標軸は西暦です。もっと遡れば人類誕生からの時間軸、生物誕生からの時間軸、さらには地球誕生からの時間軸、そして宇宙誕生からの時間軸まで行き着きます。宇宙誕生以前の時間軸はないのです。
「ここは何処?」。これに対して「○○県○○市○○町○○番地」と答えたとします。この場合、空間の座標軸は日本です。では、日本は何処にあるのか。地球上の北半球です。地球は何処にあるのか。太陽系宇宙です。太陽系宇宙は何処にあるのか。銀河系宇宙です。銀河系宇宙は何処にあるのか。やはり宇宙に行き着きます。
「あなたは誰?」。これに対して「○○太郎」と答えたとします。○○太郎がここに存在すると言うことは、両親がいるはずです。両親にはさらに両親がいて、そのまた両親と遡って行くと、やはり人類の誕生、生物の誕生、地球の誕生、宇宙の誕生まで行き着くわけです。
何れの場合も行き着くところは宇宙です。自分のなかに脳と言うミクロの宇宙を抱えている人間が行き着くところが広大な果てしない宇宙への疑問です。これが面白いです。
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科学雑誌科ニュートンの7月号特集は「宇宙論」です。どのようにして宇宙は誕生したのか? 宇宙に果てはあるのか? 素朴な疑問から最新理論までが豊富なイラストレーションと分かり易い解説文で80ページに及び紹介されています。
私のような科学音痴には有り難い科学雑誌です。
色々と紹介したいのですが、ジョージ・スムート博士(カリフォルニア大学バークレー校教授:2006年度のノーベル物理学賞受賞)へのNewtonのインタビュー 記事から抜粋して記します。
Newton・・・・現在の宇宙を満たすダークエネルギーの解明が、宇宙創生の直後におきたというインフレーションの解明にもつながるかもしれないですね。
スムート・・・・・何らかの発見をすると、いくつかの疑問に対する答えが見つかりますが、ほとんどの場合、また新たな疑問が生じます。現在も新たな疑問が生じています。インフレーションとは何か、ダークマターとは何か、ダークエネルギーとは何かなどです。宇宙論の分野は、これまで大きな成功をおさめていますが、知識を増やせば増やすほど、既知の領域よりも未知の領域のほうが大きくなってゆくのを感じています。
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