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2019年09月05日

映画「何がジェーンに起こったか?」嫉妬と憎悪,サイコミステリーの傑作

「何がジェーンに起こったか?」
 (What Ever Happened to Baby Jane?)
 1962年 アメリカ

製作・監督ロバート・アルドリッチ
原作ヘンリー・ファレル
脚本ルーカス・ヘラー
撮影アーネスト・ホーラー

〈キャスト〉
ベティ・デイヴィス ジョーン・クロフォード
ヴィクター・ブオノ

第35回アカデミー賞衣装デザイン賞(白黒)

「ベラクルス」(1954年)、「特攻大作戦」(1967年)、「北国の帝王」(1973年)など、男性的で骨太い作品を得意とするロバート・アルドリッチが、愛憎に満ちた姉妹の確執をテーマに、そこから生じたミステリーに挑んだ傑作。

アカデミー賞を始めとして、カンヌ国際映画祭やゴールデングローブ賞など数々の賞にノミネートをされるなど、作品の質の高さは評価されましたが、何しろ1962年は「アラビアのロレンス」が作品賞を始めとして7部門を受賞するなど圧倒的な存在感を見せつけ、「奇跡の人」「アラバマ物語」「戦艦バウンティ」「史上最大の作戦」といったそうそうたる作品の並んだ時期だっただけに、衣装デザイン賞のみの受賞に沈みましたが、主演のベティ・デイヴィス、ジョーン・クロフォードの火花を散らす演技と、ヒッチコックばりのサスペンスとスリラーの展開は、とにかく見応えがあります。

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1917年、世界的には第一次世界大戦が終結に向かい始め、ロシア革命が勃発し、映画の世界ではチャーリー・チャップリンがその才能を発揮していたころ、ショービジネスの世界では一人の少女が愛らしい歌と踊りを披露して観客の喝采を浴びていました。
その名は“ベイビー・ジェーン・ハドソン”。

観客の熱烈なリクエストに応えて彼女が歌う曲は「パパに手紙を」。

しかし、華やかな舞台の陰でジェーンに冷たい視線を送る少女がいました。
ジェーン・ハドソンの姉、ブランチです。

舞台での愛らしい仕草とは反対に、傲慢な態度の目立つジェーンでしたが、ドル箱の少女スターは周囲からはチヤホヤされています。

そんなジェーンへの嫉妬が憎しみともいえる心境へブランチを追いやっているのです。




時は流れ、大人の女性へと成長したジェーン(ベティ・デイヴィス)とブランチ(ジョーン・クロフォード)は映画の世界で活躍を始めます。

しかし、少女時代とは対照的に、抜群の美貌と演技力でスターの地位を築いた姉のブランチでしたが、大した演技力を持たない妹のジェーンは映画界から爪弾(つまはじ)きにされていきます。

そしてある夜、自宅の前で自動車事故が起こり、酒に酔ったジェーンが姉のブランチを轢き殺そうとしたものだと新聞は報じます。

ここが、この映画のミステリーの発端となるところで、車を運転していたのが誰で、衝突されたのが誰なのか、両方ともに女性であるということの他には一切明らかにされていません。

話は変わって、ハリウッドにあるジェーンとブランチの家。

自動車事故から長い年月が過ぎ去り、華やかな映画スターの面影の消えかけたブランチは事故による脊髄損傷から車イスの生活を送り、白い厚化粧のジェーンが姉の世話をしています。
二人の間にわだかまるのは、自動車事故の加害者としてのジェーンの負い目による姉への奉仕と、妹のジェーンの助けを借りなければ食事も満足にとれない、妹に対する弱みを持つ車イスのブランチ。

少女時代の華やかさを取り戻そうと夢見るジェーンは、当時の人気曲「パパに手紙を」でカムバックを果たすべく専属のピアニスト、エドウィン・フラッグ(ヴィクター・ブオノ)を雇い、レッスンに励みます。

しかし、酒に溺れ、老いて自分の醜さを鏡の中に見出すようになったジェーンは、少なからず病み始めていた精神が加速度を増し、ブランチに対する支配力を強めて陰湿な虐待へとエスカレートしてゆきます。

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通いの家政婦エルヴァイラ(メイディ・ノーマン)はジェーンの態度に不審を抱き、ブランチの窮状を救おうとしますが、それに気づいたジェーンに殺害されてしまいます。

手首をロープで縛られて自由を失ったブランチは衰弱し、死が目前に迫ってゆきます。

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少女時代の嫉妬と羨望は大人になってから完全に逆転し、骨肉であるがゆえに、出来のいい姉への憎悪と老醜に対する怯えに支配され、徐々に正気を失ってゆくジェーンを演じたベティ・デイヴィスは、「化石の森」(1936年)、「黒蘭の女」(1938年)などの美貌からは想像できない、何かに取り憑かれたかのような狂気の演技でアカデミー賞主演女優賞にノミネート。

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対するジョーン・クロフォードはサイレントの時代から活躍していた女優ですが、やはり「大砂塵」(1954年)が最も印象が強いです。
ベティ・デイヴィスの鬼気迫る演技の陰に隠れがちになってしまいましたが、暴君と化してゆく妹に怯えるジョーン・クロフォードの演技は、見ている側にもその怖さが直(じか)に伝わる迫真性があり、特に、主治医に助けを求めるために不自由な足を引きずって階段を降り、電話にすがりつく場面はサスペンス映画の極致です。

姉妹の確執を描いた映画ですが、実生活でもベティ・デイヴィスとクロフォードはかなり仲が悪かったらしく、それが映画にも反映されているのでしょうか。
でも、「お熱いのがお好き」(1959年)でのマリリン・モンローとトニー・カーティスも実生活では不仲だったようですから、お熱い恋人同士を演じた彼らの演技力も大したものです。

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「何がジェーンに起こったか?」はミステリーとサイコスリラーの要素を併せ持った映画で、最後の最後まで自動車事故の真実が明らかにされることはなく、この二人の身の上に何が起こったのか、ミステリーはミステリーのままでドラマは進行し、そしてついに、ラストの浜辺で死に瀕したブランチの口から事故の真実が語られてゆきます。

しかし、ブランチの告白を聞いているジェーンはすでに正気を失っていて、明るい太陽と輝く夏の海辺、そこに、6歳当時の自分に戻って踊るジェーン、やせ衰えた体を砂浜に横たえて死を待つブランチという、狂気と死の構図は、真夏の海水浴客との対比の中で、姉妹の確執の醜悪さがひときわ浮き彫りにされています。

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最後に、ジェーンの専属ピアニストとして雇われることになるエドウィン。
ジェーンに気があるような、ないような、売れないピアニストなのでジェーンに気に入られようと気のある素振りをしているのか、そんな態度を母親のデリラにたしなめられる気の弱い太ったピアニスト。

この親子のやり取りはときにユーモラスで、このあたりもヒッチコックをお手本にしているのかな、と思わせるものがあります。

ジェーンの異常さに気づき、部屋に監禁されて死にかけているブランチを発見しながら、慌てふためいて逃げてしまうダメ男を演じたヴィクター・ブオノは助演男優賞にノミネート。

受賞は「渇いた太陽」のエド・ベグリーにさらわれましたが、「何がジェーンに起こったか?」の緊張した展開の中で、母親のデリラと行きずりの男との間に生まれた出自を持ち、母親に反抗をしながらも、なんとなく人生に妥協してしまっているエドウィンには不思議で奇妙な存在感がありました。

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