JACO 不世出のジャズベーシスト ジャコ・パストリアスの一生を綴ったドキュメンタリー映画です。
小さな劇場とは言え、レイトショーにもかかわらず満席でした。
彼を一言で表現するのに相応しい言葉はこれしか有りません。
「天才」
古今東西様々な分野に「天才」と呼ばれた人間は有名無名を含めてどのくらいいるのでしょうか?
でも大多数の人にとって天才とは本、放送、最近ならネットからの情報で知り得たものでしょう。
しかし、彼ジャコ・パストリアスは僕にとって自分の目と耳を通して実物を脳裏に焼き付けた唯一の天才なのです。
ジャコのライブコンサートに行ったと言う事実は、1972年のディープパープルの武道館公演と共に音楽好きの知り合いに対して最高の自慢話なのです。
1978年大学4年の時、Weather Reportコンサート、ジャコの初来日として日比谷宝塚劇場で受けた衝撃は今でも忘れられません。
余談ですが音楽評論家で現在ROCKIN' ON社オーナーの渋谷陽一さんと隣の席でした。
当時、個々のプレイヤーのテクニック至上主義から、バンドの総体的アンサンブルこそがポピュラーミュージック(ロック、ジャズを含んだ意味で)重要な事に気付き始めた自分の音楽感が、木っ端微塵に打ち砕かれました。
前の席の背もたれを掴み、身体を乗り出しながら「スゴイ!」と叫んだ自分がそこに居ました。こんな音初めて聴きました。正確無比なリズムに加え、フレットを取っ払ったエレキベースから放たれる得も言われぬニュアンス、何とも表現し得ない音の連続。ここでそのフレーズがくるのか!ベースのハーモニクスでメロディが作れるのか!え、え〜!バードランドの出だしってベースで弾いてるんだ!
ベースはもはやリズム楽器じゃない!4弦のベースでこれだけの事が出来るんだ!
完全にノックアウトされました。演奏が終わって放心状態となった自分がいました。
ステージアクションも素晴らしい。ベースを弾きながらマイケルジャクソンもビックリなムーンウォークを披露。(というかジャコの方が先だったのか)ソロのフィニッシュはベースにニードロップ(笑)
ジャコはロックスターだったのか?!
このライブ以前に、ウエザーリポートのHEAVY WEATHERとジョニ・ミッチェルの逃避行の2枚のアルバムで予習は出来ていたはずだったのですが、レコードを遙かに超えるジャコが奏でるベースの音は、ボクの予想を完全に超越するものだったのです。
その後、翌年 翌々年とウエザーリポートを、更に東芝オーレックスジャズフェスティバルでジャコパストリアスビッグバンドを、そしてワードオブマウスバンドと都合7回見ましたが、どれも素晴らしいパフォーマンスでした。
その後のジャコは、今回の映画でもずっと描かれる天才であるが故の悲しいというか腹立たしい(彼と彼の音楽を愛するが故の表現です)帰結となってしまいます。
ジャコ・パストリアス 1987年没 今も存命なら65歳。ジャズミュージシャンとしてまだまだ現役で演奏出来ていたと思います。
I LOVE JACO,FOEVER!
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