2019年04月20日
映画「汚名」ミステリーがからむ大人のラブロマンス
「汚名」(Notorious) 1946年 アメリカ
監督アルフレッド・ヒッチコック
脚本ベン・ヘクト
撮影テッド・テズラフ
〈キャスト〉
ケーリー・グラント イングリッド・バーグマン
クロード・レインズ
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ひとりの男がスパイ容疑で裁判にかけられ、有罪を宣告されます。その娘アリシア・ハバーマン(イングリッド・バーグマン)は父親の愛国心を信じる一方、スパイの娘として社会から非難の目を向けられることになります。
やり場のない悲しみや怒りを紛らすために開いたパーティーで飲んだくれてしまったアリシアでしたが、そこで物静かに周囲の喧騒を気にすることなく酒を飲んでいるひとりの男に心を惹かれます。
その男デブリン(ケーリー・グラント)はスパイ組織の全容をつかむため、スパイ容疑で有罪となったハバーマンの娘アリシアに接近していたFBI捜査官で、父親の汚名を晴らすため力を貸してほしいとアリシアに協力を要請します。
一時はデブリンに対して憎しみの目を向けていたアリシアでしたが、二人はいつしか惹かれあう仲になり、きらめく恋に身を任せながら、アリシアは秘密組織の陰謀の渦中へと飛び込んでゆくことになります。
しかし、アリシアとデブリンの恋は、組織を束ねるアレクサンダー・セバスチャン(クロード・レインズ)に近づくにつれ、セバスチャンとの結婚を余儀なくされたアリシアの犠牲によって破局を迎えることになります。
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恋と任務を割り切ったアリシアとデブリンは、組織がウランを大量に集めていることを突き止めますが、アリシアがFBIのスパイだと気づいたセバスチャンは、アリシアの飲み物に少量ずつ毒を入れ、病死を装って殺害しようと図ります。
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大人のラブロマンス
「汚名」を最初見たときには、ヒッチコックには珍しく失敗作だと思いました。
裁判の判決シーンで始まるこの映画は、容疑者は国を売ったスパイらしい、ということが分かるだけで、説明らしい説明が少なく、また、デブリンとアリシアの結びつきも安直にしか思えず、安物のスパイ映画の印象を受けました。
流れが変わったのはセバスチャン(クロード・レインズ)が登場してからでしょうか。
セバスチャンはアリシアの父の友人で、かねてからアリシアへの想いを秘めていたセバスチャンはアリシアに結婚を迫ります。
アリシアとデブリンの恋は思わぬ方向へと動き始め、嫉妬に耐えなければならないデブリンの心境と、恋を犠牲にしても任務に向き合わざるを得ないアリシアの心情は、国家という重荷の中で身動きの取れない状況であるだけに、余計に痛々しさが伝わってきます。
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嫉妬と猜疑心が渦巻く心の闇でもがく男女の姿をケーリー・グラントとイングリッド・バーグマンが見事に表現。
特にイングリッド・バーグマンの魅力は際立っていて、「カサブランカ」(1942年)のエレガントさとは違った可愛さを持った女性、美貌と気品の内面で性の歓びに満ちた女性の魅力にあふれていて、バーグマンの魅力によって「汚名」の完成度が高くなったといってもいいくらい。
もちろん中盤から後半にかけてのヒッチコックらしいサスペンスの面白さは言うまでもないのですが、ケーリー・グラントが階段を二段おきに駆け上がってゆく颯爽たる姿には驚きました。
スパイサスペンスに大人のラブロマンスが絡んだ、あるいはその逆かもしれませんが、とにかく高級ワインを味わうような極上の映画であることに間違いはありません。
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監督アルフレッド・ヒッチコック
脚本ベン・ヘクト
撮影テッド・テズラフ
〈キャスト〉
ケーリー・グラント イングリッド・バーグマン
クロード・レインズ
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ひとりの男がスパイ容疑で裁判にかけられ、有罪を宣告されます。その娘アリシア・ハバーマン(イングリッド・バーグマン)は父親の愛国心を信じる一方、スパイの娘として社会から非難の目を向けられることになります。
やり場のない悲しみや怒りを紛らすために開いたパーティーで飲んだくれてしまったアリシアでしたが、そこで物静かに周囲の喧騒を気にすることなく酒を飲んでいるひとりの男に心を惹かれます。
その男デブリン(ケーリー・グラント)はスパイ組織の全容をつかむため、スパイ容疑で有罪となったハバーマンの娘アリシアに接近していたFBI捜査官で、父親の汚名を晴らすため力を貸してほしいとアリシアに協力を要請します。
一時はデブリンに対して憎しみの目を向けていたアリシアでしたが、二人はいつしか惹かれあう仲になり、きらめく恋に身を任せながら、アリシアは秘密組織の陰謀の渦中へと飛び込んでゆくことになります。
しかし、アリシアとデブリンの恋は、組織を束ねるアレクサンダー・セバスチャン(クロード・レインズ)に近づくにつれ、セバスチャンとの結婚を余儀なくされたアリシアの犠牲によって破局を迎えることになります。
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恋と任務を割り切ったアリシアとデブリンは、組織がウランを大量に集めていることを突き止めますが、アリシアがFBIのスパイだと気づいたセバスチャンは、アリシアの飲み物に少量ずつ毒を入れ、病死を装って殺害しようと図ります。
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大人のラブロマンス
「汚名」を最初見たときには、ヒッチコックには珍しく失敗作だと思いました。
裁判の判決シーンで始まるこの映画は、容疑者は国を売ったスパイらしい、ということが分かるだけで、説明らしい説明が少なく、また、デブリンとアリシアの結びつきも安直にしか思えず、安物のスパイ映画の印象を受けました。
流れが変わったのはセバスチャン(クロード・レインズ)が登場してからでしょうか。
セバスチャンはアリシアの父の友人で、かねてからアリシアへの想いを秘めていたセバスチャンはアリシアに結婚を迫ります。
アリシアとデブリンの恋は思わぬ方向へと動き始め、嫉妬に耐えなければならないデブリンの心境と、恋を犠牲にしても任務に向き合わざるを得ないアリシアの心情は、国家という重荷の中で身動きの取れない状況であるだけに、余計に痛々しさが伝わってきます。
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嫉妬と猜疑心が渦巻く心の闇でもがく男女の姿をケーリー・グラントとイングリッド・バーグマンが見事に表現。
特にイングリッド・バーグマンの魅力は際立っていて、「カサブランカ」(1942年)のエレガントさとは違った可愛さを持った女性、美貌と気品の内面で性の歓びに満ちた女性の魅力にあふれていて、バーグマンの魅力によって「汚名」の完成度が高くなったといってもいいくらい。
もちろん中盤から後半にかけてのヒッチコックらしいサスペンスの面白さは言うまでもないのですが、ケーリー・グラントが階段を二段おきに駆け上がってゆく颯爽たる姿には驚きました。
スパイサスペンスに大人のラブロマンスが絡んだ、あるいはその逆かもしれませんが、とにかく高級ワインを味わうような極上の映画であることに間違いはありません。
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